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韓国経済ウオッチ~苦境に陥っている韓国鉄鋼産業

2017-02-27 17:44:56 | 日記
2015年12月21日 10:51企業・経済


韓国経済ウオッチ~苦境に陥っている韓国鉄鋼産業韓国経済ウォッチ


日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 韓国の鉄鋼産業は、深刻な業績不振に見舞われている。

中国メーカーの低価格の輸出攻勢、その間の中韓の競争的な生産拡張による供給過剰、世界経済の低迷による需要の鈍化など、業績不振の理由はいろいろある。

鉄鋼産業が韓国のGDPに占める割合は、全産業のなかでは3.0%、製造業全体では9.7%を占めている。

「鉄は国なり」という表現もあるように、製鉄産業は、自動車、造船、建設業界などとも深い関係があるだけでなく、韓国の基幹産業として韓国経済を支えてきたことは言うまでもない。

 韓国の鉄鋼産業を語るうえで、欠かすことのできない浦項製鉄の話を少しすると、韓国の最初の製鉄会社である浦項製鉄は、日韓国交正常化により日本から入った資金を活用し、それから技術も日本のエンジニアの協力を得て建設することができた。

浦項製鉄はその後、社名をポスコに変えたが、ポスコは韓国の発展とともに成長を続け、超優良企業として世界的な企業に成長したのは、周知の通りである。

 ところが、そのポスコでさえ、2013年から赤字を計上し、業績悪化で苦しみ、株価も下落を続けている。

ポスコ株価は、一時期は50万ウォンもしていたが、現在では16万ウォンくらいになっているため、どれだけ株価が下落しているのがかよくわかる。

 今、韓国の鉄鋼業界に何か起こっているのか、苦境に陥った原因は何なのかを、今回考えてみよう。

 15年の世界粗鋼生産能力は22億8,300万トンであるのに対して、消費量は16億6,300万トンなので、6億2,000万トンも生産過剰になっている。

その元凶として、中国と韓国の鉄鋼メーカーが槍玉に上げられている。

 中国はリーマン・ショックがあったとき、景気を刺激するために巨額の投資を断行した。

その中国政府の投資は、中国経済を危機から救い、世界経済を牽引する役割を果たした。

その設備投資は、中国経済が旺盛に成長するときはよかったものの、今のように景気が減速すると、供給過剰という問題となって現れた。

中国はさまざまな業種で過剰問題が深刻化しているが、この問題が一番深刻な業界は、実は鉄鋼業界である。

中国はダブった製品を低価で輸出に回すことによって、世界的に鉄鋼価格に値崩れを起こしている。
 こ
のような中国の鉄鋼製品の輸出攻勢により、韓国ですら中国製品のシェアは40%ほどになっている。

もちろん価格は、以前に比べ40%ほど下落している。

 中国の鉄鋼製品が価格を武器に韓国市場に流れ込んでくると、市場を失った韓国企業の鉄鋼製品は、輸出に向かわざるを得ない。

しかし、そこにはすでに低価の中国製品があるので、いいビジネスになるわけがない。

それで韓国の鉄鋼業界の苦戦は続いているわけである。

 それに、原油価格が暴落することによって、産油国の建設工事も減少しているし、11月の造船の受注も中国が8割を占めていて、いろいろな要因が重なって韓国の鉄鋼産業は深刻な状況に置かれている。

 韓国の粗鋼生産能力は、現在、7,100万トンで、世界シェアは以前の5.1%から4.3%に低下している反面、

中国の粗鋼生産能力は8億2,300万トンで、世界シェアは以前の15%ほどだったのに、現在は50%に急激に上昇し存在感が大きくなっている。

 問題は、この供給過剰は、当分続きそうだというところにある。

なぜかというと、設備投資の結果で、最近でも生産量が減少していないからだ。ポスコはインドネシアに年間300万トンを生産できる一貫製鉄所を建設し、14年5月から正常稼動に入っている。

