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テレビっ子のひとり突っ込み

『ミセン-未生-』感想

2022-02-22 23:51:53 | 韓国ドラマ
          
2014年 韓国


◆おススメ度
★★★☆☆


◆キャスト
・チャン・グレ(主人公。ワン・インターナショナルの契約社員):イム・シワン
・アン・ヨンイ(チャン・グレの唯一の女性同期):カン・ソラ
・チャン・ベッキ(チャン・グレの同期、鉄鋼本部所属):カン・ハヌル
・オ・サンシク(営業3課の課長代理、チャン・グレの上司):イ・ソンミン
・ハン・ソンニュル(チャン・グレの同期):ピョン・ヨハン
・キム・ドンシク(営業3課、チャン・グレの先輩):キム・デミョン
・カン・ヘジュン(鉄鋼本部所属、チャン・ベッキの先輩):オ・ミンソク


◆感想

イム・シワンの代表作、って感じのいい作品だとは思うんですが・・・感想としてはとにかく暗い。
韓国ドラマって、こういう社会の闇を浮き彫りにする系の暗い雰囲気のドラマが多いですが、ラブコメ要素がほぼない分さらに暗いです。

このドラマは、うっかり(?)何年か前に日本リメイク版の中島裕翔が出ているやつを見ちゃってたので、ストーリー自体はだいたい分かって
見てましたが、まぁでもみたのはだいぶ前だったので、別作品として楽しめました。


ドラマの内容としては、囲碁の才能ある主人公がプロの棋士を目指して人生の大半を囲碁に費やしていたが、父親が倒れたことでバイトと
囲碁の両立を余儀なくされ、最終的には父親の死やバイトによる囲碁の時間が削られたことなどから入段試験に失敗し、囲碁の世界を諦めて
社会人として生活を始めるも囲碁しか知らない主人公(チャン・グレ)は、周囲とのコミュニケーションがうまく取れず挫折。

兵役に行ったり、その後もバイト生活をしたりして過ごすが、囲碁の師匠のツテでワン・インターナショナルを紹介してもらい、インターン生
として会社勤めを始めるところから物語が始まります。

   

韓国5大商社と言われるうちの一つ、ワン・インターナショナルに奇跡的に高卒で入社したチャン・グレは、商社に勤める社員としてのベース
が全くない(語学力とか業界知識とか)状態で、しばしば嫌がらせされたり、ピンチに陥ったりを繰り返しながらも囲碁で鍛えた状況と先を
見越して判断・行動する力とか忍耐力、それから持ち前の機転や、仲間の助けなどもあって逆境を乗り越え、苦境を切り抜けていくっていう
サクセスストーリー。

けど、どんなに頑張っても、どんなに素質があっても、学歴社会と大企業の慣例の壁は越えられず・・・

といったお話です。


まー、色んな問題ややばい状況を会社員としての常識がないからこその発想だったり、他の人にはない経験からの考えだたりで解決したり
する様子は爽快でもあるんですが、それを上回る重い過去や大企業にありがちな派閥争いや、ライバルたちとの小競り合いとか、けっこう
ツラくて暗くて重い雰囲気のドラマです。

     

主人公だけでなく、同期それぞれが特有の悩みを抱えていて、それがきっと韓国社会で働く人々のリアルなストレスと重なってドラマとして
支持されたのかもなーって思います。

主人公のチャン・グレは、なんで!?っていう感じの大きい会社にコネでインターンとして採用され、そこから契約社員になるんですが、
結局は契約期間満了時に正社員にはなれずに契約終了(解雇される)しちゃうんですが、そもそもなんでコネでそんなでかい企業に口をきいて
もらっちゃったのかって思っちゃいます。(チャン・グレの知らないところで話が進んでたんだけども。)最初から、学歴なんかを気にせず
新入社員教育とかちゃんとしてくれる中小企業って韓国にはないのか!?
まー、それだとドラマにはなんないか・・・。


ちなみに、"未生" とは囲碁用語らしく、「 死んでもいないし、生きてもいない石 」という意味の言葉で、 囲碁の勝負の中で、必要の
なくなった石ではないが、これから必要になるかもわからない状態の石といった状態らしいです。

このドラマ日本でリメイクされた時のタイトル「HOPE〜期待ゼロの新入社員〜」だったんですが、タイトルがすごくイマイチだと思って
ました。
"未生"が囲碁用語なんだったら、タイトルそのままでもよかったのでは?漢字なんだし、囲碁用語の日本語読みで。

(韓国、中国ドラマ見るようになって日本のドラマをほとんど見なくなっちゃいましたが、それまでは民法で放送されるほとんどの
ドラマの1話目を録画してそこからよほど見たくないと判断したものだけ脱落って感じで見てたので、まぁタイトルで見るかどうかを判断
してたわけではないんだけども。)

まぁ、でも"未生"っていう言葉の意味を知ると、日本版タイトルも確かにそのままの意味ではあるかなって今となっては思います。


ちなみに、このドラマ先に「HOPE〜期待ゼロの新入社員〜」を見てたので、ところどころ思い出して比較しちゃったりして、そういう
リメイク版を重複してみる楽しさも感じながら見ました。

例えば、主人公の上司のオ・サンシク課長代理。イ・ソンミンて役者さんがやってるんですが、これが日本版だと遠藤憲一がやっていて、
なんかサラリーマンとしてのくたびれ具合がめっちゃ似てる。
あとは、3課の仲間のキム・ドンシクの日本版で山内圭哉。これもめっちゃいいところ付いた配役だなと思いました。(その前の民王から
引きずった配役なのかなとその時はおもったけど。)

