AKB48の旅

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「宝島」2012年5号

2012年04月10日 | AKB
それなりな内容なんで批判とかそういう意図はないんだけど、たぶん昨年末に出た「ウレぴあ」2012年1号とかぶってるというか、どうもまたまた映画評における宇多丸さん的な臭いがするんで、エラソに言うのも何だけど「それとなく異論など」その2をば。

両誌とも玉石混淆なんで、まとめてどーん!というわけにはいかないけど、そこはななしさん妄想系ブログなんで、てきとーに個別ネタをつまみ食いしてみる。やはり筆頭は共通して出てくる田中秀臣先生。肩書きが早稲田大学経済学部教授なんだけど、どうやらリフレ派なんでまともな方なんでしょう。本は読んでない、ごめんなさい。

「アイドルと不況」「リーマンショックとブレイク」は、ややずるいと思う。現象としては指摘できるだろうし、間違ってるとは言えないけど、正しいとも断定しづらい。それ以前にその「法則性」に有用性が乏しい。有用性のない理論は、そもそも無意味だし。

より重要な指摘は、その次のなぜ売れたか分析と「AKBはネット時代のアイドル」「心の消費ネットワーク」というあたり。ここら辺りがどれだけ田中先生の真意を伝えてるか分からないけど、雑誌の記述の通りなら、たぶん最重要ポイントを見落としてることなる。そしてそこは「ウレぴあ」では、湯浅ディレクター、毛利ディレクターの証言という形でしっかり記述されてる。されてるけど記事を書いた人が分かっていないっぽいので、ピントがずれてしまってる。

強調すべき最重要ポイントは、リアルとバーチャルが連続体となった世界、と、正にその連続体に寄り添うことに成功したってことだと思う。以前に何度か書いてるけどね。リアルな人間関係がバーチャルに拡大され、逆にバーチャルなエンタ世界がリアルに降りてくる、そこにAKBはいる。そしてその実現に必要な条件は、テレビ時代には決して担保されることのなかった公平性と透明性、そして「疑似」信頼関係(含恋愛、内部的には日本らしく高信頼関係)だったというのがミソ。

これが戦略とかではなく、複雑系的な試行錯誤から生まれて来たのが驚くべきところ。AKB内の人間関係だけでなく、この全体像がフラクタル的に自己組織化過程に近似するように見えるとか無謀にも指摘してみる。複数のチャネルで、疑似ではあっても相互因果関係を形成すると何が起こるのか、その社会実験がAKBとみなすこともできそう。

まあ妄想乙なんだけど、これがどれほどとんでもないのか、それとも単なる思い過ごしなのか、それを同時代で体験できる幸せを感じるな。