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山田洋次監督、重病説に「もうすぐ死ぬから詮索しないで」

2019-12-24 16:45:14 | 日記

NEWSポストセブン                           

山田洋次監督、重病説に「もうすぐ死ぬから詮索しないで」

 
 
2019/12/24 16:00
 
 
映画の舞台挨拶に立つ山田監督(中央)と出演者© NEWSポストセブン 提供 映画の舞台挨拶に立つ山田監督(中央)と出演者

「撮影中、この映画にかける思いがヒシヒシと伝わってきましたね。“命を削って作っている”、そんな表現が大げさではないほどの思いで、監督は挑んでいました」

映画『男はつらいよ』の撮影スタッフがこう語るのは、山田洋次監督(88才)の様子だ。

2019年12月27日、『男はつらいよ50 お帰り寅さん』が封切りとなる。同シリーズは1969年にスタートし、1996年に「寅さん」役の渥美清さん(享年68)が逝去するまで48作を上映。

翌年に特別編となる49作目が公開されたが、その後、続編は製作されてこなかった。

「当時、山田監督は50作目でのシリーズ完結を思い描いていたようです。監督としては、『男はつらいよ』が完結していないことがずっと心残りだった。

2019年は、第1作が公開されてからちょうど50年。22年ぶりの新作となる今回の作品には、集大成との思いもあったようです」(映画関係者)

この映画は、4Kデジタル技術を駆使して寅さんの過去の名場面と、満男(吉岡秀隆・49才)やさくら(倍賞千恵子・78才)ら、現在の面々とを融合させる。

後藤久美子(45才)が23年ぶりに女優復帰することでも話題だ。さらに観客の年齢層を広げるため、中学生以下の入場料を100円にするという、映画業界史上初のキャンペーンも実施する。

このキャンペーンには山田監督も大賛成。同作を通じて、映画業界を再び盛り上げたいという切なる思いが監督にもあるようだ。

しかし、その思いとは裏腹に、撮影現場ではある“異変”が起きていたという。

「撮影は2018年の秋に行われました。山田監督は、自分が納得いくまで決してOKを出すことはありません。

それだけ撮影には強いこだわりをもっているかたなのに、体調がすぐれず、集中力を欠いたように見えた日が何度かあったんです。

現場では、監督の体調を気遣う声があがっていました」(前出・撮影スタッフ)

高齢ゆえ、周囲が心配するのも無理はないのかもしれない。

実際、2017年5月に公開された映画『家族はつらいよ2』の完成披露試写会で、山田監督は「クランクアップまで、ぼくは本当に持つんだろうか。途中でダメになっちゃうんじゃないか」と、撮影中に体調の不安を抱いていたことを打ち明けていた。

「ここ数年、いくつかの病院に通っていらっしゃるようなんです。ご高齢なので通院されていることは自然なことだと思うのですが、病名はもちろん、闘病生活すら一切明かさないから、“重病だったらどうしよう”と、心配する声が増えています。

私たちが聞いても“元気だよ”としか言わない。本当の病状を知っているのは、親族を含む監督が信頼しているごく一部の関係者のみです」(前出・撮影スタッフ)

スタッフたちは、山田監督のその“スタイル”に、ある大物俳優の影を見ているという。

かつて山田監督は「長い映画人生でめぐりあった2人の偉大な俳優」として、自身の監督作品『幸福の黄色いハンカチ』(1977年)と『遙かなる山の呼び声』(1980年)に主演した高倉健さん(享年83)と、渥美さんの名前を挙げている。

「渥美さんも健さんも、病気のことは一切公にせずに、最期まで仕事をまっとうしてひっそりと亡くなりました。

山田監督も自分の病名について触れることはありません。撮影現場に私情を持ち込まない人なんです」(山田監督を知る関係者)

自宅から出てきた山田監督に、体調について聞いてみると、笑顔を作ってこう答えた。

「確かに病院には通っているけど、古いつきあいの先生がいて、検査で行っているだけですよ。でもね、ぼくももうすぐ死ぬんだから詮索しないでよ。はっはっはっは!」

つらいことは一切口にしない、男の矜持が見えた。

※女性セブン2020年1月2・9日号


《最悪の韓国経済》恋愛、結婚、出産、就職…若き「N放世代」は人生を諦め、老人たちを虐待する

2019-12-24 16:19:52 | 日記

《最悪の韓国経済》恋愛、結婚、出産、就職…若き「N放世代」は人生を諦め、老人たちを虐待する

 
 
