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日本人だけが知らない…「東洋医学」が今、世界で大注目されているワケ 最新研究が示す「東洋医学」の現在地 202201

2022-01-07 23:09:00 | 健康関連

日本人だけが知らない…「東洋医学」が今、世界で大注目されているワケ 最新研究が示す「東洋医学」の現在地
  現代ビジネス 東洋医学ホントのチカラ 取材班 より 


 西洋医学では手が届かない症状への解決策として、いま世界中で注目を集めているのが「東洋医学」だ。
 アメリカでは、「腰痛」への鍼(はり)治療が治療ガイドラインで認められ、公的な医療制度にも採用。
 ヨーロッパでも、うつ病の治療に鍼灸やヨガが用いられるなど、「東洋医学」がブームになっている。
 日本をはじめとする東アジア発祥の「東洋医学」が、なぜ世界に支持され広がっているのだろうか?( 東洋医学ホントのチカラ取材班)
鍼灸や漢方薬、ヨガなどの「東洋医学」が世界でブーム/NHK提供

⚫︎アメリカで研究・導入される鍼治療
 世界の最新科学をリードするアメリカで、鍼治療の導入が進んでいることをご存じだろうか? 
 最近、アメリカ内科学会のガイドラインでは「腰痛」への鍼治療が推奨され、メディケア(65歳以上の公的医療保険制度)でも鍼治療が採用されている。

⚫︎鍼治療を受ける女性(アメリカ・ニューヨーク)/NHK提供
 さらに驚くのは、世界最強のアメリカ軍で行われている鍼治療だ。なかでも、耳に鍼を刺す「耳鍼」を使って痛みを緩和する治療法は「戦場鍼(バトル・フィールド・アキュパンクチャー)」と呼ばれ、戦場での応急処置を主眼として研究と導入が進んでいる。

(耳への「戦場鍼」を受ける米軍兵/NHK提供)
 こうした動きの背景にあるのが、アメリカ社会で大きな問題となっている「オピオイド(鎮痛薬)」の乱用問題だ。腰痛などの体の痛みを止める薬によって、薬物中毒が多発。年間数万人の死者がでるなど深刻な被害が続いている。そこで、薬物に頼らず「腰痛」を緩和する手段として、鍼治療の研究と導入が急ピッチで進んでいるのだ。

⚫︎慢性腰痛 原因が「腰」にないケースも?
 では、なぜ鍼治療で腰痛などの痛みが改善するのか? 
これまで世界で行われてきた科学研究を整理すると、その最も大きな治療メカニズムは、いわゆる「コリ」の解消だ。筋肉が疲労すると血行が悪くなり、組織が硬くなりコリができる。すると、たまった老廃物などが周囲の神経を刺激して、「痛み」が生じるのだ。

 そこで、コリに鍼を打つと、その刺激が神経に伝わり血流が増加。血行が良くなることで、たまった老廃物も除去され、コリも解消するワケだ。長年、鍼灸師として腰痛などの慢性痛の治療と研究に携わってきた明治国際医療大学の伊藤和憲教授によると、慢性腰痛患者の約7割は、腰回りの筋肉にあるコリが原因だという。では、残りの約3割の患者では、何が原因となっているのか?

(腰痛への鍼治療を行う伊藤和憲教授/NHK提供)
⚫︎「脳」の働きを改善! 実証された鍼のチカラ
 慢性腰痛患者の約3割を苦しめる原因。そのひとつに、「脳」の変化がある。近年、さまざまな脳科学研究によって、慢性腰痛の患者では、痛みを感じる機能が変化し、痛みを過剰に感じているケースがあることが分かってきているのだ。

 そして最近、鍼治療が「脳」の働きを改善し、慢性腰痛を改善するメカニズムも明らかになりつつある。
 アメリカ・ハーバード大学のジャン・コン准教授らが2020年に発表した研究では、慢性腰痛の患者に鍼治療を行った時の脳の働きをfMRIを使って詳しく検証。すると、症状が改善した患者では、脳の痛みを抑制する機能の中心であるPAGに変化が確認された。PAGと脳内の痛みに関わる部位のネットワークが強化、つまり、痛みを抑制する働きが回復していたのだ。

(痛みを抑制する中心的役割をもつPAG/NHK提供)

