Dr. 讃井の集中治療のススメ

集中治療+αの話題をつれづれに

一日一回鎮静の中断は意味がない?

2012-11-28 19:17:16 | 中枢神経

Daily Sedation Interruption in Mechanically Ventilated Critically Ill Patients Cared for With a Sedation Protocol

JAMA. 2012;308(19):1985-1992. doi:10.1001/jama.2012.13872.

プロトコールによる鎮静に加えて一日一回鎮静の中断を行うことはメリットが増えるか?

というRCTがカナダのCTGから出ましたね(注1)。

 

以下サマリーと感想です。

背景

プロトコールに従った鎮静と一日一回鎮静の中断は、鎮静を最小限とし人工呼吸期間とICU滞在期間を短縮させる2つの戦略である。我々はこの2つの戦略を併用すればさらに有益性が高まるという仮説を立てた。

目的

重症患者を対象として、プロトコールに従った鎮静と、鎮静プロトコールに一日一回鎮静の中断を加えた鎮静を比較すること。

デザイン、セッティング、患者

2008年1月から2011年7月までの間、カナダおよび米国の16か所の三次病院の内科・外科ICUにおいて、430人の成人の重症人工呼吸患者を対象とした無作為化対照試験。

介入

鎮静は、オピオイドかつまたはベンゾジアゼピンの持続投与で行った。対象患者を無作為に、鎮静プロトコール群 (n=209; 対照群)、または鎮静プロトコールに鎮静中断を併用する群(n=214; 中断群)に割り付けた。看護師が鎮静スケール(8施設でSedation-Agitation Scale、8施設でRichmond Agitation Sedation Scale)を使用して1時間ごとに評価し、調節して比較的浅い鎮静レベルを目標とした(SAS 3-4でRASS 0- -3)。治療群で鎮静の中断後に鎮静を再開する必要がある場合には、看護師が中止前の半量で投与を開始した。患者は一日一回、せん妄の有無の評価 (Intensive Care De- lirium Screening Checklist)、人工呼吸器離脱可能かどうかの評価を受けた。

主要評価項目

主要評価項目は抜管成功までの期間とした。二次評価項目は、滞在日数、鎮静・鎮静薬の使用量、管類の事故抜去、せん妄、看護婦と呼吸療法士の仕事負担 (10ポイントのビジュアルアナログスケールVASによる) であった。 

結果

抜管成功までの期間の中央値は中断群と対照群両者とも7日であった(中央値 [四分範囲(IQR)], 7 [4-13] vs 7 [3-12]; 中断群のハザード比(HR), 1.08; 95%信頼区間(CI), 0.86-1.35; P=0.52)。ICU滞在期間と在院期間は、中断群と対照群で差がなかった(ICU滞在期間: 中央値 [IQR], 10 [5-17] vs 10 [6- 20]; P=0.36、在院期間: 中央値 [IQR], 20 [10-36] vs 20 [10-48]; P=0.42)。鎮静中断群で、ミダゾラム、フェンタニルの1日投与量が多く(ミダゾラム: 平均102 mg/d vs 82 mg/d; P = 0.04,フェンタニル: 中央値 [IQR], 550 [50-1850] vs 260 [0-1400]; P<0.001 )、ベンゾジアゼピンと麻薬系鎮痛薬のボーラス回数が多かった(ベンゾジアゼピン: 平均, 0.253 vs 0.177; P = 0.007, 麻薬系鎮痛薬: 平均 2.18 vs 1.79; P<0.001)。気管チューブの事故抜管は、中断群で214人中10人(4.7%) 、対照群で207人中12人(5.8%)に生じた(リスク比(RR) 0.82; 95% CI, 0.36-1.84; P=0.64)。せん妄の発生率は、群間で差がなかった(53.3% vs 54.1%; RR 0.98; 95% CI, 0.82-1.17; P = 0.83)。看護師の負担感は中断グループで多かった(VAS 4.22 vs 3.80; 平均差 0.41; 95% CI, 0.17-0.66; P = 0.001)。

結論

鎮静プロトコールに従って鎮静を受ける人工呼吸成人患者にとって、毎日の鎮静中断の追加は人工呼吸またはICU入室期間の短縮につながらなかった。

 

