ネイチャー・コンタクト ~ 自然とディープにふれあおう ~

アフターや休日にふれあう、いろいろな自然。ネイチャーコンタクト・フォトブログです。

2013年5月指宿への旅、2日目(その1):手間をかけて作られるかつお節と灰汁をつかったあくまき

2013年05月17日 | 2.南、鹿児島方面への旅
無人島で、しかも島に渡っていくための道が、引き潮のときにしか現れない
という知林ヶ島。

この島に渡ることが今回の旅の一番の目的ですが、そんな島ですから一人で
渡るのには不安もあります。
ホテルでは、知林ヶ島への渡島案内も地元ボランティアさんたちの協力で行
なわれているということを前回、前々回の宿泊時に聞いていました。



●魚見岳より知林ヶ島を臨む(2度目の指宿への旅にて)


そこで今回もボランティアガイドの Iさんと再会し、渡島ツアーに参加する
ことを楽しみにしていたのです。
ところがフロントに聞いてみると、私の宿泊期間中はIさんはホテルにいらっ
しゃる予定はなく、しかも今年度から渡島ツアーはなくなったということで、
非常にがっかりしました。

しかたなく一人で渡島することにしホテルのロビーを出ると、そこにIさんが
立っているではありませんか。
ホテル建物のすぐ外では毎朝お土産品の販売があるのですが、Iさんはそこに
私的な用事でこられていたのです。

私たちは再会を喜びました。
お忙しいはずですし突然のことなのにも関わらず、Iさんは知林ヶ島を含めて
案内してくれるといいます。
喜んでお願いすることにしました。

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山川町のかつお節はとてもおいしいです。
関東のスーパーマーケットで販売されているかつお節で作る味噌汁とは、
格段に味のちがう味噌汁になるのです。
指宿に来たら、必ずまた買って帰ろうと思っていました。



●山川町のかつお節でつくる味噌汁はとてもおいしいです


Iさんの車に乗り込み町なかを走っていると、町のいたることろにたくさんの
薪(まき)が積んであるのが見られました。
なぜあんなに薪が積んであるのかIさんにたずねると、かつお節を製造する
ための薪なのだそうです。
そこでかつおぶし工場に向かうことになりました。



●山川町のいたるところにたくさんの薪が積んでありました。
かつお節製造のための薪で、木の種類はシイ、カシ、ナラといったドングリの
なる木だそうです。


工場ではIさんと工場の会長さんによる説明を聞きながら作業現場を見学する
ことができました。

まず、湯通ししたかつおの頭部尾部・骨・内臓を取り除いて、残った肉の形を
整えます。

次に地下1階、地上6階の大きな施設で、かつおを燻製にする作業を行ないます。
燻製作業はかつおへ煙の成分が定着する具合をみながら、釜に入れたり出したり
して約20日間続けられるそうです。



●この工場の燻製設備は地下1階に火を焚く部分があり、地上6階にまで及ぶ巨大
なものでした。煙が上に昇ってゆく性質を効率よく活かしているのでしょう。
薪はこの地下1階で使われています。


20日間にもわたる燻製処理を経たかつおは、すでに硬くなっています。
このかつおを機械式のヤスリにかけて、表面をなめらかにします。
そして、なめらかになった燻製かつおの表面にアオカビを霧吹きで吹き付けます。



●カビの発生したかつお節
ただのカビではなく、かつおぶし専用の優良カビが使われています。


その後、天日干し約20日間と寝かす(熟成させる)作業とを4回から5回くり
かえし、約半年間かけて、山川のおいしいかつお節が完成するのです。

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鹿児島に行くとあくまきという食べ物があります。
5月の節句、こどもの日に食べるそうで、関東でいうちまきにあたります。



●鹿児島県の特産「あくまき」
なぜあくまきという名なのか、初めてのあくまきという食べ物を知ったころ
からの疑問でした。


なぜあくまきという名なのかというと、その名のとおり灰汁(あく)を
使って作られているからだと聞き、少し驚きました。
灰汁を使っているなんて、まずそうな気がしたからです。

一方、その灰汁は、かつお節製造のときにあの薪を燃やして出た灰から
ったものだということも聞き、町で見た薪とかつお節とあくまきとは、
みなつながりがあるのだなとわかりました。

Iさんのこうした話を聞き、あくまきにの製造にも関心を持つことに。
あくまき工場へと向かいました。

灰汁は、灰に水をかけながら布で濾(こ)して取り出すそうです。
この灰汁にもち米を一晩浸し、竹の皮で包み、これを灰汁で茹(ゆ)でて、
あくまきができあがります。



●これは一晩灰汁に浸しておいたもち米を竹の皮に包む工程です。
もち米が灰汁で黄褐色に色づいています。


●もち米を竹の皮に包んだものを灰汁で茹でる工程です。


●茹でている最中のあくまきを特別に出して見せてくれました。

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今まで、ただ「おいしい」「うまい」と言って食べていただけの鰹節や
あくまきでしたが、製造過程を見学し、製造者の方々とも言葉を交わして、
より親しみと愛着を持つようになったことはいうまでもありません。

Iさんが案内してくれた貴重な経験でした。

2013年5月、指宿への旅1日目:山川町の温泉

2013年05月16日 | 2.南、鹿児島方面への旅
鹿児島への旅の場合、たいてい私は前日の夜に飛行機で鹿児島入りします。
それは翌日の1日目を朝早くから行動できるようにしておくためです。
今回は前日に鹿児島中央のホテルに宿泊し、早朝に指宿へと向かいました。

