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【コラム】安倍氏が退いても韓国に対する強硬基調は変わらない

2019-12-20 18:35:30 | 日記
                        

【コラム】安倍氏が退いても韓国に対する強硬基調は変わらない

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.09.25 08:47                    
                                              
                                             
                                             
                         
               
安倍晋三首相は相次ぐ選挙勝利で長期政権を可能とした。安倍氏の選挙戦略は小泉純一郎首相以降、自民党が無党派の攻略にしがみつくのとは違った。アベノミクスと右派的主張を通じて既存の自民党組織票を結集させることに成功したのだ。また、自民党内の穏健派を抱き込み、党内の支持基盤を安定化させることに注力した。安倍氏こそ右派の象徴だが、穏健派を引き入れる人事で長期政権を引き出した。
安倍氏の人事で最も重要な核心は自民党幹事長だ。安倍氏は自身の潜在的ライバルを幹事長に起用することによって自民党の分裂を防ぐことができた。地方の支持があり安倍氏と競争した石破茂氏、リベラルであり安倍氏の信念とは合わなかった谷垣禎一氏、老練な派閥政治家として反安倍として背を向けかねなかった二階俊博氏を幹事長に起用することによって安倍氏は競争者を落ち着かせることができた。その結果、安倍氏は2015年の自民党総裁選挙での無投票再選に続いて3選まで無難にやってくることができた。
今月11日の改閣と自民党の人選が終わり、日本政局は「ポスト安倍」をめぐる争いに突入した。9月の改閣は安倍氏が長期政権をどのように終えるのかを占うことができるリトマス紙のようなものだった。そしてポスト安倍氏の行方にも影響を及ぼすため注目を浴びた。安倍氏は9月の改閣で憲法改正への道を整える代わりに、改憲は次期政権の課題として残しておきながら自身は政界のキングメーカーとして残る道を選んだものとみられる。
◆改閣と共に始まったポスト安倍争い
日本では安倍氏が行った9月の改閣を「右派のお友達内閣」という否定的に見てばかりはいない。かえって安倍氏が政局の安定の道を選んだと評価する。すなわち、安倍氏は任期内の憲法改正を追求するよりは執権後半期のために自民党内の基盤を固めたと見る向きが強い。その例として、安倍氏は人選から外れた政治家一人ひとりに電話をかけて次の改閣で任命する可能性もあるとしながら、レームダック防止のために努力したという。
日本政界ではまだ安倍氏が4選できると見る傾向があるが、可能性は低い。安倍氏4選の主張は、7月の参議院選挙で自民党が勝利してから二階幹事長が「多くの国民が期待している」とあおった側面がある。しかし安倍氏本人が4選に消極的な態度を示しながら、それ以上は広がらなかった。安倍氏は4選しても自身の最大関心事である憲法改正を成し遂げるのは難しいと判断した可能性がある。最近、安倍氏が「憲法改正は岸田文雄(自民党政調会長)時代にするほうがいい」と話した発言からその心を読むことができる。                
 
安倍氏が退いても韓国に対する強硬基調は変わらない(2)
 
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.09.25 08:47                    
                                              
                               
                                             