感想

本研究は、一日一回鎮静の中断という2000年以降の人工呼吸患者の鎮静法の王道に対して真っ向から反論を提示したと言ってもよいでしょう。確かに、目標鎮静レベルを浅い範囲に留めさえすればよく、鎮静の中断によって生じる弊害に比べればその中断の利益はないという意見があるのも確かです(注2)。

しかし、鎮静・鎮痛薬を積極的に減量したり中止して、始めてその薬が必要ないとわかる場面をしばしば経験します。本研究のように一定の鎮静レベルを目標に行う持続投与は、そのレベルに収まっていれば薬剤投与速度を調節する必要がなくなり、結果として必要のない薬剤への曝露が継続されるかもしれません。

また、本研究では、興奮や窮迫を示した患者に対して必要に応じて看護師が鎮静・鎮痛薬をボーラス投与可能なプロトコールが採用されています。

ベッドサイドで大わらわのナーシングスタッフは、患者にストレスが少しでも及んでいると判断すれば、何らかの強い意思、外力が働かない限り、ボーラス投与や持続投与の再開を選択するはずです。実際にナーシングスタッフは一日一回鎮静の中断により労力が増えたと答えていますしね。

さらに、使われた鎮静薬がベンゾジアゼピンで、鎮静を中断しても薬剤の効果遷延や離脱症状にナーシングスタッフが苦労し(てボーラス投与を行い結果として鎮静薬の投与量が増え)た可能性が否定できません。経験上、中断後しばし“我慢する”か、鎮痛薬、ハロペリドール、デクスメデトミジンなどで“逃げる”とスッキリ覚醒することも少なくありません。また、そもそも病態の改善が得られていないときに、“無理に”鎮静の中断を行ってもうまくいかないことも多く、集中治療専門医の適切な判断が無理な鎮静の中断や無駄な薬剤の継続を防ぐこともあると思いますよ(注3)。

まとめると、ベンゾジアゼピンの薬理学的特徴や病勢を考慮することなく一様に鎮静を中断すれば、結果としてその投与量が増えることも想像に難くない、と思ってしまう。

私自身としては当分の間、過剰な鎮静を避けるために、「鎮静は中断してみなければ必要ないことがわからない」ので、“積極的”かつ“うまく”減量、中止するプラクティスを変更する予定はありません。ただ、一人の冷静な臨床家として、仮に「一日一回鎮静の中断」が、「厳格血糖コントロール」のように今後更なる逆風に曝され、“標準”の範囲から逸脱するようであれば、あっさり捨てる勇気は持っています(注4)。

この世界は、右に大きくぶれたと思ったら、左に大きく揺さぶる人たちが必ずと言ってよいほど現れます。 おもしろくてやめられない理由の一つです。

 

 

注1:Intensivist「呼吸器離脱」の座談会が長くなってしまったので、つづきを次号(2013年 1月号「ACS」)に掲載します。その中にも、コーヒーブレイクでこの論文の紹介とコメントを載せました。ワタシのコメントはほぼ同様ですが(ごめんなさい)、大庭先生のコメントもついていますので読んでください。というより、慢性人工呼吸病院のナマの話題もあったりして面白い「続編」になっています。

注2:確かに、この一日一回鎮静の中断のランドマーク研究である2000年のKressの論文では、鎮静中の鎮静スケール目標はRamsey 3-4(3:指示に対してのみ応答する程度、4:患者は眠っているが、眉間を軽く大声での呼びかけにすばやく反応する)で、確かに少し深いですので、そういう深い鎮静にはとくに1日1回鎮静の中断が有効であるが、本研究のような中等度~浅い鎮静(本研究はRASS 0- -3で、-3は若干深いですね、目を開けても視線を固定できない)なら、中断するメリットが減ると考えるのは自然ではありますが。

注3:と、期待しているだけで証明されたわけではありません。ただ、我々の“職人”としての存在意義も少しはないとね。実際、私の身近では、エビデンス評論家を育てるのではなく、臨床的真摯さ、センスを持つ集中治療医を育成しているつもりです。

注4:敗血症に対するHES製剤という例もありますね。自分の◯◯(嗜好、信念、過去のプラクティス、研究結果、など)にしがみついて冷静な目を失うと、結局、自己否定、矛盾につながります。ミイラ取りがミイラになってはいけません。

 


人工心肺後に再膨張性肺水腫は起こるか?

