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コロナ対応で強力な司令塔、背景に法整備 韓国・台湾

2020-04-20 16:20:33 | 日記
コロナ対応で強力な司令塔、背景に法整備 韓国・台湾

新型コロナ 朝鮮半島 2020/4/20 15:00

日本経済新聞 電子版

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)のなかで、韓国と台湾はいち早く感染抑制のメドをつけ、欧州各国からも模範例とみられるようになった。

共通しているのは強大な権限を持つ司令塔を柱とした危機管理体制の周到さと、感染症リスクへの感度の高さだ。

背景には重症急性呼吸器症候群(SARS)などの感染症対応に失敗した苦い経験がある。


一方、日本の国立感染症研究所はこうした法的権限を持たず、感染症の専門家の科学的知見が十分に生かせていない。

韓国の累計感染者数は1万600人だが、20日に判明した新規感染者は13人に。

台湾も17日現在の累計感染者は395人で、死者は6人にとどまる。

韓台の当局者はそれぞれ「状況は制御できている」との見方を示す。

感染源の中国本土に近いのになぜ成果をあげられるのか。背景には感染症対策法に基づいて矢継ぎ早の対策を打つ強力な司令塔の存在がある。

韓国では省庁級で常設されている疾病管理本部が、感染症予防法にもとづき、緊急事態に政府の各部門に対応を要請できる法的権限を持つ。

感染者の濃厚接触者を割り出すため警察に協力を求めたほか、食品医薬品安全庁には民間企業が開発した診断キットの迅速な承認を働きかけた。

同本部が出す要請は非常時には指示と同様の重みを持つ。

通常1年かかる検査キットの承認手続きをわずか1週間で終え、2月4日に最初の緊急使用の許可を出し、民間医療機関による大量検査につながった。

台湾でも今回の危機にあたり、衛生福利部(厚生省)疾病管制署を中心に省庁横断で設置された中央感染症指揮センターが臨時政府のような強大な権限を掌握した。

「防疫のために必要と認める措置」を実施できると定めた感染症防止法に基づき、学校の休校や集会、イベントの制限、交通、マスクの生産・流通など市民生活の細部まで管理している。

感染対策に従わない市民に罰を科すのもいとわない。

海外から戻った際などの隔離措置に従わない場合、同法違反で最高100万台湾ドル(約360万円)の罰金が科される。4月中旬までに約460人を検挙した。

台湾はSARS流行を契機に一気に法整備が進んだが、韓国では現在の体制づくりに長い時間をかけた。

以前から日本の国立感染症研究所のような研究機関は存在したが、改組されて疾病管理本部が立ち上がったのはSARS流行後の04年。

同本部が現在の権限を持つようになったのは38人の死者を出して当時の朴槿恵(パク・クネ)政権を揺るがした15年の中東呼吸器症候群(MERS)流行後のことだった。

米厚生省傘下の疾病対策センター(CDC)も強い権限を持つ。

厚生長官は感染症の拡大を防ぐため「適切な手段をとれる」と連邦法で規定されており、その日々の執行はCDCに委ねられている。

CDCは1月にはウイルスの震源地である中国湖北省武漢から帰還した米国人に、およそ半世紀ぶりに14日間の強制隔離の命令を出した。

ただ今回は初期対応を誤ったとの批判も浴びる。

世界保健機関(WHO)の検査キットを使わず、高い精度をめざして独自キットにこだわった結果、開発や製造に手間取った。

トランプ政権の新型コロナ対策本部に加わる国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長も「我々の検査システムは当初、失敗した」とCDCの失敗を認める。