                         
◆悲願の改憲は次期首相へ?
日本政界では「安倍氏は憲法改正のための国民投票で敗北して退陣するかもしれない」との言葉が飛び交う。安倍氏の最優先課題は憲法改正で、政権末期まで憲法改正の未練を捨てられないだろう。しかし、連立与党である公明党が憲法改正に消極的という状況では、安倍氏の思惑通り憲法改正につながる可能性は非常に低い。安倍氏が憲法9条を除く憲法改正を試みても、安倍氏の任期中には国民投票を通過できないだろうというのが一般的な見方だ。安倍氏は憲法改正を現実化させるためにも、今回の改閣で自身の後継者構図を明確に打ち出そうとした。安倍氏は「1年後には岸田を幹事長にする」と言いながら「岸田推し」に熱心だ。菅義偉官房長官にも配慮を惜しまない。菅氏は「令和」元号発表後、知名度が急激に上昇をしながらポスト安倍候補1位に浮上した。
自民党内の穏健派である岸田氏を後継者に指定しているのは、安倍氏の憲法改正に対する熱望が隠されている。岸田氏のような自民党内ハト派が憲法改正に積極的であってこそ憲法改正を実現させることができると安倍氏は判断したのだ。2017年安倍氏が岸田氏を政調会長に起用したのも、自衛隊を明記した自民党憲法改正案を確定させるためだと言われている。反面、菅氏は安倍政策を継承して自身が不利にならないという信頼がある。今回の自民党人事で、二階幹事長を留任させたことも自民党内の力学関係が変化すれば岸田氏の後継者構図が思い通りいかなくなるという安倍氏の懸念が働いたと言われている。
安倍氏の思惑通り、菅氏や岸田氏が「ポスト安倍」になるかは未知数だ。戦後最長期間にわたって執権した佐藤栄作首相の事例を見ても、変化の可能性はいくらでもある。佐藤は自身の後継者として福田赳夫を念頭に置いていたが、結局は田中角栄が首相になった。しかし、現在のように安倍氏が自民党内の支持基盤を維持するなら、安倍氏の思惑通り後継者が指定される可能性が高い。現在としては安倍派閥が最も大きな派閥であり、安倍氏の政治的意向に逆らえば首相になれる可能性は低くなる。
◆自民党穏健派も韓国には強硬論
問題はポスト安倍が誰になっても対韓政策は特別な変化を見せない可能性があるというところにある。最近、韓日関係が悪化の一途をたどりながら、安倍氏は韓国を排除した北東アジア戦略を露骨に模索している。すなわち「信頼できない韓国」を排除しながら、北東アジアで日本の役割を拡大しなければならないという安倍氏の主張が明確に強化された。現在、安倍政権は米国を説得して中国に対抗するためのインド太平洋戦略に熱心だ。ここに韓国を含めることには消極的だ。その一方で中国との関係回復には積極的だ。
日中関係の改善は日米関係の悪化に対する保険の性格というだけでなく、韓国を牽制(けんせい)するカードとして考慮した。特に、北朝鮮との条件をつけない首脳会談の提示は、南北を仲違いさせて利益を取ってきた伝統的な2つのコリア(Two Korea)政策の転換を暗示している。このような安倍氏の強硬姿勢が日本国民から支持を受けている状況が我々を悲しませている。
日本政界の対韓強硬の流れは自民党内の穏健派だといっても安倍氏と別段違うところがない。その例として、河野太郎防衛相(前外相)は韓国に親近感を有している代表的な政治家だった。しかし、外相時期の発言を見ると、安倍氏の右派的な考えをそのまま代弁するだけでなく、かえって反韓的な態度を示したりした。日本政界の親韓派は、これ以上韓国問題に関心を持とうとしない。さらに嫌韓の雰囲気をあおったりもする。「韓国の友」はどこにいるのかと思うほどだ。
日本国民の安倍支持は長期沈滞による景気回復への熱望、国際関係に対する危機意識、そして韓中の歴史認識に対する反発に関連した日本社会の変化を代弁している。韓国でポスト安倍は安倍氏と違うだろうと期待していては日本社会の変化を見逃す。現在、日本政界は国民の嫌韓の雰囲気拡大で親韓派は消えて安倍氏の政策に同調する傾向が強い。安倍氏の支持率が57%に高まる状況で、ポスト安倍も他の声を出すことは難しくなった。今のように日本で韓国不信が定着した状況ではなおさらだ。果たして韓日関係が正常な関係に発展できるのか強い憂慮がある。
ポスト安倍に期待をかけるといっても韓日関係が改善されるという保障はない。今からでも安倍政権と対話ルートをつけて互いの不信がどれほど危険な状況なのかを理解させなければならない。今の相手が最悪だからといって避けるのではなく、相手と対話と妥協を通じてリスクを管理する冷静な戦略が必要だ。
陳昌洙(チン・チャンス)/世宗(セジョン)研究所日本研究センター長                

韓国経済が日本と同じ危機に?問題は「韓国には耐える力がない」

2019-12-20 18:27:40 | 日記

韓国経済が日本と同じ危機に?問題は「韓国には耐える力がない」

 
配信日時:2019年11月9日(土) 9時10分

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5日、韓国・デジタルニュースは、韓国の「少子高齢化」の問題点について報じた。写真は韓国。

