勝又壽良のワールドビュー
好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。
韓国、「皮肉」総選挙、与党大勝利でウォン安、経済政策変わらずと「悲観」
2020年04月16日
韓国経済ニュース時評日本経済ニュース時評
.
昨日の総選挙は、与党「共に民主党」が180議席と過半数を占めた。
これは、経済政策が変わらず、経済はさらに悪化するというシグナルである。ドル・ウォン相場は、この悲観的な見方を反映したのか、16日午前11時現在、1ドル=1126ウォンとウォンが売られている。
15日午前12時過ぎから、1210ウォン割れに転じてウォンは売られ始めた。総選挙で与党勝利という情報が出始めた結果であろう。
ウォン相場は、韓国総選挙の結果に失望したことを表わしている。
文政権の経済政策は改善されるどころか、さらに悪化することを示している。
総選挙での大勝は、国民が経済政策を支持したことになるからだ。最低賃金の大幅引上げや週52時間労働制が、韓国経済の根幹をひっくり返しているにもかかわらず、総選挙によって信認が与えられたのである。
韓国経済は、この総選挙によってさらに悪化のスピードを上げることは間違いない。自滅の道を辿ることは不可避となった。
文政権の「親中朝:反日米」という外交路線が行き詰まり、新たな世界経済の潮流とぶつかる危険性が顕著になるからだ。
「ポストコロナ」は、世界経済の風景が一変することを予告している。
米中デカップリング論が現実性を持ってくるからだ。日本企業の中国撤退が、政府の予算措置という強力な裏付けで実現に向かう。
米国も、これに呼応することは間違いない。今回の新型コロナウイルスのもたらしたサプライチェーンの脆弱性が、世界経済の流れを変える公算が強いからだ。
グローバル経済の効率性よりも、防疫安全保障という新たな概念の重要性が認知され始めている。中国と深い経済関係を結ぶ防疫面でのリスクが、グローバル経済の効率性を上回るという事実が浮上しているからだ。
こういう、世界経済の新たな動きは、文政権の外交方針と完全に対立している。
これは、韓国経済にはね返って当然である。日米と離れた韓国経済は、生き延びられるはずがない。
現在の拙速な経済政策に加わって、この世界経済の「米中デカップリング」が、韓国経済を窮地に追い込むであろう。こうなると、韓国経済はどうなるか。結論は言うまでもない。
『朝鮮日報』(4月16日付)は、「記録的な与党圧勝、前例のないこの力を国民のための政策転換に使ってほしい」と題する社説を掲載した。
(1)
「与党の圧勝には、総選挙のあらゆる争点をブラックホールのようにのみ込む新型コロナウイルス問題が助けとなった。
国家的危機の局面では執権勢力の下で力を合わせなければならないという心理が働き、最近になって感染者が急増している欧米諸国との対比効果で得をした。
新型コロナウイルス検診キットを早期に開発した民間業者と優秀で献身的な医療従事者たち、全国民が負担なく治療を受けられる健康保険システムの役割が大きかったが、これを調整・指揮した政府の功も大きい。それを国民が認めたのだ」
コロナ騒動が、文政権の無能ぶりを隠してしまったことは否定しがたい。
(2)
「しかし、新型コロナウイルス効果だけで政権のこの記録的な大勝を説明することはできない。
文在寅(ムン・ジェイン)政権が執権後半期に入った時点で行われた選挙で、このように大きな勝利を収めた根本的な原因は、野党の支離滅裂にある。
わずか3年前に国民から「退出命令」を受けても、これといった思い切った努力もなく、あのころのあの姿のまま選挙に臨んだ野党に対する有権者の拒否反応がそのまま現政権への反射的利益となった。
今、30-40代の多くの有権者は「文在寅政権もよくやったとは言えないが、(野党の)未来統合党はダメだ」と言っている」
文政権の無能も呆れるが、国民は、それ以上に最大野党の堕落した姿に怒りを見せた。候補者の無軌道発言は、日本人ですら首を傾げたくなるほどであった。大敗は不可避であったのであろう。
(3)
「汎与党政党が今回の総選挙の結果を自分たちに対する国民の絶対的信任だと解釈すれば、国政を一方的に勝手に処理できるという意味だ。
しかも、現政権は政府、地方自治体、司法府に続き、立法府まで一手に掌握することになった。有権者たちが与党を圧勝させたとは言え、この絶対的な権力に不安を感じる国民も少なくない」
韓国政治は、これで暴走する。反日を高く掲げてくるだろう。日韓関係は、さらに悪化するに違いない。
(4)
「国民がこのようにある一面で不安を抱えているのは、圧勝した権力がこの3年間で見せてきた無能さと暴走ぶりのためだ。企業経営者たちの口から「これ以上、持ちこたえられない」という悲鳴が上がり、大統領の面前で自営業者は「景気がこじきのようだ」と嘆く。
これに新型コロナウイルス問題まで追い打ちをかけて、これ以上経済がもつのかと多くの国民が心配している。
だからこそ、今回の総選挙が「経済政策路線を転換しなければならない」という警鐘になると期待していたのも事実だ。
もし、大統領と執権勢力が総選挙の勝利を、「今まで行ってきた政策に対し国民が認めてくれたものだ」と受け止めるなら、韓国経済は深刻な事態に陥るかもしれない」
この総選挙の結果で、韓国経済が自滅のコースを辿ることは間違いない。過去3年間の文政権による経済政策が、是認されたという口実に使われるだろう。日本は、ただ崩れる韓国経済を傍観するだけである。
