英、TPP参加「近く申請」 発足メンバー以外で初
2021年01月20日21時43分
ウォン高の流れが続いている。
ウォンの相場は11日、23カ月ぶりにウォン高ドル安の1110.0ウォンを記録したのに続き、遠からず1000ウォン台を割り込むという見通しも示されている。
12日には前日より4.8ウォン高い水準で取引を終えたが、多くの専門家が(為替相場の)下落を予想している。
ウォン高の流れは、米ドル(USD)価値の下落から始まった。
米国対東証選挙で民主党のジョー・バイデン候補が当選したことで、このような傾向がさらに強まっている。
大規模な景気刺激策が発表されるという期待感が、ドル安へとつながっている。
韓国をはじめ、新興諸国通貨の価値が軒並み上昇している背景には、このような事情がある。
韓国銀行(韓銀)が12日に発表した「10月以降の国際金融・外国為替市場の動向」によると、JPモルガンの新興10カ国の通貨指数(JPM)は9月末現在、2.6%上昇した。
10カ国の通貨価値がそれだけ高くなったことを意味する。
主な新興国通貨の価値上昇としては、メキシコのペソの8.8%をはじめ、南アフリカ共和国のランドが7.0%、インドネシアのルピアが5.9%、韓国のウォンが4.9%の上げ幅を記録した。
韓銀は「ドル安や人民元高が続く中、相対的に良好な経済指標(成長率、経常収支黒字)による景気回復への期待感でウォン高が続いている」と分析した。
韓国の経済事情が相対的に良好であるため、ウォン貨も価値も上がっているという意味だ。
ハナ金融投資のチョン・ギュヨン先任研究員は「米ドル安と人民元高の流れに連動してウォン高が進んでいる」とし「米国大統領選挙前後の浮揚策への期待感と韓中経済回復傾向を反映している」と説明した。
NH証券のクォン・アミン研究員は「9月以降、ウォンは主要国通貨のうち、上げ幅で上位になっている」とし、「米大統領選挙以降の財政赤字基調、追加景気浮揚策とグローバル景気の同伴回復を考慮すれば、ドル安の流れが続く可能性が高い」と見通した。
国内輸出の増加傾向や経常収支の黒字幅の拡大の流れも、同様の見方を裏付けている。
KB証券のエコノミストのキム・ヒョジン氏は「人民元高と輸出回復をもとに来年もウォン高が続くだろう」と予想した。
今後の流れに影響する要因としては、為替当局の介入の可能性とグローバル景気の不確実性が挙げられる。
ウォン高が急激に進んだことを受け、輸出企業を中心にスピード調整を求める声が上がっており、為替相場の下落に歯止めがかかりかねない。
バイデン氏の当選による期待感が一部あらかじめ反映された影響もあると見られる。
キム・ヒョジン氏は「最近の急激なウォン高に対する反作用、中国政府の人民元高のスピード調節の雰囲気を考慮すると、最近のウォン高は一部戻るだろう」と見通した。
夢幻の街 歌舞伎町ホストクラブの50年
新型コロナウイルス流行の震源地とされ、“夜の街”と呼ばれた新宿歌舞伎町。
虚構と真実の入り混じる街で、ホストたちはどんな半世紀をたどってきたのでしょうか。
ホストブーム、浄化作戦、東日本大震災、愛田武の死、そして新型コロナ……今まできちんと描かれることのなかった激動の半世紀に、ノンフィクション作家の石井光太さんが迫った『夢幻の街 歌舞伎町ホストクラブの50年』。
9月24日発売の書籍を一足先に公開します。
二〇二〇年六月、歌舞伎町のホストクラブ街は日本全国からの激しいバッシングにさらされ、殺伐とした空気が張りつめていた。
街を行き交う人は数カ月前と比べて激減し、パトカーや民間団体の人々による見回りが盛んに行われるようになった。
都の職員が〈東京アラート発動中〉と記されたベスト状のビブスを着て、マイクを手にして帰宅を呼び掛けている。
ホストたちは街頭に立つこともままならず、店先から煩わしそうに人々を睨にらみつけている。
