●レコードを聴いている。
何年ぶりだろう。
アンプの調子が悪く、かすかにぶーーんとハムが入る。
そういえば、このアンプになってからじっくりとレコードを聴いたことがない。
このアンプとは、Sunsui の AU-D707。
このアンプの InputSelector の接触が悪く、時々右チャンネルが聞こえなくなったり、左チャンネルが聞こえなくなったり…
もっとも、弟から譲り受けたものなので文句は言えない。
さて、じっくり聞きはじめると、妙にハムが気になる。 60Hz のぶーーん。
もうひとつの MM に配線しなおしてみると、半分以下になるようだ。
気を取り直して、続けて聞く。
ドボルザーク の イギリス。 交響曲第8番。
ジョージ・セル(もう亡くなってしまった)指揮のクリーブランド管弦楽団の演奏。
この音色が好きだ。
レコードでは、演奏そのものの音は絶対に出ない。
でも、イミテーションらしい上品な音が好きだ。
ほかのものは、いかにも弦楽器の音です、という顔をしてしゃしゃり出てくる。
しかし、プレーヤーも変わってしまったせいか、いまいち、何かが変。
それとも、昔の良いイメージだけが残っているのか。
FOA さん。斎藤君ちで聞いた、あの淡々とした音が恋しいよーー。
●癌性腹膜炎、手術後化学療法第6クール(トータル第10クール) 35日目。
2月9日(日) 妻の顔を見に実家へ向かう。
まあまあ、元気な様子。
安心して、実家で寝てしまった。
昼食だ、ということで起こされて、お父さんお母さん、
いっしょに食べた
またしても眠くなり寝ていたら、妻に揺り起こされた。
天気がいいので散歩に行こう、というのだ。
近くの道路を妻と一緒にぶらぶらと…。
こんなこと何年ぶりだろう、
先ほどまで気ぜわしく動いていたのが嘘のようだ。
ゆっくりとした時間が流れている。
ふと土手を見ると、あれ、
こんな時期なのにふきのとうが芽を出している。
妻は、しめしめとばかりに、ふきのとうを摘みにかかる。
私は、ふきのとうの料理は好きではないが、摘むのは好きだ。
一緒に摘んだ。
5~6個摘んだら、妻はうれしそうに、へへっ、と小さく笑った。
2月15日~17日(金~日)
子供が急に帰ってきた。
というより、以前から連絡はあったが、忘れていた。
こちらに着いた、ということなので
「迎えに行く」とCメールを打った。
「いや、もう家に着いた。」という返事。
一瞬パニック。
何のことはない、車で家へ直接帰ってきた。
強引にも、スノータイヤはガソリンスタンドで入れた、という。
全く、予定も何もない奴。
でも、何としてでも帰ってきてくれて、うれしい。
金曜日の夕食で、思わず日本酒を飲みすぎてしまった。
翌日、次男は妻の実家へ行ったようだ。
私は、しこしこと仕事だったので……
その夜は、実家に泊まった。
ので、私は少し寂しく、やっぱり日本酒を、
また少し飲みすぎてしまった、
次の日曜日も、急遽仕事になり、
やっと、昼食を、一緒に食べた。
その後、さっさと戻っていった。
●癌性腹膜炎、手術後化学療法第6クール(トータル第10クール) 21日目。
2月3日(日) 吐き気と下痢がやっと収まってきたようだ。
外出し、二人でうどんを食べに行った。
だいぶお腹がすいていたようで、よく食べていた。
それもそのはずで、今は絶食中で水も飲んでいない。
いきなり食べて大丈夫か?、と思ったら、
病院へ着いた頃からお腹が痛い、と言い出した。
しばらく、車の中でじっとしていたら収まってきたようで、
病院へ戻っていった。
2月4日(月) 食事が置いてあったが、あまり食べていない。
おいしくない、と言っていた。
私がその食事をほおばった時、主治医が突然、カーテンから
顔を出した。
抗癌剤の悪影響があまりにも強すぎるので、
後一回治療する予定だったが中断することにする、
という説明をしに来られた。
このまま居ても良いし、退院しても良い、ということだった。
妻は迷わず、退院する、と言った。
主治医が立ち去ると、私の携帯で、
お父さんへ迎えに来るよう頼んでいた。
2月5日(火) 退院、というより、病院を出た。
ある意味、私は解放された。 病院通いを……
今までは19時頃しか帰宅できなかったのが、18時には帰宅できるようになった。
そして、妻の苦しい顔を見なくて良くなった。
が、…… …
さて、今日は私の健康診断。
午前中いっぱい、かかってしまった。
暫定的な結果は、まあまあ、特に悪いところ無し。
胃の内視鏡検診は初めてだった。
内視鏡が喉と食道を通る間、ものすごい吐き気が三回ほどあったが、何とか無事すごせた。
びっくりしたのは、十二指腸潰瘍の後がある、ということだった。
いつなったんだろう?。 昨年の5月まではプログラムを書いていたので、そのせいなのかなーー、なんて漠然と思っていた。
他に、胃の一部と食道の一部がただれている、ということだった。
後で、報告書が手元に届くようなので、その結果を持ってかかりつけの医者へ行こう……
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