「週刊文春デジタル」編集部        
 
2019/12/24 06:00
 
 

12月24日、1年3カ月ぶりとなる日韓首脳会談が行われる。

元徴用工の問題の解決の糸口が見付けられるかが焦点とされるが、会談に臨む韓国の文在寅大統領を悩ませているのが、韓国経済の悪化だ。

文在寅大統領 ©AFLO© 文春オンライン  文在寅大統領 ©AFLO

「韓国経済、50年で最悪の状況」と英フィナンシャル・タイムズ(11月29日付)に論評された韓国経済に、今何が起こっているのか。

韓国経済を国民生活の視点から切り取った『 韓国 行き過ぎた資本主義 』(講談社現代新書)の著者、フリージャーナリストの金敬哲氏に聞いた。

無限競争社会の悲鳴

いま、韓国では「ヘル朝鮮」という言葉が流行しています。

「地獄(HELL)のような韓国社会」という意味で、わざわざ「韓国」ではなく「朝鮮」としているのは、14世紀から続いた朝鮮王朝時代のような「前近代的な国」という自虐の意味が込められています。

1997年のIMF危機以降、韓国では新自由主義的な政策が続けられ、国民の間に経済格差が広がり社会問題になっています。

この状況を変えて欲しい」と、国民から希望を託された文在寅政権でしたが、経済政策の失敗が続き、国民の期待は裏切られた格好です。

 経済が悪化した結果、いまの韓国は、社会のどこにいても激しい競争が求められる上に、生まれた瞬間から“階級”が決まってしまっているような閉塞感に包まれています。

これが「前近代的」というわけです。

学生の「8大スペック」とは

若者の就職率の低下は深刻です。

韓国の大卒(文系)の就職率は、56%。

そのため就職活動は熾烈です。

インターンシップでさえ倍率は異様なほど高騰しています。大手財閥系企業なら数百倍にもなります。

激しい競争の中で、いかに自分が優秀かを示さなければいけない。

韓国の学生たちは、就職に必要なスキルや資格のことを「スペック」と呼びます。

韓国の大学生に就職に必要な「8大スペック」とよばれるものがあります。

その内訳は、「出身大学」「成績」「海外語学研修」「TOEICの成績」「大手企業が開催する公募展」「資格」「インターン」「ボランティア活動」。

学生時代にこれだけ幅広いスキルを身につけるとなれば、時間が必要です。

いまの大学生たちに話を聞くと、最近は「時間がもったいない」という理由で、友達づきあいも避ける学生もいる。

友人や恋人と食事に1時間費やすより、10分でコンビニのご飯を食べて、残りの時間はスペックを磨くことに使うのです。

当然ながら、それだけ教育にお金がかかりますから、家の経済力も重要です。

いま、韓国では「スプーン階級論」という言葉が使われています。

「スプーン」とは生まれた家の経済力のこと。

「金のスプーン」を持って生まれたら一生裕福ですが、「土のスプーン」では生涯貧乏。

経済格差が広がり、生まれた瞬間から「自分がどこまでスペックを積めるか」が決まっているように感じてしまう社会なのです。

ここまで追い込まれた韓国の青年たちは、自分たちの世代を自嘲的に、「N放(ポ)世代」と呼びます。

「放」とは、韓国語で「諦める」という言葉の頭文字です。

2011年に恋愛、結婚、出産を諦める「三放世代」という言葉が韓国で流行ったのですが、

その3つ以外にも、就職、マイホーム、人間関係、将来の夢、さらには自分の人生そのものまで……不定数の「N=すべて」を諦めた世代という意味です。

こんな環境では、2018年の出生率が世界初の0人台を記録したのも不思議ではありません。

2019年7~9月では、ソウル市の出生率が0.69となりました。少子高齢化が信じられないスピードで進んでいるのです。

チキン屋たちの“チキンレース”

