細沼園のお茶飲み話

お茶の時間のひとときに、思いつくまま書きました。

東京影同心  杉本章子

2011-05-26 22:46:54 | 読書メモ 

《内容》

明治元年、江戸町奉行所は市政裁判所と名を変え、のち、東京府に移管されて、完全に姿を消した。慶応三年、二五歳で異例の出世をし、南町奉行所定回り同心となった金子弥一郎。お役大事で、まじめに生きてきたこの男にも、コロリの流行、桜田門外の変、彰義隊と、文久、慶応、明治の大変動が襲いかかる。「八丁堀」が消えた明治の世になって、捕り物一途の男が見せる、己れと世の中につける決着。

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川あかり  葉室 麟

2011-05-26 15:59:25 | 読書メモ は行

《内容》

川止めで、木賃宿に逗留し、足止めを食っている若き侍、伊藤七十郎。藩で一番の臆病者と言われる男が、斬れと命じられた相手は、派閥争いの渦中にある家老。家老が江戸から国に入る前を討つ。すでに対岸まで来ているはずだ。川明けを待つ間、思いもかけぬ市井の人々との触れ合い、さらには降って湧いたような災難が続き、気弱な七十郎の心は千々に乱れるが―ひとびとのためにやると決意したのだ、と自分を叱咤した。たとえ、歯が立たない相手であっても、どんなにみっともない結果になろうとも、全力を尽くすのみだ。七十郎は叫びながら刀を抜いた。「それがしは刺客でござる」。

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江戸妻お紺   南原幹雄

2011-05-26 14:12:59 | 読書メモ 

《内容》

お紺は松吉の女房だと思っているが、世帯は別々だし、松吉には国元の伊勢に本当の女房がいる。商用で江戸に来ている間だけの亭主なのだ。お紺はそれを承知していた。嫉妬がないと言えば嘘になるが、器量でも、女の魅力でも自分のほうが上だ、との思いが心の支えになっていた。夜の営みにも十分に満足していた。とこが、最近になって、松吉の足がめっきり遠のいてきた。女の愛と情を描く傑作八篇を収録。