中国の宝鋼集団も15年末から稼動する年間893万トンの製鉄所を建設した。

 このような生産過剰のあおりを受けて、建設を中止また保留するケースも発生している。

ポスコはインドにも製鉄所を建設しようとして検討しているが、供給過剰だけでなく、いろいろな問題があり、先送りしている。

日本のJFEスチールも、ベトナムでの製鉄所の建設を中止すると発表している。

それでは、何が原因で韓国の鉄鋼業界は苦しんでいるのだろうか。韓国の鉄鋼産業を代表するポスコを中心に話をすると、韓国の鉄鋼業界がよく理解できるだろう。

 ポスコの前会長の在任期間は2009~14年である。この期間中に、ポスコは急激に業績が悪化した。

09年度は負債比率が38.7%だったのに、14年には88.3%に急激に増えている。

営業利益率も09年は10.6%だったのに、14年には4.9%に半分以下に落ち込んでいる。

 前会長は、鉄鋼産業でシェアを増やしていくのは容易ではないことに気づき、事業多角化という名目の下、鉄鋼以外の分野に力を入れた。

建設、資源開発、発電事業などである。それによって、36社あった系列会社は、71社に急激に増加した。

その事業の多角化は、現在では収益の改善どころか、ポスコの足かせになりつつある。

 このような経営的なミス以外に、現代製鉄の登場も製鉄業界の風向きを変えている。

10年に、現代製鉄は高炉2基を建設することによって、年間400万トンの生産能力を持つことになった。

ポスコは、そのときまでは国内で独占状態であったのに、現代製鉄が登場することによって、

現代自動車という大事な顧客を奪われただけでなく、場合によっては現代製鉄と競合することになったという点である。

ポスコがあせって事業多角化の道に走ったのは、もしかしたら現代製鉄が原因の1つだったのかもしれない。

 韓国の鉄鋼産業をこのまま放っておくと、もっと深刻な事態を招きかねないため、韓国政府は構造調整を促している。

 政府はポスコの場合には、多角化をやめて、本業に専念し、経営の質を高めていくことを求めている。

去年から会長に就任した権五俊(クォン・オジュン)氏は、系列会社の縮小、整理など、すでに構造調整に着手している。
 一方、現代製鉄の場合には、自動車用の鋼板などに注力することが求められている。

現代製鉄も13年の第3高炉の建設を最後に、その後、積極的な投資はしていない。

 ポスコと現代製鉄は、体力はあるが、その他の中堅会社の経営も減収減益が続いて、経営が圧迫し、危機に瀕している。

世界経済が回復し、需要が伸びれば別問題であるが、当分の間、需要の伸びは予想できないなかで、中国製の鉄鋼製品は市場に氾濫し、値崩れを起こしている。

これから韓国企業は、中国企業がつくれない高付加価値の製品の開発、生産工程の改善によるコスト削減など、早期に対策を講じないと、基幹産業である鉄鋼産業は、根幹が揺れることになりかねない。(了)