2012-11-19 23:48:11 | 呼吸

某病院の臨床工学技士の方からご質問をいただきました。とても良い質問だったのでご紹介したいと思います。それと、いろいろ異なるご意見などもうかがいたいですし(コメント、ご質問のある方は、コメント欄に是非)。

 

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讃井先生

チーム医療CE研究会・東日本主催 臨床セミナーのときは、CO2産生量に関しての質問を受けていただきありがとうございました。

またひとつ質問させてもらってもよろしいでしょうか。
再膨張性肺水腫に関してですが、心臓外科OPでの長時間人工心肺中の
換気停止によるそのような弊害は起こりえるのでしょうか?
よく長期の気胸時に起こると聞きますが、どのくらいの時間で起こりえるのでしょうか?
当院では人工心肺中、術野操作の邪魔にならないように人工呼吸停止中でもCPAPを3~5cmH2Oくらいはかけてもらえるように麻酔科Drにお願いしています。

お忙しいところ、大変恐縮ではありますがよろしくお願いします。

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私の回答

先日はご参加いただきありがとうございました。

とってもよい質問ですね(つまりは、うっ、すぐに答えられない、ちょっと調べてみよう、という意味です)。

一つ目は、人工心肺後に再膨張性肺水腫が起こるか、というご質問ですね。

典型的な再膨張性肺水腫は、気胸や胸水などで3日以上の肺の虚脱がある場合に、2000cc以上の容量を、1時間以内の急激なドレナージしたときに起こる血管透過性亢進型の肺水腫と言われています[1]。

また、その提唱されている機序として、虚脱の時間が長くなることにより肺微小血管の内皮と基底膜が厚く、固くなり、結果として再膨張時の機械的ストレスによって傷害を受けやすくなることが指摘されています。それに加えて虚血再還流障害も関与するだろうと[1](注1)。

したがって、短時間の人工心肺中の虚脱では再膨張性肺水腫は起こりにくいのではないでしょうか。

さらに、(おそらく短時間では起こらないと思いますが)もし仮に人工心肺中の虚脱により肺微小血管に対する障害が進んだとしても、その後すぐに陽圧換気を行いますので、肺水腫に対する対症療法をしていることになり、臨床的にはわかりにくくなるでしょう。逆に、人工心肺の炎症による肺傷害や静水圧性・心原性の肺水腫も起こりやすい状況なので、さらに原因を単一なものに決めつけるのは難しい。

結論として、人工心肺後に再膨張性肺水腫は起こらない、でいいんじゃないでしょうか。


もう一つの質問は人工心肺中に、肺を完全に虚脱させておいても構わないか、低圧のCPAPなどで肺胞を開いておくべきか、という質問ですね。

PEEPは虚脱肺胞を防ぐまたは再開通させ、換気血流比不均衡に拮抗する効果があります。しかし、そのような効果はPEEPをかけている間は持続しますが、その原因(筋弛緩薬、全身麻酔、各種の肺疾患など)が除かれない限り、止めてしまえば失われるのは、みなさんご存知の通りです。

人工心肺中のPEEPは、上記のような人工心肺中の虚脱や人工心肺自身による肺傷害に対し拮抗する方向に働くはずですが、臨床的に認められる唯一の効果は人工心肺立ち上がり直後の酸素化の改善くらいで、たとえば人工呼吸器時間が短くなる、ICU滞在時間げ減る、などの患者に対する利益は現在のところないと考えてよいと思います[2]。

というわけで、(ECMOなどと違い)通常の手術中の人工心肺であれば、PEEPをかけてもかけなくてもどちらでもよいでしょう。かける場合には、術野の邪魔にならないように十分注意をすべきと思います。

私の個人的な成人心臓手術中のプラクティスとしてはこの件に関する強いオピニオンがなく、現在は心臓麻酔を日常的にやる環境にないので、現役エクスパートの意見(というか好み)を聞いておきますね。

