勝又壽良 mag2 0001684526
Sent: Thursday, January 10, 2019 5:00 AM
Subject: 日韓水と油、独善主義の韓国は日本と協調なしで生きられるか
日韓で異なる正義の意味
ギクシャクする米韓関係
文政権は南北統一へ傾斜
鈍い外交感覚は李朝譲り
日本無視がもたらす危機
日韓関係は、日韓基本条約が結ばれた1965年以来、最大の危機を迎えています。
韓国大法院(最高裁判所)が、戦時中の旧徴用工と言われる人たちの賠償を認める判決を出し、日本企業の在韓国資産の差し押さえを始める動きを見せています。
安倍首相は、「何らかの法的措置を取る」と発言しました。
個人賠償問題は、日韓基本条約による「経済協力金」名目で、日本が韓国に対して支払った無償3億ドルの中に含まれています。
日本の最高裁判所は、そのような判決を下しました。
ところが、韓国大法院は「経済協力金」は賠償金名目でないので、個人請求権は別途に存在するという判決です。
日韓で異なる正義の意味
韓国大法院は、国家間で結ばれた条約について、日本の最高裁判所と異なる判断を下したのです。「
なぜだろう」、という疑問が湧くのは当然です。この違いは、日韓の価値基準が根本的に異なることを浮き彫りにしました。
日本は、約束を守ることが最高の美徳としています。これは、日本だけではありません。欧米の民主主義国では共通です。
欧米は、市民社会という歴史を経ています。市民の権利は、すべて平等である。
約束を守ることは、市民の権利を守ることである。こうして、約束の遵守が生活の基本ルールとなって来ました。契約の遵守です。
日本は、欧米社会のような市民社会を経験していません。
だが、「武士に二言なし」とする江戸時代の武士文化が、明治の庶民にも広く受入れられました。
江戸中期の石田梅岩が、「石門心学」という商人に対する「家訓」を与えた点も注目すべきでしょう。
梅岩は、「武士に武士道があれば、商人に商人道がある」と主張して、正しい商いの道を説きました。
仏教や儒教などの入り交じったものです。
江戸時代、江戸で呉服屋を営んだ「越後屋」(現在の三越)が、「現金掛け値なし」の正札販売を始めたことは有名です。
日本はこのように、約束(正札)を守ることが最高の美徳とされています。
韓国は、儒教文化圏ゆえに「仁」が最高道徳とされています。
仁とは本来、自己抑制と他者への思いやりとされて来ました。
論語の「巧言令色、鮮(すくな)し仁」における仁は、自己抑制と他者への思いやりの意味です。
その後は変化して、社会における上下の秩序を守ることへ変りました。これが、道徳と理解されたのです。
上下関係は、社会や経済の発展状況によって変るものです。
特に、儒教の「陰陽五行説」では、社会は循環しながら変動するとしています。
今は貧乏でも、いずれは大富豪になる可能性もあると教えるものです。
こうして、道徳には絶対的概念がなく、時代とともに変化するという解釈です。
韓国では、道徳に支配vs被支配という観念が持ち込まれており、欧米や日本のような道徳規準に「平等=絶対的」という不動の概念はないのです。
韓国の道徳は、強者(支配者)の論理という色彩があります。だから、弱者が強者になれば、道徳規準が変って当然という浮動的なものです。
韓国には、「オルバルダ」という言葉があります。日本では、「正しい」と訳します。
時代が変ってもその価値基準は変りません。
韓国の「オルバルダ」の意味は、時代によって異なって受け止められているのです。
ここが、日韓で根本的に異なります、韓国が、絶えず「ゴールポスト」を動かす根本的な理由がこれでしょう。
韓国大法院ですら、日韓基本条約の取り決めを無視しました。
現在の韓国の経済力は、日韓基本条約を締結した当時の経済力と比べ格段の発展をしている。
したがって、日韓の取り決めも時代の変化とともに変るべきという解釈でしょう。
今回の旧徴用工問題が、日韓基本条約の解釈をめぐる紛争である以上、国際司法裁判所の裁定を仰がざるを得ません。
安倍首相が、「何らかの法的措置を取る」と発言したのは、国際司法裁判所へ訴える意味に解釈できます。
ギクシャクする米韓関係
韓国は、日本と紛争を起こしているだけでありません。米国とも駐韓米軍駐留費用の分担で揉めています。
日本やドイツは、米軍駐留費用の交渉がスムースに進みました。
韓国では、暗礁に乗り上げています。
現在、韓国は年8億3000万ドル(約940億円)の負担ですが、これを1.5倍にするというもの。
昨年中に解決すべきものが越年しました。負担増に反対しているのは、文政権の支持基盤である市民団体です。
安全保障に関わる重要問題が、市民団体の反対で立ち往生するという事態です。
米韓の政府間交渉に対して、民間が「口出しする」のは、朝鮮半島から米軍の撤退を求めるという伏線があります.
