2012年10月5日に古くからのヤギ仲間のヤギが破傷風で亡くなりました。
破傷風という病気は知っていても、身近なヤギが破傷風にかかった例を知らなかったので、
まったく別の世界のことだと思っていました。
しかし、それをきっかけに調べてみたり、他のヤギ飼いさんに聞いてみたりしたところ、
ヤギに関係のない病気ではないということが、いまさらながらわかりました。
破傷風についての知識はいくつかのサイトが参考になるので、リンクさせていただきます。
『社団法人日本獣医師会』
家畜疾病総合情報システム しか・めん羊・ヤギ編
「破傷風」
http://nichiju.lin.gr.jp/tksn/deer/deer21.html
『公益社団法人 千葉県獣医師会』
公衆衛生
「破傷風」
http://www.cpvma.com/eisei/dojyou.htm
動物衛生研究所
家畜の監視伝染病
「破傷風」
http://www.naro.affrc.go.jp/org/niah/disease_fact/t14.html
本やインターネットで調べたり、数人のヤギ飼いのプロや獣医さんに聞いてみたりしましたが、
予防や治療に関してはよくわからないし、調べた結果が曖昧で、
今のわたしにはハッキリこうだとは言えません。
なので、実際に起こったことと、わたし個人の考えだけ書くことにします。
まずはわたしが聞いた例をまとめてみましたので読んでください。
その1
★福岡のヤギ飼いさん(けんママさん)
★ヤギ(ヤギベー君・シバヤギ・去勢オス7才・病歴なし)
9月23日
右足の跛行に気づく。蹄やケガのチェックをしたが、原因はわからなかった。1週間で元に戻る。
9月30日
夕方の餌のチモシーを少し残した。
10月1日
朝から忙しくヤギの様子を見ていなかったが、夕方4時半頃餌をやりにいったら、ヤギの瞳孔が開いていた(まだ明るいのに瞳が丸くなっていた)。
しばらく観察していると、口が動いていないのに気づく。
あわてて獣医さんを紹介してもらい、予約をとる。
10月2日
家畜獣医さん(ヤギは詳しくない)の往診。口が開かない原因はわからない。とりあえずビタミン剤と整腸剤を注射される。
お腹が張っている。口を開けようとしても開かないので、何も食べられず、水も飲めず、立ったまま。
ヤギの柵の中に剪定したユーカリの枝を発見。普段は食べないが、囓った跡があるのでユーカリの毒のせいかとも思う。
10月3日
家畜獣医さんの往診。ユーカリのことを告げて抗生剤を注射してもらう。熱はなく、うんちやおしっこも出る。お腹にガスがたまっている。
ヤギは一日中立ちっぱなし(座れない?)。
ここで、飼主からわたしに連絡があり、福岡の別のヤギ飼いさんにN獣医さんを紹介してもらう。
すぐに飼主さんはN獣医さんと連絡がつき、電話で経緯を話すと、「破傷風」ではないかとの診断。
10月4日
朝5時半頃ヤギ小屋に行くと、ヤギが倒れていた。
家畜獣医さんに連絡し、やはり破傷風では?と言ったが「ヤギの破傷風は見たことがない。違うと思う」とのこと。
N獣医さんにも聞いてみたが、ワクチンも血清もヤギのものは持ち合わせていないし、すぐには手に入らない。破傷風は症状が出たら助からないと言われた。
午前中に家畜保健所に来てもらい「破傷風に間違いないと思う」とのこと。
獣医さんの話でも、ヤギの破傷風はめずらしく、30年見ていなかったらしい。開口困難の症状が出ても、ヤギは自分の足でしっかり立って動き回っていたので、まさかと思ったらしい。
この日はずっとヤギ小屋で看病。15分おきぐらいに痙攣。鼻水も出るので2時間おきにタオルを変える。
10月5日
8時40分頃、死亡。
以上は、けんママさんのブログを見ながら、わたしがまとめたものです。
その時のけんママさんのブログ(ヤギベーくんの記事)はこちら。
下の方の記事から読んでください。
