韓日間の葛藤、放置すれば衝突コースへ…公共外交で解決を
2019年01月11日08時02分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
李鍾元(イ・ジョンウォン)早稲田大韓国学研究所長
「関係が悪化しても我々は困らない」「観光は過去最高レベルでうまくいっている。経済にいかなる打撃もない」。
韓日間の葛藤が深まっている中での日本の雰囲気だ。
最近、韓日間には従軍慰安婦問題、強制徴用判決に基づく国内日本企業資産差し押さえ攻防、レーダー照射攻防など対立が後が絶たない。
葛藤の中でもこうした気流が感知されるというのが、李鍾元(イ・ジョンウォン)早稲田大韓国学研究所長(65)の直観的見解だ。
1982年に日本に渡り韓日関係を36年間も研究してきた李教授は
「日本がこのように感情的に出てくる背景を理解しなければいけない」とし「北核問題などで協調関係が強く求められる時期に、
両国がいつまでこうした形で極端な葛藤を続けることはできない」と指摘した。
学術研究のため福岡にいる李教授に10日、インタビューした。
李教授は「葛藤はいつでも生じる可能性があるが、政府間で処理されないのが問題」と
「韓日間チャンネルと信頼基盤の回復が急がれる」と述べた。
--どこから問題がこじれたのか。
「1965年の韓日協定が不完全なところから問題があった。日
本はその協定で負債の清算がすべて終わったという立場だ。しかしこれは乱暴な決定だ。日
本は植民地は合法であり、韓国は不法とみる。
このため、あいまいな解釈を持ってきた。韓日協定に不足した部分が多く、補完していかなければいけない。
お互い努力する動きはあった。協調的にコンセンサスを作るべきだったが、お互い責任回避的に問題を膨らませてきた」
--慰安婦問題がそのようなケースではないのか。
「2015年12月に妥結した慰安婦問題は見方によっては密室合意のように強行された。
韓国政府が被害者や市民団体と相談しながら推進してきたが、最後の段階で青瓦台(チョンワデ、大統領府)主導であまりにも急いだ。
被害者が生存するため同意と説得を経て協力を得ることが重要だが、終盤に急いで反発を招いた部分がある」
--その前の政権でも努力はあった。
「盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権当時の2005年に従軍慰安婦、サハリン同胞、韓国居住被爆者については韓日協定当時に議論もされなかったとして整理した。
慰安婦は日本の不法行為であり救済の必要があるとして問題が提起された。
ところが韓国政府が有効な対策を出さなかったため被害者が憲法裁判所に提訴し、2011年に憲法裁で判決が下された。
この時、政府が日本に問題を提起すべきだったが、表面化したのは李明博(イ・ミョンバク)政権の時からだ。
そして朴槿恵(パク・クネ)政権が急いだことで問題が大きくなった」
--徴用問題はどう見るべきか。
「徴用問題も2005年に話し合われた。韓日協定当時に請求権資金を受けたため、請求権に含まれたと整理した。
このため盧武鉉政権は2007年に別の立法を通じて太平洋戦争の被害者に救済をした。
ところが個人請求権が残っているという最高裁の判決が出てきた。
国としてはその問題を提起することはないが、個人の請求権は誰も否定できないため、こうした問題が出てきている」
--過去にはなかった問題ではないのか。
「韓日協定当時にはなかった民主化の余波だ。
韓国が民主化し、個人の人権に対する意識が高まり、被害者が権利を取り戻そうとした。
韓日政府は共同で実質的な救済措置を取らなければいけない。
ドイツでも2003年から基金を捻出して財団を設立し、第2次世界大戦中に強制徴用された周辺国の被害者の傷を癒やして被害を賠償した。
我々もそのような方式を使わなければいけない。両国政府が協力して関連企業が財団の運営に積極的になる必要がある」
--そうすべきだが、今それが可能だろうか。
