三条カレーラーメンの牽引者「大衆食堂 正広」
新潟には5大ご当地ラーメンがあると言われる。全国的に有名なのは長岡の「生姜醤油」と燕の「背脂」だろうか。ほか、新潟濃厚味噌、新潟アッサリ醤油、そして三条カレーラーメンの5つである。尤も近年は麻婆麺、妙高豚汁ラーメン、から揚げラーメンを加えて「8大」とする向きもあるが、定着まではいま一歩という印象だ。
数あるご当地麺の中で、今回は三条カレーラーメンの有名店「大衆食堂 正広」を訪問。店舗はJR弥彦線・北三条駅から北に歩いて15分ほどの第一産業道路沿いにある。元々は1966年、三条市の繁華街・本寺小路で「正広食堂」の屋号で創業。当時は町工場も多く出前で啜る人や、呑んだシメ訪れる客が多かったそう。
しかしバブル崩壊で繁華街から客が減り、ロードサイドに人が流れた。それを受けて2000年7月に今の場所に移転。現在は二代目の阿部圭介氏が味を守っている。ちなみに市内のカレーラーメン最古参は1933年創業の「大黒亭」で、「東京亭(閉店)」と「正広」がそれに続く形である。ただ知名度は「正広」が頭ひとつ抜けている。
広々とした店内はカウンター4席と4人がけボックス8卓、小上がり3卓の計48席。駐車場も16台分あり車でのアプローチも楽である。混雑時は入口の名簿に記帳し店外で待つ。大衆食堂なのでメニューは麺類に加え定食も用意。まず麺類はカレーラーメンの他、醤油、みそ、塩の各種ラーメンもラインナップしている。
さらに中華ざる、冷し中華、ざるうどん、ざるそばといった冷やしメニューも用意。飯モノにはライス、タレかつ丼、タレから丼、親子丼、カレーライスなどがあるほか、鶏のから揚げ、チキン南蛮、野菜炒め、かつ煮、ロースカツ、ギョーザの定食セットも提供している。今回は迷わず「カレーラーメン(950円)」を注文した。
スープは豚骨、鶏ガラ、鰹節、昆布、煮干し、野菜などを炊いた出汁がベース。そこにクミン、ターメリック、コリアンダーなど20種のスパイスを配合し1年熟成させて作るカレールーを合わせている。出汁感は前面に出ず、ひと口目はかなり甘めといった印象だが、しかし奥の方にピリっとした辛みを感じる。懐かしい味わいだ。
合わせる麺は自家製の中細麺。コシがあり、少しウェーブがかっているのでスープとの絡みも抜群だ。具材には大きめのジャガイモ、銀杏切りの人参、玉ネギ、豚の三枚肉がゴロゴロと。卓上のフライドガーリックを加えると、また旨味倍増。今回は連食中ゆえ遠慮したがライスも合いそうだ。カレーラーメンを牽引する「正広」の一杯、ぜひ一度。
<店舗データ>
【店名】 大衆食堂 正広
【住所】 新潟県三条市石上2-13-38
【最寄】 JR弥彦線「北三条駅」徒歩17分