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Netflix発の韓国ドラマ「イカゲーム」

2021-10-22 17:54:43 | 日記

世界で大人気「イカゲーム」はどんなドラマ?

Netflix発の韓国ドラマ「イカゲーム」は、456億ウォン(約42億3,700万円)の賞金がかかった謎のサバイバルゲームに参加した人々が、最後の勝者になるために命をかけて戦う物語である。

登場人物の設定はこうだ。
1. ろくな仕事もなく、たまに手にするお金は競馬ですってしまう人物
2. ソウル大学経営学科を卒業した秀才で汝矣島(ヨイド)の投資会社に勤め、成功したと思ったのに投資に失敗して莫大な借金を抱えた人物
3. 脱北ブローカーにお金を渡して詐欺にあった人物
 4. 織のボスのお金をギャンブルで使ってしまった人物

こういった「脛に傷を持つ人間」が、金を目当てにサバイバルをかけて戦うもの。

劇中では「こんなことをしていたら俺たち駄目になる」と漏らす人間らしい一面を覗かせている。

海外メディアでは、次のような評価だ。

米『ニューヨーク・タイムズ』紙は、「不平等とチャンスの喪失という韓国の根深い感情を扱って世界の観客を集めた『最新の韓国文化輸出品』にすぎない」。

仏『ル・モンド』紙は、「貧困層と富裕層を対照的に描いた内容で2019年アカデミー作品賞を受けた映画『パラサイト 半地下の家族』などと軌を一にする」。

前記の二紙による「イカゲーム」に対する見方は共通している。韓国社会の貧困層と富裕層の対照的な存在の指摘である。

だが、こういう評価だけで十分だろうか。

格差問題といえば、経済的には客観的データとして「ジニ係数」(所得再分配後:2018年)を持ち出さなければならない。

日本の0.33に比べて、韓国は0.35と若干高い(不平等)状態だ。

だが、米国の0.39に比べれば低いのだ。
この「ジニ係数」だけを持ち出せば、米国こそ「イカゲーム」が起こって当然である。

逆に、「アメリカンドリーム」を生んでいる。
「イカゲーム」の裏には、韓国特有の国民性が存在している。

背景に「就職したくてもできない」厳しい現実

「イカゲーム」の社会的な背景には、就職したくてもできない厳しい現実がある。

日本では、一人で何社もの「内定」を取ったという豪の者がいるほど。売り手市場である。

韓国では、逆である。就職したいが競争が激しくて「困難」であるから、就職活動すら止めるという人たちが増えている。

韓国経済研究院は、4年制大学の3~4年生や卒業生など2,713人を対象にアンケート調査を行った。

その結果が10月12日に発表された。

その内容は次のようなものだ。『中央日報』(10月13日付)から引用した。

「積極的に求職活動をしている」 9.6%
「儀礼的にしている」 23.2%
「休んでいる」 8.4%
 「ほとんどしていない」 33.7%

上記のデータでは、求職活動を積極的に行っているのは、9.6%に過ぎない。

他は、ほぼ諦めている。大学を卒業して、「いよいよこれから人生がスタートする」というはずの年齢で、早くも諦めた状況に追込まれている。

育たぬ転職市場。希望就職先は公務員

今年、積極的に求職活動をしている大学生と卒業生は、入社願書を平均6.2回出したという。書類選考に合格した回数は平均1.6回だった。就職を希望する企業については、公企業(18.3%)と大企業(17.9%)・公務員(17.3%)の割合が同程度である。
就職希望先は、公企業・公務員、それに大企業である。すべて、「寄らば大樹の蔭」である。ベンチャー企業や中小企業ではない。ここに、韓国社会の特異性を見る思いがする。朝鮮李朝時代からヤンバン(両班)支配の気風が、今なお生き続けていることだ。最初から、「勝ち馬」に乗るという人生の選択をしている。
この思惑が外れた場合、韓国社会では「乗った馬」から自分で降りて、自営業を選んで「一国一城の主」の道を進む。
韓国の自営業者数が、GDP世界10位前後の国にしては飛び抜けて高い(24.6%=2019年)理由は、産業構造の近代化が遅れているほかに、この「気位の高さ」が影響していると見られる。自営業は、好景気の時にその波に乗って行ける。だが、景気に逆風の吹いたときは、最初にそのつむじ風に吹き飛ばされる、極めて不安定な経営環境にあるのだ。
職場で、嫌なことがあっても我慢する。韓国社会では、それが困難ゆえにすぐに退職して自営業の道へ進んでいる裏に、もうひとつ「転職市場」が育っていないという事情がある。終身雇用制と年功序列賃金制が、今なお牢固として守られているからだ。大企業労組が、この2原則を絶対に譲らない結果である。
転職市場さえ完備していれば、自営業を選ばずとも転職によって働く環境を一新できるのだ。嫌いな上司の顔を見なく済む。
韓国の「イカゲーム」の裏には、こういう韓国社会の柔軟性欠如が災いしている。