「韓日政府間の信頼関係がなく、民間レベルの両国の社会世論までが乖離している。
日本政府が少し誠意を持てば韓日協定はそのままにしたまま補完すればよいが、安倍首相が拒否感を持っているうえ、日本の世論も批判的で難しいということだ。これが最も大きな問題だ」
--9日、日本政府が「外交的協議」を要請してきた。韓国は「綿密に検討する」と述べた。
「対話のほかに抜け道はない。先に話したように韓日協定は不完全だ。したがって不足があれば補充して補完していかなければいけない。
対話を通じて解決せず第3国が参加する仲裁委員会を経て国際司法裁判所(ICJ)に進むのは正面衝突コースだ。
司法的な解決は勝ち負けしかない」
--各問題でこのように葛藤が生じるしかないのか。
「結局、和解を通じて折衝していくことが現実的な解決法だ。慰安婦の合意文を例に挙げよう。
その中で基本趣旨は今でも生かすことができる。
2015年当時、安倍首相の名前で『河野談話』のキーワードを受け継いだ。ところが日本は10億円を和解・癒やし財団に出したとして、反対給付としてこれ以上過去に言及せず少女像の撤去だけ話すのはむしろ名誉
と尊厳を踏みにじることだ。合意文の趣旨の通り、忍耐心を持って当事者が納得できる追加の措置を韓日両国政府が新しく模索しなければいけない」
--両国の指導者も事態を悪化させた。
「まず日本を見よう。安倍首相が2012年12月に執権した背景とその後の右傾化の過程を見なければいけない。
自民党が2009年に民主党に政権を明け渡し、日本は韓国と戦略的協力関係を追求した。
ところが民主党政権が3年で失敗に終わり、韓日関係も打撃を受けた。
日本の民主党は宮内庁にあった朝鮮王室儀軌を返還するなど歴史問題を前向きに処理しながら韓日関係を一段階高めた。
しかし民主党がつまずいて政権がまた自民党に戻った」
--安倍首相がまた執権することになった。
「2期目の安倍政権は民主党の失敗に対する反動もあって歴史認識が歴史修正主義に戻ってきた。
日本の過去の責任を伏せたり美化したりして保守右傾化傾向に進んだということだ。
その頃は、2010年に日本経済が中国に追い越され、2011年に東日本大震災が発生したうえ、民主党政権が右往左往して日本の気流が一挙に保守歴史修正主義へ進み、安倍首相が一気にカムバックした時期だった。
民主党の変奏曲が終わると、日本の右傾化が加速した」
--韓国もきっかけを与えたと考える。
「2010年に日中経済が逆転し、2011年の東日本大震災で日本で雰囲気が沈んでいたところ、2012年に李明博大統領が独島(ドクト、日本名・竹島)を訪問して韓日関係が急激に悪化した。
朴槿恵政権でも冷たい関係が続き、文在寅(ムン・ジェイン)政権ではさらに冷え込んでいる。
レーダー問題が代表的な例だ。
このように葛藤が生じる事案でもないが10日が過ぎても解決に向かうより事態がエスカレートしている。両国政府が解決しようという動きが見えない」
--両国が国内政治的にも利用しているのか。
「そのような側面もないとは言えない。
日本も見方によっては政治全体が民主化されていて世論の影響が強まっている。
ちょうど日本は今年が選挙の年だ。
4月の地方選挙に続いて7月に参議院選挙がある。
選挙の季節になれば対立的な発言が出やすくなる。
韓国は来年4月が総選挙だ。ITの発展でネット上で一般市民が議論するため世論が風に乗りやすい。
日本の放送では連日レーダー問題を扱い、韓国に対する不信感を強めている」
--嫌韓も多いと聞いた。
「日本は2010年以降、相対的に東アジアで力の低下を感じながら内向的になり、反発的に流れている。
ロシアや中国に対しても領土・歴史問題を抱えていて摩擦や脅威もはるかに大きいが、中露に対する批判は多くない。
やはり(中・露とはどうにもならない)力の関係があるとみられる。
それによってたまった不満を韓国に発散する側面もあるようだ。
嫌韓という言葉は韓国だけに使う。反中感情も大きいが、節制されている。嫌うという意の『嫌』は使わない」