2019年11月5日、韓国・デジタルニュースは、韓国の「少子高齢化」の問題点について報じた。

韓経研は「日本は1990年以降、税収の低迷や財政支出の拡大が重なり、財政赤字が年30~50兆円に増えた。

これにより国内総生産(GDP)に占める国家債務の割合が、1990年の66.1%から2018年には3.4倍の224.2%になった。

一方の韓国も(統合)財政が来年から赤字転換し、2023年には50兆ウォン(約4兆7000億円)の赤字となり、国家債務比率が2018年の35.9%から2023年には46.4%に上昇する見通し」と説明。

また、日韓間には「低成長による税収基盤の弱体化」「高齢化による公共福祉支出の急増」「毎年景気対策が出されるにもかかわらず成長率が下向き」などの共通点もあるとした。

その上で「日本は世界最大の海外純資産保有国で経常収支の黒字も安定的であるため、国家債務に耐えているが、

韓国には耐える力がない。政府の借金が増えれば対外信頼度とマクロ経済の安定性が大きく揺らぎかねない」と指摘したという。

これを受け、韓経研雇用戦略室のチュ・グァンホ室長は「中長期的な観点から国家債務が安定的に管理されなければならず、このための政府予算が成長潜在力を高めるために投入されているかどうかを綿密に検討し、予算拡大の速度を調節する必要がある」と述べたという。

韓国のネット上では「公務員の増員をやめて、公務員年金の改革を行うべき。なぜ税金で公務員を食べさせなきゃいけないの?」「韓国は公職者がみんなを食い尽くしているってこと」と指摘する声が上がっている。

また

「何を生意気に日本と比べてるのか」

「人口が1億人にも満たないっていうのに。日本と比べるんじゃなくて、たまにはノルウェーやフィンランドなどと比べてみたら?」

「日本は自力で頑張っているのに、韓国は混乱と社会主義でベネズエラのようになっていってる」との意見も。

一方で「韓国は財政の状態もいいし、IMFなどで財政拡大を勧めてるけど?

世界的な景気低迷に対してもそれなりに善戦してる」

「国家債務がもっとも少ない国の1つが韓国では?」など反論の声も上がっている。

(翻訳・編集/松村)


展望2020:増税できない日本、「赤字漬けの民主主義」に=慶大・麻生教授

2019-12-20 18:02:32 | 日記

Reuters                           

展望2020:増税できない日本、「赤字漬けの民主主義」に=慶大・麻生教授

 

    

 
和田崇彦        
 
2019/12/20 13:25
 
 

 

© Reuters/Kim Kyung Hoon  展望2020:増税できない日本、「赤字漬けの民主主義」に=慶大・麻生教授

和田崇彦

[東京 19日 ロイター] -

慶應義塾大学法学部の麻生良文教授は、ロイターのインタビューに応じ、公平な課税に向けて課税ベースを「所得」から「消費」に転換するのが望ましいと述べた。

直接税方式にすれば、累進的な消費課税が可能だとした。

ただ、政界でさらなる消費増税への反対論が強い中、選挙で選挙民が負担と受益のあり方を選び、財政支出の拡大に歯止めをかける機能が働かなくなっていると指摘。

日本は、1960年代に米国の経済学者ブキャナンが唱えた「赤字漬けの民主主義」に陥っていると語った。

<消費税の望ましいあり方>

麻生教授は17日に実施したインタビューで「公平な課税のために消費を課税ベースとするか、所得を課税ベースとするかという論争が昔からあるが、消費を課税ベースとすると比例税なので逆進的ではない」と指摘した。

消費の方が納税者の経済力をよく反映していることもあり、「経済学者の多くは消費を課税ベースとすべきだと考えている」と話した。

現状、消費税は間接税だが「直接税タイプの消費課税も実行できる。

これなら累進的な消費課税も可能だ」と述べた。

麻生教授はまた、10月の消費税率引き上げでは消費税の逆進性と、駆け込み需要と消費反動減への対策だけが問題にされたと指摘。

「消費税の本当の効果を把握しないで『小さい欠陥』に話が全部行ってしまっている」と話した。

その上で「(増税への)反対論が異常に政治的に大きな力を持ってしまったので、増税できない」と指摘。

民主主義的な意識決定プロセスでは、選挙民が負担と利益の両方を勘案して政治家を選ぶことで間接的な統制が働くが

「財政赤字がどんどん拡大しても(政治的に)増税がだめだとなると、負担感なしに今回の経済対策のように支出だけが膨らんでしまって、負担があるから支出を抑えようという選挙を通じた歯止めが利かなくなっている」と懸念を示した。

