🍀🍀『なぜ日本に、長寿企業が圧倒的に多いのか?』🍀🍀
100年以上続いている企業は「老舗」、200年以上続いている企業は「長寿企業」と呼ばれるそうです。
では世界に「長寿企業」はどのくらいあるのでしょうか。
経済学者・後藤俊夫教授によると、8916社(2011年時点)だそうです。
では、それらの企業はどこの国に多いのでしょうか。
実はなんと日本です。日本にほぼその半分があり、しかも2番目に多いドイツの倍以上です。
つまり、圧倒的に日本に多いことが分かったのです。
なぜ日本に多いのか。その経営にはどのような特徴があるか。それについて西洋の経営学では解き明かされていません。
私は長寿企業の研究者でもあるのですが、240年以上続いている「美々卯(みみう)(大阪本店)」を調査したことがあります。すると二つの大きな特徴がありました。
一つは、料亭なのでフロアの女性たちはとても素晴らしいおもてなしを顧客にします。
と同時に、そのおもてなしを板前さんにも経営者にも同僚にもするのです。
そして経営者は、女性たちがいずれ家庭に入るかもしれないので、出汁(だし)のとり方を板前さんから教えてもらえるよう計らいます。
つまり経営者と従業員は、単に労使の関係ではなく、まるで家族のように互いに思い合い、
「SHIEN学」でいうところの、「してもらったり」「してあげたり」を自然に交換していたのです。
もう一つの特徴は「見えないもの(関係性や心)を、見えるもの(利益や形)以上に大切に考える」ということです。
「給料を払っているんだからとにかく働け」ではなく、互いに思い合う気持ちが先にあり、その上で仕事があるのです。
その序列意識が持続性につながっていきます。
たとえば、大豆を扱うある老舗があります。
ダイエットブームがやってきて、全国チェーンを持つ大手スーパーから、
「売上げ7倍、利益14倍を保証します。弊社で御社の大豆を扱わせてもらえませんか」と提案が来ました。
この会社の経営者はこう答えました。
「まったく興味がございません、どうぞお帰りください」と。
私は不思議に思い、理由を尋ねました。
「ブームに乗れば、きっと利益は上がるのでしょう。でもブームは必ず去ります。
その時、増やした設備は遊ばせればいいけど、雇った方々はどうするか。リストラみたいなことは絶対できません」というお答えでした。
岩手県にある老舗の「酔仙酒造」は東日本大震災の時、設備の全てと7人の従業員を失いました。
しかしライバル店である「岩手銘醸」に製造設備を貸してもらい、土地と建物を借りながら見事に再スタートを果たしました。
このような思い合う経営こそが日本に「長寿企業」が多い一つの理由なのではないかと思っています。
そして私は、これこそがこれから世界に広げていくべき経営の一つのあり方だと思うのです。
昨今、大企業が不祥事を起こしたり、行うべきプロセスを省略したりすることが問題になっていますが、
これはこうした「思い合う経営」が見失われている影響ではないかと私は思っているんですね。
(「みやざき中央新聞」H30.2.5 静岡大学大学院教授 舘岡康雄さんより)
100年以上続いている企業は「老舗」、200年以上続いている企業は「長寿企業」と呼ばれるそうです。
では世界に「長寿企業」はどのくらいあるのでしょうか。
経済学者・後藤俊夫教授によると、8916社(2011年時点)だそうです。
では、それらの企業はどこの国に多いのでしょうか。
実はなんと日本です。日本にほぼその半分があり、しかも2番目に多いドイツの倍以上です。
つまり、圧倒的に日本に多いことが分かったのです。
なぜ日本に多いのか。その経営にはどのような特徴があるか。それについて西洋の経営学では解き明かされていません。
私は長寿企業の研究者でもあるのですが、240年以上続いている「美々卯(みみう)(大阪本店)」を調査したことがあります。すると二つの大きな特徴がありました。
一つは、料亭なのでフロアの女性たちはとても素晴らしいおもてなしを顧客にします。
と同時に、そのおもてなしを板前さんにも経営者にも同僚にもするのです。
そして経営者は、女性たちがいずれ家庭に入るかもしれないので、出汁(だし)のとり方を板前さんから教えてもらえるよう計らいます。
つまり経営者と従業員は、単に労使の関係ではなく、まるで家族のように互いに思い合い、
「SHIEN学」でいうところの、「してもらったり」「してあげたり」を自然に交換していたのです。
もう一つの特徴は「見えないもの(関係性や心)を、見えるもの(利益や形)以上に大切に考える」ということです。
「給料を払っているんだからとにかく働け」ではなく、互いに思い合う気持ちが先にあり、その上で仕事があるのです。
その序列意識が持続性につながっていきます。
たとえば、大豆を扱うある老舗があります。
ダイエットブームがやってきて、全国チェーンを持つ大手スーパーから、
「売上げ7倍、利益14倍を保証します。弊社で御社の大豆を扱わせてもらえませんか」と提案が来ました。
この会社の経営者はこう答えました。
「まったく興味がございません、どうぞお帰りください」と。
私は不思議に思い、理由を尋ねました。
「ブームに乗れば、きっと利益は上がるのでしょう。でもブームは必ず去ります。
その時、増やした設備は遊ばせればいいけど、雇った方々はどうするか。リストラみたいなことは絶対できません」というお答えでした。
岩手県にある老舗の「酔仙酒造」は東日本大震災の時、設備の全てと7人の従業員を失いました。
しかしライバル店である「岩手銘醸」に製造設備を貸してもらい、土地と建物を借りながら見事に再スタートを果たしました。
このような思い合う経営こそが日本に「長寿企業」が多い一つの理由なのではないかと思っています。
そして私は、これこそがこれから世界に広げていくべき経営の一つのあり方だと思うのです。
昨今、大企業が不祥事を起こしたり、行うべきプロセスを省略したりすることが問題になっていますが、
これはこうした「思い合う経営」が見失われている影響ではないかと私は思っているんですね。
(「みやざき中央新聞」H30.2.5 静岡大学大学院教授 舘岡康雄さんより)