--ヨン様(ペ・ヨンジュン)ブームまでが起きた日本だったが。
「1990年代以降、韓国とは社会文化的には急速に近づいたと考えるが、一方で不満は高まっている。
急激な韓流に対するバックラッシュ(反動)もあるようで、韓国に対する複合的な感情がある。
しかも今の若い日本人は過去に貧しかった韓国を知らない。お互い理解しにくい状況だ」
--地政学的戦略の摩擦もあるのでは。
「韓日間の不信感の理由の一つだ。
韓国では新北方政策に基づき韓半島(朝鮮半島)の脱冷戦に焦点が置かれている半面、日本では新冷戦に重点が置かれている。
中国に対する警戒感のためだ。中国の拡張大国主義への対応体制が戦略の重点であるため、日本の目は南側に向かっていてインドとの協力を
強化している。このため南北が接近するほど韓半島状況を牽制の目で見ることになり、あつれきの要素になっている。こうした疎外感をなくすには日本も韓国との協力が必要だ」
--対日政策の大きな絵が必要だ。
「韓国は韓半島平和体制の構築のためにも周辺国と親和的な関係を築かなければいけない。
ドイツ統一事例が示しているように、周辺国の支援と協力がなければ平和構築は容易でない。
韓国政府は日本を創造的に関与させることに力を注ぐ必要がある。
問題は一日で解決しない。政府は相手に立場を説明するパブリックディプロマシー(公共外交)を強化し、メディアや市民社会も真摯に関係改善を検討する必要がある。このままでは衝突コースに進むしかない」
◆李鍾元(イ・ジョンウォン)教授
1982年に日本に渡り、韓日関係を36年間研究している。
日本国際基督教大学(ICU)を卒業した後、東京大で政治学修士・博士学位を取得した。
東北大法学部の助教授、立教大の教授を経て2012年から早稲田大学大学院アジア太平洋研究科の教授として在職している。
早稲田大韓国学研究所長も務める。
東アジアでは現在も冷戦が終わっていないという観点で、韓半島を中心に米国と中国・日本・ロシアの関係を読むのが研究の焦点だ。著書に『歴史としての日韓国交正常化』などがある。
2019年01月11日08時02分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
李鍾元(イ・ジョンウォン)早稲田大韓国学研究所長
「関係が悪化しても我々は困らない」「観光は過去最高レベルでうまくいっている。経済にいかなる打撃もない」。
韓日間の葛藤が深まっている中での日本の雰囲気だ。
最近、韓日間には従軍慰安婦問題、強制徴用判決に基づく国内日本企業資産差し押さえ攻防、レーダー照射攻防など対立が後が絶たない。
葛藤の中でもこうした気流が感知されるというのが、李鍾元(イ・ジョンウォン)早稲田大韓国学研究所長(65)の直観的見解だ。
1982年に日本に渡り韓日関係を36年間も研究してきた李教授は
「日本がこのように感情的に出てくる背景を理解しなければいけない」とし「北核問題などで協調関係が強く求められる時期に、
両国がいつまでこうした形で極端な葛藤を続けることはできない」と指摘した。
学術研究のため福岡にいる李教授に10日、インタビューした。
李教授は「葛藤はいつでも生じる可能性があるが、政府間で処理されないのが問題」と
「韓日間チャンネルと信頼基盤の回復が急がれる」と述べた。
--どこから問題がこじれたのか。
「1965年の韓日協定が不完全なところから問題があった。日
本はその協定で負債の清算がすべて終わったという立場だ。しかしこれは乱暴な決定だ。日
本は植民地は合法であり、韓国は不法とみる。
このため、あいまいな解釈を持ってきた。韓日協定に不足した部分が多く、補完していかなければいけない。
お互い努力する動きはあった。協調的にコンセンサスを作るべきだったが、お互い責任回避的に問題を膨らませてきた」
--慰安婦問題がそのようなケースではないのか。
「2015年12月に妥結した慰安婦問題は見方によっては密室合意のように強行された。
韓国政府が被害者や市民団体と相談しながら推進してきたが、最後の段階で青瓦台(チョンワデ、大統領府)主導であまりにも急いだ。