まるで巣にこもって外敵から身を守りながら、獲物が迷い込んでくるのを待ち受けている捕食者のようだ。
そんな通りに時折、派手な服を着た若い女性がヒールの音を立ててやってきたかと思うと、警察や都の職員を無視して通り過ぎ、ホストクラブへと入っていく。
ホストたちは獲物を得た満足気な笑みを浮かべ、店内へと招く。
歌舞伎町のホストクラブ街が激変したのは、新型コロナウイルスの感染拡大が本格化した四月の初旬だった。
同じ新宿にある東京都庁で、小池百合子都知事がナイトクラブを名指しして休業要請を行ったことによって、歌舞伎町に約二百四十軒あるとされるホストクラブは、キャバクラやパブとともにシャッターを下ろすことになった。
街全体が休業要請を受け入れる中、ホストクラブの営業自粛は二週間ほどしかつづかなかった。
彼らは静まり返った夜の街でこっそりとネオンを灯し、営業を再開していったのである。
わずかな利益しか見込めないのにその選択をしたのには、後で見るようにホストクラブ特有の営業形態やホストの事情が複雑に絡み合っている。
ホストクラブは営業再開によって大きな代償を払うことになった。
その後、ホストクラブで次々と新型コロナウイルスの感染者が確認されたことで、東京都ばかりでなく、国やマスコミからも一斉に批判の矛先を向けられるようになったのである。
これまで歓楽街で絶大な勢力を築きながら、風俗店やクラブの陰に隠れて上手に生きてきた彼らにとって、ここまで批判の矢面に立たされたのは初めてのことだった。
今、歌舞伎町のホストクラブはかつてないほどの危機にさらされている。
一九七三年に愛田武が愛本店をこの地に移してからおよそ半世紀、バブル崩壊、歌舞伎町浄化作戦、リーマンショック、東日本大震災など深刻な社会変化がいく度も街を襲ったが、これほどの痛手を被ったことはなかった。
しかし、ホストクラブはただ手をこまねいてこの状況を受け入れているわけではない。
いつの時代も、夜の街の住人たちは社会の変化の荒波を真っ先に受けてきたが、その度に独自の生存戦略を見出し、巧みに生き延びて新しい生態系を築いてきた。
新型コロナウイルスの強風が吹きつける中でも、彼らは次なる時代への布石を打ちつつある。
その歴史とは何なのか。布石とは何なのか。
これを考えていく前に、時計の針を前年の夏にもどしてみたい。
二〇一九年八月十五日、歌舞伎町のホスト街は終戦記念日とは無縁の夏の暑い盛りを迎えていた。
ラブホテルと水商売専用の雑居ビルがひしめく街の中心にあるのは、老舗ホストクラブ「愛本店」だ。
金色の看板に赤い「愛」という文字が掲げられ、壁には人気ホストたちの顔写真が飾られている。
ビーナスの像の立つ入り口を通って、赤い絨毯が敷かれた階段を下りていくと、巨大なシャンデリアの下にはダンスステージが広がる。
ソファー席の間には、ライオン像、豹の置物、木馬などがすべて金色に塗られて所狭しと並んでおり、照明が四方の壁に張り巡らされたミラーに反射して輝く。
この日、愛本店ではハウスミュージックを流しながらマグロを解体するというイベント「マグロハウス盆踊り」が行われていた。
午後四時から六時までは、児童養護施設の子供たち約三十人を招いたチャリティーイベントになっていて、小学生から中学生の子供たちは初めて見る豪華な内装や大音量の音楽に圧倒されている。
三十名のホストたちは、子供たち一人ひとりについて店内を案内する。
虐待を受けて家庭から引き離されてきた施設の子供たちは、往々にして人見知りか、逆に極端なほど人懐っこいかだ。
案内役のホストたちは、そうした特徴を熟知しているかのように、柔らかい口調で冗談を言って和ませる。
「君、広瀬すずにそっくりじゃん! このお店にあるキラキラの飾り物を全部あげるから、俺のお嫁さんになってよ! お姫様になれるよ!」
小学生の女の子にしてみれば、そんなことを言われたのは初めてなのだろう。