以上、私の回答でした。

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ここ数年、JSEPTICメーリングリストの盛り上がりが今ひとつですし(注2)、是非このような「どこにも書いてない、だれも教えてくれない臨床的疑問」があれば、どしどしお寄せ下さい( http://www.jseptic.com/contact/ )。無記名で構いません。その筋のエクスパートの意見を聞いてお答えします。

 

注1:その一方でARDSのような炎症が起こっていない正常な肺で、人工呼吸などで肺傷害を増悪させる要因がなければ、長時間虚脱させておいても固くなって広がらなくなってしまうような臨床的に有意な変化は起こらず、(長時間虚脱していても)その後きれいに広がる、という見解もありますし[3]、自分の臨床的経験でもそうです。逆に炎症が進行してしまった肺は何をどうやっても広がらない印象があります。

注2:2008年にMLを始めた時には盛り上がっていましたが、松江赤十字病院の橋本圭司先生のおかげだっただけかもしれませんね。IDATENメーリングリストの盛り上がりに比べると集中治療の層の薄さを痛感します。

 

文献:

1. Sohara Y. Reexpansion pulmonary edema. Ann Thorac Cardiovasc Surg 2008;14:205-9

2. Schreiber JU, Lance MD, de Korte M, Artmann T, Aleksic I, Kranke P. The effect of different lung-protective strategies in patients during cardiopulmonary bypass: a meta-analysis and semiquantitative review of randomized trials. Journal of cardiothoracic and vascular anesthesia 2012;26:448-54

3. Tremblay L, Valenza F, Ribeiro SP, Li J, Slutsky AS. Injurious ventilatory strategies increase cytokines and c-fos m-RNA expression in an isolated rat lung model. J Clin Invest 1997;99:944-52. あんまり良い論文が見つからない。見つけたらお教えします。知ってるかた教えて下さい。

 

 


カテーテル関連感染のRCTがとうとうスタートしました

2012-11-14 22:49:57 | 感染

昨日、京都で、「血管内カテーテルコロニゼーションに対するクロルヘキシジンの有効性の検討」の多施設無作為化対照試験(RCT)のキックオフミーティングがありました。

苦節1年半、武蔵野赤十字の安田英人先生を中心にここまでこぎつけました。JSEPTIC-CTGのRCT第一弾、是非成功させたいと思います。

研究にご参加くださるご施設、ご担当の先生方、昨日遠方からおいで下さった先生がた、ありがとうございます。

研究にご興味のある方は、その詳細について、

http://www.jseptic.com/rinsho/

をご覧下さい。

また、昨日参加された方からたくさん良い質問をいただきました。どうしても気づかない点がありますね。いろいろなご指摘ありがとうございます。研究スタート前にクリアできて良かったです。

ひきつづき研究終了までよろしくお願いします。


Intensivist呼吸器離脱 ようやく出ました

2012-11-05 19:12:14 | 集中治療

ようやく出ました。

編集の大庭先生(ミズーリ大学)をはじめとしてご協力頂いたみなさまがた、ありがとうございました。以下、コンテンツを載っけて終わり、じゃあんまり芸がないので、以下「編集後記の後記」、その後にコンテンツ。

 

編集後記の後記1

巷に溢れる各種の人工呼吸に関する書籍、雑誌と、どのように差別化を図るか、どうしたら家でじっくり読んで「この雑誌、凄い」と唸ってもらえるか、どうしたらIntensivistの基本理念を壊さずにICUのベッドサイドで参照してもらえる気軽さを持たせるか、などに悩みました。というか、いつも悩んでいます。

雑誌、書籍は知識を得るためにありますが、最終的に得た知識を患者さんの診療に生かしていただけなければ、臨床医学・医療の書籍としては失格ですよね。そのためには読んでもらわないといけないですし、使ってもらわないといけません。結果的に過去最厚の266ページになってしまいましたが、これは少なくとも自慢することではありません。なぜなら、自分でも本があんまり厚いとそれだけで、買う、開くのに抵抗があることがありますからね。

削りたいと思いながらも、執筆者のご苦労が痛いほどわかるために、削るのはこちらにとっても痛い作業です。それに多くの医療者は「◯◯をやってない」「XXに言及していない」症候群にかかっています。案の定、その症候群にかかっている自分も、アレを入れたいコレを残したい、と思い、もともとIntensivistの理念は全部揃えて教科書のように使ってほしい、であったこともあり、削れなくなるわけです(注1)。

