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米国防総省、尖閣での中国公船活動を批判 「日本の主権を支持」
カービー氏はまた、「同盟・パートナー諸国とともに、インド太平洋地域での法に基づく秩序を強化していく」と語り、今月1日施行の海警法で外国船舶への武器使用を認めた中国政府を牽制(けんせい)した。
ブリンケン氏は、バイデン氏と菅義偉首相が先月の電話会談で「日米同盟は自由で開かれたインド太平洋の平和と繁栄の礎石だと改めて確認した」と指摘。また、「日本の世界における指導力をたたえ、両国間の結束を向こう1年間で一層強化させることを楽しみにしている」と強調した。
民主主義や人権の擁護、気候変動対策や新型コロナウイルスの封じ込め、地域や世界規模の安全保障分野での懸案への対処などといった、日米共通の価値観や利益も両国の揺るぎないパートナー関係の基礎を成しているとも指摘した。
旅行大手のJTBが、資本金を現在の23億400万円から1億円へ減資することが23日、分かった。
3月31日付。税法上は中小企業扱いになることで、税の優遇措置を受ける狙いがあるとみられる。
新型コロナウイルス流行による旅行需要の激減で厳しい経営環境にあり、JTBは「財務基盤の健全化を図る」と説明した。
JTBは非上場だが、売上高1兆円、グループ従業員2万人を超える大企業。
中小企業扱いによる優遇は、事業規模に応じた税負担の公平性の観点から議論を呼びそうだ。
同様の動きはスカイマークや毎日新聞社でもあり、他の大企業が続く可能性がある。
税法上の中小企業は赤字でも事業活動の規模に応じて負担する「外形標準課税」が適用されない。
許さぬ海洋外交力を 東海大学教授・山田吉彦
2021.2.24
尖閣諸島=2011年(鈴木健児撮影)
戦後社会の中で培われた柔和な国民性を持つ日本人は、目先の平穏に満足し、迫(せま)りくる危機から目を背け将来の姿を描くことができないでいる。
日本の文化と伝統を忘れた繁栄は、アジアを牽引(けんいん)する力を失い、偉大なる中華民族の復興を目指す中国の独善的な施策に為(な)す術(すべ)を持たず翻弄されている。
≪迎合を協調と誤解する日本≫
海洋国家を自負しながら日本は海洋に関わる外交力が脆弱(ぜいじゃく)である。
わが国を取り巻く海洋問題は外交関係において迎合を協調と誤解したため、近隣国の攻勢は国民生活を脅かす事態に至っている。
領土、領海、主権に関しての国家の指針を国民および諸外国に明確に示さなければ、自国の平和を脅かし、さらには国際秩序の混乱を招く。
近隣国との友好関係維持に執心している間に、両国の抱える問題は国難といえるまでに肥大化してしまった。まさに日中関係および日韓関係の現状である。
沖縄県の尖閣諸島では、中国海警局が牙をむき日本人の漁民を排除する動きを見せ、海域の管轄権を奪う勢いだ。
島々を占領される危機感が募る。
日本海では、北朝鮮漁船、韓国漁船さらには中国漁船が不法操業を繰り返し、沿岸に暮らす漁師の漁場を奪っているが、わが国警備機関は、不法漁船に警告するだけである。
中国は、日中漁業協定のもとに東シナ海暫定措置水域に海上民兵とも呼ばれる大漁船団を出漁させ海域を席捲(せっけん)している。
その漁船を監督する名目で海警局の警備船がわが物顔に動き回る。
中国は、協調外交の陰で尖閣諸島への侵攻を用意周到に進めてきた。
まず1978年、日中平和友好条約批准のために来日したトウ小平副首相は、尖閣諸島問題の解決は、次世代の知恵に任せようと言い、問題の棚上げを求めた。
しかし中国は、92年に「領海および接続水域法」を制定し、「台湾および釣魚島を含む付属の各島」が領土に含まれると明記した。
≪危険にさらされる海上保安官≫
2009年に制定した「海島保護法」では無人島は国家の所有地とし、その利用は人民解放軍との調整が必要とした。
13年に海上の法執行機関として、散在していた海上警備機関を統合し中国海警局を設立した。
18年は海警局を中央軍事委員会の指導を受ける武装警察部隊に組み入れ準軍事機関に改変した。
実に40年以上をかけ海洋進出、尖閣諸島の獲得に向け法と実行体制を整えてきたのである。
そして本年、「海警法」を施行し、中国海警局に防衛作戦などの任務を遂行することを命じ、軍事組織として実力行使を示したのだ。
この法では、中国の意に反する外国の機関に対して、武器の使用を含むいかなる手段も行使することができることになっている。
日本の海上警備体制を規定する海上保安庁法の第25条には、「この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない」と書かれている。
この法により日本の海に危機が迫り、海上警備行動が発令された場合も、海上保安庁は防衛任務に当たる自衛隊との共同活動に制約ができると解釈されている。海上保安庁では、中国海警局に対抗することはできないのだ。
これまでも海上保安官は過度の危険にさらされてきた。
2001年、北朝鮮の軍に所属する工作船により海上保安庁巡視船が攻撃を受け、3人の海上保安官が負傷、巡視船も激しく破壊された。
命の危険があったことを忘れてはならない。中国の侵攻に対処する海上保安官に犠牲が出る前に、海上安全保障体制の構築が必要である。
≪韓国も日本の海脅かす中で≫
しかし、わが国の法体系の整備や組織改編には時間を要する。速やかに実現可能なことから手を付けなければならないのだ。
まずは、尖閣諸島の調査など領土保全の確固たる行動とともに、東シナ海の広範な海域を中国漁船に占領されている元凶である日中漁業協定の見直しが必要である。
また近年、中国に同調する姿勢を見せ日本の海を脅かす韓国への対応も急務である。
今年1月、韓国海洋警察庁の警備船は、権益を拡大するためわが国EEZ(排他的経済水域)内で調査中の海保調査船に執拗(しつよう)に退去を求め排除しようとしたのだ。
1952年、韓国が国際法を無視し実行した「海洋主権宣言(李承晩ライン)」は、現在の日韓関係に悪影響を与え、韓国は既得権のように日本の国益を搾取している。
竹島問題に起因し韓国の乱獲、日本海の漁場を破壊する「日韓漁業協定」は破棄し、東シナ海に眠る日本の海底資源に関して、多大な譲歩をしている「日韓大陸棚協定」も2028年の期限をもって終了すべきである。
わが国は、国際法に則した日中関係、日韓関係の構築を急ぐべきである。
法と秩序を守る信念を譲らないことでこそ、国際社会の理解を得ることができ平和の礎となる。
そのためには、海洋国家日本の意思を示した「海洋外交力」を強化しなければならないのだ。(やまだ よし)