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肥宝館 -貧すれば丼する-

【茨城 坂東市】 論露に不二「松茸と水 不二の特製盛(1350円)+御握り(200円)」

坂東市の話題店「論露に不二」

茨城県坂東市の南端、利根川に架かる芽吹大橋そばの県道3号沿いで2021年4月16日から営業する「論露に不二(ろんろにふじ)」へ。坂東市内には鉄道駅が無く、東武野田線の愛宕駅が最寄りとなる。公共交通機関を利用するなら愛宕駅から茨急バスの岩井車庫行きに乗り、「小山入口」停留所で降りると店はすぐそこだ。

だが、このバスは概ね1時間に1本。タッチの差で逃し「愛宕駅」から歩いたが、5キロ程あっただろうか。50分ほどかかって到着した。畑の中に突如として現れる茶色い漆喰の外壁。玄関には白い暖簾と屋号を筆書きした木札。一見ではラーメン屋とわからないビジュアルは、オープン当初、地元でも「何の店だ?」と話題になったそうだ。

オーナーは格闘家からラーメン屋に転身。つくばの行列店「つくばらーめん 鬼者語」での修行を経て独立創業した。それだけに前評判も高かった。屋号の正確な意味はわからないが勝手に解釈するならば、論ずるという事は露の様に儚く、それでいて二つとない事である…的な意味だろうか。とにかく気になる所が多い店である。

店内はカウンター4席と、4人掛けと6人掛けのテーブルが2卓ずつの計24席。行列時は食券を購入後に並ぶルールのようだが、平日夜だからか運よく並び無しで着席出来た。麺メニューがまた個性的で、レギュラーメニューは贅沢に松茸で出汁をとった「松茸と水」、金目鯛100%の「鮮魚と水」、「純鶏つけ蕎麦」の3種をラインナップ。

さらに黒板には限定メニューが記載されており、この日は「水出し煮干蕎麦」「濃厚鶏蕎麦」「魚介出汁の中華蕎麦」も提供していた。その上、クオリティの高い「替玉」も人気で、この日は桜海老、青唐子、梅紫蘇、木の子のジェノベーゼ、牡蠣のソースを用意。いずれも、ひと皿の完成された麺料理のようなビジュアルである。

また、ポルチーニ茸の炊き込みご飯の「御握り」や、季節の焼野菜、鴨焼き、水餃子といったサイドメニューに加え、酒類も茨城県のクラフトビール「常陸野ネストビール」を呑むことが出来る。あれこれ頼んでみたくなるが、残念ながら胃袋は一つ。今回は「松茸と水 不二の特製盛(1350円)」と「御握り(200円)」を注文した。

水はセルフサービスで、πウォーターのほか、アップルシナモン、パインインジャー、ジャスミンとローズマリーといった「デトックスウォーター」も置いている。効果のほどはさておき、ガラスのドリンクサーバーが並ぶ様子には気分が上がる。飲み比べをしているうちに、菊の花が散らされた華やかな一杯が到着した。

着丼と同時にフワっと立ち上る松茸の香り。ラーメン屋では初めての体験だ。そして特製トッピングは別皿で、美しく盛り付けられ提供される。まずはスープをひと口。松茸は日本産と中国産あわせて出汁をとっているそう。そこに円みある醤油のカエシを重ねている。松茸主軸の出汁だが香味油も手伝って、不思議と物足りなさはない。

合わせる麺は自家製で、日本蕎麦のような食感の中細ストレート。スープとの相性は抜群だ。そして細かく刻んだ松茸を麺と共に啜ると、一層強い香りが鼻に抜ける。チャーシューは低温調理の鶏ムネ肉が別皿分と合わせて4枚。加えて、ベーコンのような仕上がりの釜焼きされた豚肉がたっぷりと盛り付けられている。

鶏はしっとりした仕上がりで、豚は塩味がやや強めだが、このスープの中では良いアクセントになっている。味玉も黄身ネットリで良い味。ほか、丼には豆苗、食用菊、出汁で炊いたレンコン、紫玉ネギ、小口ネギが盛り付けられており、別皿トッピングには甘めの味付けの穂先メンマ、枝豆、ミニトマト、ジェノベーゼソースも乗る。

なお卓上にはレモンビネガー、柚胡椒、花山椒があるのでお好みで味調整を。そしてスタッフの教え通り、麺を8割がた啜り終えた所で「御握り」をお願いする。こちらは先述の通りポルチーニ茸を使った醤油味の炊き込みご飯。鰹節、枝豆、蓮根、唐辛子、豚の釜焼きチャーシュー、食用菊、小口ネギが盛り付けられ、麺同様に華やかだ。

200円とは思えない出来で驚いてしまう。もちろん、そのまま食べても十分に満足できるが、残ったスープに投入することで出汁の新たな旨味に気付かせてくれる。ゆったりした空間での新しい食体験。非常に満足度の高い夕食となった。今回は胃袋の都合で注文しなかったが、次回は絶対に「替玉」を追加しよう。

<店舗データ>

【店名】 論露に不二(ろんろにふじ)
【住所】 茨城県坂東市矢作3083-1
【最寄】 東武野田線「愛宕駅」徒歩50分(約5km)

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