Dr. 讃井の集中治療のススメ

集中治療+αの話題をつれづれに

先生は何科医?

2012-02-23 16:53:52 | 麻酔

最近、専門医取得数年後の若い麻酔科医(ちなみに、自分の病院の人ではありません)と話す機会がありました。

麻酔科医としての自分の将来、日本の医療界の中の麻酔科という診療科について漠然とした違和感、危機感を抱いている。

自分はプロフェッショナルと言えるだけの資質を備えているのか、日本の麻酔科という診療科は、プロフェッショナルを再生産して、周術期医療をよくして、みなさまの役に立っているのか、など。

 

自分を振り返ってもよくわかります。

初期研修を終わり、麻酔を研修して、心外も自信を持ってできるようになって、小児も産科もそれなりにできるようになって、見よう見まねでICUも救急もできるようになった後に自分に質問してみました。

「自分は麻酔のプロフェッショナルか、自分は麻酔を人に教えられるか」

答えは「No」でした。だから、米国で、あらためて麻酔科レジデントに逆戻りしました。

うちの同僚(非麻酔科系の集中治療医)は、「何科の医者?」と訊かれると「自分は集中治療医です」と答えます。ときに、それを私に強要します。確かに、私もアルバイト以外、ICU専従の生活をもう5年もしていますので、客観的に見ると集中治療医が正しい。しかし、多くの場合、反射的に「私は麻酔科医です」と答えてしまいます。

理由は自分でもよくわかりません。

悪く解釈すると「集中治療医とは何か」を説明するのが “日本では” まだまだ面倒だからかもしれません(先生がそんなんじゃだめでしょ、とまた怒られますが)。よく解釈すると、やっぱりなんだかんだ言って自分が麻酔科医であることに誇りがあるってことなのかもしれません。

 

 

偶然見つけた気持ちの良い「集中治療医を目指す麻酔科医のブログ」

http://anesthfow.exblog.jp/

頑張って、若者。応援します。

 


ICUにおける体重測定の意義に関するアンケートはじまりました

2012-02-15 23:08:41 | 集中治療

全国の専門看護師、認定看護師を対象としたICUにおける体重測定に関するアンケート調査が始まりました。

アンケート作成に協力していただいた杏林大学医学部付属病院 看護部の伊藤 有美先生、貴重なご意見をいただいた杏林大学医学部付属病院 看護部長の道又 元裕先生、大変ありがとうございました。

体重はICU患者の基本的な情報の1つです。例えば、薬剤や栄養の投与量決定や血行動態計算に使用します。除水量の目安に利用することもあるでしょう。

しかし、その実態は正確に把握できていません1)。たとえば、体重情報が水分バランスと比較して正確か?、どの程度の間隔で測定しているか?、どのように診療に利用されているか?、患者に対する事故抜去などの有害作用は?、ナースの負担になっていないか?など、多くの疑問が湧いてきます。

さらに、体重を測定することにより患者さんの死亡率が低下するか、ICUの滞在日数が減るか、人工呼吸器時間が減るかなど、「患者さんに本当に役に立っているのか」というもっとも重要な問いに対する答えは得られていません。世界的にもこの分野の質の高い研究はほとんど見当たりません2)。ベンツ一台の値段に匹敵する体重測定ベッドをICUに多数準備するだけの根拠があるのかどうか、自信を持って答えられる医療者は世界中どこにもいないかもしれません。

そこで、まず2012年2月3日、急性期領域で活躍中の全国の専門ナース・認定ナースを対象に、ICUにおける体重測定に関するアンケート調査を開始しました。その結果を踏まえて、今後、ナースを主体とした多施設観察研究を行う予定です。

私たちは、チームとしての協力なくして集中治療は成立しないと考えています。今回のアンケートをきっかけに、できるだけ多くのナースに本研究会の活動をご理解いただき、集中治療の発展のためにともに歩んでいけることを願っております。

参考文献

1) http://www.jseptic.com/rinsho/pdf/questionnaire_110825.pdf

2) Maskin L, et al. Anaesth Intensive Care 2010;38:930-4

 

 


「人工呼吸管理に強くなる」(羊土社)第4刷に突入しました

2012-02-11 15:22:35 | 集中治療

「人工呼吸管理に強くなる」(羊土社)ひきつづき好調なようです。

http://blog.goo.ne.jp/jseptic/e/6b5c9af035a04a3196eb6a6c9d8c4187

http://www.yodosha.co.jp/medical/book/9784758106979/index.html

本当にありがたいものです。ご意見、ご希望がありましたら

https://www.yodosha.co.jp/inquiry.html

までお気軽にどうぞ。

話はかわりますが、Intensivist誌(メディカルサイエンスインターナショナル)でも、2009年1月号の創刊号の「ARDS」以来呼吸に関する特集をやっていなかったので、今年の秋には、また大庭祐二先生にご協力いただいて「ええっ」と驚く特集を予定しています。

乞うご期待です。