昨日、2013年初のIntensivist編集会議が開かれました。
議題は、現在の問題点の拾い上げと対策、および2014年の特集テーマ決めでした。
問題点の第一は、雑誌の「厚み」。いままでは、その一冊で特集テーマについて漏れがないよう項目をできるだけ網羅し、かつ執筆をお願いする先生がたにそのお考えを十分書いてもらうことを第一に考え、ページのオーバーを許容し、全体として厚くなるのを比較的無制限に許容してきました。しかし、厚いのが続くと値段も考えなければならないし、自分を振り返っても、およそ書物の類いは厚いよりは薄い方がとっつきやすい。「厚み」の弊害があるのは確かです。
考えてみると、すべての医学書の究極のゴールは、患者さんの診療の改善に貢献することではないでしょうか。そのようなゴールを達成するためには、具体的にどのような書物がよいか、両極の類型を考えてみると、医療スタッフが
「これを参照すればとりあえず解決しないことはない」 vs. 「現場でパッと見て役に立つ」
と感じるものに分けられると思います。つまり、「レフェレンスブック」 vs. 「実践的ガイドブック」、あるいは「坐ってじっくり読む詳細さ」 vs. 「立ったまま見て内容が目に飛び込む使いやすさ」の対立というか。
詳しく書いてあっても多くの方に読んでもらえなければ「究極のゴール」につながらないのは言うまでもありません。一方、目に飛びこみやすくても内容が浅く、クオリティーがコントロールされていなければ、「真面目さ」「誠実さ」が足りないと足元を見られ、信用度が下がり読んだ医療者のアタマに長く残らず、やっぱり「究極のゴール」につながりません。
両者が共存するモノを作りたい、とずっと考えてきましたが、そもそも「共存は無理、別々に作るべき」という意見にもまともに反論できません。
個人的に非常に悩ましい問題でした。
もっと考えると、「現場でパッと見て役に立つ」を第一に考えるなら、活字という媒体に頼らない方が「究極のゴール」により近づける気もします。
インターネットの普及により人類全体が長文、装飾文、難解文を拒否し、脱活字化に向かおうとしている時代です。手紙とは違う電子メールが普及し、レクチャー動画、スライドプレゼンテーションが巷に溢れています。「究極のゴール」が達成されるのであれば、そのような大きな潮流に逆らわない方がむしろ効率が良いのは確かなようです。読んで、見て、面白い娯楽の要素もあった方が受け入れやすいでしょうし、印象も強いでしょう。少なくとも「重厚さ」は求められない。
というようなことを、今までもぼんやり考えてきましたが、あらためて考えさせられました。
ちなみに、もう1つの議題であった2014年の特集テーマは比較的すんなり決まりました。なぜかというと、多くの若い方が来てくれ参加者がいつもより多かったからでしょう。「文殊の知恵」は確かなのです。おかげで7時に始まって9時台に終わり、編集会議最短記録を更新しました。
どんな様子で雑誌が作られるか見てみたい、こぼれ話を聞きたい、あわよくば原稿を書いてみたいという方がいれば、是非編集部までご連絡ください。