出張先の東部トリンコマレーで、このヒンドゥー教のお寺の写真を撮るために車を降りたときのこと。
信じられない顔をした人が近寄ってきました。
顔中の皮膚はただれていて、目が一個ない。
背筋が凍りました。
写真も撮れなくなるくらいに体中が震えて、そのまま写真を撮らずに車に戻りました。
運転手さんが、大丈夫だから撮りなさい、というから、私は集中できずに数枚撮って、またすぐに車に戻った。
彼と少し話をしていた運転手さんに聞いたら、彼は元警察官で、数年前に爆発に巻き込まれたらしい。
もちろん国からの生活保障もほとんどないのだろう。
国のために働いて、戦争で負傷して、これから一生あの顔と付き合わなければいけないのだ。
よく生きられるな、と思う。
私は迷いました。
「・・・お金あげるべきかな?」
いつも、物乞いにはお金をあげない主義です。アフリカでも、ほとんど。100円あげたらご飯が2回食べられるけれど、決してあげない。
だってあげたら、またもらえると思ってずっとそこに立ち続けるもの。
他の生きる道を自分で探してもらわないと・・・
だけど彼は、どうしたって仕事なんて探せないだろう。道で何か売ることだってできない。
私はこんなにお金もあって、五体満足。
「どうしよう・・・」
運転手「あげたいと思ったらあげたら」
「でも・・・ 怖いし・・・」
結局彼も遠くなってしまったのでお金はあげなかった。
そのあとも彼の恐ろしい顔が頭から離れない。
コロンボの私が毎朝通る道にも、肩から下の関節が反対について、自然に物乞いのポーズになっちゃっている障害者が物乞いしている。
私はその前を毎朝通って、毎朝葛藤して、結局お金をあげる決心がつかない。
「オバー(あなた)、オバー」って毎朝瀕死の声をかけられる。
でも彼も人情に訴えてお金を乞うしか、生きていく道はないのだと思う。
心を痛めるだけで、何もできない私。
どうしたらいいのだ。