Gメモリーズブログ

有限会社クリエイティブデザイン羽沢組

ソフビ制作裏話 その10

2007年06月07日 | 制作裏話
デスゴジ編 Part.3


?彩色前の黒で成型した状態のデスゴジ

 今日はデスゴジの造型の話をします。
 デスゴジとはご承知の通り『ゴジラVSデストロイア』に登場した時のゴジラを指します。多くのファンがそう呼びますが、ごく一部のソフビメーカーさん(一部のファンも)は「バーニングゴジラ」と呼んでいるところもあります。羽沢組では「デスゴジ」と呼ぶ事にしています。
 主に『ゴジラVSビオランテ』から『ゴジラVSデストロイア』までは「平成VSシリーズ」と呼ばれていますが、この6作品に登場するゴジラはそれぞれの呼び名をファンはつけて区別しています。もちろん東宝さんが認可している呼称ではありませんが、覚えやすいと言う事でウチでも今後この呼び名で通していきたいと思っております。(ウチで販売している「デスゴジ」は、正式キャラクター名としてではなく、あくまで羽沢組の商品名としては東宝さんから「デスゴジ」として許可をいただいております)

 ビオゴジ……『ゴジラVSビオランテ』(1989年公開)
 ギドゴジ……『ゴジラVSキングギドラ』(1991年公開)
 バトゴジ……『ゴジラVSモスラ』(1992年公開)
 ラドゴジ……『ゴジラVSメカゴジラ』(1993年公開)
 モゲゴジ……『ゴジラVSスペースゴジラ』(1994年公開)
 デスゴジ……『ゴジラVSデストロイア』(1995年公開)

 この6つのゴジラは外見的にもよく似ています。特にビオゴジとギドゴジはよく似ているし、他の4つもバトゴジからは同じ型から作られていると思われ、かなり似ています。シーンによってはそれぞれ前作のスーツを流用しているシーンもある事から、ワンカットだけを見てもわからない場合もあります。その中でもラドゴジとモゲゴジの区別はなかなかつけられません。
 そしてデスゴジですが、以前「G雑感」の「ゴジラは背びれが命」の所でも書きましたが、元はモゲゴジのスーツを改修、アレンジしたものらしいのです。じゃあモゲゴジとデスゴジはほとんど一緒なのかというと、そうではありません。実はかなり違う事がわかります。
 ソフビ原型を作るためにいつも本の写真を書き集めて調べたりするのですが、違いはたくさんでできます。デスゴジの一番の特徴は体表のたくさんの発光部分なのですが、その装置をつけるためにかなり重くなったそうです。そのため全体的にそれまでのVSシリーズのゴジラに比べてたるんだ感じが見受けられます。さらに発光装置の位置の関係でいつもは背中の中央についていた一番大きな背びれは、デスゴジに限って上の方、つまり肩の辺りになっています。これらの影響なのでしようが、それまでのゴジラに比べてかなり猫背のゴジラになっているのです。
 結果的にこれらの特徴「たるみ」「背びれの位置」「猫背」は作品の中のメルトダウンに向かって暴走するゴジラにはよくマッチしていたと私は思います。(余談ですが、バンダイ系列のたくさんのソフビは元のモゲゴジ状態の物をベースに作られているのかも知れませんが、この3つの特徴は表現されていません。後で気がついたのかも知れませんが、たぶん時間的な問題だったのでしょう)

 そしてこれらの3つの大きな特徴を考えながら、ウチのデスゴジの造型に入りました。
 ところがこの3つのうちの「猫背」が大きなネックになってしまったのです。この悩みの話はまた明日。