<経済対策>

財政支出が13.2兆円に上る政府の経済対策について、麻生教授は「財政支出を拡大すると短期的に需要が拡大して景気が良くなるというのは旧来的なケインズ経済学の考え方だ」と述べた。

経済対策には各省庁が要求してきた事業がごちゃまぜに盛り込まれているとし、「社会資本整備は、景気対策というよりもコストとベネフィットを考えて民間にできないものを政府がやるべきだ」と指摘した。

麻生教授は「今は低金利が続いているが、10年後どうなっているかは分からない」として、政府債務が膨らむ中での国債金利の急上昇リスクに警戒感を示した。

低金利を活用した財政投融資の拡大は「かなり無責任な話だ」と述べた。

*麻生氏は1984年に慶大法学部卒、89年に一橋大学大学院経済学研究科博士課程を単位取得済み退学。慶大法学部助教授を経て2004年に同教授。06年から08年まで、財務省・財務総合政策研究所の総括主任研究官を務めた。


なぜ今?「親北派」を大統領に選んでしまう韓国人のメンタリティ

2019-12-20 17:43:37 | 日記
なぜ今?「親北派」を大統領に選んでしまう韓国人のメンタリティ

元駐韓大使が激動の半島情勢を読む

         現代ビジネス編集部       プロフィール

激動の朝鮮半島。韓国に親北政権が誕生したらどうなるのか、米中は北朝鮮に対してどんな「秘策」を持って臨むのか――。

元駐韓大使の武藤正敏氏と、先日『活中論 巨大化&混迷化する中国と日本のチャンス』を上梓したばかりの中国問題のスペシャリスト・近藤大介(週刊現代編集次長)が緊急対談を行った。

なぜ「親北派」が選ばれてしまうのか

――北朝鮮の挑発、朴槿恵前大統領の逮捕、THAAD配備を巡る米中韓の対立など、朝鮮半島を舞台に問題が次々と噴出しています。国内情勢が混乱を極める中、5月9日に韓国大統領選挙が行われますが、最大野党「共に民主党」の予備選挙の結果、4月3日に前代表の文在寅氏が選ばれました。

「大統領になったら、まず金正恩第一書記に会いに行く」と公言するほどの親北派で、かつアメリカが韓国に配備しようとしているTHAAD(弾道ミサイル迎撃システム)の撤廃を訴えるなど、大胆な人物です。

混乱した状況において、なぜこのような極端な主張を韓国国民の大部分が支持するのか、理解に苦しむところがあるのですが。

武藤 それにはまず、今の韓国社会の空気を知る必要があります。端的に言うと、現在の韓国は「希望が見えづらい社会」になっています。特に、若者が未来に希望を抱けない社会になっている。

韓国の受験競争が日本以上に厳しいことはご存じでしょう。高校生は受験勉強のために、朝、弁当を二つ持って学校に行きます。一つは昼用、もう一つは夜用です。それで、学校に籠って夜10時ぐらいまで勉強し、その後は塾に行って勉強する。それでも、良い大学に合格できるかは分からない。

その厳しい競争を勝ち抜いて一流大学に入っても、就職する際にさらに高い壁に阻まれることになる。サムスンやLGといった、韓国経済を牛耳っている財閥系輸出企業に就職できるのは、全体の1%といったところ。一流企業と中小企業の待遇差は大きいし、日本以上に非正規雇用者は苦しい生活を送らなければなりません。

結婚するにしても、良い企業に入っていないと難しい。就職、恋愛、結婚、出産、マイホーム、夢、人間関係の7つを諦めなければいけない韓国の若者を指す「七放世代」という言葉が、流行語になっているほどです。

 

近藤 韓国にいる私の知人の娘も、ソウルの割といい大学を出たのに、100社以上就職試験で落とされ、諦めて日本留学を考えていると言っていました。

そんな社会ですから、財閥企業に対する国民の「恨み」は非常に強い。2014年12月に起こった「ナッツリターン事件」が韓国で盛り上がったのも、大韓航空創業者一族の副社長なら、何をやっても許されるのか、という反発が背景にあったからです。

