3 モスラの商品化について
ちょっと脱線かもしれませんが、ついでなのでたまにはちょっとシビアな話も。
どんな商品を発売しても、大抵は何人かのお客様に「次は何ですか?」と聞かれます。
この「モスラ幼虫」でも次のカラーを考えているのか聞かれました。個人的にはやってみたい色はあります。
同様に「成虫は作らないんですか?」も。もちろんやって見たい怪獣です。特にたくさんあるモスラ成虫の中で一番作ってみたいのは『モスラ対ゴジラ』の成虫ですから。
でも難しいんです。
はっきり言います。「モスラ」ではビジネスとして厳しいのです。
モスラは大変人気のある怪獣です。知名度も文句ありません。
モスラが登場する作品は、『モスラ対ゴジラ』でもわかるように他作品に比べて興行成績はアタリが多いわけですし、VSシリーズでも最もヒットしたのは『VSモスラ』です。『VSデストロイア』と『ミレニアム』の間の、いわゆる平成モスラシリーズ三部作も決して恥ずべき成績ではないのです。近い時期に作られていた平成ガメラシリーズ三部作より遥かに成績は良かったのですから。
たくさんの作品にモスラは登場しました。興行成績を考えて製作サイドの意向としてモスラを登場させたいと思うのは自然なわけです。
ではそれに付随する形での商品展開ではどうかというと、必ずしも人気や知名度と比例しないのです。
映像ソフト、書籍、玩具……ゴジラ程ではないもののたくさん商品化されてきました。が、残念ながらそこそこの売り上げはあるものの大ヒットと言えるものはほとんどありません。
弊社のような仕事をしていれば、ソフビに限らず映像ソフトでも書籍でも他社さんの「何が売れたか」などの情報は入ってきます。数少ないモスラ中心の書籍についてはいずれも大苦戦されてます。一時期各ソフビメーカーでもたくさん発売された時がありましたが、数で言えばゴジラには到底及ばず、残ったものをリペイントして販売されていた所もあります。今に至っても、そこそこの売り上げのあるものでもたまにの発売だからこそであって、コストを考えて数を限定されたり、イベント限定を謳ったりしての販売だったりしているのです。
モスラが登場すれば映画は見に行くけど、関連商品を買う程ではない……。こんな感じなのでしょうか。
そこがゴジラや他の怪獣と違った不思議な所なんです。
弊社にも「モスラシリーズの本の企画はしないんですか」とたまに聞かれますが、申し訳ないのですが「うーん…」としか言いようがないのです。
これらはGメモリーズでも当てはまるわけです。
TM&(C)TOHO CO., LTD.