4分の1は自営業者の怪

ここでもう一度、韓国の自営業者比率が国際的に見てどのレベルにあるかを確認しておきたい。
自営業者比率は、就業者数に占める自営業の比率である。OECDで、韓国よりも高い比率の国は、全て韓国のGDP規模を下回る国ばかりである。ブラジル・メキシコ・ギリシャ・トルコ・コスタリカである。
韓国は、「先進国入りした」と胸を張る。就業構造から見ると、発展途上国の一角に位置していることは明らかだ。日本の自営業者比率は9.98%、ドイツ9.61%、米国6.32%(いずれも2020年)だ。データは、OECDである。
誤解のないように指摘したい。自営業がダメで、ビジネスマンが上という単純な話ではない。景気変動時の雇用は小舟よりも、大きな舟に乗っていた方がより安全という意味である。その点で、米国の6%強は韓国の25%弱より、はるかに安定しているであろう。もっとも、企業でも解雇がある。その場合、退職金もあれば再雇用の際に、優先的に雇用されるという条件もつく。雇用の安定面では、自営業よりも有利だろう。
韓国が、終身雇用制と年功序列賃金制に縛られて、転職市場も育たない現実を脱するには、広い視野から雇用を考えることである。

韓国の労組は、自分たちの利益だけを優先して、国民全体の利益を無視している。

文政権は、労組の支持を繋ぎとめるべく、この「業」を増幅しているから、ますます救いがなくなる。韓国の経済も社会も不安定化する理由なのだ。

文政権は“有害無益”な存在。国民生活に直結する経済政策で大失敗

文政権が発足したのは、2017年5月である。

それ以来、経済政策は失敗の連続である。
1. 賃金政策では、最低賃金の大幅引き上げによって、逆に失業率を高めた
 2. 不動産政策では、住宅需要を抑制する一方、住宅供給も抑えて価格高騰を生んだ
以上のように、国民生活に直結する経済政策で大失敗した。最大の理由は、現実を直視せずに実証したことのない政策を「公正」という美名に酔って行ったことである。
経済政策は、「実証の学」である。文氏の政策は、世論に阿(おもね)る政策であり、「曲学阿世の徒」と言われる類いだ。
韓国の不幸を増幅させたのである。

韓国の失業率は次のように、文氏が大統領就任(2017年)してから悪化した。
2015年 3.60%
2016年 3.70%
2017年 3.70%
2018年 3.85%
2019年 4.15%
2020年 4.00%(大量の公的アルバイトを採用し糊塗)
 出所:ILO統計
2018~19年は、明らかに最低賃金の大幅引上げが失業率を高めるという、常識では考えられない事態を招いた。
昨年は、新型コロナウイルスで世界中が混乱した。

その中で、韓国が改善したのは、公共アルバイトの大量採用である。

文氏が、大統領に就任してソウルの住宅価格は8割も上昇した。

住宅価格の高騰抑制には、住宅供給を増やして先高観を沈静化させることである。

文政権は、住宅供給を軽視したので、市民の住宅先高観を一段と高める結果となった。

以上のように、文政権は人間生活に不可欠な「衣食住」のうち、食=雇用と、住=住宅の2面で失敗した点で有害な政権になった。

国民こそ、大変な迷惑である。
まさか、その不満を政府へ直接向ける訳にいかないので「自衛」に走った。

それが、哀しいかな「イカゲーム」となって現れたのだろう。

20~30代の借金が膨大

住宅高騰を見た若者は、生活防衛で銀行借入に走った。
文在寅政権の4年間(2017~21)で、20代の銀行ローン残高は2倍以上増えたが、その後も膨らんでいる。昨年1年間で20代への銀行貸付残高は32兆7,000億ウォン(約3兆1,065億円)から44兆5,000億ウォン(約4兆2,275億円)へと36.1%増加した。

