なぜ日本と韓国は仲たがいしているのか、韓国がGSOMIA破棄
日本と韓国が外交と貿易をめぐって仲たがいしている。
韓国政府は22日、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄すると発表した。
これに先立ち日本が、日貿易管理上の優遇措置を受けられる「ホワイト国」のリストから韓国を除外すると発表したほか、重要な工業製品3品目についても韓国向け輸出の優遇措置を解除している。
現代における両国は、日韓併合や第2次世界大戦を経て今もぎくしゃくした関係が続く。
韓国は、日本が朝鮮半島を併合していた時代に行った残虐行為について補償を求めている一方、日本はこの問題は解決済みとしている。
どんな影響が?
韓国政府はGSOMIAの破棄について、日本が韓国を貿易優遇措置から除外したことで、両国の安全保障上の協力関係に「重大な」変化をもたらしたためと説明している。
これに対し日本の河野太郎外相は、「地域の安全保障環境を完全に見誤った対応」だと反論。韓国に対し「断固抗議する」と話した。
また、アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は、「日本と韓国の情報共有は重要で、アメリカにとっても重要だ。両国が関係を正しい場所に戻してくれることを願う」と話した。
アメリカはかねて、北朝鮮のミサイル開発対策としてGSOMIAの重要性を訴えている。
日本は2日、「ホワイト国」のリストから韓国を除外する閣議決定を行い、28日から施行する予定。
これには韓国も同様の措置を課すとしている。
7月には、半導体やディスプレイ、メモリーチップ製造に使う工業製品の優遇措置を解除している。
これらの製品は、サムスン電子といった韓国企業には必要不可欠だ。
一連の関係悪化を受け、株式市場では世界中の電子製品に影響が出るとして株価が値下がりした。
昨年11月、韓国大法院(最高裁判所に相当)は三菱重工業に、第2次世界大戦中に同社の軍需工場で労働を強制された韓国人の元徴用工らに対する賠償支払いを命じる判決を下した。
訴訟対象となった三菱重工は、大法院の決定には応じない方針だと報じられている。
日本製鉄(旧新日鉄住金)と不二越の韓国内資産については、先月23日、大田地方裁判所が売却申請を受理した。
この問題をめぐり、韓国では日本製品のボイコット運動なども起きている。
長く続く確執の歴史
日本と韓国は複雑な歴史を共有している。
両国は少なくとも7世紀から戦いを繰り返し、日本はたびたび朝鮮半島に侵攻している。
現代における両国の主な確執は、1910年の韓国併合から始まった。
第2次世界大戦では、アジア各地の数万人とも20万人ともいわれる女性が、日本軍向けの売春婦として連行された。
「慰安婦」と呼ばれるこの女性たちの多くは朝鮮人だった。
また日韓併合の後、多くの朝鮮人男性が日本軍に強制的に徴用された。
日本が第2次世界大戦に敗北し、朝鮮半島の統治に終止符が打たれてから20年後の1965年、韓国の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領(当時)は数億ドルもの補償金や融資と引き換えに、日韓関係を正常化させる日韓基本条約に合意した。
日本は、この時に支払った8億ドル以上の「経済協力金」によって戦時の補償は終わっていると主張している。
しかし、「慰安婦」は繊細な問題として残り、解決には程遠い。
2015年、日本は慰安婦問題について謝罪を行い、被害者を支援する基金に、韓国が求めていた額である10億円を拠出することで合意した。
日本の安倍晋三首相は当時、「今後、日韓は新しい時代を迎える」と述べ、「子や孫、その先の世代の子どもたちに謝罪し続ける宿命を負わせるわけにはいかない」と語った。
しかし、韓国の活動家は相談を受けていないとしてこの合意を拒否した。
2017年に就任した文在寅(ムン・ジェイン)大統領も、合意の改定を示唆している。
歴史的な確執はなお続いており、両国とも折れる気配はない。