韓国、経済も前途多難 失業率は過去最悪9.8%

2017-02-27 17:33:03 | 日記
韓国、経済も前途多難 失業率は過去最悪9.8%

2017/2/22 0:39日本経済新聞 電子版

韓国経済も前途多難だ。今年1月の韓国の就業者数は前月より約48万人減少し、大企業でも落ち込みがめだつ。

社会問題化する若年層(15~29歳)の失業率は昨年9.8%と過去最悪の水準を記録した。

韓国銀行によると、17年の実質国内総生産(GDP)成長率は前年比2.5%、18年は2.8%と見込まれ、4年連続で2%台の低成長にとどまる見通しだ。

 韓国経済で圧倒的な存在感を誇る最大財閥のサムスン。

韓国製造業売上高の12%、営業利益の30%を占める。

 創業家出身で事実上のトップ、李副会長が逮捕されたことで抱える懸念は多岐にわたる。

M&A(合併・買収)や人事での調整難航が予想される。

李容疑者が米自動車部品大手の買収交渉で見せた、大胆で迅速な意思決定は難しくなる。

 韓国の証券アナリストは「李健熙(イ・ゴンヒ)会長がつくり上げた組織は強固で、既存事業は心配ないが、新規事業投資に不安がある」と語る。

特に人工知能(AI)を巡る投資など、社会の変化を見据えた新規事業投資が弱まる懸念が強い。

 今後1~2年の変調を予測する声は少ないが、M&Aや新規投資が遅れれば、国際競争力を損ないかねない。

そうなれば、韓国経済にマイナスの影響を与える可能性が高い。

 韓国産業界を見渡すと、長年けん引役だった造船や海運、鉄鋼、建設、化学は政府から「五大構造不況業種」に指定され、大規模なリストラや業界再編が必要と位置付けられるほど弱っている。