辛いけれど、ヤギベー君の写真は、とても参考になると思います。
http://ken2hanaak.exblog.jp/m2012-10-01/
けんママさんはわたしがインターネット(ブログ)をはじめた頃からのヤギ仲間です。
だからヤギベーも、「うちの子」みたいな感じがしていました。
破傷風と必死に闘っているヤギベーの病状を、ブログに詳しく書いて下さって、
本当に感謝します。
その2
★群馬の家畜商Mさん
1 2~3年前・冬
★よその牧場から来た去勢オス。6頭ぐらいのグループで飼っていたうちの1頭。
顔がキツネ顔なのに気づく。外傷はなし。歩行がロボット的だった。
一週間ぐらいたって、首が固まって、むち打ちのような状態になる。しかし食欲は普通にあった。口も動いていた。死ぬ2~3日前までは、座ったり立ったり。だんだん筋肉が硬くなり、のけぞるようになり、口から泡を吹いて、気づいてから2週間後に死亡。
他のヤギには影響なし。
2 今年5月頃
★5頭ぐらいのグループで飼っていたうちの1頭。よその牧場から来て半年ほどの成メスヤギ(日本ザーネン)。
角があったのでゴムバンドで縛り、除角した。角は落ちたが傷口が膿んでいた。
その後、歩行がスムーズでないのに気づく。食欲はほぼ普通。1週間ぐらいして、体を掻く時の姿がおかしいのに気づく。前回の例のあとで破傷風ではないかと言われたので、こんども破傷風なのではと疑う。
それからまた1週間後ぐらいに、破傷風の血清(※)(20㎖)を自分で注射した。
注射を打った次の日から、首のぎこちなさや、目のつり上がりなどの症状の快復が見られ、1週間後には完治した。
開口困難はなく、終始食欲はほぼ普通。
他のヤギには影響なし。
※血清は、北里研究所でつくって明治製菓で販売している予防&治療薬。
20mlと50 mlがあって20mlで7000円?
これは冷蔵庫で2年間保存できるらしい。
入手(獣医さんを通してでないと購入できないはず)するには1週間ぐらいかかる。
(たぶん、ヤギ専用というのはないのでは?)
他には予防のみのワクチン・トキソイド(日生研株式会社)というものがある。
群馬県のMさんにうかがった話は以上です。
★けんママさんとMさんの3頭の例を見ても、症状の現れ方が違います。
★菌の量、強さ、ヤギの抵抗力などいろいろな条件で病気の進行具合が違ってくるようです。
★ですから、抗生物質や血清を打っても、治る、治らないは一概には言えないと思います。
★ただ、破傷風の症状はとても衝撃的なものなので、一度経験すると、2度目からはわりと早く異変に気づくことができ、治ることが多いようです。
★感染部位も、明らかな傷がなく、よくわからない場合があるようですが、
栃木県での例では、へその緒だったり、角だったり、足だったり、口の中ということもあるそうです。
うちのななは3度も角欠け流血事件を起こしているし、口の中の傷から感染、というのも恐ろしいですね。
らんまるは冬に短い芝を食べるとき、根っこごと引っこ抜いて、器用に草の方から食べますが、
結局、土のついた根まで、捨てずに食べてしまうことがあります(汗)。
★破傷風菌は嫌気性。空気を嫌うので、土の奥深くにいるのだそうです。
★けんママさんのお宅は、今年の夏、近くの川が氾濫し、庭が全部水浸しになりました。
★そういうことは大いに影響するかもしれないそうで、台風や、何か土壌環境が大きく変化したような時は、注意が必要だそうです。
動物衛生研究所のサイトには、『本菌は、土壌、水中など環境中に広く分布し』とあります。
★血清は、アナフィラキシーショックやアレルギーを起こすことがあるので、最初に少量を、異常がないか試してから残りを打つようです。
★また、必ず効くというわけでもなく、血清を打つことによって使えなくなる薬がけっこうあるそうです。
もしもうちのヤギに発症したら?
