3 TOB規制の内容
(1)概略
TOB規制の対象事項は、本稿の目的との関連においては以下の4つに分けることができる。
① 買付行為に関する情報開示等
② 条件の変更・撤回、応募株主の解除権
③ 対象会社の意見表明
④ 別途買付の禁止
(2)若干の留意点
ここで、説明の便宜のため若干の留意点について述べる。
ア 買付行為に関する情報開示等
(ア) 買付者 . . . 本文を読む
2 TOB規制の発動要件
TOB規制の発動要件は5つあるが、本稿の目的の関連では、以下の2つ(5%ルールと3分の1ルール)が重要ある。
発動要件
条文
①
市場外での買付け等で、買付け後の株券等所有割合が5%を越える場合
法27条の2第1項項1号
②
. . . 本文を読む
1 TOB規制とは何か
上場会社[1](以下「対象会社」)の支配権を取得した上で、少数株主を排除して完全子会社化すること(以下「スクイーズアウト」)を目的として対象会社の株式を買付けようとする場合(以下、取得しようとする者を「買付者」)、金融商品取引法(以下「金商法」又は「法」)上のTOB規制(公開買付規制)に従う必要がある(法27条の2第1項柱書き)。後記のとおり、 . . . 本文を読む
1 大量保有報告規制の概要
(1)規制の趣旨
上場会社[1]の株券の保有割合が5%を超えた株式保有者は大量保有報告書の提出義務を負う[2]。5%超の株式保有は、会社の支配又は株価に影響を与えるため、開示することが必要かつ適切と考えられるからである。さらに、大量保有報告書提出者の株券の保有割合が1%超変動する場合には、株式の需給に大きな影響をもたらすと考えられるため、大量保有報告書に係る変更 . . . 本文を読む
1 はじめに
スクイーズアウとは、支配株主が、多数決により、少数株主の地位を強制的に喪失させること(締め出すこと)をいう。このようにスクイーズアウトには少数株主の地位の強制的喪失が伴うことから、少数株主保護の観点から、一定の救済措置が法定されるとともに、一定の場合には、無効又は違法と判断されるリスクを伴う[1]。
かかるリスクを回避するためには、スクイーズアウトの公正性を担保することが有益 . . . 本文を読む
1 株主の平等な取り扱い
前記のとおり、「株主の平等な取り扱い」はTOB規制の趣旨の一つである。この「株主の平等な取り扱い」の意味は、実質的には少数株主に比べて大株主を有利に扱わないということであり、逆に言えば、少数株主に比べて大株主を不利に扱うことは、TOB規制の趣旨に反しないと解される。そして、現在の実務においては、大株主との間でTOBに関する契約(以下「応募契約」)を締結し、応募契約の . . . 本文を読む
1 判断の枠組み
公開買付価格決定のプロセスについて何らの明示的判断がないまま、裁判所が「公正な価格」の金額について審査している点は疑問である。しかし、第三者委員会の設置がないこと、価格算定書の基礎となるべき資料に信用性を措くことができないこと等から、公開買付価格が「独立した関係当事者が真摯に交渉した結果決定されたもの」結論は妥当である。
2 価格決定申立制度の趣旨の理解
これに対し、価 . . . 本文を読む
サイバード高裁決定は、サイバード・ホールディングスの株式非公開化(TOBとスクイーズアウト)に際しての全部種類取得条項付株式の取得価格決定申立に対し、TOB価格にプレミアム20%を上乗せして取得価格を決定した。その骨子は以下の3点である。
第1に、「公正な価格」は、「取得日における当該株式の客観的価値」に加え、「強制的取得により失われる今後の株価上昇に対する期待権を評価した価額(プレミア . . . 本文を読む
上場会社を対象とする全部取得条項付種類株主を利用したスクイーズ・アウトの取引としての公正性は、全部取得条項付種類株主を利用したスクイーズ・アウトにより得られる社会的利益(主として企業価値の向上)が少数株主の喪失する利益を凌駕するか否かにより判断すべきであり、その判断に際しては、上場会社を対象とする全部取得条項付種類株主を利用したスクイーズ・アウトにより少数株主が喪失する利益よりも、それにより得 . . . 本文を読む
元商法立法担当者稲葉先生による大著(700頁超)です。何とか半分読めたたので、感想を書き始めます。
いきなり終章ですが、「会社法が残した課題」とあります。
柱は、①会社法の枠組み、②公開会社法制、③企業結合法制、④会社法における規律確保、です。
①では、「基本ソフトとしての株式会社法制(フォーマット)の初期設定のおかしさ」が指摘されています。
また、今後の会社法制の検討に際して、業績不振の . . . 本文を読む
東京財団の「敵対的買収ルールに関する東京財団案」は悪くないと思うのですが、法律家または法学者等からのコメントを見た記憶がありません。。。骨子は、①20%以上の株式保有者の議決権の制限、②取締役解任の委任状争奪戦勝利を条件とするTOB、③種類株式の上場容認。
TOB,MBOの問題を考える際には、「会社は誰のものか」という問いではなく、「会社という制度の存在理由は何か」を問うべき。究極的には国富の発 . . . 本文を読む
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