それでもIntensivistは医学商業雑誌としては画期的でしょう。通常、学術雑誌は、それはそれは厳しいピアレヴューの結果で掲載が決まります(査読者がいてコメント、評価をもらいエディターが掲載を決定する)。しかし、日本の商業雑誌は、執筆者が書いたものをよほどのことがない限りそのまま載せます。Intensivistではこの常識を破り、比較的若いドクターに読者を代表してまずナマ原稿を読んでもらって、「ここがわかりにくいのですが」とか、「こうしてくださるともっとわかりやすい」とか、コメントをいただき、そのコメントをまとめて執筆者にお送りし、修正、加筆いただいています。

もちろんこちらからお願いして書いていただく依頼原稿ですので、失礼のないように配慮したうえで執筆者にお送りし、最終的な判断は執筆者にお任せしています(注2)。このシステムが誌面の質を維持するために大きな役割を担っているのは確かでしょう。

その他にも「読んで、使って」いただける雑誌ができるような編集上の工夫をいろいろしています(その紹介はまたの機会に)。

 

編集後記の後記2

今回はお若い方にたくさん執筆していただいたので、執筆者平均年齢はおそらくいままで最も若いでしょうね(注3)。「よい復習(あるいは予習)の機会」になったでしょうか。その上、名前が人の目に触れて、少々のお小遣いが貰えるとなれば、嬉しいですよね。私も最初はそうでした。といっても、レヴュー雑誌に依頼原稿を書くのは、前述の学術論文に投稿するのと違い業績にもならず、重荷でしかないときがあります。原稿料にしてもモチベーションを上げる役割はほとんどないでしょう(経験者なら納得していただけるでしょう)。学術論文を書いてくださいね。もし、よき指導者がいらっしゃらない場合にはJSEPTIC-CTGがお手伝いします。

宣伝。12月15日のJSEPTICセミナー「呼吸器離脱」で、今号の執筆者の方々にご自分の原稿の要点をまとめていただき、誌面で語れなかった部分を補足していただく予定です。11月5日の段階であと十数席らしいので、ホームページから申し込んで下さい。

 

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注1:でも実際の臨床ではどちらかと言うと「必要ない症候群」に罹っていて、ボクがICU管理すると、クスリもクダ類もどんどんやめてしまうので、ときに早まり過ぎてナース、レジデントからダメだしされることもあります。

注2:ほとんどの執筆者の方がこころよく対応してくださいます。非常にありがたいことです。

注3:お若いかたの方が一生懸命に文献を漁り読みますので適任かもしれません。実際に、米国でもレヴューはフェローが書くことがしばしばです。もちろん、上級医のスーパーバイズは必須ですが。

 

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以下、コンテンツ。

INTENSIVIST vol.4 no.4

【特集】呼吸器離脱
人工呼吸は,その始めと同様,あるいはそれ以上に終わり方が重要です。しかし,これまでの出版物では,人工呼吸のモードや設定法,機械の原理やその扱い方,人工呼吸が必要な病態や患者のケアに関する解説が中心となり,離脱は十分に解説されてきたとは言えません。そこで,本特集は徹底的に“終わり”に注目しました。
人工呼吸器離脱に関して,これ一冊で人工呼吸にかかわるすべての医療従事者が理解でき,ベッドサイドに置いて便利で,5年間使用に耐える特集と考えています。

1. 標準的な人工呼吸器離脱:歴史,方法
Part 1:人工呼吸器離脱法の歴史:SBTという概念が生まれた背景
  鈴木 涼平 昭和大学藤が丘病院 救急医学科
  讃井 將満 東京慈恵会医科大学 麻酔科 集中治療部
Part 2:SBTの技術的側面
  安田 英人 武蔵野赤十字病院 救命救急センター

2. 人工呼吸器離脱困難
Part 1:疫学,原因,治療
  田中 竜馬 Pulmonary & Critical Care Medicine, LDS Hospital
Part 2:各種の換気モードを理解する
  奥田 晃久 東京慈恵会医科大学附属病院 臨床工学部

