最近、近所のスーパーで「野菜を食べよ~お♪」という音頭調の歌が流れてくる。一昔前は「さかな、さかな、さかなをたベールと食べ~るとー♪」という歌が流れ、それから「お肉を食べようう~♪」という歌が食肉売り場に流れていた。私はお肉とか、チーズとかこってりしたものが好きだった。4つ足は止めよ、共食いだと言われてもそれを改める事はできなかった。ただ、子供の頃、お使いに養鶏場を営んでいた叔母の家に行った時、目の前を叔母が暴れている鶏の足を持って通りながら「ちょっと待ってて」言った後、5分もしないうちに生暖かい新聞包みを持たせてくれた。案の定それはあの鳥の肉だった。その時ばかりは私も妹もその光景がちらついて、手がでなかった。
2007年の春、剣山に行く事になり、下調べをするのに借りた「るるぶ」に見開きで徳島ラーメンの特集が出ていた。麺が見えないほど豚ばら肉を載せてあり、これなら出来るかな?と思い、自分でそれっぽいものを作ってみた。
ルンルン気分で食べ始めた途端、左足がこむら返りを起こしたみたいな痛みが走った。「あいたたた-」と同じ食卓を囲んでいた両親の前で大声を出すと、二人は何が起きたか分らず唖然としていた。食べ続ける事もできず、お肉はもうだめなのかしらとその時、初めて思った。それ以来、お出汁ぐらいとか、出されたものは頂くが、余口にしなくなった。
しかし、時折無性に食べたくなるときがあり、外出時、今日こそお昼はお肉を食べるぞと思いを走らせていると、必ずといっていいほど、交差点で○○畜産と書いてある車の荷台の牛や
豚の悲しそうな目と合ってしまう。酷い時はそういう車の豚のお尻見ながら付いて走る事があった。コンビニに寄り、やりすごそうとしたが30分もしない内に前にいた車は次々にいなくなり、又、先程豚のお尻の車
だ。そういう時は警告と受け止めた。
今日は何にも無かったわと思い、焼肉屋でランチをとり、カットステーキ定食を頼み一口食べると、のどの奥がヒリヒリする。胡椒の塊でもあったのかしらん...ご飯を飲み込んでも水を飲んでも治まらない。その日一日中甘い物を食べても直らなかった。やっぱり自分にはふさわないらしい。
30年間、猫を飼っていたから、動物の細やかな感情の動きがあることも知っている。人間と同じように考え、喜怒哀楽があるのだから、いくら感謝していただいたとしても駄目なのだろうな。たまたまそういう経験をした時のお肉って感情が残留していたのだろうか。時々、餌さをやっていた猫が死ぬ前、それまで家まで来た事がなかったのに目で挨拶に来て姿を消した事があった。やはり、共食いか?
そんな事もあり、うちの食卓にお肉が載ることは少なくなった。お昼も魚か麺類になってしまった。先の日曜日にさつまいもとかぼちゃのカレースープを作ったが私一人食べるのみで、両親は「お肉の入ってないカレーなんて」と言って口にしない。毎朝、食べているが、玉ねぎも解けてしまい、少し入っていたベーコンを姿を消し、甘くなって醤油とウスターソースを入れたが、あと3日はある...冷凍でもしようかしら、匂いが鼻についてしんどくなってしまった。