昨日は、有名な「デフレの正体」の著者である藻谷浩介氏の
「元気なまちを創り出す地域デザイン」~意識の見直しが新たなアイデアを生む~と題した講演会がありました。
藻谷氏は、日本政策投資銀行参事役で地域エコノミスト。
日本全国のほとんどの都市を訪問した経験を持ち、現地を歩いて回り、データに基づく分析、また沿革や郷土史を
詳しく把握した上でその都市の抱える問題点を解析するという手法で、都市計画を提示されています。
講演は、大田市の人口の推移、小売業の商品販売額や売場面積の推移、個人所得の推移のデータを示され
これまでの大田市の現状と、日本の輸出から見る世界との貿易収支、これらを総合的にふまえながら
国立社会保障・人口問題研究所が試算している「将来推計人口データベース」に基づき、大田市の今後の
方向性を解説されました。
少し講演内容を。
・大田市は石見銀山を活かしきれていない、そこには何らかの理由があるはずだ。
・自然動能>社会動体で、全体的に人口は年間500人あるが、社会動態では、平成12、13年は微増である。
奥出雲、大田、海士町は島根県でも増えた時期がある数少ない市町村。残念ながらそれが持続できていない。
・市民所得が減少している。市民所得を上げる策を。そして、物を消費する層の所得を上げる必要がある。
・今の日本は、所得が増えても消費が必ずしも増えない。
・これからの日本経済は、量は少なくても、高い物を売る方が良い。数で稼ぐ(薄利多売)考えは終った。
・食料品のほうがハイテク製品より売れ出している。
・大田産品を宣伝して高く売りなさい。
・女性が働く県ほど出生率は高い。島根県は20.30代女性の就業率が高い
結論からすると、大田市の人口全体及び生産年齢人口は減少していくが、その割りに都市圏等で見られる
老齢人口はそんなに増えない。
日本経済再生の鍵は女性就労促進である。大田市においても、女性就労者の給与を上げるなどして
女性にもっと働いてもらおう、そして消費してもらおう。ということでした。
もうひとつ、興味深かった講演会は10日に行なわれた、大田町の本通り商店会・中町商店会合同企画
商店会の活性化を考える講演会『産業戦国時代を生き抜くために』と題されたものです。
講師は、島根県商工労働部企業立地課参事の福間 敏氏。
福間氏は、斐川町役場にて、約20年間地元の産業振興に携わり約25社の企業誘致を実現。
村田製作所,富士通,島津製作所などの誘致で全国の注目を集めた人です。
「本物の人,情報」を見つけ、やる気のある人同士の「縁を結ぶ」ことで産業の活性化を行っていらっしゃいます。
講演内容は、
・今は大企業が伸び悩んでいる。ゆえに、中小企業を頼るようになった。千載一遇のチャンス~光る山が見えてきた。
・シンプルでリスクが少ない物からはじめる。
・買い手やどんなものが売れそうか、データを集めて参考にする。
・ノウハウや仕掛けを持ている人は宝。
・今の時代は、リーダーシップは不在の時代。小さなグループの集まりが結束すると強い。
・ブランド力をつける。そして、 品質の安定化を。
・外国人向け商品は、全国的展開には必要かも。
・売り方のアイデア(商品デザイン、キャッチ、どこで販売するのか)を考える。
・時代の変化を読む。
・成せば成る。やる気が大切。
・オープン方式の実践を。 情報を皆で共有して、議論する。 商品の開放を(独占しない)。
・地域の資源は何かを考える。
というようなことでした。
二つの講演会から、大田市が学ぶこと、必要なことは、
・やる気のある人材が(特に女性重視)現状と将来展望を考え、もう一度大田市の資源を洗い直し、
将来の方向性のアイデアを議論すること。
・大田市という魅力をブランド化し、戦略的に発信すること。
・外からの人・物を大田市とマッチングさせ、定住や大田市産品に付加価値をつけること。
・女性の意見やアイデアをもっと参考にすること。
などの実践が必要と考えます。