2020年 日本の映画
◆おススメ度
★★☆☆☆
◆キャスト
斎藤数馬(僕):中村倫也
一ノ瀬(僕の友人):石橋菜津美
安藤(主人公の主治医):きたろう
瑞野(図書館で働く女性):深川麻衣
高橋(月曜日の僕の友人):休日課長
新木(安藤の助手):中島歩
◆感想・内容紹介(ネタバレあり)
最近、字幕に慣れてたので、たまに邦画を見るとセリフがめっちゃ聞き取りにくい。かといって音量上げると、突然の効果音が大音量で響いたりするし。
(単純にサウンドバーの設定をもっと調整すればいいだけの話かもしれないけども・・・。)
去年、中村倫也がこの映画のプロモーションのためによくバラエティ番組出てたのはみかけていて、タイトルだけは知っててちょっと観てみたいなとは思って
たんだけど、コロナでなかなか映画館へ行くことができなくて、今回プライムになってたので見てみた。
中村倫也のプロモーションは流し見してたので、内容は知らず。ただ、断片的に「月曜から日曜までがいて、その中で水曜日がいなくなっちゃって・・」そうすると
秩序がどうのって言ってたような気がしたけど、よく覚えてない。
月曜から日曜までの日替わりの恋人がいるのかなー、くらいに思ってたら・・・
月曜から日曜日までそれぞれの曜日に出現する7人格を持つ、解離性同一性障害を患う青年の話だった。
物語は火曜日だけ目覚める僕の起床から始まる。
中村倫也演じる僕が、火曜日にの7時に目覚めると、寝間着はひどいタバコ臭、サイドテーブルには「後はよろしく」のメモ。そして、タバコの吸い殻や酒の空き缶
などが部屋に散らばり、おまけにベッドの隣には知らない女が寝ていたりする。火曜日の朝は、そんな状況の片付けから始まる。
タバコの吸い殻や空き缶を捨て、冷蔵庫の賞味期限切れの食品を片付け、他の曜日からの伝言を確認し、他の曜日の1週間の出来事、例えば日曜日が遺した釣果の
記録(でかい魚の魚拓)なんかを確認し、ゴハンを食べて研究施設へ向かう。
主治医との面談の後は、家に帰り、テーブル代わりになっている卓球台の上を片付け、トレーニング代わりに卓球の壁打ち。
その間に、友人の一ノ瀬が家に訪ねて来て、愚痴を言うのがどうやら火曜の僕のルーティーン。
火曜日担当の「僕」は言う。目が覚めたらいつも火曜日だし、1年は52日しかないし、朝の音楽はバッハで帰りの音楽はドヴォルザーク。(小学校の登下校の放送音楽
かな?)図書館はいつも休館日。1週間で一番つまらない日だ、と。
あー、なるほど!「水曜日が消えた」って言うのは、火曜日しか生きられない僕が、火曜日の不満を言ってたら、水曜日の人格がいなくなっちゃって、火曜日の僕が
火曜日と水曜日を生きることになっちゃうって話か!あ、ついでにどんどん他の曜日の人格も統合されていって、統合失調症が治るって話かな。
なんて思ってたら、次に僕が目覚めたのは予想通り、水曜日の朝。
火曜の僕は、目覚めるといつものルーティーンでシャツの臭いを確かめるが臭くない。テレビを見て、慌てて燃えるごみを出しに行くも、タッチの差でゴミ収集車が
去ってしまう・・・。
訳が分からず、火曜日の僕がごみ袋を持って立ち尽くしていると、自分を知ってそうな雰囲気の女性に会釈される。いつもと違う朝に、火曜日の僕は自分が水曜日に
目覚めたことを再確認し、嬉しくなる。早速、いつも閉まっている図書館に出かける火曜日の僕。
そして、火曜日の僕はそこで、今朝会った女性に再会する。
いつも火曜日の枠に閉じこもってた僕は、そこから外に出られたこと、そして、初めて知り合った女性と声を交わしたことでテンションが上がり、その女性に恋を
してしまう。
そして翌週の火曜日。シャツは臭く、タバコの吸い殻と空き缶だらけの部屋。いつもの火曜日。ベッドの隣には・・・ヒゲ面のオッサン!!
