PART.4 エピソード
■原型制作時のいろいろ
今日は原型制作時で一番印象に残っているエピソードを3つほど。
この「モスゴジ」では、頭部パーツを2度やり直しました。7~8割できていながら気に入らずにゼロからやり直したりもしました。
私の場合、他のゴジラを作る時では、集中し過ぎるとリアルになりがちなのが癖のようですが、なぜか「モスゴジ」を作る時はかわいい顔(二枚目の顔?)になりやすいようです。劇中の雰囲気に近づけたいので少しでも根性悪そうな(笑)悪役顔にしたいのですが(人間やモスラ目線で物語を見ればゴジラは悪者ですから)、「カッコかわいく」で作っていくと「モスゴジ」はかわいく作りやすい顔立ちのゴジラのようです。
手首のパーツは「こだわり」でも書きましたが、腕とは別パーツで作っています。
「モスゴジ」で一番イメージされる劇中のポーズ、指を開き気味の「前ならえ」のような腕にするためです。20センチ以上のレトロタイプのスタンダードサイズソフビでしたら、腕と手首から先を離さなくてもある程度は成型上抜けると思いますが、Gメモリーズセレクションのサイズではどうしても無理のようです。このサイズでは気泡が出やすいし、ソフビには当然厚みが必要ですから、型から抜く時に引っ掛かってしまいがちなのです。角度もギリギリですし。
初めからそうだろうなぁとは思っていたのですが、何か方法はないものか(せこい話ですが型代の節約を考えてしまいました)と、最初は腕に手首をつけたままワックス原型を作って金型屋さんに相談してみました。
「無理!」即答でした。………やっぱりです。
素直に分割して作り直したのでした。
どっしり構えてガニ股の「キンゴジ」に比べて、「モスゴジ」はゴジラの中でも姿勢が良い方です。ガニ股でいるシーンがほとんどありません。
足の付け根の角度のせいもあって、フィギュア(特に特徴を強調して似ている事が前提のGメモリーズのようなディフォルメタイプ)にする場合は、股の幅は「モスゴジ」の場合は狭くする方が似合います。
しかし、ソフビにはかん着(可動できるパーツの接合部分)が必要なので、お腹の内部に足パーツのかん着部分が入る事を考えて作らなければなりません。
気がつかれている方もいらっしゃるかもしれませんが、Gメモリーズのゴジラ達はこの股幅はいつもギリギリのサイズで作っています。大きいサイズのソフビでしたら何も気にしなくてもいい要素でしよう。ですからある意味、作りたい姿勢やポーズを実現するため毎回挑戦なのです。
この「モスゴジ」の場合、かなり股幅が狭いゴジラなので、どこまで可能なのか限界まで挑むしかないと覚悟していました。
これまた金型屋さんに相談したところ、最初に作ったものは「ギリギリアウト!」。
粘土原型からやり直したい所でしたが、時間の都合でワックス原型を作ってからワックスを重ねて削っての繰り返し作業で調整です。
微妙な差ですが、股幅は約4ミリ程広げました。つまり粘土原型状態の時は実はもっと足と足の間は狭かったのでした。
(2010.7.5更新)
「モスゴジ スタンダードカラー」は完売致しました。ありがとうございました。