3. 抜管のすべて
Part 1:抜管総論
  竹内 広幸 健和会大手町病院 麻酔科・集中治療部
  讃井 將満
Part 2:抜管前にできること:抜管後喉頭浮腫の診断・予防・治療
  岩井 健一 東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 麻酔部
Part 3:抜管後にできること
  瀬尾 龍太郎 神戸市立医療センター中央市民病院 集中治療部
Part 4:抜管,再挿管のテクニック
  飯塚 悠祐 松江赤十字病院 麻酔科・集中治療室

4. 呼吸器離脱を目的としたリハビリテーション:理学療法に根拠はあるのか
  齋藤 敬太 東京慈恵会医科大学 麻酔科 集中治療部

5. 気管切開の虚像と真実
Part 1:離脱における気管切開の役割:適応とタイミング
  難波 義知 昭和大学藤が丘病院 救急医学科
Part 2:気管切開のテクニック
  武居 哲洋 横浜市立みなと赤十字病院 集中治療部
Part 3:気管切開患者の管理
  岡村 篤・山村 剛康 特定医療法人平成会 平成会病院

【コラム】長期人工呼吸病院の必要性と我が国の現状:
 400例の長期人工呼吸治療経験から
  岡村 篤・山村 剛康 

【コラム】開心術後の気管切開:
 実施時期による予後の変化に関して結論は出ていない
  木村 直行 自治医科大学附属さいたま医療センター 心臓血管外科

6. 離脱困難患者の基礎医学
Part 1:呼吸仕事と呼吸筋疲労
  竹内 宗之・橘 一也 大阪府立母子保健総合医療センター 麻酔集中治療科
Part 2:人工呼吸が喉頭・咽頭機能に及ぼす影響
  齋藤 康一郎 慶應義塾大学医学部 耳鼻咽喉科

7. 座談会:
 こんなときどうする“もし◯◯患者の人工呼吸器離脱を考えたら”1例目
  古川 力丸 日本大学医学部 救急医学系 救急集中治療医学分野
  内野 滋彦 東京慈恵会医科大学 麻酔科 集中治療部
  大庭 祐二 University of Missouri 呼吸集中治療内科
  讃井 將満

8. 人工呼吸器離脱に有用な指標,呼吸器モニター
Part 1:呼吸器離脱を予測する指標:歴史的変遷
  南 太郎 Memorial Hospital of Rhode Island, Alpert Medical School of Brown University
Part 2:グラフィックから見る人工呼吸器離脱
  木下 亮雄 東京ベイ・浦安市川医療センター 臨床工学室

【コラム】NIV専用機を徹底的に理解する
  岩谷 理恵子 東京慈恵会医科大学附属病院 臨床工学部

【コラム】慢性呼吸不全と栄養療法
  則末 泰博 東京ベイ・浦安市川医療センター 呼吸器・集中治療科

【コラム】6 mL/kgとSBTの間には
  讃井 將満

【特別寄稿】Overview of Ventilator Withdrawal for “Intensivist”
  Lonny Ashworth Department of Respiratory Care, Boise State University

9. 「特集 呼吸器離脱」解説:
 なぜ呼吸器離脱なのか
  讃井 將満

【連載】
■ICUと皮膚病変
 第8回:皮下結節
  三井 浩 聖マリアンナ医科大学 皮膚科学

■Lefor's Corner
 第5回:Ventilator Management:Part I. Indications and Initial Set-up
  Alan T. Lefor Department of Surgery, Jichi Medical University

■ICUフェローからのメッセージ
 第17回:アジアオーストラレーシア3国での医療体験
  高木 俊介 Prince of Wales Hospital Intensive Care Medicine/横浜市立大学附属病院 集中治療室

■特別寄稿 救急RRS(Rapid Response System)塾の開催
  児玉 貴光,中川 雅史,川本 英嗣,藤原 紳祐,今井 寛,安宅 一晃,藤谷 茂樹,太田 祥一,RRS推進委員会
  神原 永長 八尾徳洲会総合病院 治験センター

■集中治療に関する最新厳選20論文
  柳井 真知 聖マリアンナ医科大学 救急医学
  藤谷 茂樹 東京ベイ・浦安市川医療センター/聖マリアンナ医科大学 救急医学

■JSEPTIC簡単アンケート
 第6回:包括指示,人工呼吸器の機種,PICU
  内野 滋彦