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カフェーパウリスタ「森のコーヒー」②

2016-12-14 16:11:04 | お話
🌲🌲カフェー☕️パウリスタ、森🌲のコーヒー🌲🌲②


ジョン・ネット氏が、
有機・無農薬栽培珈琲の「哲学者 」なら、

「鉄人」と呼べる生産者が、リカルド・アギアール氏だ。

見かけはブラジリアン柔術の選手のよう。

だが実際は、農業大学の名門「ラブラス大学」を卒業、

大学院まで行ってコーヒー栽培を研究したという理論家だ。

彼の持論は

「3年先を見て仕事をすること」。

有機栽培は、結果がすぐには出ない。

病害虫が出ても農薬が使えないので、対症療法では間にあわない。

先を見て、予防的に手を打ってゆくことが3年先の品質につながるという。

その言葉通り、彼と私の関係もゆっくりと時間をかけて変化していった。

初めは、それほどすごい生産者とは思わなかったのだが、

彼は毎年品質を上げてきた。

有機JASの認証も取得し、

その他にも、

ブラジルスペシャルティコーヒー協会認証や、
グッドインサイド認証、

レインフォーレスト認証など
数々の認証を取得した。

私は、彼こそ「森のコーヒー」の生産をお願いするに足る人物だと確信した。

実は彼以外にも候補者は何かいたのだが、
次々と有機栽培に挫折してしまった。

手間とコストのわりに、生産性が安定しないからだ。

リカルドさんによると、失敗の原因は、農園内で堆肥が製造できできないことだという。

彼の「ノッサ・セニョーラ・デ・ファティマ農園」では牛と豚を飼い、堆肥をつくっている。

そして、糞のメタンガスによる発電で電気もまかなう。

農園内で物質が循環する仕組みを整えているのだ。

リカルドさんは本当に働き者だ。

朝5時からの農園に出て、自ら陣頭指揮して作業にあたる。

昼食はスタッフと一緒に社員食堂で食べる。

彼の情熱が、「森のコーヒー」の信頼を支えてくれている。


ー・ー・ー・ー


2010年のカップ・オブ・エクセレンス(国際コーヒー品評会)で、
ブラジル第1位の栄冠に輝いた有機・無農薬栽培の生産者がいる。

それが、クラウディオ・カルネイロ氏だ。

ブラジルの有機栽培の代表的農家「サンタ・テレジーニャ農園」のパウリーニョ氏を持ってして

「クラウディオのコーヒーは、すごい!」と言わしめるほどの実力。

芸術的な品質で、常に品評会では上位に入賞してきた。

だが、私は何故か彼からコーヒーを買ったというバイヤーに会ったことがなく、謎めいた存在だった。

実際に会った彼は、拍子抜けするほど普通の農家のおじさんという印象だった。

「白いハエって呼ばれているよ」

クラウディオさんは苦笑いした。

"変わり者" という意味らしい。

有機農業は、 "わざわざ苦労を好む"
と他の農家から揶揄されがちだ。

彼は長年にわたり有機・無農薬栽培を貫いてきた信念の人である。

彼の「バイシャウン農園」は良産地で知られるカルモ・デ・ミナスにある。

もともと私は、この地域の若者、ジャックとルイスパウロが起業した輸入業者から豆を買っていた。

驚いたことに、ジャックのおじさんにあたるのが、クラウディオさんだった。

ジャックによると、彼は "まるで商売気はない" のだとか。

輸出のハイシーズンをとっくに過ぎてから出荷するので、

バイヤーが買えなかったらしい。

さっそく、「森のコーヒー」を生産してもらうことになった。

甘く複雑なアロマ、シルキーでなめらかな液体。

クラウディオさんのコーヒーは、非常に上品だ。

「森のコーヒー」は彼の豆によって、さらにグレードアップした。


(つづく)

