店主急逝を乗り越え弟子が繋ぐ「焼麺」
JR武蔵野線・三郷駅から県道29号=草加流山線を西へ歩いて17~8分ほど。新三郷浄水場そばで営業する「焼麺 劔(つるぎ)」へ。創業者の星剣馬氏は旭川発祥の老舗「梅光軒」で修業し、2011年にまずは高田馬場に「劔」を創業。オリジナルの「焼麺」が評判を呼び、2018年2月には星氏の地元である三郷に2号店をオープンした。
しかし新型コロナの影響を受け三郷店は唐揚げ店に業態変更した。生き残りの道を模索していたのだが、なんと星氏が事故で他界。そこで弟子である浦澤雄基氏が事業を引き継ぎ、星氏の「焼麺」を後世に残そうと再びラーメン店にリニューアル。クラウドファウンディングで出資を募ると、数日で200万円超の資金が集まった。
三郷で「劔」の再開を祈っていたファンは多かったようだ。いまは券売機の上に支援者のネームプレートが掲げられている。店内はカウンターとテーブルで合わせて22席。麺メニューは「焼麺」とベジポタスープの「ラーメン」の2軸で、かつて提供していたベジポタ味噌やアッサリ系ラーメン、担々麺などは辞めて2軸に絞ったようだ。
トッピングにはチャーシュー、揚げネギ、メンマに加え、焼麺と相性最高の「目玉焼き」も用意している。サイドメニューには餃子やライス、焼チャーシュー丼をラインナップ。今回は「焼麺(780円)」に目玉焼き(60円)と揚げネギ(110円)をトッピングし注文することに。なお、麺は大盛が無料ということなのでお願いした。
先に提供される味変用の鰹節を、すり鉢で擦りながら待つこと8分ほどで着丼した。焼き色の付いた極太麺は、茹でた後に片面を鉄板でカリカリに焼き、仕上げに蒸し焼きにしてモチモチ感も残して仕上げたもの。それを、トロみのあるポタージュスープに絡め、少しずつ解しながら啜っていく。唯一無二の味わいで病みつきになる。
スープは豚骨魚介に男爵芋など野菜を大量に加えて作ったポタージュだ。食べ終わった後に丼底に骨粉が溜まるほど、しっかり豚骨を高温で炊いてあり旨味十分。ベロンと横たわるチャーシューは箸でほぐれる柔らかさ。醤油ダレ染みてジューシーだ。そして、目玉焼きを崩し、揚げネギ&ネギ極太メンマと一緒に食べ進める。
途中で擦った鰹節と卓上の紅生姜を加えれば、不思議とお好み焼きのような風味に。おろしニンニクも加えてジャンキーに締めくくる。揚げネギは無くても十分楽しめたかな。なお、店は三郷駅から歩けぬ距離ではないが、道中には田中そば、天下一品などのラーメン店はじめロードサイド型の飲食店が多い。強い気持ちで向かうべし。
<店舗データ>
【店名】 焼麺劔(つるぎ)三郷店
【住所】 埼玉県三郷市駒形131-1
【最寄】 JR武蔵野線「三郷駅」徒歩17分
★2023年7月31日をもって閉店。残念…