トランプ氏は記者会見で、コロナ対応の説明をファウチ氏に委ねるなど、CDCとは一定の距離をとる構えもみせる。

同氏は1980年代のレーガン政権時代から米国の感染症対策の陣頭指揮をとるベテラン。経験に裏打ちされた語り口は、世論調査などで国民からの信頼度も高い。

SARSやMERSで大きな被害を受けなかった日本は、感染症対策の体制づくりの議論が韓国や台湾と比べて遅れた。

日本の国立感染症研究所は厚生労働省が所管する研究機関だ。

国に最新の知見を示し、対策の科学的根拠を提供するほか、感染者が増えている自治体に専門家を派遣して助言するといったことが主な業務だ。

国の対策全般を決定したり、実行したりする権限はない。

2011年8月の外部委員の報告書は、「国の感染症対策の中枢機関としての位置づけと役割を明確にし、予算、人員の裏付けをつけることが重要」と指摘。

国家公務員削減計画の対象から除外することを求めたが、その後も人員の抑制傾向は続いているという。

感染研に所属しているのは多くが感染症関連の研究職の国家公務員で、研究所単体としての政策調整・立案機能を重視した組織になっているわけではなく、あくまで厚労省の傘下組織という位置付けだ。

仮に海外のように行政上強力な権限を持つ組織に衣替えするとしても、人材面などで厚労省と近い関係が続けば、独立性は担保できない。

(ソウル=恩地洋介、台北=伊原健作、ワシントン=鳳山太成、倉邊洋介)

選挙で勝利 韓国60歳以下就業者が53万人減、一時休職者は126万人増、危機の始まりだ

2020-04-20 15:57:13 | 日記
【朝鮮日報社説】

韓国60歳以下就業者が53万人減、一時休職者は126万人増、危機の始まりだ

4/18(土) 9:00配信

朝鮮日報日本語版


新型コロナ事態の影響で韓国の3月就業者数が1年前に比べて19万5000人減り、11年ぶりの下げ幅を記録した。

コロナにより一時中断した高齢者雇用まで就業者としてカウントし、60歳以上の雇用が33万6000人増えたとして集計されたにもかかわらず、これが実際の雇用の実態だ。

税金で創出したアルバイトがほとんどを占める60代以上を除くと、就業者数は何と53万人も減少した。

統計上、就業者にカウントされる「一時休職者」は126万人も急増し161万人になった。雇用統計が出た後に一時休職者がこれほど多くなるのははじめてだ。衝撃的とも言えるレベルだ。

これに加えて最初から求職を放棄した人は58万人に達する。

実際の失業者118万人まで合計すると、経済活動人口全体の12%にあたる330万人が、3月には仕事がない状態で過ごしたことになる。

雇用が不安定な臨時職は41万人、日雇いは17万人減り、20代の雇用は18万人も減少した。非正規職や若年者など雇用弱者層を中心に、コロナによる失業大乱が始まったのだ。

今は中小・零細企業や自営業者などが打撃を受けているが、これが大企業や製造業、正社員、30-40代にも広がるのは時間の問題だ。



政府は雇用を維持する企業に支払う支援金に充てる予算を1000億ウォン(約88億円)から5000億円(440億円)に増やした。

企業は直ちに社員を解雇せず、政府の雇用維持支援金で人件費を補てんする形で持ちこたえているが、この支援金を申請する事業場の数が1日で昨年全体の申請件数(1514カ所)全体の2倍のペースで増加している。

政府が追加確保した5000億ウォンでは全く足りないのが現状だ。

失業手当の財源となる雇用保険基金はコロナ事態以前からすでに累積額が7兆ウォン(約6200億円)にまで縮小していた。

継続する雇用惨事により補助金など各種支給額が急増し、昨年は2兆ウォン(約1800億円)の赤字を記録したからだ。

失業大乱の現状から考えると、今年上半期には積み上げられた基金がさらに取り崩され、ほぼ底をつく可能性も考えられる。国民の税金を使って緊急に基金を補てんするしかない。



雇用が失われることほど家計や国民経済にとって大きな衝撃はない。

雇用危機の長期化に備え、十分な財源を備蓄しなければならないが、政府は税金を効果的に使用していない。

特別児童手当として1兆ウォン(約880億円)を支出し、雇用の面で問題のない公務員や公企業の社員を含む70%の世帯に緊急災難支援金を出すのに9兆ウォン(約8000億円)を使うという。

災難支援金は低所得層に限定し、残った財源は近く襲ってくる失業大乱に備えるものとしなければならない。