「慢性腰痛に対する鍼治療の効果に、疑う余地はありません」と断言するコン准教授。いまや、「東洋医学」は怪しいものではなく、科学的にも効果が裏付けられた治療法として認められつつあるのだ。
 慢性腰痛の治療メカニズムを明らかにしたハーバード大のジャン・コン准教授/NHK提供
ここまで腰痛に焦点を当てて東洋医学の「実力」を見てきたが、後編<「ヨガ」に「漢方薬」、最新科学で明かされる「東洋医学」の“スゴイ力”>では、生理痛や更年期症状などを改善するヨガや漢方薬、さらに、「心不全」を改善する意外な東洋医学のメソッドなど、さまざまな治療やセルフケアの情報をお伝えする。

2022年1月10日(月・祝)よる7:30~8:43(総合)
「東洋医学ホントのチカラ 健康の大問題 解決SP」
番組HP:https://www.nhk.or.jp/kenko/special/toyo/sp_1.html
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🧠毎日40分の散歩で脳の海馬の体積が増え記憶力が向上する【科学で証明!本当に信用できるストレス解消法】  202201

2022-01-07 22:59:00 | 健康関連

毎日40分の散歩で脳の海馬の体積が増え記憶力が向上する【科学で証明!本当に信用できるストレス解消法】
  日刊ゲンダイヘルスケア  より 220107


◆毎日40分の散歩で記憶力が向上(C)日刊ゲンダイ
【科学で証明!本当に信用できるストレス解消法】#51

⚫︎座りっぱなしは「心臓病」「糖尿病」「がん」のリスクを高める
「あれ、名前が出てこない」「スマホをどこかに置き忘れてきてしまった」──。加齢による物忘れは仕方のないこと。
 とはいえ、思い出せなかったり、忘れてしまうことが何度も続くと、自分が心配になってしまうと思います。

 そのため、日頃からジムに通ったり、ジョギングをしたりして、なるべく体を動かそうと心がけている方も多いのではないでしょうか。
 体を動かすということでいえば、「散歩を続けると、記憶力をつかさどる海馬の体積が上がる」というピッツバーグ大学のエリクソンらの共同研究結果(2011年)が存在します。

 研究では、55~80歳の約800人に、毎日40分の散歩を続けてもらったところ、1年後にほとんどの人の海馬の体積が2%ほど増加している傾向が明らかになったそうです。実に、年齢にして「1~2年若い状態に戻る」ほどの効果だといい、記憶力も改善する傾向にあったと報告されています。体に良いというイメージのある散歩ですが、まさか脳にも効果があるとは目からウロコです。

 この実験は、散歩をはじめ有酸素運動をしてもらうことで、どういった効果が表れるのか検証しました。散歩以外にも、エアロビクスや水泳、ジョギングなどを行ったのですが、それらの運動にも海馬の体積増加は確認されたのです。

 しかし,どこでもできて,お金もかからない散歩にも同様の効果があったというのは朗報でしょう。散歩は,コストパフォーマンスに優れた記憶力の低下を防ぐ実践術というわけです。

 海馬の体積は、認知症のない高齢者でも毎年1~2%減少するといわれています。体積が減少すると認知障害を発症するリスクが高まると伝えられているだけに、散歩のような小さな積み重ねは、極めて大切といえます。
 また、ストレッチにそういった効果があるか否かも調べたのですが、残念ながら効果は表れなかったそうです。ですが、体には良いので、散歩しながらストレッチをすると脳にも体にも良いと言えそうです。

 記憶力や集中力向上に励むなら、現在は科学・技術の向上によってさまざまなアプローチがあります。たとえば、海外では「自分の呼吸に意識を向けるスマホアプリ」が登場しています。このアプリを使って、6週間ほど瞑想トレーニングを続けたところ、集中力や記憶力が向上したとのこと。「デジタル瞑想」と呼べるような実践術が日本でもはやるかもしれません。

 また、ヘッドバンド型の筐体(きょうたい)に搭載された7つの脳波センサーが瞑想中の自分の脳波を感知することで、その状況に合わせてガイド音を再生するものもあります。
 この脳波センシング技術は、NASAやマサチューセッツ工科大学などの研究機関での採用実績もあるほどですから、近い将来、職場や自宅に居ながらにして瞑想ができる。そんな時代が訪れてもおかしくありません。

 加齢とともに記憶力はどうしても低下していきますから、過度に自分を不安視する必要などありません。費用対効果の良い散歩を取り入れ、心も脳もリフレッシュさせてください。