カフェーパウリスタ「森のコーヒー」①

2016-12-14 14:40:01 | お話
🌲🌲カフェー☕️パウリスタ「森🌲のコーヒー」🌲🌲


グローバル化という言葉がもてはやされていた時代、

うんうんと頭を抱えている、1人の男がいた。

カフェパウリスタ6代目社長の私、長谷川である。

就任直後にもかかわらず、巨大な壁にぶつかっていた。

当時、米シアトル系コーヒー会社の日本進出をきっかけに、

欧米の大手コーヒーチェーンが続々と上陸していた。

新しいスタイルは、あっという間に日本人の心をとらえてしまった。

一世紀あまり前、コーヒー文化を日本に初めて発信したのは、

何を隠そう私たちカフェーパウリスタだ。

銀ブラ(銀座でブラジルコーヒー)の語源となったほど、

当社のコーヒーはハイカラな西洋文化として熱狂的に支持されたという。

さぁ、日本の老舗として、ここはひとつ勝負に出なければ、

欧米チェーンにはない、パウリスタだけの価値とはなんだろうか… 。

私は、昼夜を問わず考え抜いた。

そして、当社のアイデンティティーに立ち返り、1つの答えを出した。

カフェーパウリスタは、 "ブラジル移民の父" と呼ばれた水野龍により

「ブラジルコーヒー宣伝所」

として創業した。

そこには、遠い異国のコーヒー農園で汗を流す、ブラジル移民たちの苦労に報いたいという想いがあった。

生産者とお客様の架け橋になる。

そんな当社のスピリットを、新しい形で表現したい。

運命の女神は、微笑んだ。

極めて珍しい農薬不使用コーヒーの生産者たちとの出会いが待っていたのである。

ー・ー・ー・ー


「こんな農園見たことない…」

私は言葉を失っていた。

揺れる木々、優しい木漏れ日。

そして落ち葉の積もった大地。

コーヒー樹木は他の樹木とともに、すくすくと枝を伸ばしている。

「サント・アントニオ農園」は豊かな森そのものだった。

農園の持ち主は、ジョン・ネット氏。

1980年代から有機・無農薬栽培によるコーヒーづくりに取り組んできた先駆者の1人だ。

ブラジルの大規模農園は、熱帯雨林を伐採し、そこにコーヒー樹木だけを植える。

収穫量を増やすために生産を機械化し、農薬や化学肥料を使う。

しかし彼は、農薬はおろか肥料も一切使わない。

ジャングルのようなコーヒー畑で高品質の豆を作る。

まるで奇跡の技だ。

「奇跡を行うのは、土だよ。

植物の食べ物は良い土だ」

ジョン・ネットさんが教えてくれた。

コーヒー樹木はもともと日陰を好む。

単作では、直射日光を浴びて木々は病害虫がにかかりやすくなり、

さらに農薬を使うことになるのだと言う。

一方、森では日陰樹(高木樹)がコーヒー樹木や土の微生物を守ってくれる。

「化学肥料で木々のお腹をいっぱいにしないこと。

すると木は根を深く張り、強く育つ」

と彼は言う。

そして、

「森は、コーヒーのカーザ(家)だ」

と。


農園では牛や馬、豚も育てられていた。

かわいい子豚が親豚の後をついていく。

その横で、牛が草を食んでいる。

除草剤を使わなくても、これらの生き物たちが雑草を食べてくれる。

同様に害虫はその天敵の虫に食べられる。

農薬を使わないから、生態系の調和が保たれているのだ。

「VIDA(生)を結びあう。それが自然農法ど。

農薬のようなMOTE(死)ではなくVIDA(生)を選ぶ。

それは、人生も同じこと」

ジョン・ネットさんのコーヒーは、ブラジルコーヒー本来の魅力に満ちていた。

自然の甘み、明るい酸味、そして深い味わい…。

安全・安心でおいしい農薬不使用のコーヒー、

これこそ私が探していたものだ!

さっそく日本に帰って販売すると、瞬く間に人気が出た。

こうして、パウリスタの看板商品「森のコーヒー」が誕生した。

私は、ジョン・ネットさんのように農薬・除草剤・化学肥料を一切使用せずに、

おいしいコーヒーを作ることができる生産者を、さらに探すことにした。


(つづく)


酸味が爽やかなコーヒーでした。(≧∇≦)