文政権が外交問題で民間の介入を許しているのは、すでに将来の南北統一を視野に入れている結果です。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に全幅の信頼を寄せているようです。
過去三回の南北首脳会談で、南北統一の共通認識を固めています。それが、韓国の対日米外交に現れているように見られます。
文政権は南北統一へ傾斜
南北朝鮮が統一すれば、アジアで日本と同格に近い経済圏を確立できるという夢を持っているようです。
それを裏付けるような予測が出てきました。予測とは、限られた条件で将来を推計するもので、信憑性に乏しいものです。
だが、最低賃金の大幅引き上げによって、経済成長が可能という経済問題に疎い文大統領には、金科玉条に見えるのでしょう。
これが、文大統領の北朝鮮傾斜を強めているようです。
英シンクタンク「経済ビジネスリサーチセンター(CEBR)」が、昨年12月に発表した「世界経済リーグテーブル(WELT)」によると、韓国は26年に世界の経済ランキング10位に入るという見通しと立てました。
南北統一が実現した場合、経済規模が2030年代に世界6位レベルに達するとの予想です。
リポートでは、「われわれは韓半島(朝鮮半島)が今も過去と同じ状況にあるとみているが、統一に向けた肯定的な動きがわれわれの予測を劇的に変えるだろう」と説明しました(『朝鮮日報』12月26日付)
韓国が、2026年にGDPで世界10位に入る可能性はありません。
総人口に占める生産年齢人口比率は、15年の73.1%から20年に71.1%、35年には現在の日本と同じ60%前後に低下する見込みです。
総人口に占める生産年齢人口比率は、潜在的経済成長率を判断する上で極めて重要な要素です。
韓国は、前記の比率が下降に向かっており、すでに「人口オ-ナス期」と解釈される下向き経済です、
見落とせない事実は、韓国が政治的対立の極めて厳しい社会です。
現在の文政権は、後3年続きます。
合計5年間の任期中に、韓国経済の成長基盤は徹底的に「破壊」されると見られます。
文政権は、成長よりも分配を重視する姿勢です。企業への規制を厳しくしており、企業による創造性の芽を政治が摘んでいるのです。
この韓国経済が将来、南北統一してGDPが2030年代に世界6位に達するなど、夢のまた夢です。
統一後は、現在の文政権のような経済政策が行なわれでしょう。
また、韓国はインフラ投資がゼロの北朝鮮へ、どれだけの財政負担を強いられるか分りません。
かつて、東西ドイツが合併した後、ドイツ経済は旧東ドイツへの補助で大変な財政負担を負いました。
文大統領が描く南北統一構想は、現在の韓国における経済や外交に資するところはありません。
この統一構想が先走っており、韓国は対日米外交で距離を置く姿勢に転じています。
日韓関係は、確実に困難な局面に向かっています。
韓国が、旧徴用工の賠償金取り立てで、在韓国の日本企業資産の差し押さえ手続きを始めれば、日韓関係は「凍結状態」でしょう。
文政権はそれを承知で、日本と「一戦」交える覚悟と見られます。
そうでなければ、韓国政府が具体的な対応に動くはずですが、その動きを見せません。外交危機という認識が薄い結果でしょう。
「日本を懲らしめてやれ」という程度の認識かもしれません。
鈍い外交感覚は李朝譲り
外交感覚が鈍いのは、旧朝鮮李朝以来の伝統のようです。
李朝は、1840年の英中によるアヘン戦争の勃発を知らなかったのです。