武藤 高齢者の自殺率も、OECDの中で最も高いですからね。

そんな中で、朴槿恵氏は「経済民主化」を謳って大統領になりました。ごく簡単に言うと、財閥・大企業の利益を国民に還元し、中間層を拡大させようということです。

しかしこの改革は遅々として進まず、さらに韓国の国民を失望させることになった。そこに崔順実(チェ・スンシル)女史のスキャンダルが発覚し、朴槿恵おろしが起こったわけです。

武藤正敏 1948年、東京都出身。在大韓民国日本国大使館勤務。参事官、公使を歴任。アジア局北東アジア課長、在オーストラリア日本大使館公使などを経て、2010年、在大韓民国特命全権大使に就任。2012年退任

その朴槿恵と彼女の政策を痛烈に批判したのが、左派の弁護士で次期大統領最有力候補の文在寅(ムン・ジェイン)氏です。「大統領になったら、まず北朝鮮に行く」と公言していますので、彼が当選すれば韓国は国際社会から孤立してしまうかもしれません。

でも、それぐらいラディカルに路線を変更しなければ、この国は変わらない――そう思っている人が韓国では増えていて、それが文氏の支持につながっているのです。

近藤 北朝鮮を巡る深刻な情勢を考えれば文氏を大統領に選ぶのは、正しい選択とは思えません。

文氏の政策が韓国の経済成長につながるようには見えませんし、THAAD配備を巡ってアメリカと揉めれば、韓国リスクがまた一つ増えて海外からの投資が先細るので、経済はますます悪化するでしょう。私は韓国を代表する月刊誌『月刊中央』に連載を持っていますが、最近は韓国の人々の視野が狭くなっていると感じますね。

武藤 外交・国際情勢の視点から、文大統領が誕生したらどうなるかを考えてみますと、やはり明るい展望は描けません。

まず注目を集めるのが、北朝鮮との関係をどうするか。先述のとおり、文氏はまず北朝鮮を訪問すると公言しています。南北首脳会談が実現したら、経済交流の再開と強化が約束されるでしょう。

現在は停止している開城工業団地(南北の軍事境界付近に設置された、南北和解の象徴だったが、2016年2月に操業停止)での交流を再開する、北朝鮮の石炭やミネラルと韓国のコメを交換するなどと言っています。

これによって北朝鮮には、少なくとも年間数億ドル規模のカネが流れることになります。

韓国がそういう「抜け道」をつくってしまえば、国際社会がどれだけ北朝鮮に経済制裁を課しても、痛みが軽減されてしまう。中国も協力しなくなるでしょう。現在最も有効な対北政策である「経済制裁」という選択肢を失ってしまうことになります。

「バランサー外交」を気取るが

近藤 そうです。そしてそのカネは、核兵器やミサイルの開発に注ぎ込まれるでしょう。国際社会に対する脅威が、今以上に増すのは間違いありません。

ここで指摘しておきたいのが、韓国国内にも、「北朝鮮が核を持って何が悪いんだ」という声が少なからずあることです。「いずれ南北統一を果たしたときに、韓国は核保有国となり、日本や周辺国に対抗できるではないか」という理論です。

武藤 この韓国の国民の「北朝鮮へのシンパシー」というものが、なかなか日本人には理解できないところがある。でも、やはり元を辿れば同胞だという意識は根強くあって、それが文在寅氏を支持するもうひとつの理由となっているわけです。

金正恩は本気で「赤化統一」(北朝鮮主導による南北統一)ができると考えているのではないか。私たちの常識では想像できないことですが、文政権が誕生すれば、それが現実となる可能性がないとは言い切れません。

 

近藤 平壌の金正恩委員長は、「チャンス到来!」と思うでしょうね。同時に、THAAD配備を巡って、米韓関係に大きなほころびが生じることも懸念されます。

文氏がその見直しを示唆しているため、アメリカは文大統領誕生を見越して、THAADの配備を大統領選挙の5月前後に前倒しすることを決めました。一度配備されれば、撤去は難しくなるでしょうが、文政権が強硬に撤去を主張すれば、米韓関係の悪化は避けられません。

そもそもアメリカは、文在寅新政権が誕生したら、対北朝鮮戦略において米韓で情報共有を行うこと自体、機密情報が韓国側から北朝鮮に流れるのではないかと危惧しています。文氏は2007年11月、国連の北朝鮮に対する人権非難決議の草案を北朝鮮に流した「前科」がスキャンダルになっているからです。