全年齢の平均増加率の11%を大幅に上回った。
昨年1年間で、銀行借入残高が36.1%も増えるとは異常である。

当然、ローンで長期返済とは言え、月々の返済が家計を圧迫する。果たして、生活できるだろうかという他人事ながら心配するほどの急増ぶりである。

これは当然、個人消費支出を抑えるはずだ。
30代への銀行貸付残高も、昨年1年間で17.5%も増加した。

20~30代の借り入れの大半が、マイホーム購入や株式・仮想通貨への投資にも投じられたと推定されている。
この背景に、政策金利が年利0.50%と最低水準へ引下げられたことの影響もある。

この超低金利を利用して住宅ローンを組んだのであればまだ救いようもある。
だが、株式や仮想通貨などの金融取引に使われたとなれば、事態は変わってくる。

借金して投資する悲劇

実は、仮想通貨や株式への投資が多かったのである。

昨年末からの仮想通貨投資ブームは、20代が主導した。今年1~3月の韓国4大仮想通貨取引所の新規加入者249万5200人余のうち、20代は32.7%で最多だった。

この「博打好き」には度肝を抜かれる。

不動産市場は30代が主導した。韓国不動産院によると、今年1~4月に売買されたソウルのマンションの36.7%は30代が購入した。次に多い40代(26.6%)との差が拡大した。
株式市場では、20~30代の動きが目立った。新韓銀行によると、20代全体に占める株式投資家の割合は、19年の23.9%が20年には15.3ポイントも急上昇した。30代でも同じ期間に28.3%から10.5ポイントもの上昇である。
韓国の20~30代は、株式・仮想通貨・不動産の主役として動いたが、その傷跡(延滞)も大きくのし掛っている。
銀行延滞額が、2017年1~3月期と2021年1~3月期を比較すると次のような結果が出てきた。
20代 167.5%増
30代 22.0%増
40代 138.0%減
50代 19.4%減
 60代以上 1.8%減
20~30 代の延滞額の増加が大幅であることに「エッ」と息を呑む思いがする。払えずに終われば担保を没収される。
それこそ「イカゲーム」そのものになりかねない。「資産が少ない若い世代への行き過ぎた融資は、未来の経済状況を不安定にするリスクである」と指摘されている。当然であろう。

この記事の著者・勝又



韓国に渦巻く格差社会とは?その実態を探る

2021-10-22 17:27:19 | 日記
  • 韓国に渦巻く格差社会とは?その実態を探る
人や国の不平等をなくそう
韓国に渦巻く格差社会とは?その実態を探る
  • 韓国に渦巻く格差社会とは?その実態を探る

大ヒットとなった韓国の映画「パラサイト 半地下の住人」では、韓国に渦巻く格差社会が描かれました。

2020年のアカデミー賞では4部門で受賞するなど、日本でも話題となった映画です。

実は、この映画が上映される以前から、韓国は超学歴社会であり、受験や就職、昇進における競争が非常に厳しい国でもあります。

そのため、所得格差が広がり、深刻な問題となっているのが実態です。
今回は、韓国の格差社会にスポットを当て、映画だけではわからない背景を解説していきます。
目次
  • 韓国における所得格差の実態
    • 広まる高齢者の貧困
    • 若者にも押し寄せる格差の波
  • 韓国の格差社会における背景
    • 経済発展の裏にある格差社会の実態
    • 韓国における男女間の格差
  • N放世代における格差の実態
    • 就職難による負の連鎖
    • 出生率が世界初の「0人台」
  • まとめ
韓国における所得格差の実態