 コンテナ船事業で日本の大手を上回っていた海運大手の韓進海運は清算されることが決まった。

造船大手の大宇造船海洋も資金繰りに苦しんでおり、大規模な人員削減や資産売却などの合理化を進めている。

漢城大学の金商祚(キム・サンジョ)教授は「韓国経済の今の問題は実体経済の疲弊にある。改革が急がれるのに何もできないのは問題だ」と指摘する。

韓国在住者が感じる韓国を経済危機に追い込む8つの要因

2017-02-27 16:07:11 | 日記
韓国在住者が感じる韓国を経済危機に追い込む8つの要因

by spintheearth

韓国経済の崩壊や、深刻な経済危機に関するニュースが取り上げられることの多くなった最近。

韓国在住の筆者から見てもその波は日々深刻になっているように感じます。

今回は、韓国に実際に暮らしているからこそ感じる、韓国の経済危機の現状を8つの要因にまとめてご紹介します。

韓国在住者が感じる韓国を経済危機に追い込む8つの要因



1. 政府、企業、家計の借金が多すぎる


韓国では家計や企業の借金が増え続け、個人破産や企業の倒産が頻繁に起きています。

借金がさらなる借金を生み、さらなる信用不安に結びついているという悪循環も指摘されています。

韓国の政府、企業、家計の債務は、国内総生産や平均世帯収入を上回る早いスピードで増加しているため、これが金融破綻の引き金になるのではないかと懸念されています。



2. 大卒でも4割が就職できない


ここ数年の韓国では、世界で最も熾烈と言われる受験競争を勝ち抜き、

SKY(スカイ:ソウル大学、高麗大学、延世大学)と呼ばれるトップ大学を卒業しても、

就職できない学生数が増え続けています。

統計によると、2015年2月時点における15歳~29歳までの青年失業率は11%を超え、

1999年以降最悪の失業率を記録していますが、

実際に肌で感じる体感失業率は更に高く、4年制大学を卒業した学生の4割が就職できていないという報告もあります。

この背景には第一に、深刻な不況で採用数を大幅に減らす企業の苦しい現実があり、

その他にも、一流の財閥系大企業にこだわる学生側の意識の問題、60歳定年制度の導入による弊害…など、様々な要素が絡み合っています。


3. 不動産価格の下落


「不動産神話」という言葉があるほど、

アパート所有と転売による不動産投資が一般的な韓国でしたが、

グローバル経済危機を境に不動産価格が暴落し、

数十年間続いてきた不動産による資産運用神話が崩れてしまいました。

政府は必死になって不動産政策を次々と発表し、

金利引き下げや売買制度の変更などを通じて不動産市場の活性化を試みていますが、

国民の心理は冷え切ったまま。

今後、昔のように不動産価格が上がる可能性や、価格が現状維持される見込みはないと考える人がほとんどです。

不動産市場の冷え込みにより、不動産一辺倒の資産運用をしている多くの人々は更なる負債を抱え、消費も控えられ、経済は悪化の一途を辿るのではないかと懸念されています。


4. 長引くウォン高と貿易不振


輸出依存度が国民総所得の50%を超える韓国経済ですが、長引くウォン高が輸出企業の状況を更に苦しめています。

韓国の産業構造は日本に類似している部分がありますが、円安ウォン高により、

日本の製品に比べ韓国製品の価格競争力は悪化し続けています。

完全競争市場の輸出市場においては、容易に製品価格を上げられない現実があるため、

多くの企業が利益のない輸出、あるいは赤字を伴う輸出を続けざると得ない状況に置かれています。

このような長引くウォン高と貿易不振が、韓国経済の更なる沈滞を引き起こす大きな要因の一つと指摘されています。


5. 多国籍企業や外資銀行の撤退


韓国に進出している外国企業の視点から見た韓国は「規制共和国」であり、

企業活動をする上で政府による過度の規制が非常に多く、新規参入しにくい構造だと言われています。

制度の変更も頻繁に起き、政府への提出を義務付けられた報告書の数も多く、

例えばオーストラリアに比べると30倍もの報告書を提出しなければならない現状です。

規制の量だけでなく、その内容も複雑極まりないため、規制に従うための法務費用などの経費が多くかかることも問題です。

政府規制に次いで不満が高いのが、労働問題です。

強い労働組合の存在と、既得権益集団の要求、賃金上昇レベルの高さは、多くの外国企業が他の東南アジア国家へ移転する要因となっています。

外国企業の撤退は韓国の就職難を深刻化させ、経済の沈滞を一層加速しています。



6. 大企業一辺倒の経済構造


韓国経済の大きな特徴として、いくつかの財閥グループに経済力が過度に集中している現象があげられます。

例えば、現代(ヒュンダイ)グループなら、自動車から建設、百貨店、エネルギー、保険、金融等、産業全体にグループ会社を展開しています。

このような財閥への経済力集中が、韓国の経済構造問題の源泉であり、その集中の度合が今や危険レベルに達していると指摘されています。

なぜなら財閥グループは莫大な資本の蓄積と経済全体に対する支配力を土台に、

国民と政府をコントロールする存在となり、時には脅迫に近い形で金権政治を繰り広げることができるからです。

行き過ぎた財閥独裁により、韓国経済の基盤はますます脆くなり、小さなきっかけがドミノ式の崩壊を引き起こすのではないかと憂慮されています。


7. 金融知識に対する国民の無知


韓国の個人負債はアジア最悪という統計がありますが、その背景には金融知識に対する国民の無知があります。

ある調査によると、韓国の金融無知レベルはアジア太平洋国家16カ国のうち13位(ちなみに日本は最下位)で、

会社員のうち30万人が「信用不良者」と呼ばれる債務不履行のレッテルを貼られており、全体世帯数のうち5分の1が収入より支出の多い赤字家計の状態です。

金融知識が浅いため、消費者金融に簡単に手を出す人が多く、特に女性専用の貸金業から高利でお金を借りる主婦やOLが急増しているというニュースが最近話題になりました。

日本の場合、金融知識が浅くても借金をせず、貯金額が格段に高いという点において対照的です。

このような韓国国民の金融知識の浅さと、軽々しく借金をしてしまう現象が、借金の重みを更に増すという悪循環を招いています。



8. 新サンドイッチ現象とは


韓国経済危機の要因の最後として、「新サンドイッチ現象」について触れておきます。

この言葉は、中国との技術格差がますます縮小し、円安により日本の価格競争力が高まる中、韓国の製造業は日本と中国に挟まれた苦しいサンドイッチ状態にあるという意味です。

このままでは韓国の潜在成長力は1%台にまで落ち込み、2030年頃には限界に達し、成長エンジンが何もなくなるという警告があちこちで指摘されています。



まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は韓国経済を危機に追い込む要因を8つのポイントに分けてお伝えしました。

長年、韓国に暮らす者として苦々しい思いもありますが、肌で感じる不況の深刻さは、今までに感じたことがないほどです。

韓国人の持ち前のタフな前向きさと勤勉さ、変化をスピーディに受け入れる柔軟性、ダイナミックな国民性で、ぜひとも暗い悲観論を吹き飛ばしてもらいたいと願っていますが、

既に長期不況が始まった感の強い韓国経済。大きな方向転換をしない限り、ジリジリと迫る経済危機の苦しさから逃れられないかも知れません。