ただ、主人公のねー、イム・シワンの透明感を持ち合わせた若手俳優は日本にはいないのかなーってちょっと思います。
日本版でも、イム・シワンに合わせてアイドルでありながら演技もできるっていう若手を起用したのかもですが。

まー、なんだかんだ言ってもジャニ好きなので、中島裕翔も悪くはないんですが、いかんせん身長と顔が伸びすぎたかなと・・・。
身長は伸びたのに、長瀬智也や松岡昌宏みたいな存在感がないしねー。(Hey! Say! JUMP多すぎて、売り込みの力の入れ具合が分散され
ちゃうっていうのもあるのかもね。)今後に期待します。

でも確かに、ジャニーズで俳優として主演ができる人ってなるとなんかどうしてもドヤ感がでちゃう人が多いような・・・。なので、
やっぱ中島裕翔だったのかも。そういう意味では、佐藤勝利も悪くはないかもだけど、演技力がイマイチ?


あとは、カン・ハヌルがよかった。メガネがイマイチだったけど、カン・ハヌルが演じるチャン・ベッキのプライド高い感じと、天狗の
鼻がへし折られる感じ、そしてチャン・グレへの嫉妬と罪悪感。
物語終盤では、珍しく主人公を差し置いて脇役の彼の恋を応援したくなりました。(瀬戸康史の方は全く覚えていないんだけども、日本版
の彼の恋はちゃっかりリアルに叶っちゃってるし。)

このドラマの1年前の作品の「相続者たち」では、線の細くて繊細な心の持ち主の美少年高校生役やってたのに、次の年のこのドラマでは、
急に成長した感じでちゃんと社会人ぽい体形になってたのがすごい。(髪型とメガネもあるかもだけど。)でも、高校球児がプロ野球選手
になったくらいの見た目の変貌がある気がします。

そして、チャン・ベッキの先輩のカン・ヘジュン。なんか、見ていて敵なのか味方なのか信じていいのかどうかすごくドキドキさせられる
先輩でした。めっちゃこの人見たことあるなって思ってたら、「王は愛する」で怪しさ全開の役人?(黒幕だったような)をやってた人
だったからでした。
このドラマでは、頑張る後輩にはちゃんと誠意をもって指導してくれる、ちょい人見知り(?)な先輩です。このドラマ以外では悪役が
多いオ・ミンソク。



それから、本編に全く関係なんだけどこのドラマではよく見かける屋上シーン。(なんか屋上が2段階か3段階ある?)
そっから見える駅舎をみてちょっと違和感。

これ、東京駅じゃね?って一瞬思っちゃった建物。
気になって調べたところ、旧ソウル駅らしいです。



なんか、ちょっと東京駅に似てない?
でさらに調べてみると、設計者が東京駅の赤レンガ駅舎を設計した辰野金吾の教え子の建築家塚本靖って方らしい。それだけで似ちゃう
ものなの?


<東京駅丸の内側>


ちなみに、中国にある瀋陽駅っていうのもこんな感じで、



旧ソウル駅に比べると若干東京駅テイストはうす目ですが、こっちも、辰野金吾の教え子太田毅と吉田宗太郎によって設計された駅舎らしいです。
(遼寧省瀋陽市は旧満州時代には奉天と呼ばれてたところらしい。あー、「ジョーカー・ゲーム」のシリーズの4作目の「ラスト・ワルツ」のアジア・
エクスプレスの中に出てきた気がする。奉天。だから日本人の設計なのね。)


でも、辰野金吾の設計の基本が赤レンガ造りって感じで、

みずほ銀行京都中央支店とか


大阪市中央公会堂とか


なので、やっぱ師事してたらそうなるのかもね。


ちょっとドラマから脱線しちゃいましたが、イム・シワンとカン・ハヌル好きな人にとっては見とかなきゃいけない作品の一つです。


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (chorus-kazeアッコ)
2022-02-28 11:38:34
こんにちは〜
「ミセン」は随分前に観ました。
確かに画面全体の映像も、筋書きも暗いし
囲碁で天才少年と言われた子供も
学歴など何の取り柄もないと、一流商社では
まず就職なんてあり得ないんですが
その辺りの運びに、どうなっていくのかも興味あって
観続けました。
私はイ・ソンミンの部長が好きです。
カン・ハヌルは、ここでは優秀なエリートなのに
何だかチャン・グレに気後れしてる感じが面白い。
イム・シワンの、元々諦めが入った雰囲気が
この俳優さんの独特な持ち味で自然ですね。

カン・ソラが演じる才色兼備な女性社員。
この人のロシア語で電話対応するシーンが圧巻でした。
韓国ドラマは、俳優陣の英語など外国語の発音が
ネイティブみたいでいつも感服します。
日本人俳優はここまで芝居できるんかなぁと思うと
失望しそうで、リメイクなどはあまり観ませんね。
インターンたちのプレゼンシーンも興味深かったので
個人的には好きなドラマでした( ◠‿◠ )
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Unknown (chorus-kazeアッコ)
2022-02-28 11:40:53
タイトルの日本語版、そのまんま剥き出しですね。
脳が無い。「ミセン」でいいですよね〜
返信する
>chorus-kaze(アッコ)さん (miso)
2022-02-28 22:51:27
こんばんは。

私も、韓国や中国の役者さんたちがけっこうフツウに
外国語を話しているシーンを見るたび、日本はそれだけでも
遅れを取ってるなー、って思います。
(福士蒼汰とか独学で英語勉強して話せる人もいるいたいですけども。)

インターンたちのプレゼンシーンよかったですね。
インターン制度もそうだし(日本だと、そういうのがあるのかすら知れない)
彼らを通じて韓国の色んなことを知れる興味深いドラマで良かったなって思います。
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