被害者が生存するため同意と説得を経て協力を得ることが重要だが、終盤に急いで反発を招いた部分がある」
--その前の政権でも努力はあった。
「盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権当時の2005年に従軍慰安婦、サハリン同胞、韓国居住被爆者については韓日協定当時に議論もされなかったとして整理した。
慰安婦は日本の不法行為であり救済の必要があるとして問題が提起された。
ところが韓国政府が有効な対策を出さなかったため被害者が憲法裁判所に提訴し、2011年に憲法裁で判決が下された。
この時、政府が日本に問題を提起すべきだったが、表面化したのは李明博(イ・ミョンバク)政権の時からだ。
そして朴槿恵(パク・クネ)政権が急いだことで問題が大きくなった」
--徴用問題はどう見るべきか。
「徴用問題も2005年に話し合われた。韓日協定当時に請求権資金を受けたため、請求権に含まれたと整理した。
このため盧武鉉政権は2007年に別の立法を通じて太平洋戦争の被害者に救済をした。
ところが個人請求権が残っているという最高裁の判決が出てきた。
国としてはその問題を提起することはないが、個人の請求権は誰も否定できないため、こうした問題が出てきている」
--過去にはなかった問題ではないのか。
「韓日協定当時にはなかった民主化の余波だ。
韓国が民主化し、個人の人権に対する意識が高まり、被害者が権利を取り戻そうとした。
韓日政府は共同で実質的な救済措置を取らなければいけない。
ドイツでも2003年から基金を捻出して財団を設立し、第2次世界大戦中に強制徴用された周辺国の被害者の傷を癒やして被害を賠償した。
我々もそのような方式を使わなければいけない。両国政府が協力して関連企業が財団の運営に積極的になる必要がある」
--そうすべきだが、今それが可能だろうか。
「韓日政府間の信頼関係がなく、民間レベルの両国の社会世論までが乖離している。
日本政府が少し誠意を持てば韓日協定はそのままにしたまま補完すればよいが、安倍首相が拒否感を持っているうえ、日本の世論も批判的で難しいということだ。これが最も大きな問題だ」
--9日、日本政府が「外交的協議」を要請してきた。韓国は「綿密に検討する」と述べた。
「対話のほかに抜け道はない。先に話したように韓日協定は不完全だ。したがって不足があれば補充して補完していかなければいけない。
対話を通じて解決せず第3国が参加する仲裁委員会を経て国際司法裁判所(ICJ)に進むのは正面衝突コースだ。
司法的な解決は勝ち負けしかない」
--各問題でこのように葛藤が生じるしかないのか。
「結局、和解を通じて折衝していくことが現実的な解決法だ。慰安婦の合意文を例に挙げよう。
その中で基本趣旨は今でも生かすことができる。
2015年当時、安倍首相の名前で『河野談話』のキーワードを受け継いだ。ところが日本は10億円を和解・癒やし財団に出したとして、反対給付としてこれ以上過去に言及せず少女像の撤去だけ話すのはむしろ名誉
と尊厳を踏みにじることだ。合意文の趣旨の通り、忍耐心を持って当事者が納得できる追加の措置を韓日両国政府が新しく模索しなければいけない」
--両国の指導者も事態を悪化させた。
「まず日本を見よう。安倍首相が2012年12月に執権した背景とその後の右傾化の過程を見なければいけない。
自民党が2009年に民主党に政権を明け渡し、日本は韓国と戦略的協力関係を追求した。
ところが民主党政権が3年で失敗に終わり、韓日関係も打撃を受けた。
日本の民主党は宮内庁にあった朝鮮王室儀軌を返還するなど歴史問題を前向きに処理しながら韓日関係を一段階高めた。
しかし民主党がつまずいて政権がまた自民党に戻った」
--安倍首相がまた執権することになった。
「2期目の安倍政権は民主党の失敗に対する反動もあって歴史認識が歴史修正主義に戻ってきた。
日本の過去の責任を伏せたり美化したりして保守右傾化傾向に進んだということだ。