今回の一番の目的は無人島の知林ヶ島に渡ること。
この日は知林ヶ島と砂の架け橋をはなれたところから見渡せる魚見岳という丘
に行き、潮が引いて砂の架け橋が現れる様子を見ようと計画を立てていました。

しかし雨に降られてしまい、予定を変更。
指宿市の西隣にある山川町で、温泉めぐりをすることにしました。

砂湯里(さゆり)は砂蒸し温泉という、指宿地方特有の温泉施設です。
砂蒸し温泉は、砂浜に温泉が湧き出し海へと流れ込んでいるのを利用したもの
で、温泉で温まった砂をかけてくれるスタッフがいて、浴衣に着替えて砂浜に
仰向けになり砂かけてもらって入浴します。



砂湯里のある付近一帯は伏目温泉という名があります。
巨岩があり、これがランドマークとなっています。


温泉水は昔からいろいろなことに活用されてきました。
温泉水は現在でも温泉保養施設のほかにも、農作物や観葉植物のハウス栽培に使われ
ているそうです。
これは温泉水の熱を利用した昔の製塩所跡。温泉水の成分が波のように固まっています。


砂湯里は崖下の砂浜で、開聞岳の見える景観のとても良いところにありました。
砂蒸し風呂に入りながらの開聞岳眺望ができればなおよかったのですが、施設
建物がさえぎった位置にあり、見えなかったのがちょっと残念。
それでもの音を聞きながらの入浴は、たいへんリラックスできました。



砂湯里は海岸線と開聞岳を臨む、とても眺望の良いところにありました。
緑のシートが砂蒸し温泉の屋根の部分にあたります。


ここが砂湯里。砂蒸し風呂が主体なので施設そのものは質素な感じがします。
砂・湯・里と書いて「さゆり」と読ませるネーミングがなかなか良いと思います。


施設建物の外では温泉卵も販売されており、おいしくいただきました。


砂湯里の近辺にも、たまてばこ温泉、ヘルシーランドといった温泉施設があり、
小雨の中を散策しつつ、いろいろな温泉を楽しめました。

2013年5月、ロマンを求めて・・・。指宿への旅をふりかえってみました。

2013年05月15日 | 2.南、鹿児島方面への旅
先日5月10日(金)から5月12日(日)の2泊3日で、鹿児島県指宿市への3度目の旅
をしてきました。
この3度目の旅についてレポートする前に、鹿児島指宿への旅についてふりかえってみ
たいと思います。


私が初めて鹿児島を旅したのは2009年の1月で、冬鳥のツルを見に出水市にいきました。
その後、このときにできた知人からお誘いがあり、同年の7月に皆既日食を見に屋久島
へと渡ったのが、鹿児島への2度目の旅となりました。
屋久島には、その後2回訪れています。


屋久島へ渡島するとき、開聞岳という富士山によく似た美しい姿の山を目にする機会が
あります。
ところが天候に恵まれず、3回とも開聞岳を見ることができずにいたのです。



富士山によく似た山姿をした開聞岳。別名、薩摩富士といいます。
(2012年10月、2度目の旅にて。)


「開聞岳を見たい!」という開聞岳への憧れは次第に強くなり、「開聞岳を登りたい!」
という気持ちへと変わっていきました。
開聞岳が位置するのは指宿市。
そこで昨年2012年の6月に、開聞岳登山のために1度目の指宿への旅をしたのです。



開聞岳山頂付近より枕崎方面を臨む。(2012年6月、1度目の指宿へのたびにて。)


このとき私は、指宿を開門岳と温泉しかない所という程度にしか思っていませんでした。
ところがそれは宿泊したホテルのおかげで、全くの誤りだということがわかりました。
このホテルでは早朝散歩と題して、ホテル敷地内の庭園をゆっくり歩きながら庭園の植物
や、庭園から見える風景についてガイドさんが説明してくれるといった催しが行なわれて
いて、そこで指宿のいろいろな見所、魅力についてお話を聞くことができたからです。



これは夜にホテルのホールで行なわれる「語りべ」。指宿の歴史・自然についてのお話を
聞くことができます。
このほかに、朝の「早朝散歩」なども行なわれます。(2012年10月、指宿2度目の旅にて。)


指宿には他にもホテルが何件もありますが、こうした催しはこちらのホテルでしか行なわ
れていないということでしたから、これは幸運だったと今でも思っています。
このとき聞いた話のため、私はまた指宿に来たくなりました。
次の目標は、幻の貝殻をこの手で拾うことと、無人島に渡ることでした。

こうして2012年の10月に2度目の指宿への旅をしました。
しかし、幻の貝殻を拾うという目標の一つは達成できましたが、夏の終わりの台風の影響で、
無人島に渡るというもう一つの目標は達成されませんでした。



幻の貝殻を拾うことはできました。(2012年10月、指宿2度目の旅にて。)


・・・しかし夏に発生した台風の影響で砂の架け橋が途切れてしまっていて、
無人島知林ヶ島に渡ることができませんでした。(2012年10月、指宿2度目の旅にて)


私はどうしても無人島を渡ってみたくて、3度目の指宿への旅を計画しました。
なぜなら、この無人島に渡るための道があるのですが、この道は海の砂で自然にできた道で、
引き潮のときにしか姿を現さないという神秘的な現象だからです。
そんな砂の道を通って無人島まで渡っていくなんて、ロマンがあるじゃぁありませんか!