好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。
韓国、「皮肉」総選挙、与党大勝利でウォン安、経済政策変わらずと「悲観」
2020年04月16日
韓国経済ニュース時評日本経済ニュース時評
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昨日の総選挙は、与党「共に民主党」が180議席と過半数を占めた。
これは、経済政策が変わらず、経済はさらに悪化するというシグナルである。ドル・ウォン相場は、この悲観的な見方を反映したのか、16日午前11時現在、1ドル=1126ウォンとウォンが売られている。
15日午前12時過ぎから、1210ウォン割れに転じてウォンは売られ始めた。総選挙で与党勝利という情報が出始めた結果であろう。
ウォン相場は、韓国総選挙の結果に失望したことを表わしている。
文政権の経済政策は改善されるどころか、さらに悪化することを示している。
総選挙での大勝は、国民が経済政策を支持したことになるからだ。最低賃金の大幅引上げや週52時間労働制が、韓国経済の根幹をひっくり返しているにもかかわらず、総選挙によって信認が与えられたのである。
韓国経済は、この総選挙によってさらに悪化のスピードを上げることは間違いない。自滅の道を辿ることは不可避となった。
文政権の「親中朝:反日米」という外交路線が行き詰まり、新たな世界経済の潮流とぶつかる危険性が顕著になるからだ。
「ポストコロナ」は、世界経済の風景が一変することを予告している。
米中デカップリング論が現実性を持ってくるからだ。日本企業の中国撤退が、政府の予算措置という強力な裏付けで実現に向かう。
米国も、これに呼応することは間違いない。今回の新型コロナウイルスのもたらしたサプライチェーンの脆弱性が、世界経済の流れを変える公算が強いからだ。
グローバル経済の効率性よりも、防疫安全保障という新たな概念の重要性が認知され始めている。中国と深い経済関係を結ぶ防疫面でのリスクが、グローバル経済の効率性を上回るという事実が浮上しているからだ。
こういう、世界経済の新たな動きは、文政権の外交方針と完全に対立している。
これは、韓国経済にはね返って当然である。日米と離れた韓国経済は、生き延びられるはずがない。
現在の拙速な経済政策に加わって、この世界経済の「米中デカップリング」が、韓国経済を窮地に追い込むであろう。こうなると、韓国経済はどうなるか。結論は言うまでもない。
『朝鮮日報』(4月16日付)は、「記録的な与党圧勝、前例のないこの力を国民のための政策転換に使ってほしい」と題する社説を掲載した。
(1)
「与党の圧勝には、総選挙のあらゆる争点をブラックホールのようにのみ込む新型コロナウイルス問題が助けとなった。
国家的危機の局面では執権勢力の下で力を合わせなければならないという心理が働き、最近になって感染者が急増している欧米諸国との対比効果で得をした。
新型コロナウイルス検診キットを早期に開発した民間業者と優秀で献身的な医療従事者たち、全国民が負担なく治療を受けられる健康保険システムの役割が大きかったが、これを調整・指揮した政府の功も大きい。それを国民が認めたのだ」
コロナ騒動が、文政権の無能ぶりを隠してしまったことは否定しがたい。
(2)
「しかし、新型コロナウイルス効果だけで政権のこの記録的な大勝を説明することはできない。
文在寅(ムン・ジェイン)政権が執権後半期に入った時点で行われた選挙で、このように大きな勝利を収めた根本的な原因は、野党の支離滅裂にある。
わずか3年前に国民から「退出命令」を受けても、これといった思い切った努力もなく、あのころのあの姿のまま選挙に臨んだ野党に対する有権者の拒否反応がそのまま現政権への反射的利益となった。
今、30-40代の多くの有権者は「文在寅政権もよくやったとは言えないが、(野党の)未来統合党はダメだ」と言っている」
文政権の無能も呆れるが、国民は、それ以上に最大野党の堕落した姿に怒りを見せた。候補者の無軌道発言は、日本人ですら首を傾げたくなるほどであった。大敗は不可避であったのであろう。
(3)
「汎与党政党が今回の総選挙の結果を自分たちに対する国民の絶対的信任だと解釈すれば、国政を一方的に勝手に処理できるという意味だ。
しかも、現政権は政府、地方自治体、司法府に続き、立法府まで一手に掌握することになった。有権者たちが与党を圧勝させたとは言え、この絶対的な権力に不安を感じる国民も少なくない」
韓国政治は、これで暴走する。反日を高く掲げてくるだろう。日韓関係は、さらに悪化するに違いない。
(4)
「国民がこのようにある一面で不安を抱えているのは、圧勝した権力がこの3年間で見せてきた無能さと暴走ぶりのためだ。企業経営者たちの口から「これ以上、持ちこたえられない」という悲鳴が上がり、大統領の面前で自営業者は「景気がこじきのようだ」と嘆く。
これに新型コロナウイルス問題まで追い打ちをかけて、これ以上経済がもつのかと多くの国民が心配している。
だからこそ、今回の総選挙が「経済政策路線を転換しなければならない」という警鐘になると期待していたのも事実だ。
もし、大統領と執権勢力が総選挙の勝利を、「今まで行ってきた政策に対し国民が認めてくれたものだ」と受け止めるなら、韓国経済は深刻な事態に陥るかもしれない」
この総選挙の結果で、韓国経済が自滅のコースを辿ることは間違いない。過去3年間の文政権による経済政策が、是認されたという口実に使われるだろう。日本は、ただ崩れる韓国経済を傍観するだけである。