所得格差を測る尺度として一般的に使われるのが「ジニ係数」です。
ゼロから1までの値で計測し、0に近づくほど格差が少ないことを表します。

2016年のOECD(経済協力開発機構)による調査では、韓国におけるジニ係数は、0.355となっており、世界においてワースト6位を記録しました。

とはいえ、韓国を含める6位以下の国は大差がなく、それほど深刻な数字とはいえません。

2018年には、0.295と数値を縮めています。

実際、日本のジニ係数と比べても、それほど大きな差はないものの、韓国は年金制度が成熟しておらず、高齢世帯に所得再配分がなされていないのが実態です。

参照元:第5-16表 所得のジニ係数|データブック国際労働比較2019|OECD
広まる高齢者の貧困

高齢世帯への所得再配分が日本と比べて遅れている韓国ですが、この背景にあるのが社会保障制度の整備が遅れていることが挙げられます。

韓国で国民年金制度が始まったのは1988年であり、ごく最近のことです。
すでに加速化している高齢化社会の波に対する体力が、社会自体に備わっているとはいえません。

高齢化率の方が韓国より高くなっています。

しかし、韓国における少子高齢化のスピードが日本に比べて早く、2045年になると日本の高齢化率を韓国が上回ると予想されるほどです。

このまま少子高齢化が加速し続けると、2065年の段階で韓国の高齢化率は48.8となり、同年に予想される日本の高齢化率38.4%をはるかに超える結果になります。

参照元:日本の将来推計人口 平成29年推計|国立社会保障・人口問題研究所

若者にも押し寄せる格差の波

韓国の格差問題は、高齢者に限ったことではありません。

韓国は世界の中でも屈指の学歴社会であり、実際のところ、貧困層から抜け出すためには、名門大学に入ることがポイントとなります。

とはいえ、名門大学に入ったからとって将来が安定するとは限りません。

韓国は、儒教の国でもあり、職種より「格」を重んじる傾向にあります。
たとえば、結婚という側面から見ても、同等の「格」にある家柄同士で行うものであるという見方もあるほどです。

そのため、富裕層と貧困層のカップルが結婚すれば、個人の問題ではなく「家」や「家系」全体の問題になることも考えられます。

こうした格差は、就職においても影響しており、一流企業に入ることが重要視され、そのための激しい競争が生まれるのです。

韓国においては、学費を払う「親」や「家系」への想いも強く、就職は自由にならないことも多いといいます。

韓国の格差社会における背景


韓国の格差社会が顕著である理由は、学歴や思想だけの問題ではありません。
背景には、急激に加速した経済発展も影響しています。
1950年代の韓国は、朝鮮戦争による大きな打撃を受けて、経済的に困窮していました。

世界の中でも最貧国と言われるほどの貧困ぶりでしたが、1960年代後半から劇的な復興を遂げます。

そのきっかけとなったのが、海外から得た多額の資金であり、そこに貢献したのは財閥企業でした。

こうした背景が、現在の韓国における格差社会の実態を作り上げているともいえます。
経済発展の裏にある格差社会の実態

韓国では、1997年の通貨危機をきっかけに、新たな自由主義思想が登場しました。
その流れを汲み、経済においても自由化が加速しています。
こうした経済発展の裏には、個人間に大きな格差を生んでいる実態があります。
もともと独裁政治が続いていた韓国は、経済発展を目指す政府と財閥企業とが密接に関わってきました。

韓国の財閥企業として代表される、サムスン・現代自動車・LGの3社が、現在の韓国経済における多くを占めていることもあり、未だ政府との関係が色濃いままです。

政策が変わるたびに格差社会対策も施されてきましたが、こうした根強い社会構造は、なかなか覆せないのが現状といえるでしょう。

韓国における男女間の格差

韓国の格差社会は、男女間においても顕著に現れています。

特にわかりやすいのが、賃金格差です。
たとえば、韓国の財閥企業は、女性をトップに置かないことで有名でしょう。

また、OECDの調査では、韓国における男女間の賃金格差は34%と、先進国のなかでワースト1という結果が出ています。

世界の平均値が約13%となっている中で、このような数字が叩き出されるのはなぜでしょうか。

ここ最近は、多少改善の兆しは見えるものの、韓国で働く女性の生活は非常に苦しいものがあります。

たとえば、財閥の多くは、女性が妊娠する可能性を「リスク」と捉えており、採用は男性の方が有利です。

韓国の女性にとっては、家庭と仕事を両立させることは非常に難しいと言われています。

こうした背景もあり、韓国において女性がキャリアアップしていくことも至難の技だといえるでしょう。

現に、韓国の大企業において幹部になっている女性を見ていくと、ほとんどが持ち株主の親族であり、コネがなければ出世もできないような実態が未だ
に根付いている点は否めません。
参照元:How does KOREA compare?|OECD

N放世代における格差の実態


韓国における若者の就職難は、各ライフイベントにも影響しています。
1997年のアジア通貨危機(IMF危機)以来、20年にもわたる若者の就職難ですが、現在も劇的な回復は見せていません。

