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肥宝館 -貧すれば丼する-

【徳島 日和佐】 阿波尾鶏中華そば藍庵「特製中華そば(1000円)」

都内名店の姉妹店が日和佐の町を賑やかす

徳島県南東部、風光明媚な海岸線が続く美波町。2006年に日和佐町と由岐町が合併して生まれた町だ。アカウミガメの産卵地として有名で大浜海岸や、うみがめ博物館「カレッタ」 、厄除け祈願の寺として弘法大師が弘仁6年(815年)に開基した四国八十八カ所第23番札所の「薬王寺」を有し、ドライブやツーリングで訪れる観光客も多い。

また近年は、まちづくりのキャッチフレーズを「“にぎやかそ”にぎやかな過疎の町 美波町」と定め、移住起業の支援なども盛んに行っている。確かに、人口は少ないが活気を感じる町である。さて、今回はJR日和佐駅から北へ歩いて6分ほど。薬王寺の門前町・桜町商店街で2018年8月から営業する「阿波尾鶏中華そば藍庵」へ。

こちらは、東京都板橋区の大山商店街にある行列店「Morris」を経営する松田徹時氏が長男の笑太氏と移住しオープンした店で、Morrisの姉妹店にあたる。町の門前町活性化事業で採用され、昭和初期に建てられた木造住宅を改修して入居した形だ。軒先の暖簾や食器には徳島の名産「藍」を取り入れており、雰囲気たっぷり。

店内はカウンター6席と、奥にはテーブル席も。麺メニューは「中華そば」「生姜中華そば」「わんたんめん」が、それぞれ醤油と塩を用意。ほか「つけ麺」や、土日祝限定で「肉煮干し中華そば」も提供している。また「阿波尾鶏炭火炙り親子丼」「地元漁師タツ兄のアオリイカ沖漬丼」といった、ソソる名前の飯モノも。

今回は「特製中華そば(1000円)」と「地元漁師タツ兄のアオリイカ沖漬丼(350円)」を注文した。スープは阿波尾鶏のガラとモミジをベースに、煮干しや鯖、サンマといった魚介を、ほのかに感じられる程度に合わせた清湯だ。また薬師如来が本尊の薬王寺にちなみ、ナツメや高麗人参、生姜などを加え薬膳仕立てにしているのも特徴だ。

鶏の旨味をしっかり感じるスープで、そこに関東の醤油と徳島県内の蔵の熟成醤油を合わせた円みあるカエシを重ねている。甘すぎず、塩辛すぎず、ほのかな酸味もあって、スッキリした飲み口に仕上がっている。合わせる麺は厨房横の製麺機で打った自家製の中細麺。コシがあってスープとの相性も抜群だ。箸もレンゲも止まらない。

そして、チャーシューは皮目を炙ってあり香ばしい鶏モモ肉が2枚と、低温調理でしっとりした鶏ムネ肉が1枚。どちらも良い味だ。ほか、黄身ネットリの味玉、歯応えある手作りメンマ、香りの良い海苔、安っぽくないナルト、刻みネギがトッピングされる。阿波尾鶏を基調にしっかり纏まった一杯で、美味しく完食した。

一方、お楽しみの「アオリイカ沖漬丼」。釣り人にアオリイカの聖地として知られる日和佐ならではのメニューだ。少し甘味ある醤油ダレでしっかり味付けされたイカは、ネットリとまとわりつくような食感で絶品。お腹に余裕のある方には是非おススメしたい。東京のセンスと理想の田舎の融合。まさに「にぎやかそ」を体現した名店である。

<店舗データ>

【店名】 阿波尾鶏中華そば 藍庵
【住所】 徳島県海部郡美波町奥河内字寺前229-1
【最寄】 JR牟岐線「日和佐駅」徒歩6分

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