李朝の大使が朝廷に報告しなかったというお粗末な話が伝わっています。
日本は、このアヘン戦争に驚き開国した経緯があります。
日本の外交危機への敏感な動きは、島国という立地条件がもたらす特異なものかもしれません。
日本は明治時代になったことを告知するべく、朝鮮に特使を派遣して親書を提出したが受け取り拒否に遭いました。
その理由は、何と「日本国天皇」と認めた文書であったからです。
李朝は、日本のごとき小国で「天皇」を名乗るとはおこがましい、という理由でした。
外交感覚のなさをこれほど示している話もありません。
今の韓国大法院が、「経済協力金」には、「賠償」という意味合いがないから、個人賠償請求権は存在すると言っていることに似たニュアンスです。
文在寅政権は、李朝時代の外交感覚に似ていると見られます。
「唯我独尊」と言えます。
北朝鮮の「チュチェ思想」の影響を強く受けている行動から判断して、民族主義者と見られます。
国際協調という認識が希薄のようで、南北朝鮮が統一すれば、日本に引けを取らない国家になれる。
そういう夢が先走っており、足下を固めることを忘れています。
強い国家を作るには、強い経済と国際協調が不可欠です。日米とも良好な関係を維持する必要があるのです。
日本無視がもたらす危機
韓国外交の長老の一人、外交部長官を務めた孔魯明(コン・ノミョン)東アジア財団理事長が、次のように『中央日報』(1月8日付)で語っています。
1.今の日韓関係は過去最大の危機である。
2.日韓関係悪化は、米韓関係と南北関係にまで悪影響を及ぼす。
3.大統領が主導して日韓問題を解決すべきである。
前記の3点について、コメントを付けます。
1.
文政権になって、日韓関係は急速に悪化しました。
文政権の掲げる「積弊一掃」には、対日本外交の見直しが入っていたのです。
日韓併合(1910年)以来の恨みを晴らしたと見るべきでしょう。
まさに、「チュチェ思想」の本分にそった行動と見られます。
2.
文氏は、積年の日本外交への恨みを晴らしたとしても、その累が韓国に及ぶことの認識がありません。
それは、米韓関係と南北関係に影響するのです。米韓関係へすでに波及しています。
トランプ大統領は常々、米軍の韓国撤退を広言しています。
ただ、米国の国防権限法では、米軍の韓国駐留を義務づけており、トランプ氏といえどもこの法律に背けません。
それ故当面、韓国から米軍撤退はあり得ないとしても、米韓のギクシャクした関係は続きます
北朝鮮は、韓国が日米と良好な外交関係にないと見れば、すぐに韓国の足下を見て難題を吹っ掛けてくるに違いありません。
経済面や軍事面で強引な動きをするでしょう。北朝鮮は、「首領」三代が練り上げた韓国からカネを絞り取る「攻略法」を駆使してくるに違いありません。
韓国は、南北統一の美名で妥協に妥協を重ねています。
これが、韓国国民にどのように映っているのかです。文大統領の支持率は支持・不支持が昨年末に逆転しました。
この状態は「デッドクロス」と呼ばれています。文大統領は、国民の目を恐れずに自らの政治信条だけで動いていると、国民から大きなしっぺ返しを受けると見られます。支持率の急落です。
韓国国民は、すべてが「反日」でありません。
朝鮮日報紙上の読者コメントを見ると、知日派も3~4割はいるのです。「
日本は悪」という先入観で動いている文在寅氏は、経済と外交の行き詰まりで、国民から強い批判を浴びると見られます。
3.
