ハッピーの服・バッグ再生サービス「ケアメンテ」 フリマアプリと連動で事業拡大
繊研新聞 より 230914
「ケアメンテ」と呼ぶ衣料やバッグなどの再生技術を提供するハッピー(京都府宇治市)は、使い込んだ中古品を「新品同様の状態」に戻して業容を広げている。
ラグジュアリーブランドや百貨店、セレクトショップとの連携も強めている。再生した製品を売買するフリマアプリ「サイフル」も立ち上げた。
ケアメンテは、独自に開発して事業化した技術。
水洗いとドライクリーニングを同時に処理する「水油系・アクアドライ」や、横ドラム型洗濯機に水を満たして洗濯することで生地を傷めず形崩れしない「無重力バランス洗浄」などを駆使した一連のシステムだ。
ドライクリーニングによる黄ばみや臭い、水洗いでの動物性繊維のフェルト化などの欠点を克服し、新品同様の状態に戻せるという。
生地を傷めず形崩れしない「無重力バランス」洗浄
顧客から送られてきた製品を入荷時に検査・検品、画像に納め、パーツごとに細かく採寸。その情報を顧客と共有、カウンセリングする。
変色や脱色、毛玉や破れなどの修繕、補修、縮みを戻す寸法合わせや、獣毛などでぬめり感がなくなった製品の風合い戻しなど、どんなメンテナンスが必要かを顧客と相談の上、納期を決定し、求められる修繕を行う。
洗浄は、素材や汚れの状態などを細かく調べ、これに基づき洗濯機の選定、温度、時間、洗剤の配合、濃度管理を行うため、「100万通りほどの洗濯データベース」ができたとする。これに最終の出荷前検品でシワなどをチェックし、「新品同様」に戻し、顧客に送る。
ユーザーはリピーターが多く、1回の利用額は平均3万円、最高は130万円の受注もあった。ラグジュアリーブランドや百貨店、ビームスなどのセレクトショップとの連携も進み、店頭の販売員がハッピーを紹介、ブランド品が送られてくるケースも増えている。
ケアメンテ活用で、ブランド品を長く使い続けるファンが増え、ブランド価値の向上と新たな購買動機につながっていると見ている。コメ兵と提携し、同社店頭でもケアメンテを受け付けている。昨年秋には、よみがえった製品を売買するフリマアプリ・サイフルを立ち上げた。
「ケアメンテ活用で、ファッション商品を、大量生産、大量消費、大量廃棄から適量生産、適量消費、循環型経済に変えていきたい」と橋本英夫社長。
外出需要が激減したコロナ期に落ち込んだ業績も、18年の水準に戻ってきたとしている。