そのため、いわゆる若者世代である20〜30代の人たちは、様々な人生におけるイベント放棄せざるを得ないのが現実です。

こうした実態を踏まえて、彼らは「N放世代」と呼ばれています。
「N」に当てはめるのはライフイベントの数で、中には、「結婚・出産・家・趣味」など非常に多くのものを諦めざるを得ない「7放」と呼ばれる人も少なくありません。

就職難による負の連鎖

就職できない人たちは、交際費すら捻出できない状態に追い込まれてしまい、人間関係も諦めざるを得ないケースも見られます。

その結果、恋愛もできず、さらには、家を借りられないことも加わって、出産や結婚は叶わぬ夢と成り果てているのです。

そのため、非婚化・少子化高齢化が加速し、韓国における格差社会にも拍車をかけているといえるでしょう。
出生率が世界初の「0人台」

N放世代に現れる、世代間の格差は、出生率にも大きく影響しています。

韓国統計庁による「2018年出生統計」では、出生率が0.9人と世界で初めて「0人台」となりました。
この数字は、韓国という国家自体の存続すら脅かすものであり、格差社会は見逃せない問題と言えます。

統計庁が2016年に発表した人口推計では、2028年頃から総人口が減少するとしていましたが、2018年の出生統計を踏まえると、はるかに超えた水準で減少していることは否めません。

そのため、2019年3月に発表された「将来人口特別推計」では、2019年下半期から、自然減少するだろうと修正しているほどです。

まとめ


韓国における格差社会は、思想や政治的な根強い理由に加えて、経済発展に力を入れたことによる揺り戻しも大きく影響しています。

未だ厳しい経済状況と、政治に翻弄される韓国社会において、若者に限らず多くの人が格差社会に悩まされているのが実態です。

こうした問題は、韓国に限ったことではありません。政治や思想が偏り、道を踏み外せば、日本でも起こり得ることでしょう。




韓国、「失敗」世界で7番目 人工衛星打ち上げ国になり損ね「意気消沈」

2021-10-22 16:50:11 | 日記
勝又壽良のワールドビュー
@oGxbAl74XtEQ0Fw
好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。




韓国、「失敗」世界で7番目 人工衛星打ち上げ国になり損ね「意気消沈」


2021年10月22日


  • 韓国経済ニュース時評アジア経済ニュース時評

   

