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国民の意志

2020年05月15日 | ライフワーク


昭和7年(1932年)
今から88年も前の出来事です。


この年、2月から3月にかけて
政財界の要人が多数狙われた
民間団体によるテロ事件
「血盟団事件」が発生します。
それに刺激を受けたとされる
海軍の若い将校たちが
無抵抗な政治家を暗殺した
忌まわしい出来事が5月15日に発生しました。
テロリズムの暴走と呼ばれる
「五・一五事件」です。


時代の背景は
昭和4年(1929年)の
世界恐慌に端を発した
昭和恐慌の真っ只中にあって
昭和6年(1931年)には
「満州事変」が起こります。


疲弊した国民を救うには
実力行使しかないという正義感が
一部の軍人を駆り立てたのでしょうか。
鬱積した思いを持つ多くの国民は
軍部の動きを歓迎したと言われます。


つまりこの時代は
有事に備える軍人の本分を弁えず
実力行使がまかり通る
「テロの時代」であったわけで
まがりなりにも
それを推し進めたのはまさに
国民の意志
と言えるでしょう。


昭和11年(1936年)
陸軍の青年将校らが
昭和維新をスローガンに
二・二六事件というクーデターを起こします。
そして
昭和16年(1941年)には
本格的な世界大戦に参画し
昭和20年(1945年)の敗戦へと
時代は流れます。


▲天皇陛下御在位三十年記念式典(首相官邸)


ところで
在位30年を迎えられた
記念式典において上皇陛下は
以下のように平成を振り返られました。

「国民の平和を希求する強い意志に支えられ、近現代において初めて戦争を経験せぬ時代を持ちました」


昭和という戦争の時代は
まさに国民の意志の現れであったと思いますし
先の大戦の敗因の大元は
軍部を支えたそれにあると言わざるを得ません。


では国民の意志とは
どのようなカタチで形成されるのか。


一人ひとりの暮らしはもとより
それに依拠した情報伝達の媒介者である
メディアのチカラに寄るところが大きい。
特に戦前は情報を得るためのツールに
限りがあったため、ある程度の操作は
難しくなかったと推察されます。


現代においては
幸いにも様々なソースから
豊富に情報を得ることができますので
特定の個人や団体の意見に左右されず
自分の感性に従って検索してみることが
可能な時代になりました。


▲朝日新聞デジタル


昨今の疫病報道について
様々な情報がありつつも比較的冷静なのは
多様な情報ソースのおかげであると同時に
一人ひとりの意志こそが
数字に現れていると感じます。
まさに
民度が試されている
のではないでしょうか。


「五・一五事件」は
88年前の出来事ですが
昔も今も
時代を形作るエネルギーは
国民の意志であることを
あらためて自覚させられました。

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