細沼園のお茶飲み話

お茶の時間のひとときに、思いつくまま書きました。

彷徨い人   著者 天野節子

2015-03-31 23:23:15 | 読書メモ あ行

《内容》

清水刑事は、警察署の受付で、以前担当したひき逃げ事件の被害者遺族の女性と出会う。親友が行方不明のため、捜索願を出しに来たという。担当刑事は「不倫の果ての失踪」と言うが、違和感を覚えた清水は、ひとり捜査を始める。    (紹介文より)

―――夫婦とはお互いの長所や短所が分かり、それでも喧嘩をし、喧嘩をしたから時間が止まるわけではない。感情とは関係なく日々の生活に追い立てられ、気がつけば、喧嘩の前の二人に戻り、生活の続きをしている。

―――百回の喧嘩をしても明日を続く夫婦    一度の喧嘩で時間の止まる夫婦


糸車   著者  宇江佐真理

2015-03-31 22:30:16 | 読書メモ あ行

《内容》

江戸・深川で独り暮らしをするお絹は、3年前までは蝦夷松前藩の家老の妻だった。お絹は商いを通じて町の人々と親交を深めるうちに、行方不明の息子と夫の死にまつわる噂を耳にして…。『小説すばる』掲載を単行本化。    (紹介文より)

 

―――倖せと不倖せは紙一重である。今が倖せでもその先がどうなるかわからない。持って生まれた運にも左右されるだろう。肝腎なのは何があっても折れない気持ちを持つことだ。そして何事も決めるのは自分である。人に相談したところで始まらない。


わたくしたちの成就  茨木のり子

2015-03-31 21:55:19 | 読書メモ あ行

《内容》

あなたのかたわらで眠ること ふたたび目覚めない眠りを眠ること それがわたくしたちの成就です(「急がなくては」より) 亡き最愛の夫に向けて生前に書きつづった、混じり気なしの愛の詩集。 (紹介文より)

 

―――さくら

    ことしも生きて

    さくらを見ています


こちら弁天通りラッキーロード商店街  著者 五十嵐貴久

2015-03-29 15:51:21 | 読書メモ あ行

《内容》

印刷工場を経営していた笠井武は、友人の連帯保証人になったことから莫大な借金を抱えてしまった。苛烈な取り立てから逃げた先の無人の寺で一夜を過ごし、首をくくろうかと考えていた彼は、町の老人たちに新しい住職と勘違いされる。「ポックリ逝かせてほしい」と懇願された笠井が事情を尋ねると、彼らはシャッター商店街の老店主たちで、もう生きていても仕方ないと言うのだが―。老店主たちに頼られたニセ坊主の思いつきは、町と人々を再生できるのか!?読んだら希望が湧いてくる、痛快エンターテインメント。   (紹介文より)


降霊会の夜   著者  浅田次郎

2015-02-19 19:40:14 | 読書メモ あ行

《内容》

罪がない、とおっしゃるのですか―死者と生者が語り合う禁忌に魅入られた男が見たものとは…。至高の恋愛小説であり、第一級の戦争文学であり、極めつきの現代怪異譚。   (紹介文より)

―――たぶんこうだと思っていても、何だってそうはならないことぐらい知っていた。思ったとおりになったためしなんて、いっぺんもなかったから


さらば深川   著者  宇江佐真理

2014-11-28 23:25:31 | 読書メモ あ行

《内容》

「この先、何が起ころうと、それはわっちが決めたこと、後悔はしませんのさ」―誤解とすれ違いを乗り越えて、伊三次と縒りを戻した深川芸者のお文。後添えにとの申し出を袖にされた材木商・伊勢屋忠兵衛の男の嫉妬が事件を招き、お文の家は炎上した。めぐりくる季節のなか、急展開の人気シリーズ第三弾。   (紹介文より)


追悼者     著者 折原一

2014-11-28 22:24:15 | 読書メモ あ行

《内容》

浅草の古びたアパートで発見された女の絞殺死体。被害者は大手旅行代理店のOLだが、夜になると街で男を誘っていたという。この事件に興味を抱いたノンフィクション作家が彼女の生い立ちを取材すると、その周辺に奇妙な事件が相次いで起きていたことが分かる。彼女を殺したのは誰か?その動機は?「騙りの魔術師」折原一が贈る究極のミステリー。   (紹介文より)


ナンバー   著者  相場英雄

2014-11-28 21:53:49 | 読書メモ あ行

《内容》

所轄署から警視庁本部への転属が決まった西澤は、意気軒昂として桜田門に向かう。だが、所属は期待していた捜査一課ではなく捜査二課。横領や詐欺事件を捜査するその部署は、同僚をライバル視するエグい捜査員の集団だった。事件の全体像を示さず捜査情報も出さない二課にあって、誰よりも狡猾で悪事に長けた知能犯を西澤は追いつめて落とすことができるのか?犯人・同僚・上司・協力者…。事件に関る人間の裏表を、かつてない緊迫感で描く新しい警察小説。  (紹介文より)


美しき一日の終わり   著者 有吉玉青

2014-11-27 22:50:40 | 読書メモ あ行

《内容》

ある日、父が家に連れてきた少年は秋雨と名乗り、美妙より七つ年下の異母弟であった。それから五十余年、互いへの思いを心の奥底に秘め、それぞれの人生を歩んだ二人は、取り壊しの決まった、古い家で再会する。ともに暮らした幼い日々をなつかしみながら、長い歳月を慈しむように来し方を語り始めた。生涯のすべてを一日に込めて、至高の愛の姿を描く恋愛長編小説の新境地。   (紹介文より)

 

―――空には雲が流れてゆく。寂しい。何も、何もままならない。でもそれが人生なのだろう。やるせない気持ちに何とか折り合いをつけ必死にその日を明日につなげて生きてきたからこそ、今日のこの美しい日がある。

―――寄り添っても寄り添っても足りず、より近くに行きたいと、どこも離れたところがないようにぴったりと合わさって、ひとつになりたいと願うかのように。


幸福な日々があります  著者  朝倉かすみ

2014-11-26 23:50:03 | 読書メモ あ行

《内容》

森子46歳。祐一49歳。結婚生活10年を迎える。元日の朝、森子の発言が平穏な結婚生活を一変させた。妻が夫に別れを告げるとき―。移ろい行く夫婦の心情を綴る、長篇小説。(紹介文より)

 

―――どこかのだれかの母親なのではなく、『おかあさん』と胸のなかでささやくときに広がる、よいにおいのする、やさしい存在であることに気づいた。いつもふくよかな笑みをたたえていて、なんでも許してくれる、白くて柔らかな手の『おかあさん』だ。こどもだったころに、ほんとうの母親に叱られたとき、こんなおかあさんじゃあなくてもっとちがうおかあさんがいいと思ったときの『おかあさん』。