韓国紙『中央日報 電子版』(10月21日付)は、韓国が世界で7番目の人工衛星打ち上げ国になったと報じたが、すぐに軌道に乗らず失敗と判明し意気消沈している。


発射場には、文大統領も駆けつけたが、成功の美酒を口にできなかった。


『AFP=時事』(10月21日付)は、「韓国、初の純国産ロケット打ち上げ 模擬衛星の軌道投入失敗」と題する記事を掲載した。


韓国は21日、重さ1.5トンの模擬人工衛星を搭載した初の純国産宇宙ロケット、通称「ヌリ号」を打ち上げた。

だが、文在寅大統領は、模擬衛星の軌道投入には失敗したと発表した。

韓国は宇宙先進国の仲間入りを目指しており、成功すれば世界で7例目だった。

文氏によると、打ち上げと3段階の切り離しには成功し、衛星を搭載する先端部の切り離しもうまく行ったが、「模擬衛星の軌道投入は未成功のままに終わった」という。


(1)「高興の打ち上げ場から炎を上げながら上昇したヌリ号は、数分以内に当初の目標高度600キロに達した。

ヌリ号は3段式で、10年をかけ2兆ウォン(約1940億円)を投じて開発された。

重量200トン、全長47.2メートルで、液体燃料のエンジン6基を備える」

ロケット技術は、軍事転用が可能なため各国とも技術流出には厳しい警戒がされている。

韓国も独自技術開発に頼るしか道はない。

10年の歳月と2兆ウォンの開発資金を投じたが、最終段階の「模擬衛星の軌道投入」で失敗した。


(2)「韓国の宇宙開発計画はトラブルの連続だった。

2009年と2010年に一部ロシア製のロケットで初の打ち上げを目指したが、2回とも失敗に終わった。

2010年は打ち上げの2分後にロケットが爆発し、韓国、ロシア間で非難合戦が起きた。

2013年には打ち上げに成功したものの、1段目のエンジンはロシア製だった」


韓国は、これまで2009年、10年、13年に失敗している。

今回は、全て国産技術開発であり、それだけに期待も掛かっていた。

結局、今回を含めて4回の失敗となった。それでも、確実に成功への階段をあがっていることは疑いない。次回は、成功するだろう。


『中央日報 電子版』(10月21日付)は、「韓国の科学技術自尊心打ち立てた…ヌリ号一度で打ち上げ成功」と題する記事を掲載した。


この記事は、地球上空700キロメートルの軌道に到達したので、これで「成功間違いなし」と早とちりした記事である。

「韓国は、世界で10番目にロケット打ち上げに成功した」と報じたもの。


(3)「ヌリ号は離陸後127秒で高度59キロメートルに到達し1段目を分離した。

離陸233秒後には高度191キロメートルに達し3段目の末端にあるフェアリングを分離した。

フェアリングはヌリ号の先端に搭載している人工衛星を保護する一種のカバーだ。

ヌリ号の場合、開発後初の打ち上げだけに正式な人工衛星ではなくダミー衛星を載せた。

ヌリ号は打ち上げ274秒後に高度258キロメートルに達して2段目も分離した。すぐに3段目が火を噴いた。

打ち上げ967秒が過ぎ3段目のロケットが目標高度の700キロメートルに到達し、重さ1.5トンのダミー衛星を分離して軌道に乗せるのに成功した」

下線部の軌道に乗せる最終過程で失敗した。



(4)「ヌリ号の打ち上げ成功は、韓国が世界10大宇宙ロケット技術保有国になったことを意味する。

これに先立ち2013年に最初の韓国型ロケット(LSLV-1)ナロ号が打ち上げられたが、実際には半分の成功だった。

当時韓国政府は「自国の打ち上げ場で自国のロケットで自国の人工衛星を軌道に乗せた国になった」と自慢したが、ナロ号の1段目のロケットはロシア製の「完成品」だった。2段目もやはり液体ではなく固体ロケットを使った」


韓国は、確かにロケットの打ち上げに成功した。その意味では、世界10番目の国である。正直正銘、国産技術によるロケット打ち上げ国になった。


(5)「現在、世界的に宇宙ロケットの自力打ち上げ能力を備えた国は、米国、ロシア、中国、フランス、インド、日本、イスラエル、イラン、北朝鮮の9カ国だけだ。

この中でも重さ1トン以上の実用人工衛星を打ち上げられる国は6カ国だけだ。

イスラエルとイラン、北朝鮮は300キログラム以下の衛星打ち上げ能力だけ保有している」

これまで、重さ1トン以上の実用人工衛星を打ち上げられる国は6カ国だけである。

韓国が今回、人工衛星の軌道に乗せられたならば、世界で7番目の実用人工衛星打ち上げ国になるところだった。

次回の発射で実現するほかない。イスラエル、イラン、北朝鮮は300キログラム以下の衛星打ち上げ能力を持っているに過ぎない。


小室さんがNY州の学生論文コンペで優勝

2021-10-22 16:31:09 | 日記
小室さんがNY州の学生論文コンペで優勝

2021/10/22 13:32

小室圭さん=18日午前(代表撮影)

秋篠宮ご夫妻の長女、眞子さまと26日に結婚する小室圭さん(30)の論文が、米ニューヨーク州の弁護士会が学生を対象に募集した論文コンペで優勝した。
同会が21日までにホームページで明らかにした。

小室さんはビジネス法部門に「ウェブサイトへの接続におけるコンプライアンス問題と起業家への含意」というタイトルの論文を提出し、第1位を獲得した。

優勝賞金は2000ドル(約22万8千円)。

米東部時間の26日にオンライン形式で表彰される。小室さんは昨年、同じコンペで2位を獲得していた。


小室さんは今年7月に同州の司法試験を受験。結果は11月10日までに発表される。(ニューヨーク 平田雄介)





日本が学ぶべき海洋国・英の外交 細谷雄一

2021-10-22 16:13:15 | 日記
日本が学ぶべき海洋国・英の外交 細谷雄一

2021/10/22 16:00宮下 日出男
海上自衛隊の護衛艦いせから見る英海軍の空母クイーン・エリザベス(左)=8月24日、沖縄の南方
米国と中国を中心とする「民主主義対専制主義」の対立構造は、同時に「海洋国家対大陸国家」の構造とも大きく重なる。

