Dr. 讃井の集中治療のススメ

集中治療+αの話題をつれづれに

回診でレジデントが踏む地雷集

2009-08-30 08:37:09 | 集中治療
回診でレジデントが踏む地雷集
1. “で、尿量はどのくらい? えー、◯◯です(と思います)”
 患者をよく見ていない。チームの中で患者のことを一番よく知っていることがレジデントの務めの第一です。なんでもズバズバ答えられることが評価を上げる第一歩ですが、単純に医師として患者を心配している、気になると自然に覚えられます。

2. “◯◯科の先生の要望でAという治療を始めました”
 レジデントは単なるメッセンジャーではありません。治療方針のプライマリーな決定者です。「その治療法の妥当性、メリット・デメリットは? で、君はどう思うの?」、という激しい突っ込みにあいます。たいがい炎上します。

3. 何が重要で何が重要でないかのメリハリがなく、事実の羅列に聞こえてしまう
 いくつもある所見、評価、治療の中でそれぞれ大事なポイントは限られています。そこを落としたら、その他の部分がどんなに素晴らしくても、台無しな(患者さんが害を被る)、そんな重要なポイントがあります。

4. “心房細動になったので、輸液負荷をしました”
 “AなのでBしました”のAとBの間にCがあるはずです。Cは一つとも限りません。たとえば、A: 心房細動→ C1: 心房細動発生のリスクの一つに容量減少がある→C2: この患者は前負荷不足と判断された→ B: 輸液負荷、など。また説得力を持つためには前負荷不足の証拠も必要です。
 もちろん、Cを述べなくても一目瞭然の時がありますが。「いやー、昨晩飲み過ぎちゃって、遅刻しました」に、誰も突っ込みは入れませんが、この発言では“飲み過ぎ”るとなぜ“遅刻”するのか不明です(いろいろな理由が考えられますよね)。

5. “◯◯なのでちょっと様子を見ました”
 特に治療方針に変更がない、何もしないことも立派な治療方針です。しかし、それにも理由と問題予測が必要です。現在の所見から判断して患者の状態は良好であるが、今後、Aという病態が生じたらその原因を検索し、程度を評価してBなら◯◯という介入を行う、という前提があっての“様子を見る”ということですよね。全部述べる必要はありませんが、経過観察には未来に起こる事象の予測が必須ですし、自分で治療介入の基準を作っておくと精神衛生上よいと思います。

6. 治療の優先順位を決められない
 病態、病勢、侵襲を受けてからの時期によって優先臓器(肺なのか腎なのか)、治療目標(正常値を目指すのか、異常値でもある程度我慢するのか)が変わるはずです。どっちも取れずに立ち往生しているレジデントの姿をよく見かけます。

 ポイントは、聞く相手(指導医やその他の回診メンバー)がどういう情報を得たいのか、自分の発言の辻褄があっているかどうか、説得力があるか、なんですけどね。話し方、質問の仕方に“できる、できない”の差が出る、とよく言います。ま、突っ込まれるのは、愛のムチを受けている証拠、人間突っ込まれなくなったらおしまいだぜ、と思って、めげずに頑張りましょう。指導医の“何で?何で?攻撃”は今日も続きます。攻められるだけでは不公平なので、レジデントも指導医に是非“何で?何で?攻撃”をして下さい。

Neurologic Prognosis after Cardiac Arrest

2009-08-09 23:34:11 | 集中治療
N Engl J Med 2009;361:605-11に心停止後の神経学的予後予測のアルゴリズムが載っています。

見やすいので添付します(ブログに貼付けるとほとんど見えなくなってしまいすみません。今後はホームページから参照できるようにしたいと思います。準備中)。一つのよい判断材料になるのではないでしょうか。

ちなみに、当院の優秀なシニアが教えてくれました。