韓国大統領による正式な訪日は、李明博(イ・ミョンバク)大統領の後半以来、約8年もありません。
文大統領も会議で一度訪日しましたが、単独訪問はありません。
隣国でありながら、この事実こそ日韓関係の希薄さを物語っています。
外交は、一国のトップが動いて初めて交流が深まります。文大統領の訪日は実現しないでしょう。日韓関係は、凍結状態が続きます。
Sent: Thursday, January 10, 2019 5:00 AM
Subject: 日韓水と油、独善主義の韓国は日本と協調なしで生きられるか
日韓で異なる正義の意味
ギクシャクする米韓関係
文政権は南北統一へ傾斜
鈍い外交感覚は李朝譲り
日本無視がもたらす危機
日韓関係は、日韓基本条約が結ばれた1965年以来、最大の危機を迎えています。
韓国大法院(最高裁判所)が、戦時中の旧徴用工と言われる人たちの賠償を認める判決を出し、日本企業の在韓国資産の差し押さえを始める動きを見せています。
安倍首相は、「何らかの法的措置を取る」と発言しました。
個人賠償問題は、日韓基本条約による「経済協力金」名目で、日本が韓国に対して支払った無償3億ドルの中に含まれています。
日本の最高裁判所は、そのような判決を下しました。
ところが、韓国大法院は「経済協力金」は賠償金名目でないので、個人請求権は別途に存在するという判決です。
日韓で異なる正義の意味
韓国大法院は、国家間で結ばれた条約について、日本の最高裁判所と異なる判断を下したのです。「
なぜだろう」、という疑問が湧くのは当然です。この違いは、日韓の価値基準が根本的に異なることを浮き彫りにしました。
日本は、約束を守ることが最高の美徳としています。これは、日本だけではありません。欧米の民主主義国では共通です。
欧米は、市民社会という歴史を経ています。市民の権利は、すべて平等である。
約束を守ることは、市民の権利を守ることである。こうして、約束の遵守が生活の基本ルールとなって来ました。契約の遵守です。
日本は、欧米社会のような市民社会を経験していません。
だが、「武士に二言なし」とする江戸時代の武士文化が、明治の庶民にも広く受入れられました。
江戸中期の石田梅岩が、「石門心学」という商人に対する「家訓」を与えた点も注目すべきでしょう。
梅岩は、「武士に武士道があれば、商人に商人道がある」と主張して、正しい商いの道を説きました。
仏教や儒教などの入り交じったものです。
江戸時代、江戸で呉服屋を営んだ「越後屋」(現在の三越)が、「現金掛け値なし」の正札販売を始めたことは有名です。
日本はこのように、約束(正札)を守ることが最高の美徳とされています。
韓国は、儒教文化圏ゆえに「仁」が最高道徳とされています。
仁とは本来、自己抑制と他者への思いやりとされて来ました。
論語の「巧言令色、鮮(すくな)し仁」における仁は、自己抑制と他者への思いやりの意味です。
その後は変化して、社会における上下の秩序を守ることへ変りました。これが、道徳と理解されたのです。
上下関係は、社会や経済の発展状況によって変るものです。
特に、儒教の「陰陽五行説」では、社会は循環しながら変動するとしています。
今は貧乏でも、いずれは大富豪になる可能性もあると教えるものです。
こうして、道徳には絶対的概念がなく、時代とともに変化するという解釈です。
韓国では、道徳に支配vs被支配という観念が持ち込まれており、欧米や日本のような道徳規準に「平等=絶対的」という不動の概念はないのです。
韓国の道徳は、強者(支配者)の論理という色彩があります。だから、弱者が強者になれば、道徳規準が変って当然という浮動的なものです。
韓国には、「オルバルダ」という言葉があります。日本では、「正しい」と訳します。
時代が変ってもその価値基準は変りません。
韓国の「オルバルダ」の意味は、時代によって異なって受け止められているのです。
ここが、日韓で根本的に異なります、韓国が、絶えず「ゴールポスト」を動かす根本的な理由がこれでしょう。
韓国大法院ですら、日韓基本条約の取り決めを無視しました。
現在の韓国の経済力は、日韓基本条約を締結した当時の経済力と比べ格段の発展をしている。
したがって、日韓の取り決めも時代の変化とともに変るべきという解釈でしょう。
今回の旧徴用工問題が、日韓基本条約の解釈をめぐる紛争である以上、国際司法裁判所の裁定を仰がざるを得ません。
安倍首相が、「何らかの法的措置を取る」と発言したのは、国際司法裁判所へ訴える意味に解釈できます。
ギクシャクする米韓関係
韓国は、日本と紛争を起こしているだけでありません。米国とも駐韓米軍駐留費用の分担で揉めています。
日本やドイツは、米軍駐留費用の交渉がスムースに進みました。
韓国では、暗礁に乗り上げています。
現在、韓国は年8億3000万ドル(約940億円)の負担ですが、これを1.5倍にするというもの。
昨年中に解決すべきものが越年しました。負担増に反対しているのは、文政権の支持基盤である市民団体です。
安全保障に関わる重要問題が、市民団体の反対で立ち往生するという事態です。
米韓の政府間交渉に対して、民間が「口出しする」のは、朝鮮半島から米軍の撤退を求めるという伏線があります.
