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洋楽ロックバンド合縁奇縁(4)

80年代洋楽の黄金期とともに、高校時代のほろ苦き青春を過ごした。
そんな80年代洋楽人間を自称するワタクシが、全然大したことない昔の思い出話なんかを
気ままに書き綴っていっております (`・ω・´) シャキーン

テーマは、80年代洋楽シーンで活躍したバンドの解散および再結成にまつわる話。
いわゆる「裏情報」的なものは全くないので、そこは期待しないでいただきたく。
自分の当時の記憶や、その後に分かった既知の情報を、回想してなぞっているだけの
本当に単なる思い出話という感じです。



The Go-Go's (1978 – 1985, 1990, 1994, 1999 – 2023)



The Go-Go's(※)は、Wikipedia を見ると「世界で最も成功したガールズバンドの1つ」
という紹介のされ方をしている(※以下、文字数削減のため "The" は省略する)。
80年代洋楽シーンに3枚のスタジオアルバムで、キュートな足跡を残した。

1981年のデビューアルバム「Beauty and the Beat」が、いきなりトリプルプラチナを記録し、
「We Got the Beat」、「Our Lips are Sealed」の2曲のシングルが大ヒットした。
1982年の 2nd アルバム「Vacation」では、アルバムと同名のシングルが日本でもヒットした他、
「Girls of 100 Lists」、「Worlds Away」辺りの曲で、中心人物の一人である Jane Wiedlin の個性が形をあらわし始める。

1984年の 3rd アルバム「Talk Show」になると、演奏も板について楽曲は洗練され、
シングル「Head over Heels」がスマッシュヒットしたが、
あまりに大き過ぎたデビューアルバムのインパクトを超えることは出来なかった。
3作目をリリース後の1985年に Go-Go's は解散した。



Go-Go's は、リードボーカルのベリンダ・カーライル(Belinda Carlisle)
リズムギターのジェーン・ウィードリン(Jane Wiedlin)
リードギターのシャーロット・キャフィー(Charlotte Caffey)
ドラムのジーナ・ショック(Gina Schock)
ベースのキャシー・バレンタイン(Kathy Valentine)
の、女性5人からなるロックバンドだ。

バンドの設立とその後の運営には、Belinda と Jane の2人が中心的役割を果たしたようだ。
Jane は Go-Go's の多くの楽曲を手がけ、解散後もソロ活動でユニークな才能を発揮した。
カーズで言えばリック(Ric Ocasek)に相当する、バンドのインテリジェンス担当として
活躍したのが Jane だった。



一方の Belinda は、バンドのリーダー兼リードボーカルで、楽器の担当は無い。
Go-Go's のライブや PV では、一人だけ手ぶらで歌い踊っている。
Wikipedia の略歴を見ると、Jane が "musician, song-writer" であるのに対し、
Belinda は "singer" となっており、Go-Go's 解散後のソロ活動でも、
Jane のように自分で曲を書いたケースは少ないようである。

逆に言えば、歌い踊るビジュアルだけでビジネスが成立する、それが務まったのは
5人の中では Belinda だけだった、とも言えるだろう。
Go-Go's 解散の翌年には、早くも最初のソロアルバム「Belinda」の発表に漕ぎ着けたことから分かるように、Go-Go's 時代から音楽業界が放っておけない逸材だったということなのか。

他にも、ヒットシングル「We Got the Beat」の作詞作曲など、バンド活動に多大な貢献をしたリードギターの Charlotte も、Go-Go's 解散の2年後の1987年にバンド「The Graces」を結成して活動を再開し、注目を集めた(過去記事「Lay Down Your Arms」参照)。



そのように、メンバーそれぞれが豊かな個性と才能を持つバンドである Go-Go's が、
解散することになった大きな原因の1つが、ドラッグだった。
Wikipedia を見ると、メンバー間の不和と音楽的方向性の違いも理由として挙げられているが、
リーダーの Belinda がドラッグに溺れたことが大きかったと思う。

Belinda 自身が後に述懐した有名な話によれば、Go-Go's に限界を感じていたある日、
うら若い新人ガールズバンドのライブを見に行って「この子らのようなエキサイトメントは
自分たちにはもう無いのだ」と実感して悲しい気持ちになった、とのことだ。
そんなこんなの精神的スランプから、ドラッグに手を染めてしまったのだろうか。

1980年代といえば最早「Sex, Drug ang Rock'n Roll」の時代でもなかったのに、
あのようなフレッシュで華やかな、前途のある若い女性たちが、ドラッグに侵され、
挫折を味わわねばならなかったのは、痛々しいことだったと思う。



自分の認識では、5人のメンバー全員がドラッグ中毒になってバンド活動不能になったのかと
思っていたが、Wikipedia を見ると、5人全員ではなく "some band members" と書いてある。
その中に Belinda が含まれていたのは間違いない(ソロ1作目のアルバム「Belinda」のライナーノーツに、その辺りの事情が書いてあったのを見た記憶がある)。

しかし Belinda は、Go-Go's 解散後、ドラッグから立ち直るトレーニングを経てソロデビューし、
1987年の「Heaven on Earth」で全世界的成功を収め、見事にカムバックした。
Jane ら他のメンバーも各々のキャリアを積み、2001年の4作目のスタジオアルバム「God Bless The Go-Go's」で本格再始動した Go-Go's は、マイペースの第二活動期に入り、ツアーを継続した。

そんな Go-Go's の5人に、再び試練が訪れる。
金銭および権利の絡むマネージメントの問題で、2013年に Kathy Valentine が脱退し、
一時はドロドロとした訴訟沙汰にまで発展した。
最初にデビューした頃のようなプレッシャーは、なかったであろうにも関わらず、
今度は金銭問題で揉めてしまうとは、人間だよなあ ・・・・、と言うしかないと思う。



でも、人間だからこそ、また分かり合えるときが来る。
双方の誤解が解けたことで、2018年に Kathy Valentine が復帰、5人は元のさやに納まった。
いろいろあって一度袂を分かった仲間が、再び手を取り合い、ファンに夢の続きを見せてくれる。
こういう話はやっぱりいいものだと思う。

コロナ禍の 2020年には、5人のメンバーそれぞれがオンラインで演奏に参加して
撮影したビデオを世界に配信し、話題を呼んだ。

2021年にはロックの殿堂入りを果たし、2023年、Belinda がバンドの解散を宣言した。
しかしその後も、単発的なステージやショーでの再結成は続いている。

Belinda はソロだけでも十分やっていけるのに、Go-Go's のライブ活動も並行して
行なっているところに、Go-Go's への愛が感じられると、自分は常々思っていた。
「世界で最も成功したガールズバンド」Go-Go's は、リーダーの Belinda を中心にとした絆によって、二度の困難を乗り越え、幸せなラストランで幕を閉じようとしている。





洋楽ロックバンド合縁奇縁 - 続く
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