(堀田秀吾/明治大学教授、言語学者)
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「レジ袋禁止」にしたら、むしろゴミが一気に増えた理由  202201

2022-01-07 22:54:00 | なるほど  ふぅ〜ん

「レジ袋禁止」にしたら、むしろゴミが一気に増えた理由
  ダイヤモンド onlain より 220107  ダン・ヒース,櫻井祐子


『上流思考──「問題が起こる前」に解決する新しい問題解決の思考法』が刊行された。世界150万部超の『アイデアのちから』、47週NYタイムズ・ベストセラー入りの『スイッチ!』など、数々の話題作を送り出してきたヒース兄弟のダン・ヒースが、何百もの膨大な取材によって書き上げた労作だ。
 刊行後、全米でWSJベストセラーとなり、佐藤優氏が「知恵と実用性に満ちた一冊」だと絶賛し、山口周氏が「いま必要なのは『上流にある原因の根絶』だ」と評する話題の書だ。私たちは、上流で「ちょっと変えればいいだけ」のことをしていないために、毎日、下流で膨大な「ムダ作業」をくりかえしている。このような不毛な状況から抜け出すには、いったいどうすればいいのか? 話題の『上流思考』から、一部を特別掲載する。

⚫︎「レジ袋禁止」の意味とは?
 どんなに単純な介入も、たちまち複雑になることが多い。一例として、一見ごく単純な介入に思える、使い捨てのプラスチック製レジ袋削減の取り組みを考えてみよう。

 環境保護主義者は、レジ袋をテコの支点と考える。レジ袋は、量的には膨大なプラスチック廃棄物のほんの一部でしかないが、多大な悪影響をおよぼしているからだ。
 軽くて風に飛ばされやすいので、河川や雨水管を伝って海に流れ込む。海洋生物を危険にさらし、海岸の美観を損なう。

 それにレジ袋は、「反持続可能性」のシンボルと言える。工場で製造されるプラスチック製レジ袋は、分解されるまでに数百年かかるかもしれない。それをアメリカは年間1000億枚も製造している。レジ袋は店で買った物を家に持ち帰りやすくするためだけに存在し、役目を終えればたちまちゴミになる。だから解決策は簡単だ──レジ袋をなくせばいい。

⚫︎レジ袋を禁止したらプラスチックゴミが増えた
 システム思考ではまず、「どんな二次的影響が予想されるだろう? レジ袋が禁止されたら、何がその穴を埋めるのだろう?」と考える。
 消費者はおそらく、①紙袋の利用を増やす、②エコバッグを持参する、③袋を使わなくなる、のどれかの行動を取るだろう。

 ここで、最初の驚きがやってくる。紙袋やエコバッグは、水路に入り込まないという点ではレジ袋よりずっと優れているが、劣っている点もあるのだ。
 それらはレジ袋より嵩も重さもあるので、製造と輸送にずっと多くのエネルギーを消費し、炭素排出量が増える。
 イギリス環境省は、さまざまな種類の袋を1回使用するごとの環境負荷を算出し、紙袋なら3回、綿のエコバッグなら131回使わなければ、レジ袋よりもエコにならないとしている。
 おまけに紙袋やエコバッグの製造過程は、レジ袋に比べて大気や水質を汚染する物質の排出が多い。レジ袋に比べてリサイクルもずっと難しい。

 そんなこんなで、部分と全体の利益相反の問題が生じる。河川や海の生物の保護が主な狙いなら、レジ袋を禁止するのは得策だ。だが環境全体の改善をめざすなら、得策とは言い切れない。相反する影響を考え合わせる必要がある。

 もうひとつの難しい点として、禁止を実行する方法についても、とても慎重に考えなくてはならない。シカゴでは2014年に、小売店での薄い使い捨てレジ袋の無料配布が禁止された。小売店はどう対応したか? 厚いレジ袋を配布したのだ。厚いレジ袋なら再利用できるという触れ込みだったが、もちろんほとんどの客がすぐに捨ててしまった。環境からプラスチックを追放するつもりが、かえって増やす結果になってしまった。