表情が明るくなり口数が増える。ホストの開けっ広げな態度が、大人と子供の垣根をあっという間に取り除く。
店の中央には、シャンパングラスが山のようにつまれている。通称「シャンパンタワー」。
この日は、子供たちを招いているとあって、シャンパンの代わりに瓶入りのバヤリースのオレンジジュースが用意されていた。
ハウスミュージックがぴたりと止み、司会のホストがマイクを片手に言う。
「ようこそ、お越しくださいました! 乾杯をやるので、みなさんでこのシャンパンタワーにジュースを注いじゃってくださーい!」
子供たちは一人ひとりオレンジジュースの瓶を手に取り、促されるままに傾ける。ホストたちがそれに合わせて一斉にシャンパンコールをはじめる。
「注いじゃって、注いじゃって、注いじゃって! オレンジタワーに注いじゃって! ゴーゴーゴーゴー!」
通常は女性客がホストのために百万円以上払って特別に行うものだ。
子供たちは狂騒の中で目を輝かせたり、恥ずかしそうに顔を赤らめたりしながら、オレンジジュースを注ぐ。
シャンパンタワーのグラスはみるみるうちにオレンジ色の液体で染まっていく。
店内の妖艶なブルーやグリーンのライトに照らされ、まるで夜中の東京タワーのように輝きだし、子供たちは「きれい!」「すごーい」と感嘆の声を漏らす。
同店の代表を務める壱がマイクを受け取り、子供たちに言う。
「それじゃ、乾杯するからグラスを手にしてね!」
ホストが子供たちにグラスを渡す。
「今日は来ていただいてありがとうございます! うちとしても、こういうチャリティーパーティーは初めてでした。
でも、今回限りではなく、これからもみんなと友達としてやっていきたいと思っています。また来てね!」
子供たちは「友達」という言葉が嬉しかったのか、「来たい!」と答えたり、はにかんだりする。
きっとテーマパークに来たような感覚なのだろう。
「じゃあ、みんな乾杯するよ。せーの、乾杯!」
子供たちはオレンジジュースの入ったシャンパングラスを手に取り、周りのホストたちと乾杯をする。
オレンジジュースはグラスになみなみと注がれているので、乾杯の際にこぼしてしまうこともあったが、ホストたちは叱るどころか、「いえーい」とばかりに自分もこぼして見せる。
そんなことが楽しいらしく、子供たちはキャッキャと声を上げて喜ぶ。
「じゃあ、今からマグロの解体をするから、好きなだけ食べていってね!」
そんな合図と同時に、店の奥から七十キロもある大きなマグロが運ばれ、ステージに設けられたまな板の上に載せられる。日本橋にある海鮮居酒屋の若大将が、全員の前で解体ショーを行うのだ。
マグロは刺身にされ、自由に手巻き寿司にして食べることができる。
子供たちはまな板の前に集まり、マグロが手際よくカットされ、赤身やトロにわけられていくのを楽しそうに見つめていた。
この年は、およそ半世紀にわたって全国のホストクラブを牽引してきた愛本店にとって今の店舗で迎える最後の夏だった。
ビルの老朽化に伴う建て直しにより、翌年の夏には別の場所への一時移転が決まっていたのだ。
チャリティーイベントとはいえ、歌舞伎町のビルの地下にあるホストクラブに、児童養護施設の子供たちを招くことには否定的な意見もあるだろう。
だが、この児童養護施設と愛本店には長い年月に及ぶ深いかかわりがあったことを知る人は少ない。
両者をつないだのは、愛本店の創業者である愛田武の妻・榎本朱美だった。
後述するように、朱美は著名な建築家の長女として一九三一年に生まれ、何不自由ない家庭で育ったお嬢様だった。
そんな彼女がこの施設の存在を知るのは終戦間もない頃だった。
同級生の母親が、終戦後に上野駅にあふれ返っていた浮浪児と呼ばれた戦災孤児を家に連れてきて住まわせたのだ。
彼女は私財を投げ打ち、質屋通いをしてまで子供たちを必死に育てた。
朱美の両親はそのことを知って、自分たちも子供たちを笑顔にしたいと思い、毎年クリスマスに巨大なケーキを施設に寄付しつづけた。