「続き、やる?」
と言われ、驚き、オッサン(休日課長)を追い出す。
「昨日はあんなに盛り上がったのに・・・」とつぶやくオッサン。
オッサンを追い出し、月曜日はバイなのかと驚く火曜日の僕(と視聴者)。気づくと、僕はスカート履いてイヤリングにメイク。(なんじゃこりゃー!!)と思うも、
月曜の残した活動の証跡をみると、バンド衣装コンセプトとして、今の自分の格好。(つまり、あのヒゲのオッサンは音楽仲間で、昨日はセッションかなんかで盛り
上がって、その続きをやろうって言われたってことですね。ちょっと一安心。)
そして、いつもの火曜のルーティーンをこなす僕。
研究施設で、主治医に「何かあった?」と聞かれるも、何もないと誤魔化す僕。けれど、安藤先生が見てたのは日曜日の釣果の記録。ちっちゃい魚の絵(?)。「今週は
調子悪いみたいだ、日曜日君。」(ひょっとして、他の曜日も別の曜日に統合されつつあるのかな?と思う場面。)
火曜日の世界が水曜日にも広がったことにちょっとだけ喜びを感じる火曜日の僕は、先生にこのことがバレて今の生活が崩されてしまうことを恐れ、必死に隠す。
いつものように、一ノ瀬が遊びにやってくるが、図書館で借りた本について言及され、水曜日のことがバレるんじゃないかと、言い訳で口数が多くなってしまう
僕に疑いを持つ一ノ瀬。
そして、翌水曜にまた目覚める火曜日の僕。図書館の女性に言われたので、水曜日のクローゼットからシャカシャカ素材の服を選んで着るも、一ノ瀬に会い、あっけ
なくバレてしまう。
一ノ瀬は、僕のことを心配し、先生にちゃんと言うべきだと話す。(ここがちょっと謎な部分ですが、理由があったことが後ほど判明。)
しかし、水曜日を手に入れた火曜日の僕は、もうちょっとだけこのまま生活したいと、秘密にしてくれと懇願する。
そこから、色々あって、図書館の女性に告白されてしまう僕。一瞬浮かれるが、女性が好きになった僕は、火曜日の僕でもあるが、元々の水曜日の僕であり、月曜日
の僕でもあることを知り、困惑(軽い失望?)すると同時に、話の途中でブツブツ記憶が途切れていく現象が起こる。
異変はその後何度かあり、自宅で倒れ、携帯の着信音で意識が戻ると、今日が木曜日だということに気付く火曜日の僕。イラストレーターっぽい木曜日に、発注相手
から締め切り催促の電話があり、木曜の仕事の状況を知らない火曜日の僕はパニックに。
そうして最終的に、各曜日それぞれ自分の世界があり、やっぱり各自に彼らの世界を返すべきだと考えた火曜日の僕は、研究施設に連絡することにするが、またも
記憶が途切れ、途切れた時間の間に、月曜日の僕からの動画メッセージが再生される。
金、土、日もいつの間にか消え、それが月曜日のものになっていたと・・・。
まぁ、ここがこの映画の一番の盛り上がりのところなのですが、果たして結末は・・・。
多重人格のお話って、大概複数人格が最終的に善人の主人公と悪人の2人格になって、その2人格で戦いの末、悪人の人格に虐げられた何人目かの弱い人格がちょっと
出て来て善人の主人公の見方をして消滅する、みたいな、その戦いが周りの人々を巻き込んで壮絶なものになる、みたいなストーリーが多い気がしますが、今回の
ストーリーはちょっと新しい。
なんか、最初に、「水曜日以外の他の曜日の人格も統合されていって、統合失調症が治る」っていう、この治るって言う状態を決めつけてた自分をちょっと反省しま
した。(あと、多重人格と統合失調症と解離性同一性障害の違いがイマイチ分かってないです。)