⚫︎実験して、改善していく
 実験は学習につながり、学習はさらによい実験につながる。

 カリフォルニア州では2016年に住民投票でレジ袋の全面禁止が決まった。厚い袋の抜け穴もなかった。だが禁止後に、今度はゴミ箱用の小さいポリ袋の売上が急増した(おそらく店から持ち帰ったレジ袋を、家のゴミ袋にしたり、飼い犬の糞を拾ったりするのに使っていた人が一定数いたのだろう。だからレジ袋がなくなると、代用品を買い始めた)。

 経済学者レベッカ・テイラーの研究によると、このケースではレジ袋禁止によってプラスチックゴミは削減されたが、ほかの袋の使用が増えたせいで削減効果の28.5%が相殺されたという。

 だがたとえそうだとしても、相殺されたのは100%ではなく、28.5%にすぎない。禁止によって使い捨てのプラスチックゴミが大幅に減ったことは間違いない(おまけに、この問題を分析するために誰かがレジ袋の代用品の売上を注意深く追跡してくれたおかげで、フィードバックの情報源が1つ増えた)。

 予想もしなかった影響も生じた。2017年にサンディエゴで危険なA型肝炎が流行したのは、レジ袋が不足したせいとも言われる。なぜだろう? ホームレスの人は排泄にレジ袋を使う習慣があった。レジ袋が手に入りにくくなると、排泄物を衛生的に処理できなくなったのだ。

⚫︎「学習を続ける」ことで前進できる
 僕がこの研究を調べ始めたときに感じた、圧倒されるような、がっかりするような、いらいらするような気持ちを、もしかするとあなたも持ったかもしれない。ただのレジ袋の政策でさえ、複雑きわまりない影響をおよぼすのなら、困難な問題を解決できる望みなどあるのだろうか?

 僕を袋小路から引っ張り出してくれたのは、「ごまかしたり固まったりせずに学ぼう」という、ドネラ・メドウズ博士の呼びかけだった。僕らは困難のなかにあっても、何かを学んでいる。社会全体として学習しつつあるのだ。

 たとえばレジ袋禁止政策の影響を分析するために、何が必要かを考えてみよう。

 コンピュータシステム、データ収集、通信インフラ、それにもちろん、市や州の政策の効果を評価するための実験を考案する知的な人々の生態系。エビデンスを得るためのこうしたインフラが存在するようになったのは、人間の長い歴史のうちのごく最近のことにすぎない。上流思考に関する限り、僕らはまだゲームに参加し始めたばかりなのだ。

 シカゴでは2016年に、むしろプラスチックゴミを増やす結果になったレジ袋禁止条例が廃止された。代わって市議会は、レジで配布される紙袋とレジ袋1枚につき7セントの税金を徴収することを決定し、2017年初頭から実施している。効果はどうだろう? それが結構うまくいっているのだ。

 経済学者のタティアナ・ホモノフ率いる研究チームが、数軒の大規模食料品店から収集したデータによると、税金導入前に紙袋やレジ袋を使っていたのは買い物客の10人中約8人だったが、導入後は10人中約5人に減った。袋を使わなくなった3人はどうしたのか?

 半数は持参したエコバッグを使い、半数は購入品を袋に入れずに持ち帰った。そして袋を使い続ける5人が税を払ってくれるおかげで、市民サービスの原資が増えた。
 シカゴはまず薄いレジ袋を禁止することによって、実験を行った。最初は失敗したが、失敗の理由はわかった。そこで別の実験を行い、成功したのだ。失敗したやり方を、今後ほかの市が繰り返さないことを願いたい。

 試行錯誤は時間がかかり、退屈でいらだたしいが、僕らは全体としてシステムについての理解を深めつつある。

 この稿はドネラ・メドウズ博士の言葉で結びたい。

「システムを制御することはできないが、設計することや、設計し直すことはできる。驚きのない世界へと確信を持って突き進むことはできないが、驚きを予測し、そこから学ぶことはできるし、利益を得ることさえできる。……システムを制御したり、完全に理解したりすることはできないが、システムとともに踊ることはできるのだ!」

(本稿は『上流思考──「問題が起こる前」に解決する新しい問題解決の思考法』からの抜粋です)
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🌿 地球温暖化を「わずか数年」で解決する方法とは。CO2排出ゼロでも気温上昇は抑えられない  202201