文政権が外交問題で民間の介入を許しているのは、すでに将来の南北統一を視野に入れている結果です。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に全幅の信頼を寄せているようです。
過去三回の南北首脳会談で、南北統一の共通認識を固めています。それが、韓国の対日米外交に現れているように見られます。
文政権は南北統一へ傾斜
南北朝鮮が統一すれば、アジアで日本と同格に近い経済圏を確立できるという夢を持っているようです。
それを裏付けるような予測が出てきました。予測とは、限られた条件で将来を推計するもので、信憑性に乏しいものです。
だが、最低賃金の大幅引き上げによって、経済成長が可能という経済問題に疎い文大統領には、金科玉条に見えるのでしょう。
これが、文大統領の北朝鮮傾斜を強めているようです。
英シンクタンク「経済ビジネスリサーチセンター(CEBR)」が、昨年12月に発表した「世界経済リーグテーブル(WELT)」によると、韓国は26年に世界の経済ランキング10位に入るという見通しと立てました。
南北統一が実現した場合、経済規模が2030年代に世界6位レベルに達するとの予想です。
リポートでは、「われわれは韓半島(朝鮮半島)が今も過去と同じ状況にあるとみているが、統一に向けた肯定的な動きがわれわれの予測を劇的に変えるだろう」と説明しました(『朝鮮日報』12月26日付)
韓国が、2026年にGDPで世界10位に入る可能性はありません。
総人口に占める生産年齢人口比率は、15年の73.1%から20年に71.1%、35年には現在の日本と同じ60%前後に低下する見込みです。
総人口に占める生産年齢人口比率は、潜在的経済成長率を判断する上で極めて重要な要素です。
韓国は、前記の比率が下降に向かっており、すでに「人口オ-ナス期」と解釈される下向き経済です、
見落とせない事実は、韓国が政治的対立の極めて厳しい社会です。
現在の文政権は、後3年続きます。
合計5年間の任期中に、韓国経済の成長基盤は徹底的に「破壊」されると見られます。
文政権は、成長よりも分配を重視する姿勢です。企業への規制を厳しくしており、企業による創造性の芽を政治が摘んでいるのです。
この韓国経済が将来、南北統一してGDPが2030年代に世界6位に達するなど、夢のまた夢です。
統一後は、現在の文政権のような経済政策が行なわれでしょう。
また、韓国はインフラ投資がゼロの北朝鮮へ、どれだけの財政負担を強いられるか分りません。
かつて、東西ドイツが合併した後、ドイツ経済は旧東ドイツへの補助で大変な財政負担を負いました。
文大統領が描く南北統一構想は、現在の韓国における経済や外交に資するところはありません。
この統一構想が先走っており、韓国は対日米外交で距離を置く姿勢に転じています。
日韓関係は、確実に困難な局面に向かっています。
韓国が、旧徴用工の賠償金取り立てで、在韓国の日本企業資産の差し押さえ手続きを始めれば、日韓関係は「凍結状態」でしょう。
文政権はそれを承知で、日本と「一戦」交える覚悟と見られます。
そうでなければ、韓国政府が具体的な対応に動くはずですが、その動きを見せません。外交危機という認識が薄い結果でしょう。
「日本を懲らしめてやれ」という程度の認識かもしれません。
鈍い外交感覚は李朝譲り
外交感覚が鈍いのは、旧朝鮮李朝以来の伝統のようです。
李朝は、1840年の英中によるアヘン戦争の勃発を知らなかったのです。
李朝の大使が朝廷に報告しなかったというお粗末な話が伝わっています。
日本は、このアヘン戦争に驚き開国した経緯があります。
