日本寺なんて天皇の御願寺のように大層で、知らない者が聞くとぎょっとする寺が、古への都から遥かに離れた千葉県鋸南町に実際に有ったので行ってみた。
むかし聖徳太子何とかという方が東京都知事選なんかに出馬なさっていたけれど、それと似た命名かと軽く見ていたら、実際に聖武天皇の勅願によって建てられたと知ってびっくりした。しかも国号を使った寺名の額を手づから書いて賜ったというから、国分寺級の比類なき社格なのだと、無知を恥じて俯いた。
俯くどころか、手を突いて土下座するようにしないと登れないような険しい階段道の上に大仏が鎮座していた。若い時に参拝した身延山久遠寺の方が段数が多いような気がするけれど、息の切れ方がこちらの方が堪えた。年のせいもある。
この大仏が、山の巌を刳り抜いて彫った31メートルもある石像で圧倒される。ついでに千五百羅漢像を経て頂上展望台まで歩いたら膝が笑った。もうホトトギスの季節だけれど、山上ではウグイスが美声を発して唱和してくれた。
鋸山に所在するだけに、切り立った岩山からの相模の海の景色も一見の価値があった。
日本寺は
大ぼらならで
名にし負ふ
瓦の喜捨に
うぐいす囀る