朱美も両親とともに施設の見学に行ったこともあった。
その後、朱美は成人してからエリート銀行員と結婚して、二人の娘を授かることになった。
上流階級を絵に描いたような生活だったが、紆余曲折あって、朱美は愛田武と知り合い、周囲の反対を押し切って武と再婚し、歌舞伎町に愛本店をつくることになる。
朱美が児童養護施設への慈善活動をはじめたのは、ホストクラブの事業が軌道に乗ってからだ。
クリスマスにケーキを届け、グランドピアノやカラオケセットを寄付し、熱海へ旅行に連れて行った。
まだ社会に施設の子供たちに対してあからさまな偏見のある時代に、夫と二人で長年にわたって支援を行ったのである。
なぜ、朱美は児童養護施設への支援をしたのだろう。
それは、朱美がホストクラブに集まるホストたちの多くが、施設出身の子供たち同様の厳しい人生を歩んできていることを知っていたためだ。
「文在寅は朴槿恵より無能で不道徳で最悪」ソウル大学生から「文おろし」が始まった
2020/12/3(木) 6:00配信
ソウル大の学生が蜂起すると政権転覆の過去
2017年5月10日、韓国第19代大統領就任式で、新任の文在寅氏は「これまで経験したことがない国づくりをする」と宣言した。
李明博・朴槿恵政権とは違う素晴らしい国をつくるという意味だったのだろうが、3年半が過ぎたいま、「経験したことがない国づくり」は、ある意味守られたといえる、とても皮肉なことながら。
それは、経験したことはないけれど、素晴らしい国とは真逆の、衰退に向かう国づくりだった。
文大統領は勝手放題の外交で、保守政権が築いてきた日本との関係を粉々にして国民が被害を受けている。
また、北朝鮮との平和を実現する名目で莫大な資金と物資を支援したが、自国公務員が海上で北朝鮮軍から銃殺され、焼却される事件が発生した。
無能な不動産政策は、3年間でソウルのマンション価格を58%も上昇させ、大統領の側近を捜査し起訴した検事総長が、職務を強制的に停止させられるという韓国憲政史上初の事態も起きた。
就任から4年を待たずに、国家を破綻寸前に追いやった文在寅大統領。
「経験したことのない国を作る」と述べただけで、「素晴らしい国」とは言わなかった。
二枚舌の公約を確かに履行しており、嘘をついたと非難できないのが虚しい。
文大統領の就任前、韓国はこれまで経験したことがない方法で朴槿恵前大統領を追放した。
しかし最近、韓国最高峰のソウル大学の学生たちが、“崔順実スキャンダル”で追い出した前大統領に謝罪するという、かつてない現象が起きている。
朴槿恵前大統領は、収賄や職権乱用などの容疑で懲役20年を求刑され、刑の確定を待っている。
大統領が個人的に親しい一般人に国策事業の利権を渡し、大手企業のオーナーらを青瓦台に召喚して、資金支援を要求したという一連の容疑に国民は衝撃を受けたのだった。
「朴槿恵はそこに座る資格がない」と言ったが
4年前は朴槿恵退陣を叫んだソウル大の学生
ソウル大学の学生たちも「朴槿恵大統領は、その席に座る資格がない」「直ちに大統領府から出ろ」という宣言文を発表、朴槿恵前大統領の弾劾を求めた集会に参加した。
その彼らがいま、文在寅大統領を批判し、朴前大統領に当時のことを謝罪する異例の出来事が起きている。
11月27日、ソウル大学の在校生や卒業生専用のポータルサイトである“スヌライフ”に「朴槿恵政府が最悪の政府だと悪口をいってごめんなさい」というタイトルの書き込みが掲載された。
書き込みには、ソウル大学の学生たちが憤怒した朴槿恵前大統領の行為と現政権を比較する13項目が列挙され、「朴槿恵より無能で不道徳な文在寅」と文大統領を嘲弄する内容が盛り込まれている。
具体的には、
「慰安婦合意を批判したが、尹美香の行為を見ると、慰安婦合意で金を横領したヤツはいないし、おばあさんたちに直接金を渡せる良い方法だった」
