知的財産研究室

弁護士高橋淳のブロクです。最高裁HPに掲載される最新判例等の知財に関する話題を取り上げます。

海外進出と知財戦略(その4)

2012-03-29 08:23:23 | 知的財産制度
4 誰に何を相談すれば良いか? 4-1 知財戦略は法務戦略の一部  前記のとおり、知財戦略は法務戦略の一部であり、法務戦略は事業戦略の一部である。貴社の海外進出は、事業戦略に基づくものであり、事業戦略の一部として法務戦略が必須である。海外において事業展開する場合には、文化の共通の基盤がないから、日本におけるように相手方の「信義」に依存することは危険であり、進出先の法律の内容を踏まえて法務戦 . . . 本文を読む

海外進出と知財戦略(その3)

2012-03-29 08:01:19 | 知的財産制度
3 知的財産戦略とは? 3-1 知的財産の活用方法 知的財産戦略とは、知的財産をツールとして活用して経営目的を実現する企業活動をいう。 知的財産の活用は①手段的利用と②目的的利用に分かれる。 ①の手段的利用とは、知的財産を事業活動のために利用するものである。これに対し、②の目的的利用とは知的財産をライセン・売却するなどして、知的財産自体から収入を得るものであり、IBM等の米国企業において特 . . . 本文を読む

海外進出と知財戦略(その2)

2012-03-27 12:04:11 | 知的財産制度
2-2 知的財産権のメリット それでは、知的財産権を取得すると、どのようなメリットがあるのか? 知的財産法は、知的財産について他者の利用・使用を排除する力=独占力を認めている。   つまり、ある技術について知的財産権を取得すれば、当該技術を独占することができるから、ニセモノ被害を防止することができる。さらに、この独占力が参入障壁となり、長期間に亘って高い利益率を維持するこ . . . 本文を読む

海外進出と知財戦略(その1)

2012-03-27 12:02:09 | 知的財産制度
1 はじめに 東日本大震災以降、中小企業の海外進出の動きが加速している。具体的には、大手企業の生産拠点移転と同様に、中国、インド、タイ、ベトナム、インドネシアなどの東南アジア諸国に生産拠点を移転させようとする動きである。 このように海外進出を目指す中小企業の懸念として、これまで営々と築き上げてきたモノづくりのノウハウが模倣され、ニセモノが出回るのではないかという点が指摘されている。現に、国際刑 . . . 本文を読む

シンプルな知的財産の評価(試論)

2011-06-08 07:05:03 | 知的財産制度
1 資産評価の方法として、①インカム法、②コスト法、③マーケット法がある。知財の場合、③はほぼ使えない。②は理論的根拠がなく、結果として、①が基本となる。具体的にはDCF法である。 2 知財権のうち特許権を例に検討する。特許権がその保有者たる企業のもたらす価値は、独占の利益が源泉となる。独占の利益の計算は、ロイヤリティ料をベースにするのが最もシンプルだ。問題は、予想ロイヤリティ料の計算方法と割引 . . . 本文を読む

「最高裁の暗闘」を読む(3)

2011-01-23 09:43:00 | 知的財産制度
今回は、最高裁と世論との関係について書きます。 同書の142ページ以下に、最高裁が、行政処分の取消しを積極的に認容した東京地裁の判決(裁判長の名前から藤山判決とよばれる)についてどのように対応したかが記載されています。 その中の一つが、林試の森公園事件です。これは、林試の森公園の拡張に関して、隣に官舎があるにもかかわらず、これを温存して民有地を収用した行政処分の違法性が争いになった事件です。 . . . 本文を読む

片山英二先生還暦記念論文集「知的財産法の新しい流れ」を読む(2)

2011-01-22 18:41:12 | 知的財産制度
今回は、服部先生の「支配管理型の特許侵害について」について書きます。 同論文は、サービス提供事業者が発明の構成要件該当性の一部に該当する行為を行い、ユーザーが残りの構成要件を該当する行為を行っている場合についてサービス提供事業者に特許侵害が肯定されるか否かについてを論じています。最近話題のロクラク、まねきTV事件と同一構造のサービスについて、特許権侵害の観点から検討を加えるものであり、時宜を得た . . . 本文を読む

島並良「職務発明対価請求権の法的性質」を読む

2011-01-20 22:51:33 | 知的財産制度
本論文は、職務発明制度について、使用者・従業者間の取引と考える「契約アプローチ」と国家が政策的に置いた装置であると捉える「制度アプローチ」との二つの理論枠組みがあるとされ、両アプローチからの各論点における帰結が検討されています。 僕は、職務発明制度は、産業の発達という特許法の目的を実現するために使用者・従業員間の調整を図った制度と理解しますので、「制度アプローチ」を支持します。 . . . 本文を読む

中山先生の「知的財産立国の更なる発展を目指して」を読む

2011-01-19 09:39:19 | 知的財産制度
Juristの特集「揺るぎない知的財産立国を目指して」の巻頭論文です。必読ですね。 「はじめに」の部分で、知的財産制度は「イノベーション促進の脇役であるという点を忘れてはならない」とあります。これは重要な点です。また、イノベーション促進のカギは「自由」であるところ、知的財産制度は「情報の独占」を認める制度なので、一定の弊害(「独占による弊害」)があることも重要です。もとより、このことは、知的財産 . . . 本文を読む

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