Dr. 讃井の集中治療のススメ

集中治療+αの話題をつれづれに

Intensivist第1号創刊

2008-12-26 11:12:09 | 集中治療
皆様
6ヶ月の準備期間をかけ、Intensivist創刊号(Vol.1: No.1:2009)が1月に発売となります。皆様の痒いところに手が届くようにと、自治医大おおみや病院の讃井先生がEditorとなり、EBMに基づき、海外での医療に詳しい先生方に執筆を依頼しています。集中治療も非常に奥が深い分野でかかわってみると非常に楽しいということが少しでも若い先生方へわかっていただければと思います。


Intensivist創刊号(Vol.1: No.1:2009)
http://www.medsi.co.jp/intensivist/index.html

【特集: ARDS】
1) ARDS総論/ LDS Hospital 呼吸器内科・集中治療科 田中竜馬
2) ALI/ARDSの発症機序:細胞・分子生物学的機序/京都府立医科大学 麻酔科・集中治療部 橋本壮志・橋本 悟
3) ALI/ARDSの発症機序:病理学的観点から/慶應義塾大学呼吸器内科 田坂定智・慶應義塾大学病理診断部 林雄一郎
4) 画像診断/聖マリアンナ医科大学救命医学 松本純一・聖隷横浜病院放射線科 新美浩
5)ARDSに対する人工呼吸管理:基礎編/University of Missouri呼吸集中治療内科 大庭祐二
6)ARDSに対する人工呼吸管理:応用編/リクルートメントとオープンラング戦略/東京女子医科大学麻酔科 小谷 透
7)ARDSに対する人工呼吸管理:応用編/非侵襲的換気・理学療法/神戸百年記念病院麻酔集中治療部・手術部 尾崎孝平
 〔コラム〕気管切開チューブトラブル/神戸百年記念病院麻酔集中治療部・手術部 尾崎孝平・浅羽穣二 
8)ARDSに対する工呼吸療法,薬物療法を中心に:過去,現在,未来
(1) ステロイドと,その他の薬物療法/松江赤十字病院麻酔科・集中治療室 橋本圭司
(2) 吸入NOとARDS/ Massachusetts General Hospital麻酔科 市瀬 史
(3) ECMO,PCPSなどの体外循環/自治医科大学附属さいたま医療センター麻酔科・集中治療部 讃井將満
(4) シベレスタットに関する2つの無作為化試験について/東京慈恵会医科大学麻酔科・集中治療部 内野滋彦
9)ARDSに対する全身管理/Beth Israel Medical Center呼吸集中治療科 福永真由子/自治医科大学附属さいたま医療センター麻酔科・集中治療部 讃井將満
10)「特集ARDS」解説/讃井將満
11)座談会:隔靴掻痒のARDS臨床の克服/讃井將満,大庭祐二,田中竜馬,藤谷茂樹
 〔コラム〕米国の呼吸療法士/福永真由子


【主な連載】
・集中治療に役立つ内科ベッドサイト診断学/神戸大学病院総合診療部 平岡栄治
・集中治療医のための基礎医学101 第1回:集中治療に役立つ呼吸生理/亀田総合病院総合診療・感染症科 八重樫牧人
・八雲立つ不思議な国な,ICU/松江赤十字病院麻酔科・集中治療室/橋本圭司
・M&Mケースファイル/沖縄県立八重山病院外科 松浦謙二
・集中治療室目安箱:ナース/ME,私の言い分
・米国ICUフェローからのメッセージ「第1回:医師と臨床栄養士の連携を促す『集学的回診』」/福永真由子
・集中治療に関する最新厳選20論文

地方の逆襲

2008-12-24 11:29:46 | 集中治療
医師の都会への集中が大問題となっている昨今ですが、地方だって黙っていません、という話題です。

話題1
 支持率が下がる一方の美国の首相に変人が多いと指摘された九州地方某研修病院のOB会での話です。初期研修医ばかりでなく後期研修プログラムを強化しようと、本年度、将来開業をめざす人を対象に家庭医フェローシッププログラムが始まり、ピッツバーグ大学 Department of Family Medicine との協力体制も視野にいれているそうです。
 今まで開業でもするか、といってそのための何のトレーニングもせずに、誰に教わったわけではなく自由標榜制のもと自己流のプライマリーケアで許されてきた現状があるわけで、それに一石を投じようとする狙いがあるのかもしれません。
 今の開業ブームに拍車をかけるのではないかと思う方もいらっしゃるでしょうが、逆で、近い将来どこでも誰でも自由に開業できることに制限がかけられていくはずで、プライマリーケアという専門医資格がないと開業できないようなシステムもできるかもしれません(12月21日NHKスペシャル“医療再建 医師の偏在 どう解決するか”)ので、かなりの先見の明があるような印象を持ちました。
話題2
 そのOB会の席でご講演くださった熊本大学総合臨床研修センターの松井邦彦先生によれば、九州地方の3大学が合同で後期研修のローテーションプログラムを作ったそうで、後期研修医教育を医局関連の一般病院が担うのではなく、大学間で研修医を交換してやろうという発想は今までになかったもので期待大ですよねhttp://www.kuh.kumamoto-u.ac.jp/etc/topics/topi_200926.html。
 既存のシステムにのった研修システムでは人が集らない、逆に魅力のあるものを作れば人は集る、ということなのでしょう。大学病院にとっても既存のやり方が通用しない厳しい時代で、“前例がないという免罪符”を振りかざしていると、取り残される時代になったようです。
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 ちなみにJSEPTICでも現在多施設合同フェローシップ登録施設は3施設ですが、さらに全国展開したいと考えています。ま、いろいろ障害がありますが、“要は戦略とヴィジョンと断固たる決意(by 岩田健太郎先生)”があれば未来は開けていると。