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⌘ 量子コンピュータが普及しても古典コンピュータは駆逐されないーーIBM 202109

2021-09-27 20:29:00 | なるほど  ふぅ〜ん

量子コンピュータが普及しても古典コンピュータは駆逐されないーーIBM
  MONOist より 210927  池谷翼

 IBMは2021年9月21日、量子コンピュータ関連技術が産業界にもたらす影響などをまとめたレポート「The Quantum Decade」の日本語版を公開したことを受けて、同レポートの内容を紹介する説明会を開催した。説明会では、量子コンピュータを用いたビジネスサービス開発部門「Quantum Industry & Technical Services(QI&TS)」についても説明を行った。

⚫︎量子コンピュータは「三位一体」で発展していく
 The Quantum Decadeでは、IBMに在籍する量子コンピュータ関連技術の専門家が、現時点での同技術分野の研究開発状況や、将来の発展予測を踏まえた上で、産業界にもたらし得る変化などを取り上げて解説している。
 同レポートでは今後10年間(decade)を、量子コンピュータ関連技術が今後本格的に発展し、関連プロダクトやサービス、ソリューションの普及が予測される中で、将来、他社よりもビジネス的な優位性を持つために必要な準備期間だと見なせると指摘する。

 IBM 戦略コンサルティング アソシエイト・パートナー 兼 Quantum Industry & Technical Service Japan Leadの西林泰如氏は「産業界における量子コンピュータの活用は新たなイノベーションを生むことになる。量子コンピュータ活用が本格化する時代に備えて、産官学で実用化に向けた準備を進めていく必要があるだろう」と説明した。

 量子コンピュータの活用によるイノベーションが期待される分野は、大きく分けて3つある。1つ目は自然界で生じる現象などのモデル化を通じた「シミュレーション」、2つ目はAI(人工知能)技術の1つである機械学習技術に関連した「代数問題」、3つ目は特定の問題に対して複数の解決策が想定される中で最善、あるいは最適なものを発見する「探査とグラフ」である。
 業界別の想定ユースケースでは、例えば化学業界では触媒や界面活性剤などの化学製品の開発や原料輸送、製品市場投入プロセスの最適化などが考えられる。この他、医療業界では診断支援や保険料のプライシング、航空業界では航空ネットワーク計画の包括的な最適化なども可能になる。


 なお、西林氏はThe Quantum Decadeでは量子コンピュータの普及過程について、量子コンピュータの登場によって現在私たちが使っているコンピュータ(古典コンピュータ)の存在が駆逐されていくのではなく、むしろ量子コンピュータが古典コンピュータを使った活動と組み合わさる形で普及するだろうという見方を紹介した。
 「古典コンピュータにおいても、ビッグデータから将来予測を行うようなアルゴリズムの開発が進んでいる。古典コンピュータと量子コンピュータ、そしてAIシステムを三位一体で組み合わせることで、より高度な予測が可能になる」(西林氏)。



⚫︎量子コンピュータのビジネス適用を支援する「QI&TS」
 IBM 戦略コンサルティング シニア・マネージング・コンサルタント 兼 IBM Quantum Industry & Technical Services Japan Subleaderの橋本光弘氏は、産業界における量子コンピュータの普及を見据えて、企業は大きく分けて3つの“準備”をすべきだと指摘する。

 「1つ目は戦略策定で、量子コンピューティングのもたらす機会や脅威を特定し、経営戦略に組み込むことだ。2つ目は量子コンピュータ関連技術の適用可能性を評価できる技術リテラシーを習得すること。3つ目は量子ソリューションを生み出すプロセスの設計や組織作り、人材育成などだ。
 特に量子コンピュータの技術、ビジネス的可能性に通じた人材、量子人材の育成は重要だ。量子コンピュータのハードウェアやコンパイラアプリケーションソフトウェアの開発に加えて、実務的なビジネスモデルやサービス設計まで垂直的に考えられる人材(量子人材)が必要になる」(橋本氏)。

⚫︎「量子人材」が今後必要になる
 こうした“準備”の支援サービスを提供するのが、IBMにおける量子コンピュータ関連のサービスビジネス開発部門「Quantum Industry & Technical Services(QI&TS)」である。

 QI&TSには量子コンピュータ関連技術の技術者やコンサルタントが在籍しており、量子コンピュータ活用を盛り込んだビジネスの戦略策定や、ユースケース別の適用可能性評価、実機を用いた効果評価などを担当する。
 この他、量子コンピュータ関連技術の動向や、顧客企業が属する業界に対するインパクトの分析、潜在的ユースケースの特定、実行施策の設定、顧客の事業領域におけるユースケースの共同開発を行う。

 「QI&TSがターゲットとする顧客層は幅広い。ビジネスパーソンに対しては量子コンピュータに投資する意義を説明する他、戦略設計支援を行い、技術開発者に対してはより技術的な内容に踏み込んで、技術要素の組み合わせ方や共同開発の枠組み設計なども説明する。CxOから現場の人間まで幅広く支援できる」(橋本氏)

⚫︎QI&TSが提供する価値
 また橋本氏は、量子コンピュータ関連技術に対する産業界での意識変化について、「業務の中でさまざまな業界のCxOと会話をしているが、単に関心を向けるだけでなく、技術的な実用性の高まりから本格的な導入に向けて検討しようとする企業が増加しているようだ。
 また、IBMは2021年7月27日に、国内初となるゲート型商用量子コンピュータ『kawasaki』の稼働を開始したが、これに伴ってIBMに寄せられる量子コンピュータに関する問い合わせも増えている」と説明した。
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