テキストを、書いている最中に体験したものだけが
書くことのできる心の動きで
書いている最中に思い出せなかったもの、
書いている最中は動かなかったもの、
書く前に計算されていたもの、
そうしたものは、すべて記録することはできないような気がした。
ずっと未体験であるために浮かんでくる妄想や
ずっと解決できるあてのない重い問題だけが
ずっと心の奥深くでうごめいていて
その洞窟で暴れている自分の様相だけが
まるで見にくい迷路を造り出す呪文のように
僕たちのいる世界を、僕の居る世界を形どる格子であるかのように
その堅く湿った骨を突き破る感動だけが、
僕を照らす灯りのありかを示すように
ずっと灯籠の中をたたずんでいる呪縛に似ていた。
火のついた迷路は、燃え落ちる廃屋と似ていて
僕らを支えてる世界の動きとか、
じっとすべてに耐えている永遠の苦痛や奴隷のうめき声が
僕らに届かないように、
すべての世界の裏側を支えているようで
なにも満ち足りたものがないという崩壊の序曲だけが、
いつも僕の背中よりずっと後ろの方で、
僕が見ている背景のずっと奥の裏側で
リアリティを暴くための現実音を、丹念に丹念に準備していた。
体の内側で感じられない世界は
脳に届く前に消されてしまった痛みは
やがて手の届かない宇宙へと生まれ変わる奇跡に似ていて
そしてそれは僕が感じない限り、
誰も手の届かない痛みと同じような気がして
僕が見ることのできなかったもの、
僕が触れることのできなかったもの、
僕が嗅ぐことのできなかったもの、
僕が知ることのできなかったもの、
それらはずっと、生まれずに死んでゆくひよ子の可愛さに似ていた。
好きであることや 嫌いであることは
まだずっと知る事に近い分救われていて、
それらは可能性が僕らを抑えている間だけ直線的で
僕らが諦めた時に丸くなる扉に似た宇宙で
斜め前に手を伸ばすと体がよじれるような奇跡だけを求めて
ずっと僕は考えることから逃げているような気がした。
不思議と、涙の出ない海だった。
暖かくもなく、冷たくもなく、ただずっと夢を見ているような日常だった。
あんのんとした羊水の中で、
死んでいくことに気付かない死体の幽霊に似ていた。
眠りこけたゴーストが体に収まらず、ただただ溢れてるような毎日だった。
欲しがるものもなく、満たされるものもない輪郭と器だけが現実と呼び捨てにされた。
羊水と一緒に飲んだ水は、
しょっぱい他人の味がして、飲んだ分だけ僕は吐いた。
誰かを傷つけることで手に入れた居場所も、
誰かを壊すことで手に入れた想像力も、
その神の息吹のような創作性は無いと思った。
ただ、ずっと痛みの数だけ増えすぎた現実があって
何も知ることのできない者だけが夢を見る権利を保持していて
戦うことを諦めた勇者だけが、子供のフリをして遊んでいられるような世界は、
もうほとほと嫌気がさしていて、
ただその嫌気が百人分たまることもなく
ただその嫌気が、ひとりぶんの孤独を埋めることもなく
ねつ造された明日だけが、僕に残された生の夢だった。
もう来ない明日
そこから、目をそらした者だけに与えられる勲章のような現実
目隠しして、暗闇に突っ走ることだけを褒め称える勇気
誰にも触れず、何も知ることができない従順な牢獄にだけ与えられる道徳
そうしたものに、僕はずいぶんと悩まされた。
ほどなく死体は腐る。
死してなお、形をとどめるミイラを目指すつもりはない。
破壊よりも今は腐食が進んでいく時で
その腐りかけた人間性にこそ、人は意味を求める。
選ばれることに意味はない。
選ぶことにも意味はない。
運命に、あらがうことも、運気を使い果たすことも、
機械仕掛けの心臓に科学のメスを刺し込むことにも終わりはない。
ただ、価値のない未来に明日と名付けて夢見る者だけに時間は宿る。
出会うことのない他者に、人間性を見いだす強い意志だけに、涙の雫は垂れる。
今日もずっとこうべをうなだれて生きたフリをする死体の山。
道徳と善悪の檻を蔑んでみたくてねじまげた鍵穴に、
僕の精子が突き刺さったまま死んでいるのを見た。
やがてくる、意志のない時代を生きるための箱庭宇宙の中で
僕らは終わりだけを夢見た。
ずっと、世界が終わることだけを期待して眺めている
星空をみて、夢と名付けた絶望のキリマンジャロをみている
走馬燈も、万華鏡も今はもうここに無い。
ただ、死していく昨日と明日に囲まれて今日が腐る。
そして今日、僕はたぶん死ぬ。
それが怖いとすら感じなくなってしまったのは なぜなんだろうか?