「崔順実の娘が梨花女子大に入学できるよう圧力をかけたと批判したが、曺国(チョ・グク)前法務部長官の息子や娘の大学入学書類の偽造を見ると、アジア大会で金メダルを獲得した(崔順実の娘は)誠実に努力して大学に入ったといえる」などといったものだ。
書き込んだ人は、「朴槿恵政府が最悪の政府だと悪口を言ってごめんなさい。
ここまでかつて経験したことがない世の中が来るとは思いませんでした。
申し訳ありません」と締めている。
この風刺文は「スヌライフ」で注目を浴び、メディアも競ってトップニュースで取り上げ、前職と現職の政治家や有名人も反応を見せている。
それもそのはず、風刺文に嘘は一つもなく、韓国国民が文大統領に憤る内容で埋め尽くされているからだ。
慰安婦支援団体の隠された「意図」
ソウル大学(医学部)
風刺文に記載されたように、2015年12月の日韓慰安婦合意では、生存している慰安婦被害者47人のうち37人が1億ウォンずつ受領できることになっていた。
しかし、当時野党だった共に民主党と慰安婦支援団体の正義記憶連帯(正義連)そして当時、正義連の理事長だった尹美香・現与党国会議員は強く反発、
「補償より日本の謝罪が先だ」
「1億ウォンを受領してはならない」と主張したのだった。
検察の捜査を待たねばならないが、慰安婦被害者が1人1億ウォンを受け取って解決すると、以後、慰安婦支援団体は寄付金を受けられなくなり、生存すら脅かされる――。
などといった意図が見え隠れするのだ。
一方、いわゆる「崔順実ゲート」で国民は、崔順実の娘の鄭ユラ氏が大統領の助力で名門「梨花女子大学校」に不正に入学したという疑惑に憤った。
崔順実被告が大統領と親交があることを知った梨花女子大学の関係者が大学側に便宜を図ってもらうべく、不当な依頼を受け入れた犯罪行為と指弾された。
しかし実際には、鄭ユラ氏はアジア大会の乗馬種目で金メダルを獲得。
それは、梨花女子大学以外の名門大学にも入学できるレベルの記録だ。
ところが、今年5月、慰安婦被害者が「正義連と尹美香に30年間利用された」と暴露し、「正義連・尹美香寄付金の流用事件」が露呈した。
検察は尹美香氏が慰安婦被害者たちのために市民が寄付した金銭を着服し、流用した容疑などで起訴。
多くの人たちが日韓慰安婦合意当時、「慰安婦のおばあさんたちに金を渡すな」と言った彼らの「意図」に気付きはじめた。
金メダリストではなく大統領最側近の子
他方、剥けば剥くほど疑惑が露出する「タマネギ男」こと曺国(チョ・グク)前法務部長官は、息子や娘の大学入試を有利にするための表彰状を偽造し、不正なインターンシップをさせた疑惑が持たれている。
彼らはアジア大会の金メダリストなどではなく、文在寅大統領の最側近の子に過ぎない。
難関のソウル大学に入学し、卒業した人たちでなくとも、「請託」より深刻な「偽造」で大学に入学した疑惑がある曺国(チョ・グク)の子どもたちに、激しい憤りを覚えるのは当然だろう。
書き込みを行った当のソウル大の学生は、慰安婦寄付金の着服と側近の不正入試疑惑に加え、文大統領の職権乱用や無能な経済政策、側近政治家の性的暴行・セクハラスキャンダル、国民分裂、不当人事など、文在寅政権が前政府より深刻である数々の事例を取り上げている。
韓国では、これまでソウル大の学生が政府に怒りをぶつけて集団行動を取ると、不正が露見して政権が転覆、大統領が有罪判決を受けて刑務所に入る例が繰り返されてきた。
ソウル大の学生達は、朴槿恵前大統領の弾劾集会にも参加した。
1980年代の独裁政権時、独裁打倒を叫んで学生運動を行い、警察に連行されて拷問で死亡した犠牲者もソウル大の学生だったが、それが全国民の怒りに火をつけ、大統領は退任に追い込まれた。
浅い経験と知識で国民を扇動し、自分勝手で無能な政策で収拾がつかなくなり、一方で自分たちは少なからぬ財産を蓄積している文在寅大統領と高位官僚。
