奥深き「珍來」の世界
東京の北東部や千葉、埼玉、茨城にチェーン展開する中華料理店「珍來」。2018年に創業90周年を迎える老舗で、これまで多くの独立者を輩出し、暖簾分けも行ってきた。そのため、同じ「珍來」の屋号を冠していても、メニューや味、食材がまるで違うなど、一言では語れない奥深さを持っているのだ。
系統が大きく分かれたきっかけは1977年の分社である。この時に設立された1社が、埼玉県草加市に本社を置く「株式会社 珍來総本店」だ。今回訪れた梅島店を含め4つの直営店を展開。また、総本店から暖簾分けされた「珍栄会グループ」の店舗も「珍來」を名乗っている。看板は赤に白字というスタイルが多い。
そして、もう1社が、千葉県船橋市に本社をおく「株式会社 珍來」だ。こちらは千葉と茨城に10の直営店を展開している。Jリーグ柏レイソルのスポンサーで、コラボメニューも提供。ロードサイドの大型店舗が多く、看板にはポップなドラゴンのイラストが描かれるなどファミリー向けの感が強い。
この2社が、いわゆる「本流」となるわけだが、さらに「茨城珍來」や「珍来東金店グループ」といった第三勢力まで存在。だから「珍來」と一口に言っても、それぞれの系統で全く違うのである。これまで様々な「珍來」を訪問してきたが、個人的には昭和の雰囲気を残す「総本店」系列が一番の好みだ。
私の定番はチャーシューメン+焼売2個=1000円という組み合わせ。ラーメンは豚骨、鶏ガラがベースの醤油清湯に、自社製麺の多加水縮れ麺。肩ロース肉の大判チャーシューが「肉を喰らっている!」という感じで好き。シンプルが故に時々食べたくなる一杯だ。なお、総本店はメニューが全てボリューミーな上、席に座るとサービスで「ゆで玉子」がついてくるので、注文しすぎないようご注意を。
<店舗データ>
【店名】 珍來総本店 梅島店
【住所】 東京都足立区梅田7-34-13
【最寄】 東武スカイツリー線「梅島駅」徒歩3分