たとえ血清が効かなくても、ショックを起こして使えないとしても、
7000円で2年間保つのだとしたら、保険料だと思って保管してもらうほうが安心かな、
とも思います。
いくらよく観察していても「おかしい!」と気づいてから、獣医さんに診てもらい、
それから血清を取り寄せるのでは、やはり遅いでしょう。
もちろんMさんのヤギのように進行がゆっくりだったら間に合うかもしれませんが、
ヤギベーくんのように急では間に合わないかもしれません。
でも、放っておけば死ぬ病気なのだったら、たとえ無駄になったとしても、
手を尽くせるほうが後悔が少ないですよね。
いろいろ考えてみたいと思います。
破傷風という病気は知っていても、身近なヤギが破傷風にかかった例を知らなかったので、
まったく別の世界のことだと思っていました。
しかし、それをきっかけに調べてみたり、他のヤギ飼いさんに聞いてみたりしたところ、
ヤギに関係のない病気ではないということが、いまさらながらわかりました。
破傷風についての知識はいくつかのサイトが参考になるので、リンクさせていただきます。
『社団法人日本獣医師会』
家畜疾病総合情報システム しか・めん羊・ヤギ編
「破傷風」
http://nichiju.lin.gr.jp/tksn/deer/deer21.html
『公益社団法人 千葉県獣医師会』
公衆衛生
「破傷風」
http://www.cpvma.com/eisei/dojyou.htm
動物衛生研究所
家畜の監視伝染病
「破傷風」
http://www.naro.affrc.go.jp/org/niah/disease_fact/t14.html
本やインターネットで調べたり、数人のヤギ飼いのプロや獣医さんに聞いてみたりしましたが、
予防や治療に関してはよくわからないし、調べた結果が曖昧で、
今のわたしにはハッキリこうだとは言えません。
なので、実際に起こったことと、わたし個人の考えだけ書くことにします。
まずはわたしが聞いた例をまとめてみましたので読んでください。
その1
★福岡のヤギ飼いさん(けんママさん)
★ヤギ(ヤギベー君・シバヤギ・去勢オス7才・病歴なし)
9月23日
右足の跛行に気づく。蹄やケガのチェックをしたが、原因はわからなかった。1週間で元に戻る。
9月30日
夕方の餌のチモシーを少し残した。
10月1日
朝から忙しくヤギの様子を見ていなかったが、夕方4時半頃餌をやりにいったら、ヤギの瞳孔が開いていた(まだ明るいのに瞳が丸くなっていた)。
しばらく観察していると、口が動いていないのに気づく。
あわてて獣医さんを紹介してもらい、予約をとる。
10月2日
家畜獣医さん(ヤギは詳しくない)の往診。口が開かない原因はわからない。とりあえずビタミン剤と整腸剤を注射される。
お腹が張っている。口を開けようとしても開かないので、何も食べられず、水も飲めず、立ったまま。
ヤギの柵の中に剪定したユーカリの枝を発見。普段は食べないが、囓った跡があるのでユーカリの毒のせいかとも思う。
10月3日
家畜獣医さんの往診。ユーカリのことを告げて抗生剤を注射してもらう。熱はなく、うんちやおしっこも出る。お腹にガスがたまっている。
ヤギは一日中立ちっぱなし(座れない?)。
ここで、飼主からわたしに連絡があり、福岡の別のヤギ飼いさんにN獣医さんを紹介してもらう。
すぐに飼主さんはN獣医さんと連絡がつき、電話で経緯を話すと、「破傷風」ではないかとの診断。
10月4日
朝5時半頃ヤギ小屋に行くと、ヤギが倒れていた。
家畜獣医さんに連絡し、やはり破傷風では?と言ったが「ヤギの破傷風は見たことがない。違うと思う」とのこと。
N獣医さんにも聞いてみたが、ワクチンも血清もヤギのものは持ち合わせていないし、すぐには手に入らない。破傷風は症状が出たら助からないと言われた。
午前中に家畜保健所に来てもらい「破傷風に間違いないと思う」とのこと。
獣医さんの話でも、ヤギの破傷風はめずらしく、30年見ていなかったらしい。開口困難の症状が出ても、ヤギは自分の足でしっかり立って動き回っていたので、まさかと思ったらしい。
この日はずっとヤギ小屋で看病。15分おきぐらいに痙攣。鼻水も出るので2時間おきにタオルを変える。
10月5日
8時40分頃、死亡。
以上は、けんママさんのブログを見ながら、わたしがまとめたものです。
その時のけんママさんのブログ(ヤギベーくんの記事)はこちら。
下の方の記事から読んでください。