その頃は、2010年に日本経済が中国に追い越され、2011年に東日本大震災が発生したうえ、民主党政権が右往左往して日本の気流が一挙に保守歴史修正主義へ進み、安倍首相が一気にカムバックした時期だった。
民主党の変奏曲が終わると、日本の右傾化が加速した」
--韓国もきっかけを与えたと考える。
「2010年に日中経済が逆転し、2011年の東日本大震災で日本で雰囲気が沈んでいたところ、2012年に李明博大統領が独島(ドクト、日本名・竹島)を訪問して韓日関係が急激に悪化した。
朴槿恵政権でも冷たい関係が続き、文在寅(ムン・ジェイン)政権ではさらに冷え込んでいる。
レーダー問題が代表的な例だ。
このように葛藤が生じる事案でもないが10日が過ぎても解決に向かうより事態がエスカレートしている。両国政府が解決しようという動きが見えない」
--両国が国内政治的にも利用しているのか。
「そのような側面もないとは言えない。
日本も見方によっては政治全体が民主化されていて世論の影響が強まっている。
ちょうど日本は今年が選挙の年だ。
4月の地方選挙に続いて7月に参議院選挙がある。
選挙の季節になれば対立的な発言が出やすくなる。
韓国は来年4月が総選挙だ。ITの発展でネット上で一般市民が議論するため世論が風に乗りやすい。
日本の放送では連日レーダー問題を扱い、韓国に対する不信感を強めている」
--嫌韓も多いと聞いた。
「日本は2010年以降、相対的に東アジアで力の低下を感じながら内向的になり、反発的に流れている。
ロシアや中国に対しても領土・歴史問題を抱えていて摩擦や脅威もはるかに大きいが、中露に対する批判は多くない。
やはり(中・露とはどうにもならない)力の関係があるとみられる。
それによってたまった不満を韓国に発散する側面もあるようだ。
嫌韓という言葉は韓国だけに使う。反中感情も大きいが、節制されている。嫌うという意の『嫌』は使わない」
--ヨン様(ペ・ヨンジュン)ブームまでが起きた日本だったが。
「1990年代以降、韓国とは社会文化的には急速に近づいたと考えるが、一方で不満は高まっている。
急激な韓流に対するバックラッシュ(反動)もあるようで、韓国に対する複合的な感情がある。
しかも今の若い日本人は過去に貧しかった韓国を知らない。お互い理解しにくい状況だ」
--地政学的戦略の摩擦もあるのでは。
「韓日間の不信感の理由の一つだ。
韓国では新北方政策に基づき韓半島(朝鮮半島)の脱冷戦に焦点が置かれている半面、日本では新冷戦に重点が置かれている。
中国に対する警戒感のためだ。中国の拡張大国主義への対応体制が戦略の重点であるため、日本の目は南側に向かっていてインドとの協力を
強化している。このため南北が接近するほど韓半島状況を牽制の目で見ることになり、あつれきの要素になっている。こうした疎外感をなくすには日本も韓国との協力が必要だ」
--対日政策の大きな絵が必要だ。
「韓国は韓半島平和体制の構築のためにも周辺国と親和的な関係を築かなければいけない。
ドイツ統一事例が示しているように、周辺国の支援と協力がなければ平和構築は容易でない。
韓国政府は日本を創造的に関与させることに力を注ぐ必要がある。
問題は一日で解決しない。政府は相手に立場を説明するパブリックディプロマシー(公共外交)を強化し、メディアや市民社会も真摯に関係改善を検討する必要がある。このままでは衝突コースに進むしかない」
◆李鍾元(イ・ジョンウォン)教授
1982年に日本に渡り、韓日関係を36年間研究している。
日本国際基督教大学(ICU)を卒業した後、東京大で政治学修士・博士学位を取得した。
東北大法学部の助教授、立教大の教授を経て2012年から早稲田大学大学院アジア太平洋研究科の教授として在職している。
早稲田大韓国学研究所長も務める。
東アジアでは現在も冷戦が終わっていないという観点で、韓半島を中心に米国と中国・日本・ロシアの関係を読むのが研究の焦点だ。著書に『歴史としての日韓国交正常化』などがある。