白石忠志「優越的地位濫用規制をめぐるICN京都総会特別プログラム」公正取引No693-2008.7
優越的地位濫用規制について調査した過程で出会った文献です。
優越的地位濫用規制が競争法で対応すべき問題か否かは困難な問題ですが、ICN京都総会特別プログラムは、この問題に取り組みました。
全体を論評することは当職の能力を超えますが、興味深い点は、白石先生が、「「優越的地位」なるものは実は「市場支配的地位」を何ら異なるものではな」く、「日本の優越的地位濫用規制は、たとえばECでの搾取的濫用規制と連続性をもつ」と述べられていることです。
この理解に立つとき、装置メーカーが、中古装置販売業者からの当該装置の外為法適用の該否判定要請に対して、不当に高額の判定料を要求したり、要請自体を拒絶したりして、中古装置の当該外国への輸出を妨害する行為は、「当該装置の外為法適用の該否判定サービス市場」という狭いマーケットにおいて、装置メーカーが独占力を行使して不当に利益を得ているか、あるいは、当該装置の当該外国に対する輸出市場において競争者を排除する行為をしている、と捉えられるように思いました。
輸出市場が、日本の独禁法の適用対象なのかという疑問もありますが、この点も含め、さらに検討を深めたいと思います。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます