鹿(しか)と言えば
奈良公園の鹿、広島厳島(いつくしま)神社の鹿、が有名です。
戦後になって奈良公園から厳島へ鹿が送られたとのことなのでルーツは似ているようですが、広島の鹿は野生生物だとみなされエサを与えないことにしたのに対して、奈良公園では鹿せんべい(150円ほど)が売られている、という違いがあります。
桂米朝〔1925-2015〕は、落語「鹿政談」のマクラで
春日灯籠 町の早起き
と奈良名物をあげ、
奈良では、神聖化された鹿が店の前で死んでいないかどうかをチェックするため、朝の「早起き」習慣が定着した、としています。
発覚すれば、死罪を含む厳罰があったため、早朝に死んだ鹿を見つけると、まだ開いていない隣の店頭へ移動させて、自分の罪を逃れようとした、と笑いを誘っています。
日本郵便の「郵便番号データ(2015年12月28日版)」から、「鹿」のつくところを調べてみました。
- 市区町村名に「鹿」がつくのは下にあげた18件ですが、その下の地名では無数にあったため、略します。
- しかし、この「多いのを略して、少ないのを取りあげる」という手法が、現在のマスメディアの手法を思い出させるため、どこか引っかかるところがありますね。
「鹿」を、多くは
- 「か」と読ませ、場合によって
- 「かの」「が」が見られますが、普通に
- 「しか」と読ませる
ところも見られます。おもしろいのは
男鹿(おが)と牡鹿(おしか)
秋田県には、男鹿(おが)のほかに、同県北東の内陸部で岩手県の近くにある鹿角市(かづの)もあります。どちらも秋田県では、「が」または「か」でした。
GoogleMapで確認しておきましょうか。
- 秋田県男鹿(おが)市が男鹿(おが)半島にあり
- 宮城県牡鹿(おしか)郡女川町が、牡鹿(おしか)半島にある
と鹿の「角(つの)」が、日本海側と太平洋側とにわかれています。
同じ「鹿」という字ですが、読み方が「が」「しか」と異なり、それぞれがその名前の半島内に位置しているわけですね。
もう一つ気になるのが「かしま市」で
- 茨城県鹿嶋市(かしまし)
- 佐賀県鹿島市(かしまし)
同じ「かしま」ですが、「しま」の字が、嶋と島、になっています。
いずれも鹿島町・鹿島村などがあり、遡ればどちらが古いか分りませんが、市政施行のきまりから、同じ名前を使えないため、こういう結果になったと思われます。
合併時に宮古島にある平良市(ひららし)などは宮古市としたかったと思われますが、岩手県に相当前から宮古市が存在したため、宮古市ではなく宮古島市になりました。
その点、石垣島にある石垣町は、市になるときに石垣市というのが存在しなかったため、石垣島市ではなくて石垣市〔1947- 〕になりました。
えっ、連想しませんか、「こりゃまた、失礼しました」。