凍り付いた人魚を砕いて
その血を食べました
流れ藻のように美しい
髪を手に入れるために
真実は
朝刊のチラシに包んで
燃やしました
灰になるまでもやして
土に埋めました
誰も知ることはないはずです
わたしはこのまま
永遠に生きるはずなのです
すべてを奪ったからです
顔も肉も頭も
心もすべて
だけどみなが
わたしにいうのです
おまえは人間ではないと
人魚の顔をしていると
誰も知らないはずの真実が
わたしの中でうずき
それは奇妙な虫となって
わたしの背骨を走るのです
背骨がひらき
そこからわたしはうらがえって
すべてが
人魚になってしまうのです
誰も知らないはずの真実を
吐きだしながら
わたしは
わたしの中から生まれてくる
恐ろしい人魚の
脱ぎ捨てたからになるのです
知らなかったことを
とうめいなうろこのようにまとい
風が問いもしなかった質問に
応えてくれる
おまえは実に
つまらないものになったのだと
すべてを
捨てたからだと
凍り付いた人魚を砕いて
その血を食べました
流れ藻のように美しい
緑の髪が欲しくて