2022-01-07 22:37:00 | なるほど  ふぅ〜ん

地球温暖化を「わずか数年」で解決する方法とは。CO2排出ゼロでも気温上昇は抑えられない
  日刊SPA!   より 220107


◆CO2排出ゼロでも世界平均気温は1.6℃上昇

⚫︎農業のあり方が温暖化対策のカギとなる?
 地球温暖化防止のため、脱炭素社会の実現は待ったなしの急務だ。先に英国グラスゴーで開催されたCOP26(第26回国連気候変動枠組条約締約国会議)でも、温暖化の破局的な悪影響を防ぐための分水嶺とされる「世界平均気温の上昇を1.5℃程度に抑える」ことが国際的な共通目標となった。

 ただ、そのためには、排出削減だけでは不十分で、すでに大気中にあるCO2も大幅に減らすことが必要だ。そして、そのカギは農業にあるのだという。

 昨年8月にその一部が先行公表された国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次報告書によれば、同報告書が想定した世界の温室効果ガス排出削減シナリオの5パターンのうち、「2055年に排出実質ゼロ」という最善のシナリオにおいても、世界平均気温は2040年から2060年にかけて1.6℃程度上昇するとされている。しかも、この予測には振れ幅があり、最大では2℃上昇するという。

◆耕作地の炭素を増やすことで、温暖化を解決できる

⚫︎「4パーミルイニシアチブ」のサイトより
 もはや温暖化の破局的な悪影響を防ぐことはできないのかと絶望しそうになるが、「未来バンク」理事長で、この秋に 『地球温暖化/電気の話と、私たちにできること』(扶桑社新書)を上梓した田中優氏は「まだ希望は残されている」と力強く語る。

「日本ではほとんど知られていませんが、『温暖化をわずか数年で解決する』方法があります。それは、世界の耕作地の炭素を毎年4パーミル(=0.4%)ずつ増やすことができれば、大気中のCO2の増加量をゼロに抑えることができるというもので、フランス政府が2015年に『4パーミル・イニシアチブ』として提案しました。同提案によれば、毎年0.4%の炭素を土に戻すことによって、人類が排出するCO2の75%を回収することができ、それはつまり、数年程度で温暖化を解決できるということになります」

 土壌にCO2を吸収させるということはどういうことなのか。田中氏は「農作物が育つ際、栄養分としてCO2を吸収するのですが、その余剰分を農作物が土に炭素として蓄えるのです」と言う。

「効果的にCO2を土に吸収させるためには、土壌が豊かでないといけません。植物は『菌根菌』と呼ばれる土の中の微生物の力を借りて、根の張った広さの7倍の範囲から栄養分を集めています。そのかわり、植物は液化した炭素を菌根菌に与えているのです。
 つまり、土壌が豊かであるためには、土の中に微生物が沢山いることが条件で、それによってより多くの炭素が土壌の中に満たされているのです。微生物が元気に農作物と共生するには、農薬や化学肥料を使わないことが大切です」

◆植物と土壌を守ることが、最大の対策

 化学肥料の使用は短期的には収穫量が上がるが、使い続けると、土地が荒れてしまう。
農薬の大量使用は、人体にも生態系にも悪影響がある。
「FAO(国連食糧農業機関)によれば、日本は比較的『土壌の安定地域』とされているものの、世界の土壌の流出や劣化、農地の荒廃ぶりは惨憺たる有様です。
 以前からその深刻さは指摘されてきたのですが、今、地球温暖化の大きな原因としても、注目されているのです。

『地球の肺』とも言われるアマゾン熱帯林は、ブラジル大統領が推進する牛の牧草地や大豆畑のために破壊されていますし、土壌の微生物達は殺虫剤や除草剤などで殺され、豪雨や洪水で土ごと失われています。
『化石燃料を使わない』ということだけではなく、『植物』と『土壌』を守ることが、最大の地球温暖化対策なのです。そうして見ると、温暖化に関して『CO2の排出』が第一の問題ではなく、いちばんの大きな問題は多くの生命体の虐殺だったということが見えてきます」(田中氏)

◆農林業も温暖化に大きな影響を与えている

 化学肥料を農地に投入することによって、CO2の310倍という強力な温室効果ガスである一酸化二窒素(N2O)が発生する。
 そのうえ化学肥料を生産する際にも大量のエネルギーが使用され、CO2が排出される。
世界全体の温室効果ガス排出のうち「農業・林業・その他の土地利用」は、全体の実に24%だ。