書くことのできる心の動きで
書いている最中に思い出せなかったもの、
書いている最中は動かなかったもの、
書く前に計算されていたもの、
そうしたものは、すべて記録することはできないような気がした。
ずっと未体験であるために浮かんでくる妄想や
ずっと解決できるあてのない重い問題だけが
ずっと心の奥深くでうごめいていて
その洞窟で暴れている自分の様相だけが
まるで見にくい迷路を造り出す呪文のように
僕たちのいる世界を、僕の居る世界を形どる格子であるかのように
その堅く湿った骨を突き破る感動だけが、
僕を照らす灯りのありかを示すように
ずっと灯籠の中をたたずんでいる呪縛に似ていた。
火のついた迷路は、燃え落ちる廃屋と似ていて
僕らを支えてる世界の動きとか、
じっとすべてに耐えている永遠の苦痛や奴隷のうめき声が
僕らに届かないように、
すべての世界の裏側を支えているようで
なにも満ち足りたものがないという崩壊の序曲だけが、
いつも僕の背中よりずっと後ろの方で、
僕が見ている背景のずっと奥の裏側で
リアリティを暴くための現実音を、丹念に丹念に準備していた。
体の内側で感じられない世界は
脳に届く前に消されてしまった痛みは
やがて手の届かない宇宙へと生まれ変わる奇跡に似ていて
そしてそれは僕が感じない限り、
誰も手の届かない痛みと同じような気がして
僕が見ることのできなかったもの、
僕が触れることのできなかったもの、
僕が嗅ぐことのできなかったもの、
僕が知ることのできなかったもの、
それらはずっと、生まれずに死んでゆくひよ子の可愛さに似ていた。
好きであることや 嫌いであることは
まだずっと知る事に近い分救われていて、
それらは可能性が僕らを抑えている間だけ直線的で
僕らが諦めた時に丸くなる扉に似た宇宙で
斜め前に手を伸ばすと体がよじれるような奇跡だけを求めて
ずっと僕は考えることから逃げているような気がした。
不思議と、涙の出ない海だった。
暖かくもなく、冷たくもなく、ただずっと夢を見ているような日常だった。
あんのんとした羊水の中で、
死んでいくことに気付かない死体の幽霊に似ていた。
眠りこけたゴーストが体に収まらず、ただただ溢れてるような毎日だった。
欲しがるものもなく、満たされるものもない輪郭と器だけが現実と呼び捨てにされた。
羊水と一緒に飲んだ水は、
しょっぱい他人の味がして、飲んだ分だけ僕は吐いた。
誰かを傷つけることで手に入れた居場所も、
誰かを壊すことで手に入れた想像力も、
その神の息吹のような創作性は無いと思った。
ただ、ずっと痛みの数だけ増えすぎた現実があって
何も知ることのできない者だけが夢を見る権利を保持していて
戦うことを諦めた勇者だけが、子供のフリをして遊んでいられるような世界は、
もうほとほと嫌気がさしていて、
ただその嫌気が百人分たまることもなく
ただその嫌気が、ひとりぶんの孤独を埋めることもなく
ねつ造された明日だけが、僕に残された生の夢だった。
もう来ない明日
そこから、目をそらした者だけに与えられる勲章のような現実
目隠しして、暗闇に突っ走ることだけを褒め称える勇気
誰にも触れず、何も知ることができない従順な牢獄にだけ与えられる道徳
そうしたものに、僕はずいぶんと悩まされた。
ほどなく死体は腐る。
死してなお、形をとどめるミイラを目指すつもりはない。
破壊よりも今は腐食が進んでいく時で
その腐りかけた人間性にこそ、人は意味を求める。
選ばれることに意味はない。
選ぶことにも意味はない。
運命に、あらがうことも、運気を使い果たすことも、
機械仕掛けの心臓に科学のメスを刺し込むことにも終わりはない。
ただ、価値のない未来に明日と名付けて夢見る者だけに時間は宿る。
出会うことのない他者に、人間性を見いだす強い意志だけに、涙の雫は垂れる。
今日もずっとこうべをうなだれて生きたフリをする死体の山。
道徳と善悪の檻を蔑んでみたくてねじまげた鍵穴に、
僕の精子が突き刺さったまま死んでいるのを見た。
やがてくる、意志のない時代を生きるための箱庭宇宙の中で
僕らは終わりだけを夢見た。
ずっと、世界が終わることだけを期待して眺めている
星空をみて、夢と名付けた絶望のキリマンジャロをみている
走馬燈も、万華鏡も今はもうここに無い。
ただ、死していく昨日と明日に囲まれて今日が腐る。
そして今日、僕はたぶん死ぬ。
それが怖いとすら感じなくなってしまったのは なぜなんだろうか?