世界に類を見ない超学歴社会の中、自らの努力(だけではないが)で公正な競争に勝ち進んできたソウル大学生。
彼らの目には、学生時代に民主化運動と称して勉学を怠って日常的にデモに参加し、反米・反日を叫んで、社会主義思想に心酔、現在は税金で豊かさを願う大統領と与党の面々は滑稽に映るだろう。
文在寅大統領は最近、日本に対話を求めている。
もっとも、懲役20年を言い渡された犯罪者より不道徳で無能という酷評を自国のエリート予備軍から突きつけられていることを、自覚すべきではないのか。
田裕哲(チョン・ユチョル) 日韓関係、韓国政治担当ライター 週刊新潮WEB取材班編集 2020年12月3日 掲載
新潮社
中国に対する国際世論が急速に悪化、韓国を襲う「思わぬ余波」とは
2020.12.29 4:15
韓国は国際社会の中で
自国の主張を伝えることが難しくなる
その状況下、厳しい状況を迎える恐れがあるのが韓国だ。
なぜなら、文大統領は一貫して、安全保障面では米国、経済面では最大の輸出先である中国、外交面では北朝鮮を重視してきた。
英独仏のように、安全保障面で対米関係を重視する国は増えている。
それに対して文大統領は、TPP参加を重視する姿勢を示した中国の意向をフォローするようにして、TPP参加を検討する姿勢を初めて示した。
しかし中国のTPP参加のハードルは高い。
まず、中国の参加には、TPPに参加している11カ国の了解が必要だ。
また、RCEPに比べてTPPでは、補助金や知的財産の保護に関して厳格なルールを各国が共有する。
中国がTPPに参加することは、口で言うほど容易なことではない。
中国の対外姿勢は変わりつつあるが、それが成果をもたらすか否かは不透明だ。
そうなると、主要国とは対照的に、経済面で対中関係を優先しているとみられる韓国は、国際社会の中で自国の主張を各国に伝えることが難しくなるだろう。
それは輸出依存度の高い韓国にとってマイナスとなり、文政権の経済運営は一段と難しくなる。
サムスン電子が強化してきた
ベトナム事業をめぐる不確定要素が増加
それに加えて、韓国企業を取り巻く世界経済の環境も変化している。
韓国最大の企業であるサムスン電子は、台湾のTSMC超えを目指して設備投資を積み増す。
ただしTSMCに比べてサムスン電子は、顧客へのサービス、柔軟な生産対応力、国際シェアといった点で劣後している。
TSMCがいち早く米国重視の立場を表明したことも、顧客の安心感を高めた。
これまで積極的に設備投資を積み増し、業績拡大につなげてきたサムスン電子が、今後も同じように成長を実現できるかはわからない。
同社の中興の祖である故イ・ゴンヒ氏の相続税負担が、同社の事業運営体制に与える影響も小さくはないだろう。
さらに、サムスン電子が強化してきたベトナム事業をめぐる不確定要素も増えている。
先述の通り、米国はベトナムを「為替操作国」に認定した。
協議によって問題が解消しない場合、米国は制裁措置の一環としてベトナムに関税を課す可能性がある。
サムスン電子はスマートフォンの約5割をベトナムで生産する。
同社はベトナムの輸出の25%を占める。
仮に、米国がベトナムに制裁関税を課せば、サムスン電子の業績には無視できない影響があるだろう。
それは、同社の業績の恩恵にあずかるようにして雇用と所得環境の改善を実現してきた韓国経済を下押しする。
バイデン政権下の米国が、WTO(世界貿易機関)などの国際機関において各国の利害調整役を果たすことも期待しづらい。
外需依存度の高い韓国経済の不安定感は高まりやすい。
韓国の国際社会における立場と景気先行きへの懸念が高まる中、文政権は急速にわが国に接近して秋波を送り始めたように見える。
それが示唆することは、韓国の社会と経済を取り巻く世界情勢が想定される以上に厳しさを増しているということだろう。
(法政大学大学院教授 真壁昭夫)