老舗の大胆リニューアルで鶏炭焼きを麺に
「江戸むらさき」というお笑いコンビをご存じだろうか?1996年に野村浩二氏と磯山良司氏で結成され、NHK「爆笑オンエアバトル」など様々なネタ番組でテンポの良いショートコントを見せてくれた2人だ。ともに実家はラーメン店で、野村氏の父は茨城県を中心に数店舗を展開する「麺ズ・クラブ」の社長を務めている。
そして磯山氏の父は、元は「麺ズ・クラブ」の専務で、のちに独立して常総市で「麺くら 石下店」を営んでいた。創業当時は景気は良かったそうだが、昨今は人口減少に加え原材料高騰、常総水害が影響し売り上げは低迷。2018年に磯山氏が芸人の活動を休止し店を手伝うも上向く事はなく、赤字転落の借金経営となっていた。
そんな「麺くら」の立て直しに名乗りを上げたのが「銀だこ」の佐瀬守男社長である。TBSの番組「坂上&指原のつぶれない店」の企画の一環だ。佐瀬氏は宮崎・小林養鶏の鶏の炭火焼「ザル焼き」をインスパイアし、新ジャンルのラーメンを開発。2023年11月28日にリニューアルしたのが今回訪れた「鶏そば炭や 常総店」なのだ。
お店は関東鉄道常総線・南石下駅から歩いて15分ほど。国道294号=常総バイパス沿い、石下紫峰高南交差点そばにある。カウンターのみ18席の店内は満席。休日夜ということもあってか10余人待ちの盛況ぶりだ。麺メニューだが、スープは白湯の「鶏そば」一本で、炭焼きや炭餃子、味玉、焼き海苔などを追加トッピング出来る。
一方の飯モノも充実。チキン南蛮丼、油淋鶏丼、鶏そぼろ丼、明太子ご飯といったミニ丼に加えて、フルサイズの「炭焼き鶏重」もラインナップしている。またチキン南蛮や油淋鶏、小林養鶏の炊き餃子を単品で注文することも可能だ。今回は「特製炭焼 鶏そば(1200円)」に「チキン南蛮丼 小(350円)」を付けて注文した。
厨房では炭火の焼き台の前で鶏肉の入ったザルを振る良司氏の姿が。着丼までは7分ほど。丼の主役ともいえるザル焼きの鶏モモ肉が抜群に良い香りを放っている。肉は固くならずジューシーで絶品だ。スープに浮かぶマー油との相性も良い。泡立つスープは甘味がありクリーミーな鶏白湯だ。そこにサッポロ製麺特注の中太麺が泳ぐ。
やや柔らか目の茹で上がりでスープとの相性は良い。ほかトッピングには味玉半玉、焼ネギ、水菜、ラディッシュ、海苔、刻みネギが乗る。卓上には柚子胡椒、黒七味があるのでお好みで味調整を。一方の「チキン南蛮丼」は揚げたてでサクサクの鶏に甘ダレと酸味の効いたタルタルの組み合わせ。こんなの旨いに決まっている。
どちらも中毒性が高く、あっという間に完食した。駐車場に遠方のナンバーが多いのも頷ける。店の立て直しに奔走する良司氏に所属事務所も相方も理解があり、芸人引退ではなく「いつでも戻って来られるように」と活動休止としているそうだ。ピン芸人として待つ野村氏と良司氏が、再びともに舞台に立つ日は来るだろうか。
<店舗データ>
【店名】 鶏そば炭や 常総店
【住所】 茨城県常総市新石下625-95
【最寄】 関東鉄道常総線「南石下駅」徒歩15分(1km)