近藤大介氏

武藤 アメリカは文大統領誕生を見越して様々な準備をしていると思います。ご指摘のTHAAD配備もその一環です。しかし、去る3月17日、ティラーソン国務長官が訪韓した際、文在寅氏と面会して「過度の親北朝鮮路線や、米韓関係を揺るがすようなことは得策ではない」と釘をさすことはしませんでした。せっかくの機会に残念です。

近藤 安煕正(アン・ヒジョン、「共に民主党」の二番手候補。トランプ政権との対話の重要性を訴えていた)氏とは会っているんですが、彼が次期大統領になる確率はゼロに等しい(笑)。米韓が双方に責任をなすりつけ合っていますが、ティラーソン国務長官はその日、尹炳世外相主催の晩餐会もドタキャンしています。

武藤 米韓関係については、朴槿恵大統領の時からコミュニケションが十分でない面がありました。

2015年10月に朴大統領が訪米した際に、オバマ大統領(当時)が、「米国も中国との関係を良くしたいので、韓国が中国と仲良くしたいのは分かる。しかし、中国が南シナ海などで国際法に違反するようなことをやったときには、一緒になって反対の声をあげてほしい」と丁寧に釘を刺しました。

しかし、朴大統領はオバマ大統領発言の前段部分だけ取り上げて、「アメリカは我が国の中国に対する姿勢を完全に理解してくれた」といったのです。外交をやっている人の常識ですが、米国は事前に米中首脳会談の雰囲気について詳しく説明しています。韓国はこうした外交の呼吸を理解していないのです。

究極の「鈍感力」の持ち主だった朴前大統領

近藤 私はそのメンツを潰された時、オバマ大統領は韓国へのTHAAD配備を決断したと見ています。もうこれ以上、中韓接近を看過できないということです。

――しかし、韓国国内のTHAAD配備が決まったことで、中韓関係は1992年の国交正常化以降、最悪レベルに悪化しています。

これまでは日本、アメリカからみた韓国について語ってきましたが、中国は韓国、特に文大統領の誕生について、どう受け止めているのでしょうか。

近藤 誤解を恐れずに言えば、中国は韓国にも北朝鮮にも、たいして興味がないんですよ。

第一はアメリカ、次いでロシアです。これは中国外交部が、優秀な人間をアメリカ担当とロシア担当に配置していくことからも明らかです。朝鮮半島との関係は、「中米関係の一部分」という扱いです。 

なぜ習近平主席がTHAAD配備に猛烈に反対しているかと言えば、喉元にアメリカの強力な兵器が配備されることで、中国の東アジア戦略を大きく見直さざるを得なくなるからです。

だから、もしもTHAAD配備が実施されれば、その日から中国全土で強烈な反韓運動が起こるでしょうね。2012年9月に、日本が尖閣諸島を国有化した時の、反日運動を思い出してもらえればいい。

THAAD配備の見直しを示唆している文氏が大統領になることは、中国にとっては好ましいことです。ただ、前任の朴槿恵大統領がアメリカと中国を同等に考える「バランサー外交」を行ってきたのに対し、文在寅新政権はアメリカと北朝鮮を同等に考える「バランサー外交」を行おうとしている。

つまり、中国をどう考えるのかということが、いま一つはっきりしないわけです。

武藤 中国は当然THAAD配備の撤回を求めてくるでしょうから、文氏はいきなり難問に直面することになりますね。アメリカをとるのか、中国をとるのか、という踏み絵を踏まされることになる。

近藤さんが指摘するように、5月に中国で大規模な「反韓運動」が起これば、韓国国民の気持ちも刺激されて、「中国の言いなりになるとは、なんと弱腰だ」という声が高まるかもしれない。

板挟みになる中、この問題を巧くマネージできなければ、さっそく求心力を失うことになりかねません。

 

駐韓大使が帰任したことの意味

――中国側が韓国へのTHAAD配備を容認する代わりに、文在寅新政権に対して、北朝鮮に接近するようプレッシャーをかける…というのは甘すぎる見方でしょうか?