主人公の夢?なのかときどき再生される記憶の中に、ちょいちょい小学生の時の事故の光景が出て来て、その光景から想像される
「小学生の僕が、転校することになって、好きだった女の子に頑張って声をかけて、お別れの記念に何か君のものを貰えないかっておねだりして、キーホルダー状の
防犯ブザーを貰うが、引っ越しする車の中でその防犯ブザーを鳴らした直後に事故に遭う」
っていうストーリー。
それが何度も繰り返されるので、いろんな想像が膨らんでしまう。
①事故の原因が、このブザーの音にびっくりした親のハンドル操作誤りだったことがわかり、主人公に罪悪感と少女に対するなんらかの感情によって精神分裂
②この事故で、実は好きだった少女を巻き込んでしまい、その少女が亡くなった。そしてその少女が実は一ノ瀬で、一ノ瀬は実は僕にしか見えていない存在
③この事故は、実は6人の人を巻き込んだ大事故で、その亡くなった6人が一人生き残った僕の体に入り込んで今の状態になっている
とか。そういうことを色々想像しながら見てたわけですが、まぁ、全部違いました(笑)
まー、よくある気怠い系の邦画の一つって感じでした。
悪くはないんだけど、盛り上がりに欠けるし、多分何年後かには内容覚えていない系の。
ただ、この映画の秀逸なところが一つ。エンディングロールの演出。
エンディングロールの背景に、各曜日の交流メモが映し出される。
ぶっちゃけ、ここがこの映画で一番面白くて何度もプレビューして見ちゃいました。
映画の最後の方で、土曜日の僕が金曜からのメッセージを受け取っている場面で、机の端に車のキーを見つけ、「え、車買ったの?てか、免許いつ取ったの?僕」って
セリフが出て来て、釣り好きの日曜日がその車で釣りにでかけようとする場面に引き継がれる。
それが、エンドロールの付箋メモに引き継がれてる演出。
水:「すみません、今朝車をガレージでこすってしまいました・・・。(へたくそな車の絵と傷の箇所)」
木:「あ、オレもです。(めっちゃうまい車の絵と傷の箇所)」
金:「同じく。バンパーの下の部分を少し傷つけてしまいました。(正方投影図っぽい車の絵と傷の箇所)」
土:「すみませーん。夜中にこっそり練習しようとしてやっちゃいました・・・(ヘタな車の絵と傷の箇所)」
日:(魚が泣いてる絵と傷の箇所)
月:「ごめんちょっとこすったかも?(てきとーな車の絵と傷かもしれない箇所)」
火:「一週間でボコボコじゃん!!」
で、火曜日の僕が買った車だってことが判明、みたいな。c(それぞれの絵がまたキャラを表してるのも)
そして、次の会話は虫歯の話。虫歯ができて、歯医者行かなきゃいけないね、早めに行った方がいいよね、って会話する各曜日、
で、火曜日の僕が歯医者に行くことを引き受ける、みたいな。
この、ほのぼのしたやりとりとツッコミみたいなのが一番だったかなー。
中村倫也のふとした表情が、ときどきユチョンに似てる気がした映画でした。
中村倫也を初めて認識したのは「高校入試」っていうドラマでした。その後「下町ロケット」で、あ、「高校入試」に出てた人だ、って思って名前を憶えて、そっから
まさかここまで認知度が上がるとは思ってなかったなー。手放しで「イケメン」って誰もが思う俳優さんではないけど、なんかクセになるよねー。けっこう好きです。
登場人物が少なく、中村倫也のセリフが8割方を占めるので、中村倫也好き、そしてこういう自分再発見系な映画好きにはまぁまぁおススメな映画です。
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