日本の外交危機への敏感な動きは、島国という立地条件がもたらす特異なものかもしれません。
日本は明治時代になったことを告知するべく、朝鮮に特使を派遣して親書を提出したが受け取り拒否に遭いました。
その理由は、何と「日本国天皇」と認めた文書であったからです。
李朝は、日本のごとき小国で「天皇」を名乗るとはおこがましい、という理由でした。
外交感覚のなさをこれほど示している話もありません。
今の韓国大法院が、「経済協力金」には、「賠償」という意味合いがないから、個人賠償請求権は存在すると言っていることに似たニュアンスです。
文在寅政権は、李朝時代の外交感覚に似ていると見られます。
「唯我独尊」と言えます。
北朝鮮の「チュチェ思想」の影響を強く受けている行動から判断して、民族主義者と見られます。
国際協調という認識が希薄のようで、南北朝鮮が統一すれば、日本に引けを取らない国家になれる。
そういう夢が先走っており、足下を固めることを忘れています。
強い国家を作るには、強い経済と国際協調が不可欠です。日米とも良好な関係を維持する必要があるのです。
日本無視がもたらす危機
韓国外交の長老の一人、外交部長官を務めた孔魯明(コン・ノミョン)東アジア財団理事長が、次のように『中央日報』(1月8日付)で語っています。
1.今の日韓関係は過去最大の危機である。
2.日韓関係悪化は、米韓関係と南北関係にまで悪影響を及ぼす。
3.大統領が主導して日韓問題を解決すべきである。
前記の3点について、コメントを付けます。
1.
文政権になって、日韓関係は急速に悪化しました。
文政権の掲げる「積弊一掃」には、対日本外交の見直しが入っていたのです。
日韓併合(1910年)以来の恨みを晴らしたと見るべきでしょう。
まさに、「チュチェ思想」の本分にそった行動と見られます。
2.
文氏は、積年の日本外交への恨みを晴らしたとしても、その累が韓国に及ぶことの認識がありません。
それは、米韓関係と南北関係に影響するのです。米韓関係へすでに波及しています。
トランプ大統領は常々、米軍の韓国撤退を広言しています。
ただ、米国の国防権限法では、米軍の韓国駐留を義務づけており、トランプ氏といえどもこの法律に背けません。
それ故当面、韓国から米軍撤退はあり得ないとしても、米韓のギクシャクした関係は続きます
北朝鮮は、韓国が日米と良好な外交関係にないと見れば、すぐに韓国の足下を見て難題を吹っ掛けてくるに違いありません。
経済面や軍事面で強引な動きをするでしょう。北朝鮮は、「首領」三代が練り上げた韓国からカネを絞り取る「攻略法」を駆使してくるに違いありません。
韓国は、南北統一の美名で妥協に妥協を重ねています。
これが、韓国国民にどのように映っているのかです。文大統領の支持率は支持・不支持が昨年末に逆転しました。
この状態は「デッドクロス」と呼ばれています。文大統領は、国民の目を恐れずに自らの政治信条だけで動いていると、国民から大きなしっぺ返しを受けると見られます。支持率の急落です。
韓国国民は、すべてが「反日」でありません。
朝鮮日報紙上の読者コメントを見ると、知日派も3~4割はいるのです。「
日本は悪」という先入観で動いている文在寅氏は、経済と外交の行き詰まりで、国民から強い批判を浴びると見られます。
3.
韓国大統領による正式な訪日は、李明博(イ・ミョンバク)大統領の後半以来、約8年もありません。
文大統領も会議で一度訪日しましたが、単独訪問はありません。
隣国でありながら、この事実こそ日韓関係の希薄さを物語っています。
外交は、一国のトップが動いて初めて交流が深まります。文大統領の訪日は実現しないでしょう。日韓関係は、凍結状態が続きます。