高齢者に目を転じても、格差社会が広がっています。高齢者の貧困は大問題になっています。

老人貧困率はOECDで最も高い46%。

韓国で国民年金制度が本格的に導入されたのは、1988年。

そのため、国民年金を受け取っている老人は、全体の42%にすぎません。

老人の2人に1人は、政府が所得の低い老人に配る最大30万ウォン(約3万円)の基礎年金を含めても、月の生活費が100万ウォン(約10万円)に届きません。

その結果、韓国は、高齢者が世界で最も高齢まで働かざるを得ない国になりました。

OECDの資料では、労働市場から完全に離れる引退年齢が、2017年時点で男性が72.9歳、女性が73.1歳です。

韓国も日本同様、60歳定年が一般的です。

「定年からさらに10年以上働くのか」と思うかもしれませんが、実際はもっと長い。

というのも、韓国企業は社内も実力主義で競争が激しく、50代前半には退職させられるケースが多いのです。

サムスン電子など財閥大手は30代後半でクビも珍しくありません。

韓国人男性の人生を指して、「起-承-転-チキン」という言葉があります。

学歴が高卒であれ名門大学卒であれ、大手企業に入っても中小企業でも、最後には「チキン屋」になるという意味の言葉です。

チキンは、韓国のソウルフードというべき国民食です。

今や、チキン店は、韓国全土に8万7000店あまりが営業中で、この数は全世界のマクドナルド約3万7000店の約2.4倍にのぼります。

チキン屋は、退職をした人にとって始めやすい商売です。

フランチャイズなら材料や調理マニュアルもある、インテリア業者まで紹介してくれて、5000万ウォン(約500万円)から開業ができるといいます。

韓国の映画やドラマを見ていると、よくチキンを食べているシーンを見ると思います。

登場人物の1人は必ずチキン屋をやっているといわれるほど(笑)。そのくらいポピュラーな商売です。

一方で、1年にオープンするチキン屋と、廃業するチキン屋が同じぐらい。

国民食といっても限界はあるので、廃業も多い。厳しい出世競争から降りても、降りた先で激しい競争が続くのです。

デモで癒やされる老人たち

 老人たちを取り巻く苦難は経済的な問題だけではありません。

社会福祉の仕組みが整わない状態で高齢化が進んだため、いま現役世代の経済的な負担が一気に増大しています。

この不況で若い世代はいくら苦労して働いても、自分たちが年寄りになったら年金として戻ってこない。

なぜ今の老人たちをそんな自分たちが背負わなければいけないのか、という不満が噴出しているのです。

韓国といえば儒教の教えから「敬老社会」とされてきましたが、いまは若者が老人を「年金虫(=年金をむしばむ害虫)」と老害扱いして、虐待と暴力も増加傾向です。

高齢者の自殺は社会問題になって、「嫌老社会」化が進んでいます。

いま、老人たちの逃げ場として、公園のベンチで孤独に過ごす人も多いです。

私自身、取材中に老人はどこへ行ってもすごく優しく、何でも話してくれました。

それだけ寂しい、話し相手がいないという面もあると思います。

印象的だったのが、インタビューした老人が「自分は本当につまらない人間だけど、毎週土曜日に光化門でデモをしている」と語ったことです。

デモに参加すると愛国者になったような気分になるというんですね。

居場所もなく自己肯定感も低い老人にとって、保守派であれ、革新派であれ、数少ない満足感を得ることができる場所がデモになっているのです。

近未来の日本で起こるかもしれない

ここまで、韓国の現状を見てきましたが、私は、日本社会も実はあまり変わらないのではないか、と考えています。

今回の本を書いた目的も、韓国のことをしっかり理解してほしいという思いと同時に、「近未来の日本でも起こり得ること」として読んでもらいたかったのです。

私が日本に留学したのは1990年代中盤。

当時、バブル経済が崩壊した後とはいえ、まだまだ経済的な活力があったし、元気な社会でした。

それが、最近の日本は、格差社会が叫ばれ、やはり老人の貧困問題が浮上しています。

「自己責任」という言葉がもてはやされた時もありました。実は、一歩一歩、韓国に似てきているのではないか、と思うのです。

韓国の今の極端な状況は、いつでも日本でも起こり得ること――という気持ちで捉えてもらえたら嬉しいです。

(「週刊文春デジタル」編集部/週刊文春デジタル)