辛いけれど、ヤギベー君の写真は、とても参考になると思います。
http://ken2hanaak.exblog.jp/m2012-10-01/
けんママさんはわたしがインターネット(ブログ)をはじめた頃からのヤギ仲間です。
だからヤギベーも、「うちの子」みたいな感じがしていました。
破傷風と必死に闘っているヤギベーの病状を、ブログに詳しく書いて下さって、
本当に感謝します。
その2
★群馬の家畜商Mさん
1 2~3年前・冬
★よその牧場から来た去勢オス。6頭ぐらいのグループで飼っていたうちの1頭。
顔がキツネ顔なのに気づく。外傷はなし。歩行がロボット的だった。
一週間ぐらいたって、首が固まって、むち打ちのような状態になる。しかし食欲は普通にあった。口も動いていた。死ぬ2~3日前までは、座ったり立ったり。だんだん筋肉が硬くなり、のけぞるようになり、口から泡を吹いて、気づいてから2週間後に死亡。
他のヤギには影響なし。
2 今年5月頃
★5頭ぐらいのグループで飼っていたうちの1頭。よその牧場から来て半年ほどの成メスヤギ(日本ザーネン)。
角があったのでゴムバンドで縛り、除角した。角は落ちたが傷口が膿んでいた。
その後、歩行がスムーズでないのに気づく。食欲はほぼ普通。1週間ぐらいして、体を掻く時の姿がおかしいのに気づく。前回の例のあとで破傷風ではないかと言われたので、こんども破傷風なのではと疑う。
それからまた1週間後ぐらいに、破傷風の血清(※)(20㎖)を自分で注射した。
注射を打った次の日から、首のぎこちなさや、目のつり上がりなどの症状の快復が見られ、1週間後には完治した。
開口困難はなく、終始食欲はほぼ普通。
他のヤギには影響なし。
※血清は、北里研究所でつくって明治製菓で販売している予防&治療薬。
20mlと50 mlがあって20mlで7000円?
これは冷蔵庫で2年間保存できるらしい。
入手(獣医さんを通してでないと購入できないはず)するには1週間ぐらいかかる。
(たぶん、ヤギ専用というのはないのでは?)
他には予防のみのワクチン・トキソイド(日生研株式会社)というものがある。
群馬県のMさんにうかがった話は以上です。
★けんママさんとMさんの3頭の例を見ても、症状の現れ方が違います。
★菌の量、強さ、ヤギの抵抗力などいろいろな条件で病気の進行具合が違ってくるようです。
★ですから、抗生物質や血清を打っても、治る、治らないは一概には言えないと思います。
★ただ、破傷風の症状はとても衝撃的なものなので、一度経験すると、2度目からはわりと早く異変に気づくことができ、治ることが多いようです。
★感染部位も、明らかな傷がなく、よくわからない場合があるようですが、
栃木県での例では、へその緒だったり、角だったり、足だったり、口の中ということもあるそうです。
うちのななは3度も角欠け流血事件を起こしているし、口の中の傷から感染、というのも恐ろしいですね。
らんまるは冬に短い芝を食べるとき、根っこごと引っこ抜いて、器用に草の方から食べますが、
結局、土のついた根まで、捨てずに食べてしまうことがあります(汗)。
★破傷風菌は嫌気性。空気を嫌うので、土の奥深くにいるのだそうです。
★けんママさんのお宅は、今年の夏、近くの川が氾濫し、庭が全部水浸しになりました。
★そういうことは大いに影響するかもしれないそうで、台風や、何か土壌環境が大きく変化したような時は、注意が必要だそうです。
動物衛生研究所のサイトには、『本菌は、土壌、水中など環境中に広く分布し』とあります。
★血清は、アナフィラキシーショックやアレルギーを起こすことがあるので、最初に少量を、異常がないか試してから残りを打つようです。
★また、必ず効くというわけでもなく、血清を打つことによって使えなくなる薬がけっこうあるそうです。
もしもうちのヤギに発症したら?
たとえ血清が効かなくても、ショックを起こして使えないとしても、
7000円で2年間保つのだとしたら、保険料だと思って保管してもらうほうが安心かな、
とも思います。
いくらよく観察していても「おかしい!」と気づいてから、獣医さんに診てもらい、
それから血清を取り寄せるのでは、やはり遅いでしょう。
もちろんMさんのヤギのように進行がゆっくりだったら間に合うかもしれませんが、
ヤギベーくんのように急では間に合わないかもしれません。
でも、放っておけば死ぬ病気なのだったら、たとえ無駄になったとしても、
手を尽くせるほうが後悔が少ないですよね。
いろいろ考えてみたいと思います。