 化学肥料や農薬に依存した農業から脱却し、豊かな土壌を取り戻すことは、世界人口が増加し続ける中で食料の安定供給という点でも、温暖化対策という点でも重要なのだ。土壌がいかに大切なものかは、農業関係者のみならず、社会全体として共有していくべきことなのだろう。

文/志葉玲
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東大とNTTが開発挑む「10億量子ビットの光量子コンピューター」パラダイムシフトなるか  202201

2022-01-07 22:25:39 | 気になる モノ・コト

東大とNTTが開発挑む「10億量子ビットの光量子コンピューター」パラダイムシフトなるか
  ニュースイッチ by 日刊工業新聞  より 220107


 電子計算機の次は光コンピューターと言われてはや数十年。電子計算機の代替は進まなかったが、量子もつれを利用した光量子コンピューターとして再び投資を集めている。日本では東京大学とNTTが10億量子ビット規模の汎用光量子コンピューターを開発する。内閣府の大型支援事業「ムーンショット型研究開発事業」で2030年に量子誤り訂正の実現を目指す。(小寺貴之)

「NISQを開発して誰が買うのか。量子コンピューターは金を集めるためのワードになってしまった」と古沢明東大教授は嘆く。NISQは誤り耐性のない中規模の量子コンピューターだ。計算結果に誤りが含まれるため、複数の量子ビットで多数決をして正しい結果を得る。そのため実用的な計算機には100万量子ビット必要とされる。現在実現しているのは約100量子ビット。実用化まで数十年かかるとされるゆえんだ。

⚫︎海外VB追う
 古沢教授は「本質的に膨大な量子ビットを用意できないと成り立たない」と指摘する。現行の超電導などを使うゲート方式からパラダイムを変える必要があるという。古沢教授がNTTと進めるのが測定誘起方式の光量子コンピューターだ。量子もつれ状態にある光子で10億規模の量子ビットを作り、電子計算機のルックアップテーブル方式のように計算済みの参照表を使って計算結果を求める。

 同方式は米サイクオンタムが6億6500万ドル(約765億円)、カナダ・ザナドゥは1億4500万米ドル(約165億円)を調達した。古沢教授は「投資家はゲート方式は無理だと光量子に流れた。ザナドゥは我々の方式をコピーしてやっている」と説明する。桁違いの資金を確保したベンチャーを日本は国プロで追いかける。

 NTTはスクィーズド光の光源を開発。量子ノイズを75%圧搾して多重量子もつれ状態の光子を連続生成できるようになった。これは世界初で光量子コンピューターを組めるようになった。次の目標は量子ノイズの90%圧搾だ。これが誤り耐性の閾値になる。NTTの梅木毅伺特別研究員は「90%圧搾はいまの技術の延長で到達できる」と自信をみせる。

⚫︎投資競争に勝つ
 ルックアップテーブル方式の計算法も開発した。量子計算のアルゴリズムも開発中で、この出来によって量子ノイズの閾値が下がり、計算に使える量子ビットの数が増える。古沢教授は「本当に必要なのはクロック周波数が速く並列処理可能な汎用の計算機。誤り訂正もできない計算機ではない」と断言する。

 ムーンショット事業の期間は25年まで。同事業で基礎を固めたら、投資競争に勝ち抜くための資本が必要になる。

⚫︎出典:日刊工業新聞2021年12月30日
光量子コンピューター向け光源開発 研磨加工でノイズ抑制
⚫︎出典:日刊工業新聞2021年12月23日

 NTT先端集積デバイス研究所の梅木毅伺特別研究員と柏﨑貴大研究員、東京大学の古澤明教授らは、光量子コンピューター向けの光源を開発した。
 光源の量子ノイズを75%圧搾して多数の光子の多重量子もつれ状態を実現した。10億量子ビット規模の誤り耐性型並列量子コンピューターの構築につながる。
 ニオブ酸リチウムを導波路としてスクィーズド光という特殊な光を生成する。スクィーズド光には偶数個の特殊な状態の光子が含まれる。
 ビームスプリッターでスクィーズド光の光子を半分に分けると、2本の光ファイバーに量子もつれ状態の光子がそれぞれ流れることになる。このもつれ状態を利用して量子計算する。
 今回、ニオブ酸リチウムの加工をフォトリソグラフィーから研磨加工に切り替えた。導波路の表面粗さが改善して量子ノイズを抑えられた。すると連続的に生成する光子が時間的に一つ前の光子と量子もつれ状態にある多重化が実現できた。
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