近藤 甘すぎますね。まず、なぜ習近平政権がTHAAD配備に強硬に反対するのかを理解しなければなりません。習近平主席は、THAADが配備されると人民解放軍を掌握できなくなると思っているのです。

習近平主席は昨年から、人民解放軍の改革を行っています。これは建国以来とも言える大改革で、230万人いる兵士を2年間で200万人に減らすとか、北部に配置された陸軍を中心とした軍隊から、南部と東部に展開する海軍を中心の軍隊に変えるとか、各軍管区のトップが強大な権限を持っていたのを、中央軍事委員会主席、つまり習近平がすべての権限を持てるように変える、とか。

その大改革を遂行している最中に、喉元、つまり韓国にTHAADが配備されるとなれば、そのレーダーが半径2000㎞に及び、北部戦区、中部戦区、北海艦隊、東海艦隊などを網羅してしまうため、軍事改革は変更を余儀なくされます。かつ、それを抑えられなかったことで、習近平の人民解放軍に対する求心力も低下してしまう。習

近平の権力の源泉は、軍のパワーと国有企業の富です。そのため、軍の求心力の低下はどうしても避けなければならない。

つまり、THAAD問題で習近平が折れることはないのです。

武藤 私自身は、文在寅氏は当選しても、THAADを撤廃しないと思っています。「自分が大統領になる前に配備されてしまったのだから、仕方ない」と。北朝鮮との外交に専念するためにも、そういう態度をとるのではないかと思いますね。

もしTHAADを撤廃するとなれば、アメリカは韓国に「だったら、米国はもう知らない、勝手にしろ」と言ってくるでしょう。さすがに、在韓米軍の撤退にまでつながることになれば、国民の不安は最高潮に達するでしょうから、それよりは、THAADを採るのではないでしょうか。

いずれにせよ、朝鮮半島を舞台に、5月以降大きな地政学的変化が起こることは間違いない。日本もその危機意識を持たなければなりません。

近藤 朝鮮半島の緊張が高まる中で、自民党内では「ミサイル発射の兆候があったときには、敵基地を叩くことも検討すべきだ」という議論が起こっていますが、まず議論すべきは、北朝鮮がソウルを攻撃してきたとき、あるいはその兆候があった時に、在韓邦人及び日本人旅行客の救出・退避をどう進めるのか、ということです。これがほとんど議論されていません。

昨年末に釜山の日本総領事館前に慰安婦像が設置されたことを受けて、安倍政権は対抗措置として長嶺安政駐韓大使を日本に帰還させました。4月4日にようやく韓国に帰任しましたが、韓国に日本の最高責任者がいない状態が3ヵ月も続いていた。危機管理について考えた時、トップが不在、というのは大変な問題です。

武藤 私も駐韓大使時代(2010年~2012年)には、日本大使館の一番重要な仕事の一つは、在韓の日本国民の生命と安全を守るということだと肝に銘じていました。北朝鮮との関係で危機が起こったときに、最高責任者が不在というのは問題です。

また、大使の重要な役割として、緊急の場合には、任国の防衛大臣や外務大臣と直接面会したり、電話して協力することです。それができるのは大使だけです。情報収集だけなら公使以下でも相当カバーできるでしょうが。

思い出されるのは94年に起こった北朝鮮危機(北朝鮮の核開発を巡り、アメリカが北朝鮮への攻撃を検討するほど緊張が高まった)です。あの危機のとき、後藤利雄大使(当時)の夫人が、個人的な用事で日本に一時帰国しました。そのことが韓国の日本人社会に伝わって、「大使の夫人が帰国したということは、本当に危ないんじゃないか」と邦人社会はパニックになりました。

危機下においては、在留邦人は大使館の動きを注意深く見ています。また、韓国人も日本人が退避を始めると、日本に対し反発することも考えられます。緊急時の行動は、日本の外交、邦人保護にとって極めて機微な問題になるわけですし、大使の判断は極めて重要になります。

日本はどうすべきか

――最後に、4月6日と7日に、トランプ大統領と習近平主席との初めての米中首脳会談が開かれますが、それによって朝鮮半島情勢はどう変わるでしょうか。また、日本はその結果をどう踏まえるべきでしょうか?