この構図は大英帝国が海洋覇権国家だった19世紀から続いており、その経験から日本が学ぶべきことは多い。

現在私はケンブリッジ大学に訪問研究員として滞在しているが、ここ英国では5年ほど前までの親中路線が大きく転換している。

キャメロン政権時には「英中関係の黄金時代の10年」と述べ、経済利益を求めて対中接近していた。

それが現在では対照的に「価値を共有する国」との提携を優先する外交を展開している

そもそも英国にとり中国は、地球の裏側のはるか遠方にある。

そこから脅威を受ける度合いは限られている。

ところが英国はその「極東」にまで空母打撃群を派遣し、さらには米国、オーストラリアとともに新しい安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」を形成した。

なぜ英国は今、これほどインド太平洋への関与を強めるのか。

大英帝国が覇権を握った19世紀、その基礎となったのは「海洋」と「通信」の2つの領域における支配の確立だった。

海洋では英本国を起点にジブラルタル海峡、スエズ運河を抜け、インド洋、マラッカ海峡、香港を経て日本を終点とする「エンパイア・ルート」に拠点港を築き、支配地域を結んだ。

同時に海底ケーブルで帝国をつなぎ、通信網を構築した。

現在では中国が、巨大経済圏構想の「一帯一路」を通じてパキスタンやスリランカなどを勢力下に収めつつある。

かつての大英帝国の拠点を、今や中国が東から西へと逆方向で押さえつつあるのだ。英国が警戒するのは当然であろう。

英国は、第5世代(5G)移動通信システムから中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)製品の完全排除も決めた。

現代の通信網はインターネットだ。

諜報分野での対米協力を考慮したことが大きな理由だろうが、中国のサイバー攻撃に対し、警戒感を強めたことも背景にある。

英国にとり自由民主主義は、単なる抽象的理念ではない。

自らの歴史と一体化した価値でありアイデンティティーだ。

その価値を擁護することへの責任感は強い。

権威主義体制である中国の影響力の拡大・浸透によって自らのアイデンティティーが脅かされている、と考えている。

与党の保守党では民主主義的価値を重視する党内右派が優勢となり、これまでの対中融和的な外交路線を転換させた。

英国は欧州連合(EU)離脱後、「インド太平洋傾斜」を進め、日本や米国、そしてコモンウェルス(英連邦)諸国との関係強化に軸足を移している。

新型コロナウイルスとEU離脱がもたらした経済的困難の中、今はインド太平洋地域で国力以上のプレゼンスを示している。

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)加入などで経済の実益を得るためにも、この地域への関与を続けるであろう。

振り返れば大英帝国が対峙(たいじ)したのは、不凍港を求めて南下政策を進めた大陸国家であり、かつ専制国家であったロシア帝国だった。

ロシアの進出を恐れて戦った第2次アフガニスタン戦争(1878~80年)で国力を疲弊させた英国は、1902年、極東の権益を守るために日英同盟を結び、日本の協力を得た。

150年近く経た今、歴史が繰り返されている。ロシアに相当するのは海洋進出を図る権威主義体制の中国。

20世紀に海洋を支配した米国は、2001年からのアフガン戦争で国力が疲弊した。

日英同盟が英国の極東での軍事力を補完したように、日米豪印の枠組み「クアッド」やAUKUSが米英の力を補完するであろう。

重要なのは、日本が現在では地域秩序形成を主導する役割を担っていることだ。

クアッドと「自由で開かれたインド太平洋」構想は、いずれも日本が提唱したものである。

これは英国が冷戦期に担った役割と似ている。

北大西洋条約機構(NATO)の形で米中心の民主主義諸国の国際的連携を成立させ、対ソ連抑止力を構築した。

また戦争回避のため外交努力も怠らなかった。

1985年にソ連共産党書記長に就いたゴルバチョフ氏について、「彼とはビジネスができる」と述べ、対話の意義を説いたのは、当時のサッチャー英首相だ。

英国は強硬一辺倒ではなく、強靭(きょうじん)な抑止力を前提に対話を柔軟に組み合わせ、冷戦の終結を促した。日本は学ぶことがあるはずだ。
=(聞き手 宮下日出男)
ほそや・ゆういち 国際政治学者。慶応大教授。英ケンブリッジ大訪問研究員。安倍晋三政権で「安全保障と防衛力に関する懇談会」委員、国家安全保障局顧問などを歴任した。1971年生まれ。