武藤 トランプ大統領は、中国が北朝鮮問題で果たすべき役割を果たしてこなかったという不満を強く持っています。文在寅政権が誕生すると、韓国政府は北朝鮮問題で米国が採ろうとしている政策を著しく制約する行動に出るでしょう。中国がやらなければ米国だけでやる、という米国の主張は通じなくなります。米国はあらゆる選択肢がテーブルの上にあると言ってはいますが。

米国は、中国がどのような対応をするのか、長い時間を掛けて見守ることはできないと考えているのではないでしょうか。それが中国と協力した制裁の強化なのか、より強い行動なのか、今は予想することはできません。

北朝鮮問題の鍵を握る習近平・国家主席

近藤 私は、アメリカは北朝鮮空爆ではなく、金融制裁に出ると思います。アメリカがこれまで行ってきた数々の対北朝鮮制裁の中で、一番効果があったのが、2005年9月に実施した、マカオのバンコ・デルタ・アジアに対する金融制裁だったからです。金正日総書記の52の隠し口座、計2500万ドルを凍結させただけで、北朝鮮はパニックに陥ったのです。

 

米中首脳会談を受けて、日本として北朝鮮問題に関して行えることは限定的ですが、トランプ政権の「中国を活用する」というアプローチは真似すべきだと思います。

トランプ政権は、口先では中国を非難しつつも、実際には自国の国益のために中国を最大限「活用」しようとしています。北朝鮮問題も然りです。私はこのほど『活中論』(中国を活用するための論)という本を上梓しましたが、北朝鮮問題も含めて、日本はもっと中国を活用していくことが大事だと思います。

武藤 最後にひとつ警鐘を鳴らしておきたいのが、「テロは警備の薄いところで起きる」ということです。朝鮮半島の混乱に乗じて、日本が北朝鮮のテロの標的になることは、十分に考えられる…それぐらいの危機感は持っておかなければならないでしょう。

 
 

偉大な武将 韓信

2019-12-20 17:27:26 | 日記
古代中国の物語

偉大な武将 韓信

 

(Blue Hsiao/Epoch Times)                (Blue Hsiao/Epoch Times)

              

 長い歴史において名を残した人物が、幼少の頃は貧しかったり、虐められたりして苦を嘗めたという逸話がたくさん残っています。

彼らはこれらの苦労があったからこそ鍛えられ、偉大な事を成し遂げられたのかもしれません。今回は、韓信という人物の物語を紹介します。

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 韓信(紀元前230年頃 - 紀元前196年)は幼少の頃、非常に貧しく、食べることもままならなかった。

ある日、腹を空かせた韓信は魚を捕えようと木の枝を竿にして川に糸をたれていた。

その近くで綿をさらし始めた数人の女性たちは韓信に目もくれなかったが、そのうちの一人の女性が、汚い身なりの彼を不憫に思い、食糧を分けてやった。

 韓信は食糧を受け取ると、女性に喜んで言った。

「この恩はわすれぬ。いつかきっと貴方に恩返しをしてみせる」。

女性は、いぶかし気に言った。

「自分さえ食事にありつけないっていうのに、生意気言うんじゃないよ。あんたに恩返しをしてもらおうとは思ってないよ」。

韓信は、あえて反論はせず黙って女性からもらった食糧を口に運んだ。

 韓信は成長し、青年になった。

武術を鍛錬し、腰にはいつも剣をぶら下げていた。

ある日、韓信が道を歩いていると、ならず者の男たちが彼の道を塞いで言った。

「何だ、偉そうな刀剣を持っているな。

人を殺す勇気が、お前にあるのか?それなら俺の首を切り落としてみろ。

でなければ、俺の股下をくぐっていけ」と挑発し、ゲラゲラとあざ笑った。当時、男性が人の股下をくぐるというのは非常に恥ずべき行為だった。

 武術に長けていた韓信にとって、ならず者の首を切り落とすなど簡単なことだったが、彼はこのようなことで人の命を殺めるべきではないと思い、男たちの股下をくぐった。

そして、彼は何事もなかったかのように、その場を立ち去った。

 その後、韓信は劉邦のもとで武将となり、数々の功績を上げて漢王朝の礎を築いた。

彼は名を上げて成功すると、幼少の頃に食物を分けてくれた女性を思い出した。

彼はその女性を訪ね、恩賞として金貨をたくさん与え、心から礼を言った。

また、青年の頃に彼を辱めた男を探し当てた。韓信から仕返しをされると思った男は平伏し、許しを請うたが、韓信は彼に礼を言い、報奨を与えた。

韓信は、青年の頃に受けた屈辱や、女性から恵んでもらったことは、すべて彼自身を鍛え、成長させることに繋がったと知っていたのだ。

 「韓信の股くぐり」は、絶大な忍の心を持つ偉大な武将の逸話として現代まで伝えられている。

(翻訳編集・郭丹丹)